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 第一章 難民から学ぶ

何なんだ、ここは!

 突然、後ろからバラバラと小石が降ってきた。そのいくつかが、脚、背中、肩、頭にビシビシ当たる。何だ? 振り向くと驚いた。7、8歳くらいの難民の子どもが5、6人、一心不乱に私に向かって石を投げているではないか。
「何するかあ!」
 私は踵を返して一歩を踏み出し、子どもたちに怒鳴った。一瞬びびったのか、子どもたちはワッと散っていったが、私が元の方向に歩き始めると、再び、親の仇を討たんとばかりに投石を繰り返してきた。ダメだ、これは。私はそそくさとその場を逃げ出した。
 こういうことが予測されたから、宿舎の警備員は、私の難民キャンプでの「散歩」に難色を示したのだ。気晴らしにのんびりと難民キャンプを歩こうなんて本当に甘い考えだった。
「チクショー! 高橋さんの言ってたことは本当だった」

 その一週間前。1985年2月28日。
 NGOのJVC(日本国際ボランティアセンター)のスタッフとして、砂漠の国ソマリアの奥地ルーク地区に前日に赴任した私は、先輩スタッフの高橋一馬さん(農業技術者。当時37歳)の案内でルークを車で案内してもらっていた。
 町で政府機関や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などへの挨拶を済ませた後、私たちの車はある難民キャンプのなかに入った。直系4~5メートル、高さ2メートルくらいの泥で作った円形の壁に円錐型のかやぶき屋根を乗せた家が、集団キノコのように何千も寄り集まっている。
 ルークには10以上の難民キャンプがあるが、それぞれが1万人前後の人口を有している。
 25歳の私は燃えていた。エチオピアから食うや食わずで出てきたばかりの難民6千人で構成される新しい難民キャンプが私の担当だったから、なかんずく、「かわいそうな子どもたちを助けるんだ!」との使命感をもっていた。
 高橋さんは1年前からここにいて、砂漠に農場を開墾しての農業指導に当たっていた。高橋さんは車をゆっくり運転しながら、大学時代からずっとアジアやアフリカの農業と関わり続けていたため、未だ独身であることなどを話してくれた。
「あんた、俺が結婚できるような男に見えるかい? 俺、嫁のきてがないんよ。だーれも貰ってくれん」
 そののんびりとした話し方は、新人スタッフの私を安心させ、同時に、一つの夢なり目標を共有していることでの昂揚感を与えてくれた。オレは頑張るぞと思った。

 そんないい気持ちで、もう少しで難民キャンプを抜けようというときのことだ。車の前を横切ろうとした男が、車に触れるか触れないかくらいの微妙な位置で急に歩みを止めた。顔は斜め前方に向けているが、目線はこちらに向けられている。急ブレーキと同時に高橋さんが怒鳴った――「マハウエー!」(何やってんだ!)
 男はゆっくりと道を離れていった。高橋さんは怒りをすべて吐き出すように声を荒げた。
「わけのわからんヤツがここにはいっぱいいるよ。今の奴は当たり屋なんよ。車にわざと当たって、金をぶったくろうとしてる、まったく! とにかくずるい奴が多くて本当に嫌になるときがあるぞ。そうだ、あんた、覚えておいたほうがいい。ここらの子どもは俺らに石を投げてくるから注意しろ」
 え、当たり屋? 子どもが石を投げる? 難民が金をぶったくる? 
「子どもが石を投げる‥ですか?」
「見ての通り、この車、バックミラーないだろ。ぜーんぶ、子どもにやられたんよ」
 何かがあったんだ。きっと高橋さんはこのへんの子どもたちの心証を悪くする何かをしたに違いない。私は、「無垢な子どもたち」の立場からそう思った。

 だが、数日後、高橋さんの言っていたことは我が身をもって証明された。そして、この子どもによる投石は、ソマリアにいた2年間終わることがなかった。私のなかには「かわいそうな難民の子ども」は数例を除いてはいない。(だが難民となってしまったこと自体はじつにかわいそうなことだ)

兵隊狩り

 次に、私たちは、JVCの農業プロジェクトの現場に向かった。農場が近づくにつれ、高橋さんの顔が柔和さを取り戻していくので私は安心した。
 JVC農場は、ハルガン、ドリアンリー、マグドール、マガネイと四つの難民キャンプを通り、マガネイからもさらに2、3キロ離れた場所にある。JVCの宿舎からだと12キロほどになろうか。それまでの砂漠の風景が一変、そこだけが青々と緑が茂っている。タマネギ、スイカ、オクラ、トウモロコシ‥。サトウキビが時おりザワザワ音を立てるのが心地よい。

 83年、JVCはここで農業プロジェクトを開始した。砂漠であっても、ルークには幸いにも、ソマリアでたった2本しかない恒常河川の一つジュバ川が流れている。JVCが難民のなかから農民として選抜した100家族が、揚水ポンプで川から汲み上げられた水を利用し、2年かけて潅木だらけの砂漠を50ヘクタールの緑の農場に変えた。この活動は国連や他NGOなどから高い評価を得ていた。
 長年農業に携わっている高橋さんも、50度もの気温のなか、痩せた砂漠でモノが育つのかと半信半疑だったが、実際に砂漠が緑に染まる現実を本当に嬉しそうに受け止めていた。
「こんな砂だらけの土地でも、水を与えるだけで植物は育つんだな。見てろよ、俺、今にここを全部緑にしてやるんだ!」
 高橋さんのもとに、農民の何人かが「タカーシャ」「タカーシャ」と微笑みながら挨拶に来た。慕われている。握手を交し談笑する高橋さんの顔も明るい。この信頼関係を私は羨ましく思った。
 ところが、ソマリ語で会話を交わすうちに高橋さんの顔が曇った。
「やられたよ! ここの農民の何人かが、昨日、兵隊狩りにあったってよ!」
「何ですか? 兵隊狩りって?」
「ソマリアの軍隊が難民キャンプの男たちを強制的に徴兵していくんだ。まったく! せっかく農業で生きられると喜んでいた奴らを!」
 これは私も後日体験するのだが、本当にこれは年に数回の頻度で行われた。
 ルーク地区の難民は、隣国エチオピアのオガデン地方からやってきた。だが、ソマリア政府からすれば、同じソマリア人の住むオガデン地方は元々はソマリアの一部であるとの主張を繰り返してきた。だから、難民は、難民であっても同じ国の人間なのだ。そうであるなら、徴兵するのは当然である・・との理屈づけがなされていた。
 だが、それが、ある日突然、大型トラックで軍隊がやってきて、就寝中の男たちを次々とトラックに放り込む形でなされていいものなのか。
 高橋さんは農民たちに耕次げた。
「もしまだ兵隊狩りが行われそうなら、JVCの宿舎にまで逃げて来い」
 凄まじい現実に難民は置かれている。

降りろ!

 私たちが農場を離れるとき、何人かの農民が、マガネイまで乗せていってくれと頼んできた。高橋さんが軽くはいはいと承諾すると、10人ほどが荷台に乗り込んだ。
 マガネイに入ると、一人が運転席の屋根をドンドンと叩いた。下ろしてくれということだ。降りた。そして、再発進して20メートルほどいくと、また、ドンドン。数人が降りた。そしてわずか10メートルたらずで、またドンドン。突如、高橋さんは、急ブレーキと同時に日本語で爆発した。
「お前ら、いい加減にしろ! みんな降りろ!」
 荷台で談笑していた多くの顔がハと凍りつく。全員、黙々と車を降りた。車を走らせてからも高橋さんは腹の虫が収まらない。
「まったく!」
 確かに、ほんの数十メートルの間に何度も止まらせるのは配慮が足りない。だが、それ以上に、高橋さんの爆発には心底びびり、オレは、この穏やかさと激情とを併せもつ人と生活を共にするのかとの不安に襲われた。
 しかし、なんのことはない。その姿は数ヶ月後の我が身となるのである。
 
 当たり屋の難民、石を投げる子ども、屋根をドンドン、難民のぶったくり・・。これらの事実に日常的にもまれるうちに、善意のボランティアはやっていられなくなった。ときには、嘘や詭弁を総動員して私たちからぶったくろうと企む難民がいた場合は、爆発も必要になったからだ。

 だが同時に、兵隊狩りで見たように、難民となったという理由だけで、過酷な運命と常に隣り合わせに生きている現実も垣間見た。
 よく、なぜ外国人がわざわざ途上国に支援に行くのかと聞かれるが、その一つの理由として、NGOであれ外国の準公的な機関が入ることにより、抑圧する者と抑圧される者との間に緩衝材としての機能は生まれる。そこの社会状況や文化背景にもよりけりだが、ここソマリアでは確かにNGOは力関係の均衡を保つ一躍は担っていたと思う。
 後述するが、その数ヵ月後にも兵隊狩りはあったが、間一髪、軍の基地に連れて行かれる前に、NGOの存在があったからこそほぼ全員が釈放されたこともあったのだ。(その3に続く)

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まとめtyaiました【ソマリアは乾いていた その2(第1章 難民から学ぶ)】
 第一章 難民から学ぶ何なんだ、ここは! 突然、後ろからバラバラと小石が降ってきた。そのいくつかが、脚、背中、肩、頭にビシビシ当たる。何だ? 振り向くと驚いた。
2012/06/09 15:51 まとめwoネタ速neo
リニア取材のカンパのお願い
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
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