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第1章 難民から学ぶ

 やっていけるかな

「樫田君、もう今日のうちから給食センターを作ろうじゃねえか」
現場にはすでに、センターを作るための資材ーー木の幹や枝、カヤのような屋根葺き材などーーが集められていた。

 私は、本来ならば、高橋さんをサポートするために、農業プロジェクトのコーディネーターとして赴任するはずだったが、ソマリアへの渡航直前に新難民がルークに現れたため、突如、保健プロジェクトのコーディネーターとして赴任することになったのだ。
 このプロジェクトをともに担う日本人のSさんは、首都モガディシュで業務調整に当たっており、現場であるルーク地区の実質担当者は右も左も分からない私という、よくもそういう人事が許されたものだと思う立場に私はいた。鉄砲玉のようなものだった。

 高橋さんは言葉を続けた。
「オレは農業プロジェクトだから関われないが、ソマリア人スタッフがいるから大丈夫だ」

 当時、JVCの宿舎には10人弱のソマリア人スタッフがいた。その1人に、保健プロジェクトのために雇用された男性看護師のアブディサラム(21歳)がいた。高橋さんの着工宣言から2時間後、私とともに現場に赴いたアブディサラムは、センター建設のためにマグドール難民キャンプから雇っていた15人にテキパキと指示を出し、山積みされていた建設資材をトラックに載せ、建設場所で卸す作業を開始した。現地の事情も言葉もわからないが「お役に立ちたい」私はといえば、まずは同じ汗を流すことだと、15人と一緒に資材運びを始めた。

 給食センターといっても、丈夫な木の幹や枝で直方体に骨組みを組んだら、骨と骨の間にカヤを並べて、針金で補強しながら壁や屋根を作るという、直射日光を防ぐだけのきわめて簡素なもの。とはいえ、給食センターと事務所兼診療所でそれぞれ10×20メートルと4×10メートルの広さがあるから、この作業は何日も続いた。

 私にはたった一つ不安があった。マガネイやマグドールで見たような、難民の人々が高橋さんに寄せた信頼感を得ることができるかどうかだ。それなくして、ここでの仕事はありえない。
 作業二日目の午後の休憩時間、私は労働者たちからソマリ語を習うことにした。
 たっぷりと甘い紅茶を飲みながら、私はノートを片手に、資材置き場の警備をする労働者のおじさんに近寄り、自分の頭を指差し、ジェスチャーで「ソマリ語で何ていうのか」と尋ねてみた。立派なヒゲを生やしたおじさんは「うん」と頷き、私が体の部位を指すたびにゆっくりと声を出してくれた。
 目は「エンロ」、鼻は「サン」、歯は「イルコ」・・。次々とノートにメモを取っていく。首、腕、胴体と、部位がだんだんと下がってヘソのあたりまでくる。すると、周りの人間が「おい、そろそろだぜ」と私たちの周りに集まってきた。
 例の部分を指差す。すると、おじさんは、誰にも知られてはいけない秘密を打ち明けるように、私の耳元に口を寄せた。私たちの周りの空間はすべてニヤニヤした十以上の黒い顔に占められる。おじさんは感情をたっぷり込めて小声を出した。
「グス・・」
「グス・・か?」
「そうだ、グスだ」
「グス!」
「そうだ!」
 皆が甲高い声で下品に笑った後、おじさんは指である形を作って言った。
「いいか、女のは・・」
 信頼関係の形成にはまだまだだが、なんとかここでやっていけるかなと私はちょっとだけ安堵した。

 1週間弱の突貫工事で給食センターと診療所を作ると、すぐに補助給食を必要とする子どもや女性の登録作業に入った。
 基本的に、難民登録された人々は、国連の庇護の下で食糧配給(トウモロコシ粉、砂糖、植物油、粉ミルクなど)を受ける。だが、それでもなおも栄養を必要とする子どもたちや妊産婦は存在する。この人たちへの「補助給食」の配給が私たちの仕事の一つだ。
 その配給のためには、どの子どもが栄養不足なのか、そして、女性が実際に妊娠しているか、乳児がいるかを確認しなければならない。
 
 登録作業の初日。

 センター建設をしていたときにも気づかなかったが、いったいどこにこれだけの人がいたのかと思うほどの人並みが痩せた子どもを抱いてやってきた。初日で千人単位が来たと記憶している。 

 まずは子ども。10歳程度までの子どもを対象に身長と体重を測定し、その結果、必要体重の85%未満の子どもを1日1回の補助給食に、75%未満の子どもは1日2回の集中給食に登録するのだが、晩になっても登録を求める人波は途切れず、日没後もランプを灯しての作業が延々一週間続いた。

 私とアブディサラムだけでは到底対処できないので、私たちは、RHU(Refugee Health Unit = 難民厚生省)ルーク支部から5,6人ほどのCHW(Community Health Worker=地域保健員)の人材支援を受けていた。RHUはソマリア国の機関であるが、その財源は全額国連の支出である。
 RHUは全国の難民キャンプで診療所と給食センターを運営していたが、16歳以上の難民の希望者に対して1年間のトレーニングを施してCHWの認定を与えていた。つまり、早ければ17歳にして、CHWはちょっとした村医者として、診察と診療(投薬や注射)を行えるのだ。この活動は医療支援の分野では高い評価を受けていた。
 とはいえ、2週間もすれば分かるのだが、RHUが私たちに派遣したCHWは、半分ほどがいわば働きの悪い輩だった。RHUはここぞとばかりに、そういうスタッフを私たちに押し付けることでお払い箱にしようとしていたのだ。
 たとえば、その数ヵ月後にも、突然、見知らぬCHWが現れ「RHUの指示でここで働くことになった」と挨拶するのだが、調べてみると、技術も低く、あちこちでトラブルを起こしていた人物だった。こちらからも辞めてもらったのだが、そんなことが何度も続いたので、そのうち私はRHUに「いい加減にしてほしい」と直談判に赴いたものだ。と・・そういう話は後述する。

 さて、最初の一週間で登録された子どもは460人。うち103人が集中給食を必要とした。
 
 多くの赤ん坊は老人の顔をしている。その体躯は、皮膚が骨と骨の間にめりこんでいるかのように、あばら骨がくっきり突き出ている。ある赤ん坊は、見たこともない緑色の下痢便をピュッと発射した。何の前触れもなく、いきなり「ゴボ」と大量のゲロを吐く赤ん坊もいる。不運にも、その下痢便やゲロをかけられたスタッフは、「ウワ!」「ギャッ!」と声をあげていた。
 難民の出身地エチオピアのオガデン地方からルークへの逃避行では、食うや食わずの連続に、さぞや多くの幼い命が失われたに違いない。そして、ルークに辿り着いても、長期間の逃避行で極度の栄養失調にやられた体には深刻な後遺症が宿っていた。
 ともあれ、CHWたちとの登録作業も、多忙であるほど、実に充実感溢れるものであった。同時に、どんなに骸骨のような子どもが来所しても、この子たちを補助給食で助けるんだという自惚れめいた救世主意識も芽生えていた。
 私はすぐにその自惚れにしっぺ返しをくらうことになる。乱闘事件が起こったのだ。(その5に続く)

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まとめtyaiました【ソマリアは乾いていた その4】
第1章 難民から学ぶ やっていけるかな「樫田君、もう今日のうちから給食センターを作ろうじゃねえか」 現場にはすでに、センターを作るための資材ーー木の幹や枝、カヤ
2012/06/18 19:12 まとめwoネタ速neo
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