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 これまで何度か、辺野古に飛行場建設はそもそも不要であることを書いてきました。アメリカが策定した「グアム軍事統合開発計画」に従えば、別に、辺野古に飛行場を作らなくとも、在沖・海兵隊のほとんどがグアムに移転するからです。

 ここで不思議なのは、「通常基地」の普天間飛行場の代替基地は「通常基地」であるべきなのに、今、アメリカが(そして日本政府が)辺野古に作ろうと固執する飛行場は「前進展開基地」(有事の際に、世界のあちこちに移動する際の中継基地のような位置づけ。日常的な軍事訓練は行わず、飛行場の整備や管理が主な任務)なのです。

つまり、「代替基地」という言い方は不正確です。
 
 ともあれ、なぜ両国政府がこれだけ辺野古に固執しているかと言うと、

 日本政府が全額負担で建設してくれるから、ということも大きいですが、

 アメリカが今、仮想敵国を「中国」としている可能性が強いからです。


●なぜ、アメリカは辺野古にこだわるのか?
 
 2009年10月15日付けの極秘公電がウィキリークスで、以下のことが明らかになりました。

 ★アメリカ国務次官補カート・キャンベル氏は「1990年代は、韓国と中国についての緊急プラン(有事)を、沖縄において那覇と嘉手納2つの滑走路を使ってだけ行うことが可能であった。だが今、中国の軍事力の劇的な増大で、有事には、少なくとも3つの滑走路の利用が必要だ」と述べた。

 ここでは、二つのことが明らかにされています。
 ・仮想敵国が中国であること。
 ・3つ目の滑走路とは、これから作る滑走路。つまり辺野古になる。


●対中国の戦争計画

 そこで今、アメリカの対中国の戦争計画ではないかと言われているのが「統合エアーシーバトル構想」です。

 これは、10年2月、米国防省のロバート・ゲイツ長官が新たな『4年ごとの国防政策見直し(QDR)』で、新たな作戦理論の構築を海軍、空軍、海兵隊に指示したことからまとめられた新構想です。

 この構想を打ち出した戦略予算情報センターのジャン=ヴァン=トル上級研究員のインタビュー記事が、11年4月15日、沖縄タイムスの「基地負担を問う・第3回」に掲載されています。

 要約すると

「中国軍の初動攻撃を減殺し、米国や同盟国の被害を最小化する戦略。在日米軍基地を対象にした先制攻撃や、嘉手納基地やグアムのアンダーセン基地を想定した弾道ミサイルによる攻撃への対処なども含まれている。地域の安定的なバランスを維持するためにも日本やオーストラリアの役割は重要だ」

「中国のミサイル戦力が近隣諸国の米軍基地を標的にする可能性は既にあるが、我々が懸念するのは、衛星で操作可能な弾道を搭載する新型ミサイルの開発だ。はるか遠距離から米空母にミサイル発射できるようになり、米艦船も米軍基地と同様に攻撃されやすい状態となる」

「嘉手納や岩国、佐世保などの基地や自衛隊基地は攻撃対象だ。もし被害が出た場合には、東日本の基地へ米空軍とミサイル防衛部隊を送り込むが、補給物資輸送は海上輸送が中心なため数週間を要する。空輸は迅速だが、飛行場の被害の影響を受ける」

「大規模紛争を想定したエア・シーバトルの任務を担うのは、陸軍と海軍の任務であり、海兵隊の役割は想定していない。海兵隊が役に立つのは領有権争いなど、小規模な場合だろう」

「制空権を拡大し、琉球列島のいくつかの滑走路を使用できれば、中国軍機を損耗させる運用が容易になる。日本にミサイル防衛と防衛能力の強化を期待」

 このように、統合エアシーバトル構想は、中国を見据えた抗争であることは明白だと言えそうです。

 
●そして、米軍が琉球諸島で実施したことは・・

 ★07年6月24日 掃海艦2隻が、120人の入港反対行動に遭いながら、与那国島の祖納港に強行入港。
 ★09年4月3日 掃海艦2隻が、入港反対行動に遭いながら、石垣港へ強行寄港。
 ★10年9月21日 掃海艦1隻が、入港反対行動に遭いながら、平良港へ強行入港。

 最初の強行入港の3日後の07年6月27日、ケビン・メア総領事が極秘公電で「与那国は台湾海峡有事の際に掃海拠点となりうる」、「祖納港は掃海艦の安全な入港に十分な深さがあり、4隻の掃海艦の同時入港も可能」「与那国空港を利用すればヘリコプターが掃海艦の支援できる」など、

 強行入港の目的が、「港の深さや使用できる施設の確認」などであり、台湾海峡有事(すなわち、中国からの有事)に備えるものであったことを明らかにしています。

 ちなみに、1997年の新ガイドライン締結で、米軍は日本全国の自衛隊基地に加えて民間港湾、民間空港を利用できるようになり、全国で毎年20回超の民間港寄港調査が実施されています。


●なぜ、アメリカは統合エア・シーバトル構想で中国を見据えるのか?

 「これから、中国とどう付き合うか」(全中国大使の宮本雄二著、日本経済新聞社)という本に、以下のことが書かれています。

 「96年3月に、中国は、台湾の総統選挙に影響を与えようと、台湾近海でミサイル発射訓練を実施。すると中国の予想に反して、アメリカは空母2隻を含む第7艦隊を派遣した。これにより中国は、台湾開放シナリオに米軍の関与を想定しなければならなくなった。台湾が中国の軍事力による制圧を回避できるシナリオが一つでもあれば、台湾は独立してしまう可能性がある。そこで中国にとっては、台湾が軍事的に屈服しない可能性のあるすべてのシナリオを潰さなければならないことになる。そうすると、米軍による台湾への接近を拒否する能力をもつことが次の課題となる」

 そして確かに、中国の軍事力はこれ以降、劇的に増大していくのです。


 以上、書いてきたことは、私の独自取材ではなく、昨年12月3日に行われた、普天間飛行場のある宜野湾市の前市長、伊波洋一さんの講演会で配布された資料をさらに平易に描いたものです。

 しかし、これを読んで初めて「辺野古を何の目的で使うつもりなのか」もおぼろげながら理解できました。もちろん、軍事評論家の中には、統合エアシーバトル構想は対中国ではないと主張する人もいるので、私自身勉強しようと思います。

 ただ、中国の狙いが本当に台湾独立を阻むための米軍基地破壊ならば、なおさら、米軍基地は普天間だけではなく国外に移ってほしいと思います。

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2012/01/08 23:09 普天間基地 TB(0) コメント(1)
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