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●謝る日本人

 ソマリア社会において「すみません」を言ったらどうなるのだろう? それはまずありえない仮定だ。
 
 しかし、唯一「すみません」を連発する人たちがいた。私たち日本人だ。

 まずは、私の例で語ろう。

 ソマリアに来てまだ日も浅かったころのこと。車を運転していたら、ヤブのなかから突然ニワトリが飛び出てきてはねてしまった。すぐに車から降りると、ニワトリはピクッピクッと最後の痙攣をしてすぐに息途絶えた。

 やじ馬がゾロゾロ集まってくる。ニワトリの飼い主もやってきた。私は片言のソマリ語で言った。

「イガラリーアホ(すみません)。弁償にいくら払えばいいですか?」

 飼い主は悲しそうにニワトリの傍にしゃがみこみ、何も言わずに右手で指3本を立てた。300シリングということだ。私はその額を飼い主の手に握らせた。

 翌日、この話はマグドールでは既に笑い話として噂になっていた。

「カシダ、お前、ニワトリに300払ったんだって?」

「うん」

 途端に、周りのソマリア人がギャーギャー笑い始めた。

「ばっかだなあ、お前。どうしてそんなに払ったんだ」

「だって、飼い主が払えって言うし、悲しそうだったし・・」

 またしても爆笑が起こった。

「ニワトリなんて100シリングでいいんだよ。悲しそうにしていたなんて演技だよ!」

 本当か? 本当だった。その数週間後のことだ。

 今度は、ソマリア人スタッフのモハメッド=アデンが運転をしていて、私が助手席に座っていたときのことだ。モハメッドは、ヤブから飛んできたニワトリをはねた。と、素早く、車を急停車させニワトリに駆け寄った。ニワトリはぐったりと地面に横たわり、ピクピクと痙攣を起こしている。モハメッドは叫んだ。

「ミンジ、イーケン!」(ナイフをもってこい!)

 ピクピクがピクッピクッと、その命が尽きかけているリズムに変わった。

「早くしろ、ナイフだ!」

 おい、はねたのはお前だろ。何でそんなに威張るんだ?

 近くにいた人がナイフを手渡すや、モハメッドはサッとニワトリの喉にナイフを入れてとどめを刺した。そこで落ち着いたのか、初めて飼い主に声をかけた――「今晩100シリングもってくる」

 これですべてが済んだのだ。「すみません」は無し。

 イスラム教では、家畜の肉はイスラム教徒が屠ったものしか口にしてはいけない。つまり、自然死、病死、事故死など理由はどうあれ、死んだものは決して口にしない。即ちモハメッドはこう判断した――同じ金を払うなら、このまま死なすより、オレの手で殺してニワトリを買ったほうがいい。

 果たして、その日、モハメッド宅の夕食にはニワトリ料理が出たのである。

 
●ぶったくられる日本人

 もう1人、日本人のNさんの事例を紹介する。

 Nさんは、JVC農場で休憩時間に、野生のウリをボールに見立てて、子どもたちとサッカーで遊んでいた。そして、Nさんがウリを蹴ると、それがある子どもの腹に当たり、その子はゲーと吐いた。その前日から調子を悪くしていたお腹にたまたまウリが軽く当たったのだ。

 Nさんは「オレの蹴ったウリでこうなりました」と家族にその責任を認めた、というより状況を説明した。

 ところが信じられぬことに、とたんにNさんは警察に連行されたのだ。わけがわからなかったのは、その子の両親だけではなく、親戚と称する何人もの男たちがNさんを訴え、警察にまで同行したことである。

 そして、Nさんは、補償金として、両親だけでなく、自称親戚の男たちにも金を払うことになった。そうでもしなければ釈放されなかった。日本円換算で2万円くらいだったと記憶しているが、ソマリアでは、先のモハメッド=アデンの月給に相当する大金だ。

「何なんだ、いったいオレがどんな悪事をしたというんだ!」

 Nさんはやり場のない悲しみと憤りに心が爆発寸前だった。親戚の男たちは、Nさんの責任表明を利用して、首尾よく大金をせしめることに成功したのだ。

 私は、自分のNさんの経験で理解したのは、この社会では自らの過ちを認めると間違いなく「ぶったくられる」ということだ。

 以前、石を投げた子どもたちには私たち日本人は手を出せないことを書いた。
 なぜなら、もし、肩を軽く叩くなどでも、その子が泣いたりでもしたら、早速、親が「お前はうちの子を泣かしたな!」と補償を求めてくるからだ。下手すれば、警察がらみで。
 だから、石を投げた子どもは、ソマリア人スタッフに「お叱り」をお願いするしかなかったのだ。


●過ちを認めるのは自身を低める

 そして、過ちを認めるのは、己のプライドを激しく傷つけることをも意味する。だから、ハビボもルールも、新品ポンプをお釈迦にしたハッサンも謝らなかった。

 メカニックのプライドは、ソマリア社会ではなんら特別なものではない。

 マグドール1でも、警備をサボった警備員に警告書を発行したら、「こんなものは受け取れん! もって帰れ!」と私に食ってかかってきた。不名誉の証拠を受け取るわけにはいかないのである。あるソマリア人スタッフに言わせると「あの警備員はカシダを殴るかと思った」ほどの激昂ぶりだったという。

 RHUルーク代表のAKが、マグドールを訪れたとき、栄養失調と脱水症状で血管が細くなった子どもへの点滴をお願いしたことがある。だが、彼はできなかった。針が血管に入らないため点滴液は落ちてこない。そこでなんと彼は、点滴袋をギュウギュウ握り始めたのだ。日本人の看護師Iさんが声を上げた。

「ドクター、もういいよ。できそうもないから」

 この言葉に彼はカチンと来た。

「私はできるんだ!」

 と、今度は針を子どもの腹に刺したのだ。メチャクチャだ。見かねて、Iさんが交代したが、AKは「用があるのでこれで」とそそくさと立ち去っていった。

 「あなたにはできない」と相手に言うのはソマリアでは禁句だ。さらに、ソマリア人は一歩進んで、できないことでも「できる」という。すべては自身のプライドのために。

 ただ、「イガラリーアホ」という言葉があるように、ソマリア人もまったく謝らないわけではない。例えば、すれ違いざま、肩と肩がぶつかった場合は謝る。なぜなら、この場合は謝っても何の責任も発生しないからだ。

 だが、謝る謝らないはさておき、責任の所在がはっきりしている場合はどうするのか? 例えば、あの、CHWのカマルを殴ったボラレ事件では、ボラレはカマルに対してとうとう謝罪をしなかった。だが、多くの目撃者がいる以上、その責任は逃れようもない。そこで、この決着はセクションリーダーたちがつけた。リーダーが、余裕のある仲間たちからカンパを集め、それを、カマルが属する部族の長を通じ、見舞金としてカマルに渡したのである。それで一件落着。

 揉め事の解決は、その土地の長同士が行う。それこそが、長年、多数の民族間での争いが絶えなかったソマリアにおいて、問題の長期化と深刻化に歯止めをかける唯一無二の効力を発する解決法であった。これは大いに評価しなければならない。

 しかし、私たちは、この、個人が決して責任を果たす現場に出てこないという解決策を、後日、もっとも嫌な形で迎えることになる。ソマリア人スタッフが車で難民の少女をはねて、死亡させたのだ。だが、彼は謝らなかった。その謝らない彼を非難するソマリア人は1人もいなかった。
 どうしても理解のできない文化の壁に私たちはぶつかった。

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