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難民狩り

「カシダ、やられた。5人が徴兵された!」
 85年10月29日、朝、マグドールに着いた途端のセクション・リーダーたちの第一声だ。
 やっぱり来たか。

 ルーク周辺でソマリア軍による徴兵が行われていることは、その2、3日前から噂で聞いていた。同時に、あちこちの難民キャンプの男たちがブッシュに向かって走っていくのも目撃していた。徴兵を逃れるため、数日間ブッシュに身を隠すのだ。

 これは私のルークの初日でも、JVCが運営する農場で聞き及んだことは既に書いているが、確かに、これほど人の運命を暗転させるものはない。

 ある日突然、何台ものトラックで銃を構えた兵士たち難民キャンプにやってくる。青年ならば誰でもいい。銃を突きつけて「乗れ!」。こうして、青年たちで満載となったトラックはどこかの軍のキャンプへと消えるのである。

 「難民狩り」の噂、そして、ブッシュに逃げ込む男たちの姿を見てから、私は、即座にマグドールで働く難民のスタッフため、ポラロイドカメラを使って身分証明書を急ごしらえした。10月28日のことである。
 日本人スタッフの何人からは「そんなに焦らなくっても・・」と、さも過剰反応している私を見ていられないといった冷ややかな声が飛んだものだ。
 だが、まさしくその日、5人がさらわれていったのだ。

 CHW(地域保健員)のカマル、RHU(難民保健省)看護士のカリフ、マグドール難民でCHW見習のアリ、セクション7のリーダーのヌールと同じく8のリーダーのイブラヒム。マグドールの難民も数十人が連れ去られた。

「カシダ、どうすればいいか?」

 みな脅えていた。またいつ軍が来るかわからないと。

「とにかく、この給食センターはJVCのもちもの、つまり外国人のもちものだから、労働者はここにいたほうが安全だ。絶対に外に出ないように」

 マグドール難民の労働者にはこう指示を出して、マグドール外から通っているCHWのギニーとイブラヒムについては、仕事のあと、車に乗せてJVC宿舎に直行した。

「ギニ―にイブラヒム。今夜はここに泊まるんだ。二人の家族にはこれからその旨伝えてくるから」

 私はJVCスタッフのアブディサラムとともに、二人の家族の元へと車で向かった。マグドールを出ると、すぐに大きな軍用トラック2台に出会う。その荷台には、兵士の銃に囲まれ多くの難民がうずくまっていた。

「アブディサラム、マガネイの農場スタッフがいるぞ」

「あそこにも知り合いがいる・・」

 私たちの知人は、私たちをすがるような目で見つめるだけで、私語を禁じられているのだろう、何も語らない。アブディサラムが運転席から身を乗り出して語りかけた。

「大丈夫だ。きっと帰ってこれるから!」
 
 アブディサラムは、外国人という私と一緒にいるので、つかまる心配はない。

 一体何百人が捉われたのか。これは当然、各NGOで問題視され、UNHCRからも軍に事実解明を求める声が出され、さっそく、軍の上層部がUNHCRの事務所で説明を催すとの情報が回ってきた。午後、私はもう一人の日本人スタッフと共にUNHCRに赴いた。

 UNHCR事務所の野外に設置されたテーブルにサングラスをかけた軍の人間が座っていた。NGO関係者が30人ほど集まったところで、軍は説明を始めた。

「今回の出来事についてだが、軍から相当数の脱走兵が出て、ルーク地区の難民キャンプに身を潜めたとの情報を得た。脱走兵を捕らえ、難民キャンプの治安を計るために今回我々はここに来た。ただ、間違いで何人かの難民を捕らえてしまったようなので、それら難民は返すことにする」

 詭弁である。トラック数台で満載するはずの脱走兵がいたのなら、とっくの昔に私たちの耳に入っていた。ともかくも、翌日から、マグドールの5人も含め、ポツポツと捕まった難民が帰ってきた。カマルに話を聞いてみた。

「朝の4時頃かな。寝ているところをドヤドヤと何人かの兵士に踏み込まれ、頭を蹴飛ばされてそのままトラックに乗せられた。何もない原っぱに連れて行かれ、石を枕にして寝かされた。次の日は、朝に紅茶が一杯出されただけで、すぐどこかの町の軍の施設に連れて行かれ、一つの部屋に多くの人間が詰め込まれた。JVCで働いている証明書を見せたら釈放してもらえた」

 5人のなかで一番遅く帰ってきたのはカリフである。11月6日に釈放されたが、頭は丸刈りにされ、精も根も尽き果てたように人相が険しく変わり、自宅で寝込んでいた。

「一つの部屋に352人が入れられた。1日3食は出されたが、ひもじいくらいの少量だった。紅茶には砂糖は入っていず、多くのものが衰弱した」

 マグドールの5人は幸い、ギリギリ間にあった証明書のお陰で帰ってこれた。だが逆に言うなら、何の証明書ももたない人たちの多くは「脱走兵」として帰ってこなかったのである。


ありがたき存在=難民

 ソマリア政府にすれば、難民はやっかいな代物ではなく、徴兵など、国力増強のために必要な「金の卵」なのかもしれない。

 ソマリアにいた当時、国連発表では、ソマリアには約70万人の難民がいると言われていた。総人口約500万人の国で7人に1人が難民という凄い数だ。だが、私はこの数字に疑いを抱いている。

 マグドール1で活動を進めていると、細かな人口調査はしなくても大体の人口は把握できるようになっていた。5千人から6千人くらいだろう。ソマリア人スタッフも同様の数字を打ち出していた。だが、国連発表では、マグドール1には約1万5千人が難民として登録されていた。確かに、難民キャンプ形成後、親戚を頼り違う難民キャンプに移住したり、危険を承知でエチオピアに戻る人たちもいたが、それを割り引いても1万5千人にはならない。

 さらに、マグドール2も入れると、国連発表は2万8千人だ。多すぎる。

 だが、これは国連の統計ミスではない。国連は、ソマリア国の統計を基に総難民数を発表しているに過ぎないのだから。

 では、数字の違いはどこから来るのだろう。

 ある日、食糧配給の総元締めでもある、国連の「世界食糧計画」(WFP)職員が私たちの宿舎に遊びに来たときに、私は何気に聞いた。

「70万人って実際よりも多くないですか?」

「実際にソマリアで配給している食糧は40万人分くらいかな」

 これにしてもどんぶり勘定だが、少なくとも70万よりは信憑性がある。

 ともあれ、難民を70万人と公式発表したのはソマリア国の機関NRC(国家難民委員会)であるが、NRCによる数字の操作があったことはよく囁かれていた。なぜなら、難民の数が多いほど、国際支援、即ち、モノと金が大量に入ってくるからだ。この、実にありがたい存在、難民。難民の命運はすべてソマリア国家が握っていた。

 そして、マグドールでも大変なことが起ころうとしていた。マグドール難民に内陸への移動命令が下ったのだ。

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