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第3章 ソマリア病


 ●マグドール2とコレラ発生

 話が前後するが、1985年5月下旬、マグドールに新たに1万人の難民が移送されてくるとの情報が伝わってきた。これが、のち、前述のマグドール2を形成する人々であるのだが、私たちを悩ませたのが、ちょうどそのころマグドールも含めルークの難民キャンプでコレラが蔓延していたことである。

「アオキ、こんなときに国とUNHCRは難民を送ってくると思うか?」
「いや、まさかコレラの流行地にわざわざ難民を運んだりはしないと思うけどな」

 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)からも何の連絡もなかったので、私は移送はまだ先だと読んでいた。だが甘かった。ある日突然のことだった。UNHCRが手配した何十台ものトラックが難民を満載してやってきたのは。

 まさしく寝耳に水!

 その後も、ピストン輸送で、1万人の人々がわずか2、3日で運ばれてきた。この移送の最終判断が国にあったのかUNHCRにあったのかはわからないが、どういう事情があったにせよ、私は、この措置を今でも解せない。

 おまけに、初めからJVCが支援団体であることが決まっているかのように、ここは「マグドール2」と名づけられ、事実、他のNGOは入ってこなかった。当然、今までのマグドールは「マグドール1」と呼ばれることになった。
 もっとも、マグドール1の人たちも2の人たちも、ほぼ同時期にエチオピアのオガデン地方から難民となってルークにたどり着き、ルークの町外れでほぼ同時期に野宿をしながら過ごしていた人たちなので、同じ難民キャンプで過ごすという理屈は成立する。

 だが、この人たちを受け入れるしかないと思っても、人口だけでもマグドール1の倍もあり、その人口密度も過密で、道から小屋と小屋の間の細いクネクネした通りを20~30メートルも歩くともう元の入口が分からないほどだ。そしていっさいの衛生施設がない。ちょっとしたボロ小屋の密林だ。

 ここを、マグドール1だけで精一杯の私たちが支援しきれるものだろうか?

 それも、よりによって、コレラが蔓延しているときに移送されてきた。

 予測どおり、マグドール2ではキャンプ形成とほぼ同時にコレラが大発生した。コレラは上からは吐き、下からは米の研ぎ汁のような真っ白な液便を一日に何十回も出し続け、脱水症状で死に至る病気だ。だが早期発見さえできれば、点滴だけでも治癒は可能だ。

 8歳くらいの男の子は、盛んに吐いて、キャアア~と弱々しく叫んでは、白い液体をシャーと尻から出していた。

 トイレはない。小屋からほんの数十センチのところに穴を掘って、排泄後砂をかけるだけ。

 大人でも、あまりの苦しみに羞恥心をどこかに追いやり、小屋の中の地面に掘った穴で排便を繰り返していた。恐ろしい光景だ。多くの人が死ぬ予感がした。

 さすがに、すぐにRHU(難民保健省)は動いた。UNHCRからの緊急予算で、マグドール2の奥地に、テントを並べた隔離病棟を作り、看護士、CHW、コック、警備員などを24時間体制で常駐させたのだ。当然の措置である。
 隔離病棟は、場所はマグドール2の奥地ではあるが、ルーク地区の全難民キャンプからのコレラ患者を引き受ける。


●俺を休ませろ!

 だが、隔離病棟がたまたまJVCの活動地マグドールに近いという地理的条件から起こるさまざまな事件が、私の怒りの導火線に火をつけることになる。

 金曜日はイスラムの国では休日だ。1日16時間労働を続けていた私にしても、週に1度は何もせずに疲れをとるまたとない日である。

 ただし、「緊急」事態があればいつでも来てほしいとはセクションリーダーには伝えてあった。そして、隔離病棟開が開設するや、早速その「緊急」がやってきた。ただし、リーダーではなく、やってきたのは、隔離病棟にいるRHUのCHW(地域保健員)だ。車に乗ってやってきた。

「カシダ、隔離病棟に水を運んでくれないかな」

「駄目駄目。今日は休日。それにその仕事はRHUの仕事だろ。その車で運べよ」

「これワゴン車だから、ドラム缶が積めないんだ。JVCの荷台つきの車があるだろ。頼むよ。今日だけだから」

「わかった。今日だけだな」

 早速、私は車を運転し、浄化給水所からドラム缶5つの水を隔離病棟に運んだ。隔離病棟のスタッフからも感謝されたので、幾分の気分のよさは味わった。

 ところが、その翌週の金曜日。のんびり本を読んでいたら、また同じ車がやってきた。

「もう来ないといったじゃないか!」

「でも、また水がないんだ。頼むよ」

 以後しばらく、私には休日がなくなった。そして、全国の難民キャンプで活動を展開しているRHUのなかでも、ルークの活動は評価が低かったのだが、その大きな一因、リーダーのやる気のなさに私はほとほと疲れることになる。

 ある日、隔離病棟に行くと、RHUルーク地区代表であり医師でもあるAK氏がいた。しばし彼と歓談して、氏が帰ったあと、一人のCHWがやおら言った。

「カシダ、点滴液がないんだけどな」

「何言ってんだ! 今さっきまでAKがいたじゃないか。ほら、まだ車が見える。俺に言うな!」

 それでも私は、点滴液が「ほとんどない」という意味に解釈していた。ところが本当に「ない」のには仰天した。CHWがAKにそれを告げなかったのは、いかに信頼関係がないかを如実に示しているが、ケンカをしている場合ではない。私はルークの街へと向かった。

 電話がないルークでは、人に会うにはとにかく探すしかない。まず、RHU事務所に行き、そこにいなかったら、いろいろな人から目撃情報をもらって捜し当てるのだ。一時間以上かけてやっと見つけたAKに私は切り出した。

「点滴液を至急200袋もらいたい」
「20にしてくれないか」
「それでは2日ももたない。患者は今12人いるのですよ。20なら、また明後日あなたを探しにここに来なければならない。コレラ患者は毎日運び込まれているんだから200なければ困る」
「在庫がなくてねえ」

 このお役所的発言。粘ったが結局20しからもらえず、予想通り、2日後、私は、またどこにいるかわからないAKを探して車を走らせていた。

 たまりかねた私は、RHUに、隔離病棟でのRHU車両の常駐を訴えた。これはJVCの仕事ではないと。

 今度は対応が早かった。数日後には、運転手と車が常駐体制に入ったのだ。やっとオレも楽になれる・・。と思ったら、翌日には車はガス欠でただの箱となり、運転手はただの食客と化していた。

 UNHCRの元で活動するNGOや政府系団体は、一ヶ月ごとに車の燃料を配給してもらい、それなりに節約して使うのだが、RHUは節約せずにすべて使いきってしまっていたのだ。


●食料も点滴もスタッフも消える

 諦めた私は、隔離病棟のスタッフに静かに告げた。

「本来はRHUの仕事だけど、JVCも協力する。だが必要なものは、なくなったあとではなく、なくなる前に言ってくれ」

 だが2,3日後――「食料がないんだけど・・」

 行くたびに、脱脂綿がない、食料がない、点滴液がない・・。すべてがないないづくしだ。そして、隔離病棟のCHWはこう切り出してきた。

「そこで相談なんだけど、マグドールの倉庫にある食糧を分けてくれないかなら」

「駄目! それをやればマグドールで食えない人が出てくるじゃないか」

 車を出してRHUに行けと言いかけたが、その車が動かない・・。こいつらは、こいつらはと憤りながら、またしても私はルークにまでAKを探しに行く。

「どうなってんですか! 食料がないんですよ。どうして供給しないんですか?」
「在庫がなくてねえ」

 いともあっさり言われると、これが人の命を預かる団体のトップの発言なのかとため息が出た。ほとほと疲れた私は、各難民キャンプのRHU支部の給食センターから然るべき量の食糧をJVCの車に渡すようにとの手紙をAKに書いてもらい、早速、各難民キャンプを回ることになる。これだけで100キロ以上の移動になる。

 このRHUの体制に巻き込まれるたびに、どうしようもなくカリカリするのを感じていた。ならば、そのカリカリを軽減するために、「なくなったから」を言われる前に物資を手配しようと、自ら毎朝、隔離病棟を訪ねることになった。そうでもしなければ本当に死人を出すと思ったからだ。

 その後しばらくすると、コレラ伝染が小康状態になり、新発患者が出ない日が続いたので、隔離病棟からしばらく足が遠ざかったときがあった。

 ところが、2、3日経って隔離病棟を訪れた私たちはただ唖然とした。信じられぬことに患者の治療に絶対に必要な3つのもの――水、食糧、点滴液――がすべてなくなっていたのだ。患者だけでなく、よくぞスタッフたちも生きていたものだ。

 さらにその数日後、もっと驚くことが起こっていた。

「うわー、誰もいねえ!」

 今度は、警備員も含め、スタッフ全員が姿を消していた。金目になる折りたたみベッドなどの備品もなくなっていた。消えたCHWたちを探すと、その一人は元々働いていたRHU支部の倉庫の前で仲間とトランプで遊んでいやがる。

 どやしつけてすぐに隔離病棟に帰したのはいうまでもない。それにしても、たまたま患者が誰もいなかったからよかったものの、私はとことん疲れてしまった。

 追い討ちをかけるように事態は悪化。隔離病棟での警備員やコックへの人件費はUNHCRが拠出していたのだが、契約期限が切れてもUNHCRは再契約をしなかったのだ。というより、RHUが予算申請をしなかったらしい。

 当時のJVC保健プロジェクトのスタッフは、日本人もソマリア人も一様に憤慨した。

「どうすんだ、患者がいるのに!」

 元々、出す義理もない金だが、これ以上の精神的疲弊を重ねられるよりは、私たちは、警備員、コック、ロバの荷車で水を運ぶ荷役人を新たに雇い人件費を払うことにした。

 結局、隔離病棟運営は実質的にはJVCのプロジェクトになってしまったのだ。

 おまけに、この荷役人もまた、仕事をサボれるだけサボり(つまり水を運ばない)、給料だけもらうことを画策していたというオチがついた‥。

 人の命はここではどう思われているのか? もちろん、隔離病棟にも素晴らしいCHWや看護士がいたのだが(勤務は数週間単位の交代制だった)、それはごく少数だった。RHUのCHWや看護士になることは、月給を保証される安定職につくことでもある。その財源は国連だ。仕事をそこそこにこなしていれば定期的に月給が入ることに、多くのCHWや看護士は安穏としているのではないか。私は今でもそれを確信に近い疑問として抱いている。

 コレラはその後、何度か小康状態を繰り返しながら、年を越すのだが、5月24日に最初のコレラ患者が発見されてから、6月末までだけの統計では118人が隔離され、うち21人が死亡している。もしそのうちの何人かでも、このぬるま湯的体制に殺されていたと思うと心が痛い。

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