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第二章 母と子 ――重大な疑問――

なぜ子どもが死んでいくのか?

 難民が死ぬ場合、その多くは、故郷を捨て難民キャンプにまで辿り着く途上でである。

 だが、最低限の食糧が確保される難民キャンプにおいても、依然死に行く子どもはあとを絶たなかった。これはなぜなのか?

 1日2回の集中給食を受ける子どもに、セイナップという2歳の女の子がいた。セイナップを抱いてくる祖母は、徐々に体重を増やす孫の回復ぶりを我がことのように喜ぶにこやかな人だった。プロジェクト開始当時はキツイ母親たちを相手にしていたこともあり、そのささやかな幸せに満足する微笑は私をホッとさせてくれた。
 だがある日、祖母は一人で来た。何をするでもなく、地面にボーとしゃがみこんでいる。いっさいの表情が消えていた。

「セイナップは?」

 こう尋ねると、祖母は一瞬だけ悲しそうな目を見せて、両手で地面を掘って何かを埋める仕草をした。

 あ・・。

 事情を理解した私に祖母はただ悲しい目を向けていた。慰めの言葉もなく、私はそこを離れた。

 そして、セイナップだけではなかったのだ。給食プロジェクトを始めて2ヶ月ほど経った5月24日時点で、セイナップを含め12人の子どもが死んだ。以下、その記録である(セイナップは除く)。

1、1歳。身長73センチ。体重4・8キロ。必要体重の70%以下。
2、2歳。身長78センチ。体重6・6キロ。必要体重の70%以下。
3、2歳。身長80センチ。体重7・4キロ。必要体重の70%以下。
4、3歳。身長83センチ。体重6・7キロ。必要体重の70%以下。
5、2歳。身長74センチ。体重6・4キロ。必要体重の70%以下。
6、2歳。身長76センチ。体重6・1キロ。必要体重の70%以下。
7、6ヶ月。身長59センチ。体重3・5キロ。必要体重の70%以下。
8、1歳。身長70センチ。体重5・7キロ。必要体重の70%以下。
9、1歳。身長67センチ。体重5・6キロ。必要体重の75%以下。
10、1歳。身長74センチ。体重6・1キロ。必要体重の70%以下。
11、1歳。身長71センチ。体重5・9キロ。必要体重の75%以下。

 これは、おそらく、オガデン地方からソマリアにまでの長く辛い逃避行で、体の抵抗力が衰えたためだろうと私は考えた。セイナップもその一人だ。だが、それは事実の半分に過ぎないことを後日知り、身震いする。


●最悪の状況からでも回復した

 それを語る前に、2人の子どものことを語らねばならない。
 一人はマハド。3歳の男の子。母親に抱かれて給食センターにやってきた。遠目には丸々太った張りのある体だったが、すぐ近くまできたとき初めてその異様さに気づかされた。

 肌が露出している部分だけでも、足の甲、手の甲、そして顔全体が異様に膨れ上がっている。どの部分でも針でつついたらピュッと体液が飛び出てくるのではと思ったほどだ。あまりの膨張のため、目の周囲の皮膚が上から下から右から左からマハドの目を覆い隠し、その風貌はあんこ力士のようだった。

「クワシオルコルね」

 3ヵ月の短期スタッフとして赴任したての日本人・女性栄養士のKさんが、マハドを見るなり断言した。

「特に、タンパク質が大きく欠乏したらこうなるの」

 マハドは即座に集中給食に登録された。

 ほぼ同時にやってきたもう一人の子どもはハッサン。やはり3歳の男の子。これは、難民の子どもといえばこれとイメージするのとほぼ同じ容姿。即ち、頭髪は抜け、体から肉という肉は削げ落ち、胴にはアバラ骨が浮き出て、顔は老人そのものだ。何の感情も示さず、生ける骸骨としてごく浅い呼吸だけを繰り返す。

「これはマラスムス。タンパク質だけでなく、栄養全体が不足したら起こります」

 Kさんは、さらに「2人とも危ないと思います。ここの給食だけでもつかどうか・・」と続けた。ネパールの奥地で3年間の活動実績のあるその言葉はズシリと響いた。

 どうする?

 私たちが下した結論は、集中給食以上の給食を行うため、母親ごと2人の子どもをJVCの宿舎に引き取って世話をするということだった。

 何ヶ月か給食プロジェクトをやっていてわかったことがある。それは、長期間(この場合はソマリアへの逃避行の期間)にわたり栄養失調状態が続いた子どもは、体が栄養を欲しているに関わらず、不思議なことに食欲そのものをなくしてしまうことである。

 この二人もその例外ではなかった。だが、治療法はたった一つしかない。それでも食べてもらうことである。

 2人が宿舎にやってきてから、マハドは、最初の数日間だけは、ビニール・チューブを鼻から胃まで通したが、すぐにおかゆのような流動食を母親に食べさせてもらうことにした。マハドのお母さんは極めて無愛想な人だった。いや、愛想をみせる余裕がなかった。私たちにまったくといっていいほど笑顔を見せなかった。

 ハッサンに関しても、明日をも知れぬ命だったが、やはり食べさせることに力を注いだ。ただ、ハッサンの場合は、同伴の祖母が、孫の命はもうないものと思っているのか、給食には実に消極的な女性だった。

「だったら、私がやります」

 日本人看護師のIさんが、給食センターや診療所に行く時間を減らし、ハッサンへの給食にあたることになった。
 小さなスプーン。大豆粉、トウモロコシ粉、脱脂粉乳、砂糖などで作ったおかゆをハッサンの口元に運ぶ。最初の一口は喉に入れる。だが次のスプーンにハッサンはまったく関心を寄せない。

「ハッサン、食べてね」

ハッサン初期←抱っこされるハッサン。腕も足も針金のよう。3歳で体重は6キロ前後だった。

 Iさんは諦めなかった。1分経ち、2分経ち、ようやくハッサンが2口目を口にする。そうやって、何十分もかかりコップ1杯分の給食が終わる。だがハッサンは、ときに、突然胃に入れたものをゲーと吐き出した。あるときは、寝小便ならぬ寝グソ、それも下痢便をしてKさんとIさんのスカート、ズボン、ベッドシーツを汚した。それが度重なるものだから、ハッサンは、Iさんのトランクケースをベッドとして眠ることになった。ハッサンは3歳。それでも、トランクケースで寝られるほど小さかったのだ。体重は6キロ前後しかなかった。

 マハドのお母さんも、Iさんの頑張りに促されるように何度も何度もスプーンを運んだ。お母さんは当初「薬を与えてください」と何度も訴えていた。だが、KさんとIさんが試みたのは、栄養失調は薬ではなく食べ物だけで治るということを、口ではなく見せることで理解してもらうことだった。軽い肺炎をもっていたハッサンにはその薬が与えられた以外は、いっさいの薬が与えられなかった。

 そして果たせるかな、2週間後、2人の子どもは正常な食欲と子どもらしい柔らかな肌を取り戻し、元気に退院していったのだ。車に乗り込み、宿舎をあとにするときのマハドのお母さんの嬉しそうな顔を私は今でも忘れることができない(ちなみに、ハッサンは数ヵ月後には食用旺盛な肥満児へと変わってしまったのには、皆に驚きと笑いをもって迎えられた)。

ハッサンその後←肥満児へと変ったハッサン。食べ物だけで回復した。


 まさかとは思っていたが、二人の子どもは死の淵から蘇った。食べ物だけで。
 それを教えてくれたKさん、ありがとう。
 だからこそ、この事実は私に重大な疑問を呈したのだ――では、なぜ、ハッサンやマハドほど重症ではないのに、多くの子どもが死んでいくのか? 以下、次号。

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