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 12月18日の東京新聞を読んでちょっと驚いた記事があります。

 タイトルは、

 カンボジアでの学校建設 「作ってからも支援を」

 どういうことかというと、校舎さえ作ってしまえば、「ハイおしまい」で終わってしまうボランティア団体が多いということです。

 まだ、その程度の意識なのかと驚いたのです。

 東京では、日比谷公園や代々木公園などで毎年、「アースデイ」「国際協力フェスティバル」など、多くのNPOや市民団体がブースを出す、市民運動の見本市のような活動が行われています。
 ここで、こんなにも多いのかといつも驚くのが「学校建設」です。特に、1980年代にようやくポルポトの支配から脱して新たな国づくりを始めたばかりのカンボジアでの事例がとても多かったように思います。

 なかには、明らかに「自己満足か!」と思うような、校舎だけ作って、ハイさよならの運動もあります。

 私がその実態を身をもって痛感したのは、11年7月11日のブログにも書いた、ネパールでの日本人による学校建設の事例です。

 学校というのは、
★校舎があって
★生徒がいて
★先生がいて
★その先生たちに払う給与の財源もあり
★校舎の維持費、水光熱費、最低限の文豪具代などの運営コストがかかる

 などの事業体のことなのに、ボランティアの多くは、貧しい国で、材木を運んだり、釘を打ったり、穴を掘ったりの汗を流すことで、なぜか地元の人たちとの一体感を覚えて、とにかく「校舎ができた。いいことをした」との思いで帰国するのです。

 私は、これは市民団体による「箱物支援」だと捉えています。

 ネパールでの事例は、読み返してもらうとして、その事例に出会う前年(91年)、ある取材でネパールを訪れていた私は、首都カトマンズから地方都市ポカラに向かうバスのなかで、たまたま隣に座っていた日本人と話す機会がありました。
 その人、Hさんは、日本のNPO「ネパール教育協力会」のスタッフで、当時でもう何年も現地に滞在していました。Hさんの話を要約すると以下のようになります。

「僕たちは、まず、大きな町やトレッキングルート沿いにある村では学校を作りません。外国人が滅多に行かない僻地で活動しています。そして、村では、僕たちから『学校を作りましょう』とは言いません。しかるべき数の村人が『子どもたちのために学校が必要だ。支援をしてくれないか』と要請してきた場合にのみ応じます。つまり、僕たちが本気になるのではなく、地元住民が本気にならないと意味がないからです。建設費のほんの1割でもいいから、村人の出せる最大限のお金を示してもらってから、僕たちは建設に動き出します。その建設も最大限、村人に参加してもらいます。
 そうでないと、なんでもかんでも外国人の僕たちがやってあげてしまうと、『自分たちの大切な学校』との意識が芽生えなくなるからです。もちろん、校舎を作って、ハイ終わりではなく、ちゃんと学校の先生たちにはお給料も払います。教育教材も用意します。学校ですから」

 こうして、ここから巣立っていった若者たちの中には、高等教育を街で受けた後、教員資格を取得して、自分の村の学校に赴任する人もいるというのです。海外のNPO、地元住民、学生との信頼関係があればこその、素晴らしい教育活動の循環事例です。

 この出会いがあったからこそ、私は翌年に、ネパールでの、日本人の支援による、「校舎作って、ハイさよなら」の事例の取材に出かけたのです。

 ひどい事例では、校舎ができたどころか、建設途中で、建設費用が村のお偉いさん方のポケットに入ってしまい、校舎もどきがポツンと立っていたものもありました。

 東京新聞の記事でも、「鍵がかけられて使われなくなった学校がいくらでもある。本当に学校が必要な場所なのかを十分に検討し、完成後も年に何回かはチェックに訪れないと、すぐにそうした状態になってしまう」との関係者の証言が紹介されていました。

 また「学校建設が、国道や大きな町の周辺に集中する」といった、支援側に都合のいい場所でプロジェクトが行われていることも。

 私がネパールの学校建設の取材をしてから、20年も経ちましたが、未だに日本の市民団体の意識はこの程度なのかと少々やるせなくなります。

 もちろん、ボランティアで訪れた老若男女は「善意」で活動したのです。その善意にはなんの批判もいりません。ただ、惜しむらくは、その善意の運用を知らなかった。いや、知らされなかった。

 私は、ときどき、知人から「息子が、娘が、大学に入ったはいいが、何をやっていいのか分からないようだ。なにかいいボランティア活動はありますか?」と聞かれます。
 だが、ボランティアとは、自らの意志で決めて、活動するものですから、何をするかは、あくまでも本人が決めるしかありません。

 その第一歩として、途上国に学校建設に出かけること自体は、いいことなのでしょう。

 だが、ボランティア本人たちが結局は自己満足で終わり、地元にとっては「誰かに作ってもらった学校」だから愛着芯も湧かずに、資金が切れたらそのまま放置される・・では、互いに実のある結果とはなりません。

 ボランティアの善意を最大限、活用するためには、その上にいるコーディネーターや組織の代表者が、国際支援とは何か、草の支援とは何か、自分たちは後方支援だけでいいとの、確固たる哲学をもち、それを伝えることです。

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