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●復興予算は被災地でどう活用されないのか?

 復興予算を巡っては、被災地の外での関係のない事業への流用が盛んに報道されています。
 一方で、その逆の報道はあまりにも少ないです。

 すなわち、本来その予算があてがわれるべきなのに、不採択とされる被災地内での事業についてです。

 復興予算のなかに「グループ補助事業」(正式名称は「中小企業等復旧・復興支援補助」事業」と呼ばれる事業があります。

 これは、一つの共通の目的を持った事業者たちがある程度の数で集まってグループを作って、集団で復興予算に申請するというもの。

 これに申請して、「採択」されれば、必要な事業費の4分の3が補助されます。(事業費の2分の1が国から、4分の1が県から)
 つまり、返さなくてはならない「融資」とは違って支給されるわけなので、震災と津波で社屋や車両や機器類、さらにはスタッフまで失ってきた事業者にとってはどうしても欲しい予算です。

 しかし、報道によれば、被災地において、申請したグループのうちの6割以上もが不採択となっているのが現状です。
 
 もちろん、予算の枠があるので、申請グループのすべてが採択されるわけではないにしても、ここに理不尽な不
採択はないのだろうか?  と思ったのが、この問題に関心を向けるきっかけでした。


●公にされない不採択情報
 
 しかし、いったいどういう事業者グループが不採択となり、不採択の理由は何かということについては、自治体に尋ねても、商工会や商工会議所に訪ねても「個人情報に関わるので、一切お答えできない」というものでした。

 ところが不思議なことに、政府の出す「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業について」というインターネットで公開されている資料には、復興予算に「採択」されたグループ名、その代表者名、属する自治体名、業種が明記されております。

 これまで第5次までの募集が行われ、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉県において採択されたのは

 329グループの2,906億円(うち国費が1,937億円)
 
 ただ、この情報はありがたいものでした。その逆で探れば、不採択事業に行き当たると思ったからです。
 たとえば、A町で採択されたグループの業種が「建設業」であったなら、それ以外の業種のグループが不採択となった可能性があるわけで、そういう事業所にあてずっぽうで電話をしてみました。

 すると、何十件かに電話したところ、4グループから情報を得ることができました。
 自治体や商工会の「個人情報なので教えられない」とは対照的に、こちらの取材主旨を知ると「聞いてください」と堰を切ったように話し出す人もいました。

 じつはこのネタ、これから雑誌やテレビに売り込むので、具体的な地域名と事業社名はここでは伏せますが、聞けば聞くほどに、採択と不採択の境界線がわからなくなってきます。


●不採択の事例

★A町の理容業
 津波で商売道具がすべてだめになった。私はたまたま地震保険に入っていたので道具を新規調達できたが、他の理容仲間は県や国からの融資などを利用して新規調達したので、なかには2重ローンをかぶっている人もいる。
 町の理容業者10店舗以上でグループを作って「グループ補助事業」に申請したが、2回ほど不採択となった。
 70歳を過ぎた私が、申請に必要なあの膨大な書類を作成するだけでも大変なのに、それで不採択だとめげてくる。
 地域に密着してきたこの仕事はそれほど評価されないものなのだろうか。
 現在、規模を縮小して営業しているので、かつてのように従業員を常駐させるわけにも行かず、客がやってきたときだけ、近くに住む従業員を呼んでなんとかかんとかやっている。

★B市のプロパンガス業者
 市内10以上のプロパンガス業者でグループを作ったが、あまりもの膨大な申請書類にめげる人もいた。
 大きな会社組織なら、書類作成だけに打ち込める人材もいようが、個人事業者では自分でやるしかないのに、あまりにも書類作成に時間がかかる。
 私は、家を失い、車も流され、専務とパートさんも亡くし、倉庫も1階をだめにした。だが倉庫の2階を仮事務所にして、やっと車も購入して頑張っている。
 グループ申請にはこれまで何度も落ちた。
 私たちの仕事は、地域の人にエネルギーを届ける仕事。なぜこれが採択されないのかが分からない。
 仲間の多くが2重ローンを抱えている。
 これから第5次申請もあるので、そこに期待したい。

★C町の仮設商店街
 20以上の事業者でグループを作り、町の経済活性化の中心的な役割を果たす新しい商店街を目指している。
 だが、グループ補助には3次、4次と落ちた。申請額は億単位なので痛い。
 不採択の理由は、簡単に言えば、事業内容が浅いとのことだった。
 だが、グループ補助申請の条件の一つには、

「地域コミュニティに不可欠な商店街等」

 との項目があるのに、なぜ不採択となるのか?。

 書類は膨大。なかにはコンサルが請け負うところもあるが、それにも金がかかるので、うちは自前で申請する。
 5次応募にも申請する。
 会員は、多くが2重ローンを抱えている。


★D市の運送業者
 E市の本社と、ここD市の支社の二つとも被災した。60台あったトラックが48台流され、残ったのは12台。事務所も冠水した。
 グループ補助申請は、同じ運送業者や港湾関係者とグループを作って、3回申請して、3回不採択となった。

 ところが、不思議なことがある。

 E市の本社では、運送業者や関連業者が160者によるグループを作り、採択された。
 E市の港からの水産物を輸送するとの名目が認められたからだ。

 一方、こちらD市でもD港からの水産物などの輸送を担うとの名目で申請したのに不採択となった。

 同じ会社が属する、同じ業種で、同じ名目で、かたや採択で、かたや不採択。

 不採択の理由を県は名言はしないが、説明では「優先度の高いものから採択する」とのことだが、その優先度のガイドライン自体がない。

 港からの運送を担う、との事業目的が不採択になるなら、いったいどういう理由なら採択されるのか?
 輸送を担う90%はトラックだ。これなくして、どうやって運輸を行うのか?
 県の説明からは、「小企業が5つや10集まったって、どれほどの経済効果があるのか」とハナっから軽視しているニュアンスがある。
 だからこそ、160者があつまったE市でのグループ補助事業は採択されたのだ。
 被災地の中でも、小さい事業は軽視されている。それが実態だ。

 次の申請も出すが、どういう文言で書類を作成すべきか本当に悩んでいる。



●小さい事業こそを

 私も一番疑問に思ったのが、上記、赤いふと文字で書いた部分です。同じ会社の同じ事業で、大規模か小規模かで採択、不採択が分かれたのです。
 これは理不尽そのものです。

 被災地外での流用にしても、結局は、大事業や大手企業に予算が流れていますが、被災地の中でも同じことが起こっているのかもしれません。

 グループ補助に採択される条件は4つ
① 経済取引の広がりから、地域の基幹産業・クラスター
② 雇用・経済の規模の大きさから重要な企業群
③ 我が国経済のサプライチェーン上、重要な企業群
④ 地域コミュニティに不可欠な商店街等

 ②と③は明らかに大規模事業とわかりますが、①と④は中小零細企業だって対象にしているわけです。
 適正な運用を求めたいと思います。
 
 ただ、なんにせよ、まだわずか4例なので、もう少し調査を続けます。

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2012/11/13 02:08 東日本大震災 TB(0) コメント(0)
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