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樫田秀樹

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●井澤記者のスクープ記事
 フリー記者の井澤宏明さんがサンデー毎日にスクープ記事を出した。
 岐阜県御嵩町では今、リニア工事で排出される残土のうち、無害な普通の残土、そして自然由来の重金属を含む「要対策土」の両方を受け入れるかを巡り、住民を交えての「リニア発生土置き場に関するフォーラム」が今年度から続けられている。11月10日は第4回。
 町での経緯をおおざっぱに書けば、昨年7月まで「残土を受け入れない」と言っていた町長が9月には「受け入れを前提に協議したい」と言ったことから町は騒然となる。
 その残土受け入れ候補地Aは民有地、Bは町有地で、町は町有地に要対策土を置く可能性を探っているということだ。
 だが、井澤氏はその候補地が国の重要湿地のひとつ「美佐野湿地」であるはずなのに、なぜ、町がそれを公表しないのかを常々疑問に思い、果たして、環境省に確認すると確かに「重要湿地」であることが確認された。つまり、町は住民にその情報を伏せていた。
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 そのスクープ記事のあと、朝日新聞も後追い取材をして記事にしたことで、町は一気に関心を集め、11月10日の第4回フォーラムでは、フリー記者も含め11社がフォーラム会場に集まった。町が、なぜ、重要湿地であることを伝えていなかったかを説明するとの触れ込みだったからだ。

221110 御嵩町第4回フォーラム

●美佐野湿地の定義
 だが、第4回フォーラムでは、当初のテーマである「盛土の構造」と「二重遮水シート」の有識者からの説明と、JR東海との意見交換があったにせよ、肝心の湿地についての町からの説明が始まったのは閉会の10分前。ほとんどだれも質問できないままでフォーラムは終わった。
 だが、この説明会場は町の施設だから、その場にいた町長が「延長しましょう」と言えばできたのに、町長は何も言わなかった。
 その10分間の説明とは、
★「盛土候補地の一部に重要湿地を含むが、湿地の希少種であるハナノキやシデコブシの群生地は盛土計画から極力避けられていることを確認した」
★環境省からは、2016年に、御嵩町を含む県東部から愛知県にまたがる広い範囲が、ハナノキなどの希少な植物が群生する「東濃地域湧水湿地群」との説明を受けたが、盛土候補地の「美佐野ハナノキ湿地群」の具体的な位置は示すことができないため、美佐野地内にある「シデコブシやハナノキといった湿地林構成種が集中的に分布している場所」と考えてほしい、との見解が示された。
★候補地にかかる希少種については、JR東海は、幼木を移植する方針。

●「候補地は、重要湿地の隣接地です」
 希少種が集中的に分布している場所が美佐野湿地。ということは、盛土はできない。
 閉会後、メディアは渡辺町長を直撃し、囲み取材を実施。
 驚いたのは、井澤記者の「(盛土候補地は)重要湿地との認識はありますか」との質問に、渡辺町長が、盛土候補地は「重要湿地の隣接地です」と断言したことだ。
 このフォーラムは、その話し合いの結果いかんでは盛土しないこともあると町長は以前から言っていたが、重要湿地を、「湿地の隣接地」と言い切るということは、そこを重要湿地を認めたくないからだ。認めれば一発アウト。盛土はできなくなる。

221110 御嵩町第4回フォーラム 閉会後の町長囲み取材

 また2016年に環境省が町周辺が「東濃地域湧水湿地群」であるとの見解を示したが、そのなかで「美佐野ハナノキ湿地群」の具体的な位置を示さなかったことに対し、別の記者が「では、その具体的位置を知りうる立場の町は環境省に問い合わせをしたのか」との質問に町長は「そこまで気が回らなかった」。
 同席した町の担当者も「希少種があるのでその地図は見せられない」。
私「でもあなたはその地図を見ていますね」
担当者「見ています」
「では、どれくらいのシデコブシやハナノキが影響を受けるかも見ていますね」
「一部には」
井澤記者「何本中、何本が影響を受けるのか」
「今、何本が影響を受けるかを調べている」
私「そんなの地図を見ればわかるじゃないですか」
「希少種だから地図は見せられないが、皆さんに示したい」
井澤「重要湿地を壊そうとしているのに、何をおっしゃっているのか」
町長「壊そうとしていない。重要湿地から外れて計画している」
職員「移植も考えている」
井澤「移せませんって」
職員「いつ頃移すかを、有識者と確認してやっていくのが町の立場。それが移せないというのが立証できれば、JRの移植はできないということになる」
私「フォーラムはあと2回しかない。それまとまるんですか」
職員「今年度、フォーラムは終わっても、住民からの質問にJR東海が応えられない項目があれば、来年度も、フォーラムではないにせよ、住民との議論の場は続ける。いついつまでに終わらせるという期限はない」
井澤「なぜ閉会10分前で湿地の説明を始めたのか」
町長「住民はもっと早くからこの件で質問をしてくるのかと思っていた」
私「何言っているんですか。司会者がテーマを決めて、質問を仕切っていたではないですか」
ほかの記者「もっと早く質問が来るのかと思っていたい、ということは、では、司会者がいても、ルール違反をしてもいいということですね」
町長「…」
井澤「町長はなぜ残土処分にこんなに前向きなんですか?」
町長「前向きじゃない。ウェルカムじゃないって言ったでしょ。こんな嫌なことはやりたくない」
 もっと書きたいことはある。たとえば、有識者が大学の講義のように淡々と説明するだけで、静岡県でのJR東海と有識者とのやりとりのように、「そこは違う!」「ここをなぜ説明できないのか!」「ここは次回までの宿題!」といった、厳しさがないのだ。いわゆるいい先生たちなんだけど。
 また、住民も礼儀正しい。疑問を遠慮せずに質問する人もいるが、議論に不満なら、閉会後にワーと町長に詰め寄るくらいのことがあってもいいのではと個人的には思う
 ということで、12月か1月に第5回フォーラムがあると思いますが、本当に、第6回をもって
フォーラムが終わるのか?静岡県の有識者のJR東海に対する厳しい姿勢を見ていると、突っ込んでいかない御嵩町での有識者の礼儀正しさにどうしても物足りなさを覚えてしまう。

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