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樫田秀樹

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 簡単な宣伝です。

 脚本家である私の弟の樫田正剛が、私たちの伯父である樫田勝衛が戦時中に乗り込んでいた潜水艦「伊18号」の艦内を場面設定にした舞台「あたっくNo1」を8月に公演します。

東京公演:2012年8月23日(木)~8月28日(火)
大阪公演:2012年8月31日(金)~9月2日(日)

 本ブログでも何度か書いておりますが、潜水艦「伊18号」には、二人乗りの小型潜水艦「特殊潜航艇」が搭載されていました。「伊16」「伊18」「伊20」「伊22」「伊24」の5隻の潜水艦から発信した特殊潜航艇は、1941年(昭和16年)12月8日、あの空からの真珠湾攻撃よりも早く出撃していました。
 しかし、なんら戦果を挙げることなく、捕虜となった一人を除き、全員が戦死します。

 芝居は、伊18号に登場していた、特殊潜航艇の乗組員の2人を軸にしたストーリーですが、死を覚悟しながらの出撃でラストシーンを迎えます。

 特殊潜航艇は、のちの人間魚雷「回天」と違って、とりあえずは搭載している2本の魚雷を敵艦に発射し、その後、潜水艦に戻ってくるという作戦でしたが、真珠湾攻撃の時点では、航続距離も短く、それは無理なことでした。
 特殊潜航艇が母艦に戻ってこれるのはその翌年のフィリピンでの戦闘においてからではないかと記憶しています。


●フィクションとノンフィクション

 ただし、あたっくNo1は、あくまでも事実を脚色した芝居です。
 つまり、事実を軸にしながらも、実際にはなかったことやありえなかったことを加味することで、芝居としての完成度を高めているのです。

 公演前なので、ネタバレはできませんが、もしこれが、将来、テレビとか映画とかのメディアで、つまり短期間に数十万人や数百万人が見るようなことになれば、より史実に基づいた脚本の変更が必要になることでしょう。特に特殊潜航艇の元乗組員やその関係者が見ても納得できるものへの仕上げが求められると思います。

 ただ逆に言うなら、現実になかったことを加味することで、歴史の現実味をより身近にできるのが芝居です。本舞台は、EXILEのKENCHIとTETSUYAも出るようで、気合の入った稽古が続いているようです。

●特殊潜航艇がギリギリの軍事行動だった

 私たちの伯父は、1941年2月11日にソロモン島沖のインディスペンサブル環礁で米軍機の爆雷攻撃で潜水艦もろとも還らぬ人となりましたが、その数ヶ月前の最後の出撃前に日本に残してあった日記が真珠湾攻撃や、その後のアフリカのマダガスカルまでの遠征などの様子を伝えてくれました。

 伯父の日記には、「もとより生還を期さぬ我ら」との言葉が散見されます。私は、これが正直な気持ちなのか、それとも、単なる軍人としての枕詞のどちらなのかの判別がつきません。

 だが、たった一つだけいえることは、同じ艦艇に乗っていた特殊潜航艇の乗組員に対しては、自分たちよりも生還するのが難しい人との認識はあったはずということです。

 特殊潜航艇は、その後、作戦が先鋭化し、ついには生還率ゼロという人間魚雷「回天」の開発にまで辿り着きます。
 これについては、映画「出口のない海」や、マンガ「特攻の島」(佐藤秀峰作:あの「ブラックジャックによろしく」の作者です)をご覧ください。

 特殊潜航艇にしても、回天にしても、共通点は、どちらも海軍本部の発案で始まった作戦ではなく、20代という若い士官たちの要請で実現したものです。
 海軍本部は当初、特殊潜航艇の開発に対しては「母艦に生還できないのなら許可しない。『決死』の覚悟ならいいが、『必死』はいかん」と許可しませんでした。
 そういう事情もあり、特殊潜航艇は「決死」兵器として開発が始まったのです。
 つまり、魚雷を放ったあとは必ず母艦に戻ってくるのだと。

 ところが、回天では、「必死」が基本となりました。
 この開発を訴えたのは、特殊潜航艇の訓練を受けていた、黒木博司中尉と仁科関夫少尉。
 この20代の若き兵士たちが、人間魚雷の構想を海軍省軍務局に直談判したのです。

 「せっかく血書志願した甲標的(特殊潜航艇のこと)ではあるが、戦局打開の決定的兵器としては能力不足であり、『必死必殺』の人間魚雷のような非常手段こそが必要」

 と、その必要性を認めさせ、人間魚雷の研究開発に没頭したのでした。

 私の知人で、特殊潜航艇の訓練を受けた人がいます。出撃前に終戦を迎えたため、命拾いをしたのですが、その方に、回天を開発したこの2人の若い仕官をどう思っているのかと尋ねたことがあります。
 その方は一言でこう言い切りました。

「キxガイです!」

 私は、飛行機の特攻隊もそうですが、回天もそうですが、これは美談で語るべき話ではなく、まだまだ先のある若者たちに「死ね」と命令し、実際に多くの若者がこれで命を落とした作戦は非難を免れないと思います。

 もっとも、戦争そのものが命と命のやり取りをする行為であるのは無論です。ただ、そのなかにおいても、戦争に従事する兵士たちの命を大切に扱うことは上に立つ人間の責務であったはずなのに、特攻隊や回天ではそれが無視されたわけです。
 つまり、母艦に還ってくることを前提とした特殊潜航艇は、かろうじて許されるギリギリの軍事行動だったと私は思います。


●不完全兵器だった

 もっとも、初期の特殊潜航艇は、片道分の走行距離しか航続能力がない、艦内に新しい空気を供給するシステムがないなど、「不完全兵器」であったことは事実です。

 その「不完全」さを、伊18号の特殊潜航艇の乗組員の2人は認識していたのか、いなかったのか?
 
 まずは、こういう現実があったのだとの認識を深めることでも、芝居を見る価値はあると思います。

 チケットは http://l-tike.com/d1/AA02G04F1.do?DBNID=4&ALCD=1&STID=ato で。


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戦闘機であれ小型潜水艦であれ、機体ごと敵艦にぶつかていく特別攻撃は、世界の戦争史でも極めて特異な作戦だ。
 しかも、生還率ゼロの人間魚雷「回天」は、海軍本部ではなく、20代の海軍士官の熱き要請で実現した。若者が同じ若者に死を強いる兵器をどうやったら考え付いたのか?
 このマンガには、実際に兵器を考案した仁科関夫・海軍中尉が登場する。主人公は、貧しい家庭を支えたい思いで海軍に入隊するが、そこで回天搭乗員となることを強いられ、仁科中尉とも命の根源に関わる会話を交わす。。
 なぜ死ななければならないのか。なぜ命を捨てられるのか。なんのために生まれてきたのか。
 逃れられない運命のなかでも必死で自問自答し、ときには仲間たちと涙する登場人物たちの思いが作者に乗り移ったかのようだ。
 艇内の薄暗い圧迫感。正気と狂気とが同居した仁科中尉。大義と家族愛の間に揺れる葛藤。
 実際に、この兵器で多くの10代と20代の若者が死んだ。なんのために。
 若い人にこそ読んでほしい作品だ。現在、5巻まで



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2012/07/30 15:22 未分類 TB(0) コメント(0)
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