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第5章 運命に翻弄される人々 

俗世界

 ある夜、酔った日本人スタッフ2人が言い争っていた。

「俺は難民を全然かわいそうだなんて思わないよ。こんなに、俺らから、可能な限りの手を使ってむしり取ってさあ。精神的にこてんぱんになってる俺の方がよっぽどかわいそうだよ。俺、日本に帰って、ここで見たことを話す機会があったら全部正確に話すよ」

「俺だって、かわいそうなんて思ってないよ。でも、俺は、日本では、やっぱり、難民はかわいそうだと話す。そうでなきゃ、募金も関心も集まらないぞ」

「違うよ。難民がかわいそうだからどうかでなく、あの人たちが難民になったという事実が問題だろ。帰りたい故郷に帰れない現実を伝えれば、募金も集まるよ」

「そんな教科書みたいな話をしても、金は集まらんぞ。ここでプロジェクトやるには金が必要なんだ。それに、ここのことをありのままに話したら、逆に、そんな難民のために募金なんかしたくないと誤解されるぞ。それをどう思うんだ」

「でも、かわいそうじゃない人をかわいそうと言うのはおかしいよ」

「じゃ、お前、どうやって金集めんだ。すぐ言え。今すぐ言え!」

 こう言ったところで、彼が忙しげに動かしていた腕がコップを弾き飛ばし、それがテーブルを転がる音でようやく私たちは「まあまあ」と仲裁に入った。元々仲良しの2人は翌朝にはもうケロとしていたが、双方の言い分には納得させられた。

 難民はかわいそうではない。これはソマリアをある程度の期間経験した人なら誰も否定しない。

 一方、センセーショナルで「かわいそうな」映像があって、初めて日本の一般市民が動くことも私たちは知っていた。そう伝えることで、例えば、他団体では、骸骨のような子どもの映像が連日報道されたことで、アフリカに毛布を100万枚送るという運動をあっという間に達成できたのだ。

 私が85年2月にソマリアに赴任した頃は、毛布100万枚運動に代表されるように、アフリカ難民は連日センセーショナルに報道されていた。だが、86年、87年と時間が経つにつれ、メディアはアフリカ難民を忘れ、同時に日本人も関心をなくし、JVCへのアフリカ難民指定募金も月に100万円以上あったのが、やがて1~2万円にまで激減した。

 忘れられつつあるアフリカ難民をどう伝えるか。緊急状況に置かれていたマグドールの難民。そして、毎日毎日、土と向き合い、砂漠をいつか青々とした生命で満たした農業プロジェクトに参加したマガネイ難民。その真剣な生き様を伝えたい。そうは思いつつ、難民キャンプはもう一面から覗くと、あまりにも俗世界であった。その現実を知ってしまうと、「あの難民のために俺らは支援を呼びかけるのか」との気持ちが、特に、気持ちがまだ熱い新人スタッフに芽生えがちだった。


●運命に翻弄される難民たち

 例えば、チャートという、クチャクチャ噛めば気分を高揚させる葉っぱがある(隣国ケニアではミラーと呼ばれる)。これをやると、ただでさえ饒舌なソマリア人は、寝るのを忘れて話し込むほどで、多くの男は違法であっても、この葉っぱを買い求めていた。

 ある日、新人の日本人スタッフが「いやあ、まいっちゃいましたよ、俺」とぼやいていた。
 聞くところによると、その日、チャートを満載した1トントラックがマガネイにやってきた。すると、あちらからも、こちらからも、ワサワサと難民の男たちが集まり始め、黒山の人だかりとなり、なけなしの金をもって車の後を追い出した。これを目撃して「めげた」のだ。

「俺、難民の問題と向き合う気構えでここに来たのに、今日みたいの見ると、何のためにここにいるのかと思っちゃいましたよ」

 ちなみに、なぜ多くの人がチャートを買える金をもっているかというと、ブッシュに行って薪を刈り出したり(ただし、これはあっという間に砂漠化を促進する)、ゴザや臼などの生活必需品をせっせと作っては市場で売るなどの努力型もあるが、多くは、国連から配給された食糧や毛布などの余剰分を即座に売り払うからである。ルークの市場では、月に数度、小麦や食用油などの物価が2、3割安くなるときがあった。たいていは、その前日か当日に食糧配給があったのだ。商人にすれば、難民から安く買い上げることができ、難民からすれば元手は無料なのだからいくらで売ろうと儲けになる(こういった流通は地元農民の危機感を煽ったに違いない)。

 余談だが、数こそ少なかったが売春も存在したようだ。同じ難民なのに、月を追うごとに、身につける衣服、指輪やネックレスが鮮やかになっていく数人の女性がマグドールにもいた。噂では100シリング(約100円)かそれに相当する砂糖1キロで体を売っていたという。

 私も含め、新人スタッフは当初「難民は悲惨な境遇のなかでもけなげに頑張っている」との幻想をもってやってくる。その現実は確かにある。だが一方で、そこが俗世界であることも知ると、自分の存在意義を自問自答する。

 そう。ある意味、俗世界である。いい人も、おとなしい人も、欲深な人も、粗暴な人もいる普通の地域が、ある日丸ごと難民にさせられたに過ぎないのだから。

 そして、すぐに難民問題の本質に気づくようになる。個人個人がどのような人間であれ、難民としてキャンプにいる限りは、自分の将来を自分の意思では選択できない事実を。もっと言えば、その運命が、ただ翻弄されることを。

 2人の会話の数日後、それを象徴するかのような大事件がルークの難民キャンプで起こった。
 難民の多くがソマリアの軍隊に強制徴兵されたのだ。


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