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●子どもが可愛いもんか!

 RHUだけが原因ではなかった。私、そしてほかの日本人スタッフのイライラやカリカリは、月を経るごとにその度合いを増した。原因は複雑多岐。

 例えば、高橋さんの言っていた「子どもが石を投げる」という話は本当だった。

 ソマリアに来て間もないころ、現場との往復だけではなく、たまには宿舎の外に出てのんびり散歩をと、休日に近くのハルガン難民キャンプに足を向けたことがある。すると、後ろからいきなり石が飛んできた。なんだ、と見ると5、6歳くらいの子どもたち5人が私めがけて石を投げている!

「何するかあ!」

 と足をそちらに向ければ、子どもたちはワッと一瞬は散るのだが、ある程度の距離になるとまた石の雨が降ってくる。これは言ってもダメだ。私はその場を逃げ出した。

 それから数週間後のこと。運動不足解消とばかり、日本人4人でジョギングに出かけたのだが、走る私たちを見て、子どもたちが、4人、5人と合流して一緒に走り出すあたりまでは「子どもは可愛いなあ」と微笑ましい思いを覚えていた。

 ところが、20分ほど経ってフと後ろを振り返ると仰天した。その数ゆうに200人を超えている! そのうち、その小さい黒い人波から、ワー、ワーという叫び声とともに大小の石が飛んでくる。当たれば「ヤッター!」と歓声が起こる。

 そして、この酷暑の土地ではあり得ない「人間が長時間走る」という行為を何百人もの子どもが、何かに駆り立てられているかのように、一心不乱に行うその集団行動に、今度は「事件か!」と、大人もワラワラ集まってきて、その数、あっという間に500人以上の大群衆に膨れ上がった。

 大人も子どもも何かに洗脳されたかのようにある一つの場所に突き進む「異常集団行動」に難民キャンプはちょっとしたパニック状態に陥った。どこからとも知れぬウオーという声、投石、大人たちの凝視。助けてくれよ、もう。

 しかも、そのジョギングルートは単純往復ルート。つまり、宿舎に帰るためには、今度はその大群衆を突っ切っていかねばならない。結局、折り返し地点となる浄化給水所で私たちはとまらざるを得なかった。
 大人も子どももただ私たちを凝視している。石も飛んでくる。

 ところが、そのとき、4人の日本人のうち短期ボランティアで来ていた研修医の二人が突拍子もない行動に出た。

 一人はこう言ったのだーー「あの~、せっかくこんなに集まってくれたんだから、僕、逆立ちをします」

 え? そう思った瞬間、彼は逆立ちを始めた。

 ウオ~! と凄い声が沸き起こる。おそらく初めて見たであろう、手で歩く人間。子どもたちは目を丸くする。

 すると、もう一人の研修医も負けじと言ったーー「じゃあ、僕はエール交換をします」

 え? そう思った瞬間、彼は群集に向き直り、「フレ~、フレ~、ソ・マ・リ・ア! フレ、フレ、ソマリア、フレ、フレ、ソマリア」とエールを切ったのである。

 いつの間にか、即席の演芸場と化したその場は、ポカンとした顔もあれば、笑いもあれば叫びもあり、はたまた石も飛んでくる。黒山の人だかりは期待している。次は誰が何をするのかと。

 次はオレが何かやるの? おい、冗談じゃないよ。

 と思ったとき、救いの手が現れた。たまたま、JVCの車が通りかかったのだ。

 運転手が叫んだ。「乗れ!」

 4人が乗り込んで、車が動くと、車には無数の小石がバラバラと振ってきた。

 以後、私が難民キャンプでジョギングをしたことはない。
 難民キャンプの子どもたちも可愛いとは思えなくなってきた。

 ちなみに、このときの二人の研修医とは、

 エール交換をしたのが、現在、昭和大学医学部の専任講師である高宮有介氏。日本の緩和ケアにおける第一人者だ。
 逆立ちをしたのが、国井修氏。医師となってからは100カ国以上を医療活動で飛び回り、現在は、「ユニセフ・ソマリア医療センター」の医師としてナイロビに在住しながら、ソマリアでの医療活動を行っている。今年の1月、「国家救援医 私は破綻国家の医師になった」を上梓。この破綻国家とはソマリアのことである。
 

●残酷ないたずら

 子どものいたずらは残酷だ。暗闇の茂みの中から砂利がバラバラと車のフロントガラスに投げられることもある。また、車の通り道に、なぜか軍隊が所有しているはずの菱形の撒きビシが埋められ、何度もパンクを経験した。急いでパンク修理をしていると、時折り、「ヨシ!」と満足げにその場を立ち去っていく子どもを見たものだ。

 本当に怒り心頭に達するのは、たとえば、クリニックでは処置できない患者をルークの町の病院に搬送しているときの撒きビシだ。そこまでやるか、お前ら。

 信頼関係のあるマグドールでさえ、何度も石を投げられた。投げるのは、だいたい10歳未満のまだ分別がつかない子どもたちで、そこに憎しみはなく、誰が外国人に石を当てるかを競う習慣みたいなものだ。

 そうとはいえ、それがたびたび続くと、本当に悲しくなってくる。また、男より弱い存在と見なされる日本人女性スタッフに投石が集中したときなどは、煮え返るような怒りが湧いてくるのだが、だからといって、石を投げた子どもに日本人が手を出せば大変なことになる。

 それは後述するが、こういう子どもたちにどう対処するのかというと、まずは子どもを捕まえてアオキなどソマリア人スタッフに叱ってもらうことにしている。その叱り方も様々だが、身長一メートル八〇センチ以上もあるアオキがノシノシと子どもに歩み寄り、「もうやらないかあ!」といきなり平手打ちしたときは、さすがに「アオキ、ちょっと・・」とびびったが。


●子どもがうっとうしい
 
 そんな状態だったから、外をのんびり歩けるはずもない。私たち日本人にとって、鉄条網に囲まれた宿舎だけが唯一息のつける空間だったのだ。言い返せば、仕事以外では宿舎の外に出られないという閉塞感に満ちた生活を強いられていた。

 宿舎の脇を流れているジュバ川に水浴びにいくのは数少ない気晴らしの一つだった。だが、ある日、川で泳いでいる私たちを50メートルも離れた対岸で見つけた子どもたちが「アタン(白人)だあ!」と、ワーといっせいに声を上げて川を泳ぎ越えて集団でやってきた。それで一緒に遊ぶのかといえばそうではなく、動物園のサルを見つめるかのように、間近で私たちの一挙一動をただ見つめるのだ。日本人の一人は「あー、うっとうしい!」と川から上がった。

 マグドールでも、患者の家を訪ねるためにキャンプを歩いていると、いつのまにか10人単位の子どもの行列ができて1時間でもついてくる。やることが何もない子どもたちは、「おい、胸ポケットからボールペンを出したぞ」「おい見ろ! 何か書いてるぞ!」と私の一挙一動を確認しあう。あっちに行けと注意して一度は散らせても、それが面白いのか、また群がっては「カシダ! カシダ!」の大合唱が始まる。ウットオシイ。


●ソマリア病

 ついには、こういう、石を投げたり執拗につきまとう子どもたちが、寝ても夢に現れるようになる。目覚めは最悪だ。これを高橋さんに言うと笑われた。

「あんたもとうとうソマリア病にやられたみたいだね!」

 ソマリア病。

 簡単に言えば、やたらと感情が高ぶる症状のことである。高橋さんが怒りっぽいと言われていたのも、実はこの病にやられていたからだ。そのバロメーターの一つが、鬱陶しい子どもが夢に現れるかどうかだという。最初はほんまかいなと思っていたが、「オレもだよ」と、他のスタッフも仕方なさそうに笑った。

 確かに、赴任する日本人スタッフはほとんど誰もが、滞在が長引くにつれ、おとなしい日本人ではありえなかった。自己主張の強いソマリア人と渡り合うには、イエスかノーかがはっきりしない日本流の曖昧さではなく、ガンガン意見を展開する必要がある。しかし、そこでぶつかる「常識」と「非常識」とに常に私たちは混乱と葛藤と我慢を強いられた。一言でいえば、ソマリア人は赴任当初「ワケがわからない」人たちだった。

 例えば、3、4人の人間が同時に話し掛けてくるのは当たり前。「じゃ、あなたが一番、その次があなた」と対応する順を決めても、また新手が現れる。それが連日続くと、本当に頭が痛くなる。

 また、「無賃乗車」にも頭を痛めた。
 ある日、アオキとルークまで買い物に出た。市場で必要物資を購入して車に戻ると、荷台が黒山の人だかりとなっている。20人はいたろうか。あれ、間違えたか? いや、どうみても私たちの車だ。だが、荷台の人々は私たちに挨拶をするでもなく、まるでお抱え運転手を待っているかのように平然と思い思いに腰掛けている。

「アオキ、知り合いかい?」

 アオキは改めて、一人一人の顔を眺めてから言った。

「一人も知らねえ」

 宿舎近くのハルガン難民キャンプの人たちだった。この車に乗れば、タダで直接難民キャンプに帰れるので便乗していたのだ。怒るより呆れ、私たちは言った。
「降りてくれ。こんなに乗っていると、車のスプリングが折れてしまう。俺たちが買った物資だって積めない。降りてくれ」

 だが、人々は降りるどころか、降りろといった私たちに「地獄に落ちるぞ!」など侮蔑の言葉を投げてきたのだ。買い物に要したのは10分たらずだが、降りてもらうのにかかったのが20分。たぶん、その日、ハルガンではカシダとアオキはひどいヤツだという噂が乱れ飛んだことだろう。

 以後、町への買い物はできるだけワゴン車を使うことにしたのだが、根本的解決にはならなかったようだ。
 運転中、マグドールの労働者やリーダーなど知人を見かけたら、これは乗せないわけにはいかない。車を停める。そして、知人の乗車を待ってバックミラーを覗くと驚いた。

「うわあ! おじいさんが走ってる!」

 それまで杖をついて歩いていた見知らぬ老人が車目指して全速で走っている! そのあたりを歩いていた男や女もワーと走り寄って、荷台車であろうが、ワゴン車であろうが、断りなしに乗り込んでくる。ワゴン車はまだ降りてもらえるが、荷台車の場合は、降りてくれと交渉している間に新手が乗り込んでくるので、そのまま出発することになる。そして、農場帰りに高橋さんが経験した運転席の頭上の「ゴン、ゴン」が始まるのだ。

 車を停めて、相手は降りるが、お礼どころかこちらには一瞥もくれずに悠々と去っていく。礼の一つも言えんのか! 私は憤りを覚えたものだ。

 だが、数ヶ月も経つと分かってきた。これは、彼らのもともとの生活を思えば、見知らぬ者同士でも助けるのも助けられるのも当たり前だし、礼を期待することもなかったのだろう。この習慣もだいぶあとには、見知らぬ人でも老人は優先的に乗せるなどで慣れた。だが、当初はソマリア病を作り出す一因になっていた。

 だが、まだ序の口だった。わけのわからないソマリア人、そして、わけのわからない日本人と互いに理解不能に陥ることはすぐにやってきた。

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 1985年、大学の医学部卒業後の研修医時代、国井氏が短期ボランティアを行ったソマリアの難民キャンプ。そのソマリア=破綻国家に国井は再び医師として関わっている。
 医療の本としてではなく、人間の生き様の本として読んでほしい。


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