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 橋下徹・大阪市長が誕生しました。
 橋下市長の目標の一つは「大阪都」計画。

 これは、もちろん「東京都」をモデルにしての制度改革です。

●東京都って何だろう?

 さて、では、その「東京都」とは何か? と改めてきかれるとなかなか答えられません。どこが、他の道府県と違うのか?

 理解しやすいよう、「住所」から見ていきましょう。

 たとえば、こんな住所があります。神奈川県横浜市南区。ほかにも、宮城県仙台市青葉区、等々。
 ところが、いわゆる東京23区は、たとえば、「東京都練馬区」「東京都港区」・・。

 そう、他の政令指定都市などでは、○○県○○市○○区 といった住所なのに、東京都だけは、東京都○○区といった具合に、都のすぐあとに区が来るのです。

 これはなぜかというと、東京23区は、都の「内部団体」としての位置づけだったからです。
 もっといえば、東京23区は、いわゆる普通の一人前の自治体=「基礎的自治体」ではなかったということです。都という親から自立できない子どものような存在でした。

 たとえば、交通、上下水道、清掃などの大型公共事務は23区が行うのではなく、親である都が行い、固定資産税・市町村民税・特別土地保有税は、23区の区民が区にではなく、いったん都に収め、都がそのうちの44%を各区に配分するという、小さなヤクザ組織のいくつかが本部に上納金を収め、本部がそのうちの何割かを末端組織に配分し直すようなものです。

 つまり、他の自治体と違い、一つの地域に「道府県」の権限と「市町村」の権限とがかぶさる二元構造ではなく、都が一元化して、この1000万人近い人口をもつ地域を治めていたわけです。
 ただし、他の市の区と違い、区議会、区役所など「市」としての機能も備えていたので、一般住民には、まさか自分たちの街が「内部団体」であるなど知らなかったはずです。

 簡単に言えば、橋下氏が目指すのは、大阪都が直接、現在の大阪市と堺市をいくつかの区にして、「内部団体」として、一元化して治めるということになります。
 これまでは、各自治体で決めていた事柄が、今後は大阪都(実現すればですが)が「やれ」と言えば、各区でいっせいに実現します。非常に効率がいいといえばいいやり方です。
 その場合、現在の市役所や市議会がどう再編されるのかは、ちょっと予想がつきません。橋下氏のことだから、大胆なリストラを行うかもです。

 
●内部団体から独立していた東京都

 しかし、じつは、2000年4月から、東京23区は都から独立しました(「都区制度改革」と呼びます)。当初は、渋谷区が渋谷市、新宿区が新宿市になるのかとの予想もあったのですが、名称は区のままです。
 
 これは、簡単に言えば、23人もの子どもを抱えて財政的に苦しくなった親の事情と、そろそろ、自前の財源でもって親から独立したがっていた23人のこどもたちの、利害が一致したからです。

 この両方の願いをかなえるのに、ぴったりだったのが「清掃事業」でした。簡単に言えば、ゴミの収集とその焼却や埋め立てまでの事業です。

 なぜか。当時、東京都には清掃事業だけで1万人もの職員がいて、年3000億円もの金がかかっていました。これをすべて23区に移管すれば、1万人のリストラと、年3000億円の経費削減ができるというわけです。
 そして、23区にすれば、「基礎的自治体」の条件の一つとして、清掃事業を自前でできさえすれば、親から独立できる。

 東京都豊島区の池袋。この駅を降りると、場所によっては高さ200メートル以上もの煙突を目にできます。90年代後半にできたゴミ焼却場のものです。

 1996年、当時、東京都は、東京23区の各区に一つずつ「清掃工場」「清掃車庫」を作ることを進めていました。当然、各区で大反対運動が起こっていたのですが、当時、ほとんどの都民は「なぜ」なのかを知ることがありませんでした。
 私はたまたま、ある取材の過程でそのウラ、23区独立問題、を知ったのですが、少なくとも各区が「清掃工場」と「清掃車庫」さえ整備すれば「ほら見てください。ウチの区は、普通の自治体としての条件が整ったんですよ」と国に示せるわけです。

 国は1990年に、23区は「基礎的自治体(普通の自治体)」だとする答申を出しているのですが、その条件が、清掃事業の各区への移管でした。
 そして、通常、国の答申は「答申10年」と言われているように、10年経てば死文化します。つまり、各区にすれば、なんとしても2000年までに清掃事業を整備しておく必要があった。それが、特に池袋(豊島区)と渋谷区での無茶な清掃工場の着工につながり、住民の大反対運動が起こったわけです。

 しかし、考えてみれば、あの狭い23区に各区が一つずつ清掃工場と清掃車庫をもつなんて、とてもではないが現実的な話ではありません。

 実際、清掃工場の「各区に一つ」はじきに立ち消えとなるのですが、清掃車庫だけは強引に建設が進みました。本来の都営住宅建設予定地に、ハローワークの建設予定地に、桜並木の遊歩道に。
 この時期、どこの区役所に尋ねても「勘弁してください。清掃車庫の候補地はあそこしかないんです。ここで建設ができなかったら、23区は永久に独立した自治体になれないんです」と必死に応えていました。

★メリットは何か?

 では、内部団体から基礎的自治体へとなることでのメリットは何だろう? この件を担当していたある職員はこう応えています。
「都が23区800万人の相手をするよりも、それぞれの区が数十万人に第一義的責任をもつほうが、住民との風通しがよくなるはずです」

 目の届く範囲でのゴミ収集が行われるので、効果的な清掃事業を行える。
 

★デメリット
 ごみ収集だけは十分な予算のある都が対処すべき。でないと、区の少ない予算では民間業者への委託が増え、ずさんなゴミ処理が横行する。(つまり、相反する二つの見方があります)

 国民健康保険も区によって高い、安いのバラツキが現れる。等々


●橋下氏はどうするのか?

 さて、2000年3月までは内部団体で、4月からは基礎的自治体へと変わった東京23区。
 とはいえ、今でも、都と区の間の役割分担と、財源配分の明確化については都区の合意は得られていないという、都がまだまだ23区を内部団体扱いしているという問題点はあるのですが、橋下氏が目指すのは、どちらかというと、2000年3月までの、都と23区との関係なのでしょう。

 だが、東京都と23区とは、橋下氏の目指すのとは逆の方向に行きました(と言っていいのかな)。

 ともあれ、今回の市長選で大阪市民は橋下氏を選んだ。そして、橋下氏は「ハシズム」で行政を断行する。
そうしてほしいのが「民意」であるなら、私たちは今後、大阪市と境市とがどうなるかを見守るしかできません。

 要は、その地域の住民が暮らしやすくなればいいのです。
 だが、経費削減を優先し、弱者を切り捨ててきた橋下氏にそれができるのか。その疑念だけはどうしても払拭できません。


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2011/11/28 23:37 橋下徹氏 TB(0) コメント(0)
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