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●あそこもここもドロボウだらけ

「あ、やられた!」

 倉庫を開けたら、昨晩まであった50キロの砂糖袋が消えていた。

 ソマリアで働いていた2年間、オレはドロボウと一緒に仕事をしているのではないかと何度も何度も思ったものだ。
 85年秋にはマグドール2にも給食センターをオープンしたのだが、1でも2でも倉庫からの盗難が続発した。それも砂糖ばかりが狙われる。

 私の見てきた限り、ソマリアで料理に砂糖が使われることはなく、砂糖はほぼ100%、紅茶に入れるために使われるといっても過言ではない。それも、汁粉のように甘くしなければ満足しないくらいに大量に投入する。

 マグドールの労働者に月給を渡すと、その日か次の日には、誰もが市場から大量の砂糖を買ってくる。それも、10キロ、20キロといった10キロ単位で、人によっては麻袋に入った50キロという量を仕入れるのだ。確かに、酷暑のなかに生きるには高カロリー源は必要で、私自身も甘い紅茶を欠かした日はなかった。

 さて、その事件はマグドール2で起こった。ある日の朝、前日の終業時に確認したよりも砂糖が幾分か減っているような気がした。気のせいか? その翌日も減っているような感じがした。そして、さらにその翌日、とうとう麻袋ごと砂糖が消えた。少しずつ盗み続け、こちらが気づいていないと見るや、ある日一気に手を出したのだ。

 倉庫の鍵をもつのは2人だけ。私と食糧倉庫を管理するCHWだ。だが、誰が空けるにせよ、夜間警備員の2人が連日の被害に気づかないとは実に怪しい話だ。2人はマグドール2に住む難民だ。私は2人の警備員を呼んだ。

「3日連続で砂糖泥棒が入った。それも夜の間に盗まれている。そこで聞きたい。警備員が2人いながらなぜこんなことが起こるのか。寝ていたのか?」

「何を言うか。俺たちは2人とも夜通し警備の仕事を真面目にやっている」

「だが、実際に盗難に遭っている。この狭い給食センターのなかでどうして泥棒に気づかないのか?」

「多分、俺たちが小便に行った隙を狙ったのだろう」

「小便? 2人一緒にするのか?」

「そうだ」

 いきなり馬鹿らしくなってきた。

「小便なんて1分もあれば終わる。それよりも、倉庫のドアは開けるときにきしむ音がする。その音に気づかないのはおかしい」

「いや、最近は腹の調子がおかしくて下痢をしている。そこでちょっと離れた場所で用足しをしていた」

「2人揃って野グソか?」と聞こうと思ったが「そうだ」との答えが帰ってくるのは明白だったので、いっきに宣言をした。

「わかった。今回の事件はたぶん犯人がいないのだろう。だが、これからは別だ。物資が盗まれないようにあなたたちを雇っているんだから、今後何かなくなったときは、一人につき1枚の警告書を発行します。そして、その警告書が3枚になった時点で、警備員の資質なしとして辞めてもらいます」

「わかった」

 そして、その後、まったく予想通りのことが起こった。その後も盗難は起こったのだが、ピタリと2回で収まったのだ。そして鍵をもつCHWは自ら退職した。どうしてこんなにわかりやすいのか。


●謎の領収書

 ソマリア滞在の2年目、私はJVCルーク地区の会計業務も兼任したのだが、仕事の責任譲渡の意味から、農業プロジェクトと保健プロジェクトのソマリア人担当者各一名に、必要な物資購入経費として1週間に1万シリング(約1万円)のプロジェクト費を手渡していた。清算も週に一度行われる。

 ところがこれを一ヶ月続けていると、奇妙な現象に気づいた。保健プロジェクト担当のSが持参する領収証がヘンなのだ。ごっそりもってくる領収証のなかに必ず「ドンキーカート(ロバの荷車)のタイヤ2本のパンク修理」とある。パンクはもちろんありえることだ。だがなぜそれが毎週決まって2本で、かつ、水曜日か木曜日の修理なのか。しかも、ドンキーカートはマグドールでの調理用の水を運ぶために使っているから、言ってみれば私がほぼ毎日見ているものなのに、不思議なことに、パンクで困っている現場をみたことがない。

 ある木曜日、清算に来たSに尋ねた。

「この領収証のパンクだけどね、毎週決まって2本だね。でも、オレ、そのパンク見たことないよ」

「それは、給水所に水汲みにいく途中でパンクするから、その途中にある修理屋で直してもらうんだ」

「ところで、パンクは毎週水曜日か木曜日だね?」

「・・。ああ」

「そして、領収証のサインはあんたの字だ。これは?」

「パンク修理の男がサインできないから、私が代筆した」(実際、文盲率が高いから、私たちは自分たちの用意した領収証に相手の同意を得て、しばしばそうしていた)

「この男はどこに住んでいる?」

「給水所の近くだ」

「わかった。じゃ、今度会わせて。簡単なサインだけでも覚えてもらえれば会計上助かるから」

「OK。今度パンクしたら会ってもらうよ」

 そして果たせるかな、予想通りのことが起こった。翌週からパンクはピタリとなくなった。ちょっとした領収証のごまかしは日本でもあるが、ソマリアの特徴はとにかく嘘が下手すぎる。


●富める者からは盗ってもいい?

 ドロボウ話は無数にあるのだが、それを語るに欠かせないエピソードがある。

 マグドール1で雇っていた女性コックのカイロ(20代)とザハロ(40代)は、喧騒とした難民キャンプの雰囲気の中で、一緒にいて実にほっとできる存在だった。穏やかでいつもニコニコしているカイロと、大柄な体で豪快に笑う肝っ玉母さんのザハロ。

 だがある日、偶然、カイロが残った薪を持ち帰ろうとしているのを見た。

「ダメだよ。残った薪は明日もまた使うんだから」

 プロジェクトに属している物資の持ち帰りは禁止事項だったので、そう告げると、カイロはそれに従った。カイロとザハロはマグドールの難民ではなく、隣のドリアンリー難民キャンプから通っていたので、通常、帰りは車で送っていったのだが、ここ数週間は「歩いて帰る」と別行動だった。なるほど、別行動の理由が分かった。

 だが、同時に気づかされたのが、カイロが歩いて薪を持ち帰ることは、一緒に働くスタッフも、帰り道周辺のマグドール難民すべてが当然知っていたことである。

 つまり、ドロボウが容認されていた。

 カイロだけではない。

 給食センターの給食用の皿やスプーンも、いつの間に盗んだのか、それを小屋の外で平然と洗って干す人も少なくはなかった。もちろんすぐに取り返すが、母親たちは、ち、見られたかと少しの反省もなく私を見るだけ。

 どうやらここでは、相手に多大なダメージを与えない限り、泥棒は公認されている。盗む方にはまったくといっていいほど罪の意識がなく、それどころか、もっているヤツからは盗んでもいいとさえ思っている。

 イスラムの教えに「もてる者はもたざる者へ」との精神があるが、これは本来、「富んでいる者は貧しき者に喜捨する」という意味だ。だが、ソマリアのルーク地区がもつその社会的要因や生活環境においては、これはこう受け止められている――「もてる者からはとってもかまわないのだ」

 例えば、皿を盗んだ母親からそれを取り返すCHWと母親たちの会話も実に日常的だ。

「皿、もってくよー」

「ああ、もってけや」

 とはいえ、私自身、この泥棒原理を心のどこかで容認する部分が芽生えていた。なぜなら、私はカイロをその後も雇い続けたし、何の違和感もなく最後まで良好な関係が続いていたからだ。給食センターの皿を盗んだ人たちともまた然り。

 もっとも、それは程度の問題。大きな盗みには、たいていのソマリア人も抵抗感を示す。

 たとえば、砂糖泥棒のように、結局は数多くの子どもたちや妊産婦に迷惑が及ぶなど、受けた被害が甚大な場合は。容赦なくそのスタッフをクビにした。そのクビに異論を挟むソマリア人はいなかった。

 数例ながら、JVC宿舎の敷地からも信じられぬものが消えたことがある。いったいどうすれば、ドラム缶満杯のディーゼル燃料が消えるのか? とうとうある夜、夜間警備員がその現場を押さえた。倉庫での何かの物音にパッと懐中電灯を照らすと、ディーゼルを抜いているソマリア人スタッフが浮かび上がったのだ。もちろんクビ。

 JVCの施設は、ソマリア人から見れば宝の山だ。車、燃料、建築資材、食糧・・。建設に使う針金でさえ、1キロの値段が労働者の3日分の賃金に相当する。ちょっとくらい盗んでも困らないものは盗んでもかまわないのだ・・。取れるところからは取る。

 こういう精神構造が基盤にある社会において、いわゆる「助けましょう」型の支援が来るとどういうことになるのか。じつは、マグドール1と2はまだましなほうだった。もう何年も食糧配給だけ受けている難民にとって、私たちの存在はまさしく「ネギカモ」だったのだ。
 
 それはまた章を別にして説明したい。

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