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第四章 衝突

●謝らない人々
 
 宿舎で、私たちの食事を作ってくれるメイドのハビボはその甲斐甲斐しい働きぶりでソマリア人からも「日本人はいい人を雇ったなあ」と高い評価を受けていた。私も今でもそう思っている。

(ちなみに、日中の気温が50度を超すソマリアでは、仕事時間は朝7時から午後2時まで。野外での作業はこれ以降は基本的にはない《私たち保険プロジェクトは午後も仕事したが》。なので、午後2時半ころに宿舎に戻ってから自炊したのでは昼食が3時半を過ぎてしまうため、近くの難民キャンプから、私たちはメイドさんを雇っていた。)

 ある日、灯油用ランプのガラスが割れていた。ほんの数分前にガラスのススをふき取っていたハビボがそこにいない。しばらくしてから現れたハビボに私は言った。

「ガラス割れてるよ」
「そうか」
「気をつけてね」
「割ったのは私じゃない」
「え、さっきまでいじっていたじゃないか」
「私じゃない!」

 弁償話や叱責を与えるために声をかけたのじゃない。ただ「気をつけて」と言いたかっただけだ。だが、「私じゃない」と言われれば、私の見ていなかったほんの数分の間に違う誰かが割ったと考えるしかない。だが状況証拠的には・・。私はそれ以上何も言わなかった。

 ところが、その数日後、今度は私の目の前で、ハビボは磨いていたランプのガラスを手から滑らせガチャンと割った。それまで私と話していた彼女は、一瞬だけバツの悪そうな苦笑いを浮かべ、次の瞬間から決して私と目を合わそうとせず、ガラスを片付け、料理の支度に入った。

 もう一人のメイドのルールは極めて料理の下手な女性だった。ある日、塩の塊のようなスパゲッティを口にした私たち日本人は、同時にそれを吐き出した。

「ルール! オスボ、バダン!」(塩が多いぞ!)

 こう文句を言うと、なんとルールは「鍋が悪い!」と、鍋に責任転嫁したのである。

「あのなあ・・」

 ハビボもルールも、なぜ、たった一言「すみません」が言えないのか。いや、彼女たちだけではない。ソマリア滞在中、私はとうとうたった一人のソマリア人でも「すみませんでした」と謝罪するのを見たことがなかった。

 仕事に遅れたアブディサラムも、その日必要な建設資材を調達しなかったシェ-ク=アブディも、仕事の約束を守らなかったラシッドも、「次からはやる」と言うのが関の山で決して謝ろうとしなかった。

 さすがにこれは絶対に謝るだろうと思いつつ、やはり謝らなかったのは新品ポンプを壊したハッサンだ。

 JVCの農業プロジェクトでは、ジュバ川から揚水ポンプで水を汲み上げて砂漠を農場に変えていた。86年秋、JVC第5農場の開設前に新しい揚水ポンプ数台が宿舎に届いた。このとき、ソマリア人メカニックのハッサンがとんでもないミスをやらかした。点検のためにエンジンのシリンダーを開けたはいいが、なんと、シリンダーのなかにボルトを落とし忘れたままエンジンを組み立ててしまったのだ。当然の結果、エンジン始動のコンマ数秒後に新品ポンプはオシャカと化した。

「すみません」

 と言うと思っていた。だが言わなかった。私たちは「どういうことだ」と彼に詰問した。

「ボルトを入れたままだったって?」
「あー」
「とにかく、お前がやったんだろ?」
「んー」

 誰がやったかはもう隠しようがないのだが、ハッサンは、一応すまなさそうな顔はするものの、自分の責任を認めるでなく、仕方ないじゃないかとばかりに曖昧な受け答えしかしない。ソマリア人は謝らない。このことを既に知っている私たちは次の言葉で締めた。

「次からはこういうことがないように」
「OK」

 ハッサンは、最後だけははっきりと答えた。責任を問われない形で会話が終了したからである。


●俺のプライドをどうしてくれるのか!

 だが困ったのは、この時期、新しいポンプがオシャカになったのに加え、数台の古いポンプも次々と故障していたことだ。
 
 さらに、JVCが所有する4台ほどの車もエンジンやクラッチが調子悪くなっていた。ハッサンの他にアハメッドというメカニックもいたが、この二人に任せたのでは、プロジェクトそのものが動かなくなる・・。

 農業チームは急遽、首都モガディシュから、日本人やイタリア人を含むプロのメカニックチームを招聘した。そして、彼らは滞在わずか数日の間に、すべてを元の調子に仕上げてくれたのだ。よかった。これで農場も一安心だ。ところが、これが二人のメカニックの怒りに火をつけたのである。

 プロチームが帰ったあと、JVCのミーティングで、アハメッドが口火を切った。

「いったいどういうつもりであのチームを呼んだのか?」

 農業チームの責任者の日本人のOさんがこう説明した。

「ポンプが次々と故障した。早く修理しなければ農民が困る。君たち二人だけじゃ間に合わないんだよ」

 アハメッドは105キロある巨体の上半身をゆっくりと前に傾け、怒りを押し殺すように言った。

「いいか。俺たちはメカニックだ。JVCに来るまでいろいろなところで仕事をしてきた。何でも直せるんだ。その俺たちに断りもなく違うメカニックを呼んでくるとはいったいどういうことなのか!」

「そうはいっても、実際、任せておいたポンプや車の修理もいつ終わるか分からなかった。君たちの力だけじゃ無理だ」

 すると、ハッサンが叫んだ。

「何を言う。あの知らない人たちが来るころには直るはずだったんだ! 俺たちを信じないことは残念でならない。俺たちは何でも直せるんだ。いいか、もう決してああいう人たちを呼ばないでくれ!」

 ほんの数日前に新品エンジンをオシャカにした男の発言を、よー言うぜと半分呆れながら私たちは聞いていた。

 私は、故障が出る一因は、二人がまったく定期点検をしていないことであることを知っていた。たとえば、走行何千キロごとにエアクリーナーの清掃だとか、キャブレーター調整だとかの計画的整備がまったくなされていないのである。そこで、私は提案してみた。

「違うNGOで働くフィリピン人メカニックが、車両ごとに、その修理・部品交換・点検の記録を記帳している。そうすることで、点検時期が判断できるので故障も少ないそうだ。どうだろう、一度、彼に来てもらって計画表に従う定期点検を学んでみては?」

 じっと耳を傾けていたハッサンは即座に拒否を示した。

「俺は何でも直せるんだ。そんな人間を呼ぶ必要はない。俺はノートはつけていないが、すべての車両点検の記録はこの頭の中に入っている。そのお陰で、みんなは運転ができるんじゃないのか?」

 予想外の答に私は慌てた。

「人間、誰でも得手、不得手はある。彼に来てもらうことでハッサンは定期点検を学べるし、彼のほうもハッサンから技術を学べるかもしれない。だから」

「ベス!」(もういい!)

 ハッサンは、両方の上腕をバッと上げて、てのひらを向けて叫んだ。
 ある日本人が放心したように呟いた――「いやー、メチャクチャ、プライド強いな・・」
 この話はご破算となる。「教えてもらう」のがたまらなくプライドに触るものだったのだろう。

 メカニックの2人は、私たちが見ず知らずのメカニックを呼び寄せ、おまけにその一流の技術であっという間に機械が復調したことを見せつけられ、その結果、「自分たちの能力が低く評価された」ことに著しくプライドを傷つけられたのだ。
 農場がどうなろうが、車がどうなろうかかまわない。第一優先は「我がプライド」だ。私たちはそのプライドを壊してしまった。

 とはいえ、こうもプライドばかり優先されては、本当に車もポンプも動かなくなってしまう。実際、後日、「何でも直せる」2人は新たな故障に対処できないでいた。必要なのは、的確な技術を身につけてもらうことだ。そこで、私たち日本人は一計を案じた。

 その一ヵ月後のミーティング。首都モガディシュのJVC事務所のスタッフYさんがこう切り出した。

「アハメッド。3ヶ月間、先日来たプロチームのところで技術を勉強してもらえないか?」

「何で俺がそこに行くのか? 何でも直せる俺にその必要はない!」

 Yさんは、あらかじめ用意しておいた言葉を告げた。

「来年新しい車が来る。ところが、今までにないタイプのエンジンで、電気系統もまったく新しい。だから、アハメッドには是非、これに対応できる新しい技術を習得してもらい、もっと活躍してほしいんだ」

 アハメッドは頷いた。新技術を学ぶというのなら、今の腕は関係なし。そして、非難ではなく、期待をされたことで彼のプライドは満たされたのだ。

 それにしても…。このソマリアで、もし謝ったらどうなるのだろう? いや、謝る事例はあった。それは、私たち日本人だった。次回は、謝ったことで私たち日本人に何が起きたのかを紹介したい。

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