取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
プロフィール

樫田秀樹

Author:樫田秀樹
フリージャーナリストです。今まで書いた記事を整理したHP「樫田秀樹の記録部屋」と併せておつきあいください。なお、本ブログの文章と写真の無断利用はお断りいたします。使用されたい方はご一報ください。

ブンブンエコライト
ブンブン回すだけで充電できる懐中電灯。たった97グラム!
電気不要・8年間カートリッジ交換不要の浄水器
カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
月別アーカイブ
全記事表示リンク
この記事にリンクを貼る

Designed by Shibata

40種類の柄、15種類のカラーから自分好みに選べる、オリジナル フルジップパーカ
バケツ洗濯機KJ-950
これは便利!雑巾や軍手、スニーカーなどがきれいに!
携帯用洗面器
旅行に便利。空気で膨らむ洗面器。
ランドリーポッド
電気不要の洗濯機。災害時の備えに。
電球型ポケットライト
財布や名刺入れにも入る薄型ライト。厚さ3ミリ
LEDダイナモランタン
手回し充電もソーラー充電もOK。部屋のインテリアにも。
LEDキャンドル
LEDだけど炎がゆらぐ。癒される。息の吹きかけでオン・オフができる。
折り畳みヘルメット
サイズ調整可の折り畳み防災ヘルメット
タタメットズキン
サイズ調整できる折り畳み防災ヘルメット+ずきん。落下物にも炎にも強い!
パッカブルブーツ
折り畳める長靴。色も選べます
アンチボトル
折り畳めるウォーターバッグ。500mlなので、何度でも使えるペットボトルとして重宝する。色は7色。
浄水機能ペットボトル
カーボン製フィルターが水道水をおいしい水に変える。385ml。色は3色。
あつあつ加熱パック
火を使わずに食材を98℃まで加熱。災害時には暖かいものを食べたいですね。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

あつあつ加熱パック 発熱材3個 3袋セット【RCP】
価格:2592円(税込、送料別) (2017/2/8時点)


●本当か、移送中止!

 この後、ソマリア政府は、難民移送のため、乗車登録には乗車券を発行するなどでそのやり方を改善したが(なぜ最初に気づかないのか)、ともあれ、移送は続き、86年9月の第7回目でもって、マグドール1の移送は9割がた終わった。

 これからはマグドール2の登録が始まる。と思っていた10月のこと。JVCモガディシュ(首都)事務所からの業務連絡に私はぶったまげた。

「マグドールは、UNHCRとNRCの決定で閉鎖された。つまり、もう移送は行われない」

 マグドールの閉鎖? いったい何のことか? マグドールにはまだまだ多くの人が残っている。閉鎖とは、JVCの保健プロジェクトも終わるということなのか?

 翌日、私を含め、3人の日本人スタッフがUNHCRルーク事務所に赴き、そこにいた白人職員Sに問い質した。

「一体どういうことなんでしょう?」

「今回のことは、UNHCRとNRCのモガディシュレベルでの決定だ。移送中止の理由には、輸送にかかるディーゼルが莫大に消費され、何ヶ月もかかっているため、現行プロジェクトに支障をきたすとの説明もあった。つまり、もう移送への予算がないということだな。だが、中央レベルの話だから、体裁を整えるために、中止ではなく完了という形をとったのだと思う。つまり、完了なんだからマグドールにはもう難民がいないという解釈になる。いない以上は閉鎖だ」

「ひどい話じゃないか!」

「まったくだ。中央の考えはよくわからん・・」

「だが、S。既に乗車券を手にした人が数多くいる。その人たちは次の移送を期待しているのだから、せめて、その人たちのためにもトラックを出してあげるべきではないのか」

「いや、そういう人たちもジャボレ難民としては登録しないそうだ。トラックは出ない・・」

 実はこのとき、偶然だが、UNHCRソマリア代表がルーク事務所に来ていたので、私たちは彼にも会って移送中止の理由を尋ねた。
 その代表は、その数ヶ月前に赴任していた日本人だから、他のプロジェクトよりは、JVCの農業プロジェクトなどを気にかけてくれていて、実際、現場に来てくれたこともある。誠実な人だった。

「代表。なぜ、マグドールにはまだ何千人も残っているのに、移送が完了したといえるんですか?」

「いやあ、あの難民キャンプにはもう人は誰もいないんです」

「いますよ、まだ何千人も」

「いや、いないんです」

 何があったのだろう。ソマリア政府の政治判断が働いたのか、本当に移送資金が底をついたのか、今もって本当の理由は分からないが、これだけは言える。移送されなかった人々はまさに「捨てられた」のだ。難民が棄民になったのだ。

 なんなんだ、なんなんだ。誰が何をしているんだ!

 釈然としない気持ちのまま、UNHCRの事務所を出ると、私は即座にマグドールに向かった。車を止めるとバラバラと人が集まってくる。その多くが乗車券を手にしながら最後のトラックに乗れなかった人々だ。

「カシダ、俺たちはどうなるんだ?」「トラックはもう出ないのか?」「ジャボレにはもう俺の息子が行っているんだぜ!」「見てくれ、この乗車券を」

 突きつけられる乗車券を見るのが辛かった。

「残念だが、もうトラックは出ない。さっきそう通告された。残念だが…。新しい情報が入ったらまた来るから、待っていてほしい」

 もちろん、新しい情報などはいるはずもない。ただ、辛いその場を離れるがための私の詭弁である…。


●薬も食料も水も奪われる

 この人々にさらに追い討ちがかかる。

 「人がいない」以上は、JVCの給食センターも診療所も即座に閉鎖されることになった。

 UNHCRの管理体制下にあるRHU(難民厚生省)が、JVCへの医薬品と食糧の供給停止を言い渡してきた。

 そして、「人がいない」のだからとマグドールの浄化給水所も解体された。まだ何千人もいるのに、水を供給しないだと!

 11月。UNHCR、JVC、NRC(国家難民委員会)、そしてRHUで話し合いがもたれたのだが、その議題にはやりきれなくなった。

 なんと、今度は、マグドールに「残っている」難民の今後の生活をどう保証するかということだったからだ。

 もういないと言ったばかりじゃないか!

 NRC発表によると、マグドール1と2を合わせて、計1万4808人の難民が残っている。残った人々をルーク地区の他の難民キャンプに分散して住まわすしかないというのが、NRC、即ちソマリア政府からの提案だった。

 UNHCRのSと私は憤りを隠さなかった。

「ソマリア政府は、マグドールにはもう人がいないという理由でキャンプを閉鎖しておきながら、今になって、1万4808人もの人が残っているといって、その解決を計ろうとしている。政府もUNHCRも中央では一体何を話し合っているんだ!」

 Sは新任の職員だったが、乗車登録だけではなく、ルーク地区の難民キャンプとそこで行われているプロジェクトを時間があれば視察していたという、現場密着型の信頼できる職員だった。
 
 だが、たいていのソマリア政府やUNHCR職員は、事務所から外に出ず、難民のたった一人の名前も覚えず、たった一人の苦難も知らず、多くの人の人生をチェスの駒でも動かすように机の上でプロジェクトを決めていた。

 この移送中止は、UNHCRとソマリア政府のどちらに責任があるのかは分からない。
 だが、難民を棄民にした。その事実だけは消えない。

↓ ブログランキングへの応援クリック2つお願いいたします。



blogram投票ボタン

↓ 拍手もお願いいたします
関連記事
スポンサーサイト
コメント















 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/tb.php/214-262fc13a
リニア取材のカンパのお願い
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
必要か、リニア新幹線
リニア中央新幹線の問題点を『環境性』『技術性』『採算性』の3点から理論的、実証的に解説した一冊。リニア計画の入門書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。