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樫田秀樹

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「私が先だ!」

 ある程度の子どもを登録したあと、補助給食が始まった。

 ただ人手の要る仕事なので、私たちは、マグドール難民キャンプから、給食センターの受付、調理、配給、身体測定補助などのスタッフを集めた。
 食糧は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の管理化にある国際NGOから割り当てられる、トウモロコシ粉と大豆粉と粉ミルクを配合した総合栄養食だ。それをおかゆ状に暖め、砂糖や油で調味する。お汁粉のようでおいしい。

 だが、給食初日、給食センターに着いた私たちは仰天した。大勢の人が待っているのは予想していたが、子どもを抱いた母親たちは、給食センターの外で待っているのではなく、中にもぎっしりと満員電車さながら押しかけていたのである。

「これじゃあ、倉庫から机も椅子も体重計も運べないな・・」

 それは即ち、給食配給も健康診断も実施できないことでもある。じゃあ、オレが注意をするよと、アブディサラムが母親たちに歩み出た。

「外に出てくれないかな。そして並んでくれたら、給食を始めるから」

 誰も指示に従わない。それどころか、私とアブディサラムと見るや、登録カードを私たちの眼前に突き出し「さあ、この子に給食を!」と何十本もの手を伸ばしてきた。今度は、私が満員電車に詰め込まれた状態になる。母親たちの手を振り払おうとすると、その私の手に登録カードを無理やりにもたそうとする。たまらん。CHWたちとともに母親たちの塊を両腕でかき分けて脱出するが、母親たちはなおも要求の声を荒げる。

「私は一時間も前からここにいるの。給食をよこせ!」
「給食を受けるには受付の机の前で並ぶんだ。外に出て!」

 誰も従わない。CHWたちが「出ろ、出ろ!」と、母親の塊をグイグイ押して無理やりに外に出した。当初、センター入口にドアを作っていなかった失敗だった(後日すぐに作った)。

 こんなことが毎日続いた。母親の塊に外に出てもらい作業を始めるだけでゆうに一時間以上はとられ、それだけで私たちはぐったりと疲弊した。仕事が終わってヘトヘトになったのではなく、ヘトヘトになってから仕事を始めたのだ。やっと始まったと思ったら、今度は、母親同士で「私が先だ!」「肘が当たった!」でいきなり押し合いや髪の掴み合いの喧嘩が始まり、局所的に悲鳴と砂ぼこり勃発した。今度はその仲裁だ。何をやってるんだ、オレは。

 ソマリア女性への誤解を招かないように書き留めておくが、ちゃんと並ぶ母親たちもいた。概して穏やかな人たちである。そういう人たちは朝一番のラッシュには加わらず、ゆっくりとやってきてにこやかに挨拶をしてくれる。ほっとできる時間である。つまり、否が応でも、私たちは朝、気が荒い母親たちとの対決を迫られていたのである。


俺に点滴をせよ!

 給食センターとほぼ同時に、UNHCRの予算の下、RHUから薬を配給され、給食センターのすぐ横に診療所も開所した。ここも嵐の船出だった。

 マグドールも含めルークの難民は、難民になったがゆえに格別の医療サービスを受けられることが可能になった。なにせ歩いていける範囲に医療施設があり、しかもタダ(おそらくエチオピアに住んでいた頃は、診療所に行くには歩いて何日もかかったはずだ)。
 
 だからなのか、難民の間には、理解できぬ「薬神話」が定着していた。
 診療所を開いてすぐ、ある男が「熱がある」と来所した。CHWは極めて軽症と診断し伝えた。
「家で一晩寝ていれば治る」
 だが、男はこう言ったのだ。
「オレは錠剤でなければ治らない!」
「いや、寝てれば治るって!」
「治らんのだ!」

 こういう聞き分けのない輩は、ビタミン剤の2~3錠でも与えて帰すほかない。

 また、本当に解熱剤の必要な男は、解熱剤をもらうことを拒否してこう主張した――「こんな薬では治らん。オレに必要なのは注射である!」
 同様に、本当に注射が必要な男は「オレには点滴が必要なのだ!」。

 つまり、「錠剤→注射→点滴」の順に治療は高度になるとの神話が信じられていたのだ。高度医療を求める男たちは、毎日のようにCHWとの口論を絶やさなかった。そして事件が起こった。


乱闘その1

 男の名はボラレ。年齢50前後。ちょっとした熱を出し来所した。CHWのカマル(誠実な男だった)が、アスピリンを飲むようにと3日分の錠剤を渡すと「こんな薬では治らん。注射だ!」と不満を口にした。

「おじさん、この薬で明日にでも治る。もし熱が続くのならまた明日来てくれ」
「お前はオレの言ったことを聞いていないのか? 注射だ。オレは今すぐ治りたいんだ」
「おじさん、注射でも薬でも治る早さは変わらない。とにかくこの薬で帰ってくれ」
 こんなやりとりがややしばらく続くと、ボラレは突然キレた。
「分からず屋め!」
 ボラレはもっていた杖でカマルの脇腹を殴ったのだ。その尋常ではない行動に、診療所にいたCHWも患者も一瞬にしてワーと立ち上がった。ボラレはなおもカマルに襲い掛かろうとする。
「やめろ!」
 男たちはボラレを後ろから制し、あるCHWはボラレに「何やってんだ!」と突っかかっていく。そのCHWもまた誰かに制され、ボラレへの罵声と女性たちの悲鳴で現場はもう仕事どころではなくなっていた。CHWのギニ-が患者の登録書を地面に叩きつけて叫んだ。

「中止だ!」

 その日の診療活動はそれで終わった。
 だが、さらに事件は続いた。


乱闘その2

 保健プロジェクトを始めてから困ったのが、暇つぶしのために敷地内をうろつく男たちの存在である。

 もちろん彼らは健康そのもの。ボラレ事件から数日後、そのなかの数人が診療所近くの地面にしゃがみこみ、石を使って詰め将棋のようなゲームを始めていた。邪魔である。普段は働かない警備員の爺様が珍しくそれを注意した。ところが、この注意を巡り、反発し激昂した男たちと、注意に同調した男たちとで口論が起こり、杖や石が乱れ飛ぶ乱闘が始まったのだ。

 悲しいかな、怪我人が出てしまい、翌日、さすがにルークの町から警官が当事者への事情聴取に来た。

 頭を抱えた。こんなことがこれからも起きるのか?
 
 そのとき、保健プロジェクトに参加したJVCソマリア人スタッフのアオキが言った。
「俺、明日ちょっと難民に俺たちのプロジェクトのこと改めて説明するよ。また暴力事件は起きたらやばいしな」

 翌日、事件関係者を中心にした数十人が乱闘事件のあった場所に集まった。そして、私たちは極めて当たり前のことを説明した。口コミでは既に知られているJVCという団体名、ここでやっているプロジェクトの概要、なぜこの周辺を部外者にうろつかれたら困るのか・・。だが難民は、「ああ、ああ」と聞いてはいたが、説明が終わると質問もなしにいっせいに蜘蛛の子を散らすように解散となった。

「なんだ、こりゃあ・・」
 あまりの反応のなさに、私は再び不安に襲われた。

「なあ、アブディサラム。他の難民キャンプでは給食センターも診療所もこんなに殺気だっていないよな。なんでここだけこんなにもめるんだ?」
「知らないよ。俺は街育ちで、難民キャンプで働くの初めてだし・・」

 これから毎日、こんな無秩序の中で働くのかと思うとため息が出た。だが、その無秩序を招いたのは当の私たちであったことが翌日明らかになる。

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まとめtyaiました【ソマリアは乾いていた その5(乱闘)】
「私が先だ!」 ある程度の子どもを登録したあと、補助給食が始まった。 ただ人手の要る仕事なので、私たちは、マグドール難民キャンプから、給食センターの受付、調理、
2012/06/27 16:19 まとめwoネタ速neo
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 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
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