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●第五福竜丸とビキニデー

 昨日3月1日は「ビキニデー」でした。
 ご存知の方も多いかと思いますが、1954年3月1日、南太平洋のビキニ島近くで操業していたマグロ漁船「第五福竜丸」が、アメリカの大気中水爆実験「ブラボー」で被曝。
 その日から、23人の乗組員に、頭痛、吐き気、めまい、下痢、水ぶくれ、脱毛が始まります。2週間後に母校の静岡県焼津港に帰ります。
 その人たちの中で今もご存命の方はもう半分もいません。みなガンで亡くなったのです。

 また、第5福竜丸だけではなく、この水爆実験で被曝した日本の漁船は856雙、約2万人もが被爆したのです。第五福竜丸はその象徴的な存在として当時は日本を賑わしたわけですが、じつは、この第五福竜丸事件こそが、今の日本の原発開発に弾みをつけた事件だったのです。


●そうだったのか!

 私は以前、時事通信社に頼まれて書評を書く仕事を年に6回ほど請けていましたが、そのなかでも衝撃的な内容だったのが、第五福竜丸の元乗組員、大石又七さんの書かれた「ビキニ事件の真実」(2003年、みすず書房)でした。
 水爆実験でこういう被害に遭ったというのは何度も報道されていることですが、本書では、第5福竜丸の乗組員たちが、国策のためにただ捨てられたことが描かれていたからです。
 以下、本の内容に沿って書きます。


●日米外交文書

 91年10月、戦後30年間の日米の外交文書の一部が外務省から公開されます。3万ページのうち、ビキニ事件はその10分の1の3000ページほどが割かれていました。そこに大石さんは驚きます。

 それによると、事故直後は、日本の外務省は、

「ビキニ事件は国際法違反であり、アメリカに補償請求できる」

 と言っていたのです。これが至極当然の判断です。
 
 ところが、この判断が突如なくなります。アメリカの言いなりになってしまったということです。アメリカが最終的に出してきた条件は以下のことです。

「アメリカは補償しない。だが、見舞い金200万ドル(当時7億2000万円)は出す」

 つまり、「アメリカは国際法を侵したのではない。しかし、アメリカの実験での被曝は気の毒なので見舞金を払う」という体裁にしたということです。
 これは、アメリカという国の酷さを表してもいますが、何よりも、水爆被曝による漁業被害は26億円あまりなのに、見舞金はその3分の1にも満たない額だったのです。


★昭和29年(1954年)5月22日の極秘外電によると
「米側はビキニ実験を国際法上の不法行為なりという見解は絶対に取りえないので、損害賠償として支払うことはできず、慰謝料として支払う建前をとりたい」

★同年12月14日の極秘外電
「わが方(日本)は米国政府に損害についての法的責任ありとしているが、米側は先例となることを怖れて法的責任には触れずに見舞金として支払うことを主張している」

★同日の極秘外電。在米井口大使宛 重光(外務)大臣発の極秘外電
「米側案は、(イ)本件補償は一に人道的考慮と米側好意に基づき、法律上の責任の問題を全く度外視して行われるものである点を公文の中に明記したいこと、(ロ)本件補償の支払いによりすべてを解決せんことを目的として行われるものであるから、不幸にして更に死者が出ても、追加の支払いは行わない建前であり、この点を公文中に明記し置きたいこと、の二点にある」

 そして、1955年1月4日、重光外務大臣とアリソン駐日大使の間で覚書が交され、ビキニ事件は政治決着したのです。この覚書の最後は、重光大臣のアメリカ大使に向けての「ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します」で締められています。
 当然の行為である損害賠償請求をせずに、真相を闇に葬ろうとするアメリカに対して「敬意を表します」…。これは何なのか。


●ビキニ事件解決のために導入された東海村への原発

 と、この事実だけでも苦々しい思いが走るのですが、この本では、もう一つの驚愕すべき事実も紹介されています。
 ビキニ事件の政治決着には、ある取引がありました。
 それは、原子力技術を渇望していた日本が、ビキニ事件を米国との取引材料とし、補償金を受け取らない代わりに、事件のわずか2年後に、アメリカから茨城県東海村に原子炉を輸入したということです。

 もう少し具体的に書きましょう。
 ビキニ問題の政治決着は1955年1月4日。その1週間後の1月11日にアメリカは日本政府に濃縮ウランの受け入れを打診する書類が届けられます。6月21日には日米原子力協定が仮調印され、翌56年にはアメリカから研究用原子炉「JRR-1」が東海村に送られてくるのです。
 ここで研究を重ねた技術者や研究者は約680人。
 彼らがその後日本各地の原子力開発に携わることになるわけです。
 
 つまり、日本での原子力開発のために、第5福竜丸の乗組員やその他漁船の乗組員たちはわずかな金で捨て石とされたと言えます。

 
●裏で動いた日本人

 さらに、大石さんがさらに驚いたのが、2000年に明かされたアメリカ側の公開文書で、上記の「見舞金」が日本の、もしかすると外務省の発案だったことです。

 「ツチヤ」なる日本人が(外務省欧米局長で後のニューヨーク総領事の土屋隼氏か?)、アメリカ大使館員に「米国が素早く一括解決金を払えば、事件はすぐに忘れられる」との解決案を提案していた。
 もし「ツチヤ」が「土屋氏」、すなわち外務省の人間であったなら、これは日本政府が、同じ日本人を守るどころか、日米外交と核開発のため、ビキニ被爆者を捨石にしたということになります。


●米政府が認識するヒバクシャーーRECA(被曝補償法)の存在ーー

 よく言われる「日本が唯一の被爆国」というのは間違いです。なぜなら、日本以外でも被爆者は限りなくいるからです。
 戦時における原水爆使用での被爆者というのなら、そうかもしれませんが、世界には、

 ★ウラン採掘に従事した被爆者
 ★核実験に従軍したための被爆者
 ★核実験の風下の町に住んでいたことでの被爆者
 ★劣化ウラン弾使用での被爆者
 ★原発労働者
 ★大国の大気中核実験で被曝した南太平洋の住民、等々

 数多くのヒバクシャがいます。

 私は1996年にアメリカを1ヶ月間取材して、主に、ウラン採掘により被曝した方々に会ってきました。その過程で、アメリカにはRECA(被曝補償法 Radiation Exposure Compensation Act) というヒバクシャに対する補償制度があることを知りました。

 RECAは90年に制定(92年施行)されましたが、補償対象となるのは、元ウラン坑夫、核実験に携わった軍人及びその風下に住んでいた住民などです。ただ、補償を受ける条件は厳しいのです。
 元ウラン坑夫に関しては、肺癌か呼吸器系疾病のど ちらかに罹患していること。鉱山労働従事期間は47年から72年の間に限定され、規定の被曝レベルに達していること。非喫煙者か喫煙者かでも審査基準は変わります。

 条件が厳しいとはいえ、とりあえずヒバクシャを補償する制度があることを知ったことは大きなことでした。
 では、この法律が国外のヒバクシャにも適用されるのでしょうか? 答えはNOです。
 この法律は、以下の人々を対象除外としています。

・アメリカ国内のウラン坑夫であっても露天掘りに従事していた人
・南太平洋諸島での大気中核実験で被曝した住民
・広島と長崎で被曝した住民

 つまり、広島、長崎の住民、そして第五福竜丸などの漁民はダメということ。
 なぜなのか? 私は、1996年にアメリカの法務省に質問の手紙を送りました。
 10月に送られてきた回答は、「どんな法を作るかは、国会の権限によるものです。国会は、誰を補償の受益者に指定するかも含め、もっとも適切と思われる方法で法を作ります。もし、長崎、広島で被曝した人たちがRECAによる補償を求めたとしても、原爆による被爆を唯一の根拠とするならば、請求は退けられるでしょう。法典上の根拠なしに連邦政府の資金を確約することはできません」というものでした。

 同じヒバクシャで、なぜ区別されるのか。なぜ区別するのか。
 一つには、アメリカ国内からの要求や批判にはアメリカは対峙しますが、国外のヒバクシャのことには法的な責任を認めたくないからということが挙げられます。


●交渉しない日本

 だが問題は日本政府にもあります。交渉しないからです。
 2007年8月10日、爆笑問題の太田光が司会する「太田光の私が総理大臣になったら」という番組で、「アメリカは(広島・長崎の)被爆者に補償すべきである」との太田総理の法案提出が一票差で可決されました。視聴者からも73:27で賛成が多数を占めました。
 
 そして、RECAの対象外とはいえ、アメリカに補償を求めたのが、マーシャル諸島政府が1986年10月にアメリカと結んだ「自由連合協定」です。
 このなかにある「放射能補償協約」によって、核爆発実験場となったり、死の灰を浴びた環礁住民に総額1億5000万ドル、保健介護費として3000万ドル、被害をうけたマーシャル諸島の住民個人と島々には「核被害補償法廷(NCT)」から損害賠償金4575万ドルを支払われることになったのです。

 日本の漁船に払われたのはわずかに200万ドル。あまりもの金額の違いに驚きます。
 特筆すべきは、このNCTでアメリカ本国に補償の実現を強く迫っているのも、またアメリカ人だということです。アメリカの良心ともいえましょう。


●そして今も
 今、福島県からは多くの方が町ぐるみ避難、もしくは自主避難をしています。
 これらの人たちもやはり捨てられるのでは…。少なくとも、声を挙げなければ、間違いなくそうなります。


●夢の島
 第五福竜丸は今、東京都江東区の夢の島公園に展示しています。初め、何も知らずにこの展示館を訪れたときはその威容にびっくりしました。ある意味、広島の原爆資料館にも負けないほどのインパクトがあります。


●書評

 私が「ビキニ事件の真実」について書いた書評を、今一度、ここに公開いたします。


「悲しみ、怒り、そして恐怖。俺は決して忘れない」
 著者の言葉は、心をナタで打つ迫力に満ちている。
 一九五四年、第五福竜丸の乗組員として太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で漁をしていた著者は、米国水爆実験の死の灰を浴びた。広島、長崎に次ぐ第三の被爆に日本中が騒然とした。だが、米国は補償金ではなく、政治責任を問わない「見舞金」で事件を決着した。乗組員二三人のうち一二人がガンなどで他界し、著者も肝臓ガンを患った。
 とはいえ、これら事実は既に報道されたこと。なぜ四九年もたった今の上梓なのだろう? その答を読者は、日本政府への怒りと失望ともに知ることになる。
 たとえば、原子力技術を渇望していた日本がビキニ事件を米国との取引材料とし、事件のわずか二年後に茨城県東海村に原子炉を輸入した事実が九四年に明かされ、二〇〇〇年には、「見舞金」が日本の外務省の発案だったことが明かされた。日本政府は、日米外交と核開発のため、ビキニ被爆者を捨石にしたのだ。
 だが、相次ぐ原発事故などで核の脅威が高まる今、被爆の当事者こそが骨抜きになった現実を著者は嘆く。
かつて米国に怒りを見せた担当医療機関は今「発病と被爆は無関係」と公言し、猛抗議をした漁業団体も今は沈黙し、福竜丸の一部乗組員も差別を怖れ、著者の証言活動を「寝た子を起こすな」と批判する。
 本書で感銘するのは、この現実に敢然と立ち向かう著者の姿だ。子どもたちへの証言活動を続け、現在も被爆に苦しむ元乗組員の治療に必要な船員保険適用を求め国と渡り合う。
その原動力の一つが、著者の第一子が、被爆の影響か、奇形で死産だったことである。著者がここまで明かすのは、ただ「核兵器の恐ろしさを誰かが言わなければ大変なことが起きる」との一途な思いによる。
まだ終わっていないビキニ事件。読後、読者は身の回りの核の脅威に思いを馳せるだろう。(ルポライター・樫田秀樹)(みすず書房・二六〇〇円)


ビキニ事件の真実――いのちの岐路でビキニ事件の真実――いのちの岐路で
(2003/07/24)
大石 又七

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ビキニ島周辺での水爆実験による被曝で途端の苦しみを味わった漁業者…というのは、すでに何度も報道されている。本書では、第五福竜丸の乗組員だった著者が、その事実に加え、いかに自分たちが満足な補償も受けられなかったのか、いかに日本の核開発のために、自分たちが捨石にされたのかの謎解きを、豊富は日米外交文書を元に力強く訴えている。人を幸せにするのが本当の技術なのに、核開発の世界では、技術のために人間が犠牲になっている。核問題に関心のあるすべての人に読んでもらいたい。


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2012/03/02 12:29 福島原発 TB(1) コメント(0)
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まとめteみた【記事の裏だって伝えたい】
●第五福竜丸とビキニデー 昨日3月1日は「ビキニデー」でした。 ご存知の方も多いかと思いますが、1954年3月1日、南太平洋のビキニ島近くで操業していたマグロ漁
2012/03/20 01:07 まとめwoネタ速suru
リニア取材のカンパのお願い
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
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