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●オレが責任者かよ!

 運命の悪戯だった。
 A氏が家族の都合で、急遽JVCを離れることになったのだ。つまり、定住プロジェクトの責任者がいなくなる。あのミーティングの翌日には、JVCが正式に定住プロジェクトを実施するとの噂はマガネイに知れ渡っていた。どうするのか。本当に、もう知らんぞ、と私は思った。

 あのミーティングでは定住プロジェクトへの賛否を問う多数決が行なわれた。9人いたソマリア人スタッフは全員賛成。6人いた日本人スタッフは3人が賛成した。
 その一人、二十歳をちょっと過ぎたくらいのF君に私は尋ねた。「なぜ賛成したんだ」と。

「いやあ、オレ、毎日農場に行っているじゃないですか。この計画のことはけっこう知れ渡っていて、計画が一体いつ始動するのか、農民はもう待てないところまで来ていると思うんです。言い出した以上、何らかの形で始めないと、今後のJVCと農民との信頼関係によくないと思ったんです」

 なるほど。一理ある。だが全体を見ていない。プラスマイナスの総合店で考えていない。

 ともあれ、定住プロジェクトの推進は決まった。ところがA氏の突然の離任。

 計画は、突然暗礁に乗ったのだ。

 ソマリア人スタッフは相当に慌てていたようだ。

 もちろん、農業チームには日本人リーダーのOさんがいた。

 だが彼は手持ちの業務だけで多忙を極め、定住計画にかまけている暇はない。

 ある程度の期間ソマリアで暮らし、ある程度、ソマリア人との駆け引きもできる日本人スタッフは誰か。それは一人しかいなかった。しかも、そいつには時間がある。

「カシダ、頼むから引き受けてくれないか」

 プロジェクトマネージャーのモハメッド=アデンが私に何度も就任依頼に来た。

「できない。あんたがやればいいじゃないか」

「ここは日本のNGOだ。日本人がいるから、UNHCRや政府もいろいろな話し合いに応じてくれる。わかるだろ」

「このプロジェクトは間違いなく失敗する。一番反対した俺が就任したいと思うかい?」

「その気持ちはわかるよ。でも、今JVCが中止をしたら一気に信頼を失ってしまう・・」

 モハメッドだけではなく、日本人のOさんからも直々に依頼が入った。

 自分自身の主張と大局の狭間になり私は悩んだ。確かに、JVCをうそつき団体にはしたくなかった。

 だが私が一番考えたのは、組織を守るという目的よりも、もし引き受けるとするならば、このプロジェクトのどこにその有意性を見出せるかであった。だが、考えるほどにマイナス材料ばかり。絶対に失敗するプロジェクト・・。

 待てよ。私はピンと来た。

 絶対失敗するのならそれを活かせないか?

 私は、ソマリア人スタッフ幹部クラスのなかに、難民を定住させたいというよりも、ルーク地区、もしかしたらソマリアのどの地域でもなしえていない難民の定住の実現という実績を欲しがっている気持ちを感じ取っていた。

 もし実現すれば、UNHCRやソマリア政府から高い評価を与えられるのだから、彼らの意気込むのはわかる。そんな彼らにとって、難民自身が心の底からやりたいと思わない限りどんなプロジェクトも見事に失敗するという結果を受け止めるのは、JVCソマリアの今後を考えれば最高の材料になるのではないか。

 しかし、万一がある。本当にやる気のある難民がいた場合を想定してプロジェクトを組み立てることは必要だ。つまり、私自身も否定的ではなく正面から挑む姿勢を見せなくてはならない。一方で中止の可能性が大きい以上、予算を最低限に設定しなければならない。その日、私は日記にこう書いた。

「この計画は、高い確率で失敗する。農場近くに家を作るにしても、農民は別荘くらいにしか考えないだろう。そしてふとどきな話だが、自分はこの定住計画が失敗すればいいと思っている。浮かれすぎのソマリア人スタッフが、本当に農民の自主参加を待つようになるのを望むからだ」

 それにしても・・、オレが責任者かよ。やりたくもない仕事を引き受けざるを得ないなんて、中小企業の管理職にでもなったみたいだ。


●定住プロジェクト始まる

 数日たったJVCミーティングの席で私はこう発言した。

「いろいろ考えたけど、引き受けることにしました。ただし、やる以上は、以下の私の考えを理解してもらいたい。一つは、全体予算を食い潰さないよう、低予算でやる。そのためには、約束した四つ以外の提供はしない。他の施設などはすべて農民自身の話し合いで金を出し合うなどで作ってもらう。私たちはその説明のみを行い、あとは、その条件を呑んだ農民の申し出を待つだけにする。プロジェクトが始まったら、彼らがどうしても出来ない部分だけはJVCと話し合う」

 さらに条件が厳しくなったわけだが、ともあれ、誰にも異論なく、私は定住プロジェクトのコーディネーターに就任した。

 11月下旬、私たちはマガネイ難民キャンプのJVC農場で、JVCが運営する4つの農場の代表者と、農場の土地所有者(昔から住んでいる地主)とで農場事務所で話し合いをもった。私は、JVC内部でしたのと同じ説明を行った。

「提供できるのは家1軒分の資材。ドンキーカート(ロバの荷車)での運搬であれ、井戸であれ、水の供給。診療所。モスクの四つだけ。予算の関係でこれ以上は出せません。あとは、農民同士で話し合って、この条件でやりたいという人がいれば私にまでいつでも連絡してください」

 その2週間後、難民キャンプを出て農場近くに定住したいといってきたグループが現れた。第4農場(農民20人)からの13人である。これは私には意外な展開であった。

 JVCにはこの時点で4つの農場があった。

 第一農場は、84年、ソマリアで活動を始めたばかりのJVCがまだソマリアの文化も風習も理解しない頃に作られ、選抜された農民も、いろいろな氏族の有力者やそれらが推薦する人間が多数を占めた。難民になる前は違う氏族同士だった人たちの共同作業が課題で、共同管理しなければならない水路はところどころ荒れていた。エチオピアで農業経験のあるほんの数人だけが熱心に土を耕していた。

 第二農場と第三農場の農民は、JVCがルークに来た時点で既に、地主と交渉の上で細々と開墾を始めていた。JVCは彼らの活動を後押ししたのだが、ほとんど全員が農業経験者で、JVCの農民に登録されていなくても、やる気のある者が入れ替わり立ち代わり働いていた。収穫物も平等に分配されていた。いってみれば、農業の目指す理想を見ることができたのだ。

 そして、第四農場は、第一農場での農民選抜の反省から、高橋さんが中心となり、それまでの農地造成工事で真面目に働いた難民を優先選抜し、なおかつ、特定の氏族に偏ることなく、さらには有力者やその身内に偏ることなく、厳密に選抜した農民たちだ。いろいろな氏族が混在していても、それなりに協力し合っての農場運営がなされていた。

 この第四農場からの参加表明を「意外な展開」と思ったのは、「やりたい」と声がかかるとすれば、既に共同体を形作っていた第二か第三農場、もしくは、村作りよりも特権を獲得することに目が行きがちな第一農場の一部農民かと思っていたからだ。

 ともあれ、私は、この13人と話し合いをもち、改めて契約内容を確認した。

「本当にこの内容でいいですね。こちらが物資提供したあとは基本的に自分たちで考え、協力し合うことでいいですね」

「そうだ、間違いない!」

 87年1月、農場近くの土地に家の資材が運ばれた。早速、農作業の合間を見て、13人による家作りが始まった。そんなに難しいものではない。柱を数本立て、柱の間に細い枝をびっしりと建て並べ針金で固定してから、泥で壁を作る。

 彼らとの話し合いにしても、家作りの共同作業にしても、ここまでは、実に気持ちのいい展開だった。だが、予想通り、彼らからの「要請」が始まるのはすぐのことだった。

「半分に切ったドラム缶をくれないか。水を入れるのに必要だ」

「契約にはなかったけど」

「人間水なしでは生きてはいけない。家が完成していない今、まだマガネイに留まっている家族がドラム缶などの水入れを使っている。なんとかしてもらえないだろうか」

 なるほど。これはもっともな要求だ。私は、ソマリア人スタッフと話し合い、半額負担で半ドラムを提供することにした。だが、今にして思えば、これは半額ではなくローン払いでもいいから全額払いを提示すべきだった。なぜなら、これを機に、定住予定地に行くたびに、「話がある」と呼び止められ「要請」の嵐が始まったからである。

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