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樫田秀樹

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御嵩町・第2回「リニア発生土置き場に関するフォーラム
 おそらく、リニア計画の全ルートのなかで、住民が直接JR東海に質問できる初めてのフォーラム、「御嵩町発生土置き場に関するフォーラム」の第2回が8月11日に開催された。
 とはいえ、フォーラムと呼ぶほど、町、JR東海、住民、学識者とがリズムよく丁々発止で議論するには至っていない。今回は特殊事情として、第1回目でファシリテーターを務めた学識者の一人がコロナ濃厚接触者になったことで欠席。代わりに、フォーラムを構成した某コンサル社員が司会を務めたが、慣れていないのか、会場を仕切ることができなかった。
220811」リニア御嵩町フォーラム JR東海職員JR東海職員

 私がこのフォーラムに着目するのは、リニアの要対策土は今まですべて「仮」置きで、「恒久」置き場は一つもない。御嵩町が最初の「恒久置き場」になる可能性がある。産廃もそうだが、出てきた産廃は誰かが適切に処理しなければならない。要対策土も、出てきたら誰かが管理しなければならない。だが課題は
★1 果たして、それをJR東海が恒久的に安全に管理できるのか。住民の多くはそこに疑問を抱いている。
★2 盛土することで生態系が劣化・消滅しないのか。
★3 土砂崩れが起きないか?
★4 住民と町長との信頼関係が強いとは言えない、ことだ。
 
 フォーラム開催に至る背景と、その第1回フォーラムについてはブログに書いたので、そちらで参照を。

●町の立場
 町の立場としては、
★リニアが通る都県が「リニア建設促進期成同盟会」に加盟し、その各県にも「リニア建設促進○○県期成同盟会」があり、そこでは各市町村が(静岡県の場合は未知)その下部組織として位置づけられている以上、御嵩町もリニア推進の立場である。
★その御嵩町から出てくる要対策土を、町外にもっていけ、と言える合理的理由がない。
★フォーラムでは要対策土の「安全性を確認する」。それが確認されなければ、受け入れないこともあり得る。
 これは立場上の理屈としてはわかる。だからこそフォーラム開催には一定の意味がある。

●静岡県との違い
 静岡県も従前から「リニアに反対する立場ではない」と公言しているが、「その実現のためにも大井川の減流問題、生態系保全の課題、360万立米もの盛土を河川近くに置くことの問題を解決しなければならない」と、実際に、もう8年以上もJRと妥協なく話し合っている。話し合いに期限がない。その話し合いもオンラインで公開される。撮影は自由。そして、県民の多数派が川勝知事を支持している。
 対して、御嵩町も「リニアに反対する立場ではない」。だが、静岡と違うのは、
★フォーラムは単年度で終わる。JR東海が第1回フォーラムで「1年後にトンネルを掘る。その残土処分計画である環境検討書を県に提出する予定」と話したが、その時期と一致する。
★フォーラムでマスコミが撮影できるのは頭撮りと閉会後の囲み取材だけ。
★町長への住民の信頼度合が見えない(少なくとも、フォーラムを見る限りは)

●「住民理解なければ要対策土を町外に運び出す、とは言っておりません」
 テーマは「自然環境の保全。生活環境への影響」。以下、簡単に報告。
 フォーラムの冒頭では、第1回フォーラムで寄せられた質問にJR東海が口頭で回答した。その主だったものを紹介すると…
(1)JRとのやりとり
★質問2 なぜ町が恒久的な要対策土置き場となるのか?
▲回答2 町外に持ち出すと、1日、約500台(往復)の残土運搬10tダンプが町内を走ることになる。その影響低減のためには、掘削する坑口近傍の場所が望ましい。
★質問5 「住民の理解が得られなければ、要対策土を町外に持ち出す」と発言されたことを確認したい。
▲回答5 私たちが地元自治会では「そういう選択肢もあるが、現時点では考えていない」と回答した。「持ち出す」とは言っていない。

 当然、この回答にその場で質問の手が上がる。
 ある男性住民が求めたのは「情報」だった。
「私たちには情報がない。JR東海が町長と議会に説明した内容を私たちは知らない。ここで私が要請するのは、各自治会でのJR東海の説明会ではいつもマスコミがシャットアウトされる。マスコミを自治会の説明会に入れるべきだ」
 彼がこう述べたのには理由がある。
 御嵩町にはいくつかの自治会があるが、このうち、盛土の影響を受けそうな自治会での説明会で、JR東海の担当課長がこう発言したというのだ。
――自然由来の重金属であれば、(盛土から浸出して生活用水に混じっても)、水を飲んでも大丈夫。盛土には遮水シートがなくても大丈夫です。
 なかなかのトンデモ発言である。
「もし、マスコミがその場にいれば、彼の言葉は公然のものとして公表される。つまり、マスコミがいると、住民をだますような発言はしないと思うのです」
 JRはこれに対して「ご要望は検討する」と回答した。

●要対策土の「一時保管」は3年間
 この日、JR東海は、初めて資料のなかで、要対策土の「一時保管」をすると説明した。これは、恒久的な要対策土の盛土造成には時間がかかることから、その前に、アスファルトを敷設した地面に要対策土を盛り土して、そこにブルーシートを被せるというもの。期間は3年間。
220811リニア御嵩町 要対策土の一時保管←要対策土の一時保管のイメージ図

 この件で、閉会後の囲み取材で私は「その一時保管する盛土には、通常の盛土のように排水管を敷設したり、汚水を集める漲水地も設置するのか?」と尋ねたが、回答は「検討する」というものだった。
 この件は、おそらく、今後も住民からの厳しい追及があるはずだ。

 ちなみに、囲み取材のときに、記者の何人かがJR東海の職員の元に集まると、上記「汚染水を飲んでも大丈夫」と発言した課長は「広報を通して!」とさっさと裏口から逃げてしまった。こういう態度がよくない。だが残った職員が実直に回答してくれたことは付記しておく。

(2)町とのやり取り
 また、第1回フォーラムでも見られた町への不信感はまだ払拭されず、第2回でも、住民は町に質問を投げた。
町の幹部が「まずJRの提案が安全かを確認する。そのうえで結論を出す」と受入れありきではないことを強調すると、住民からは「じゃ、町長からも受入れありきではないと言ってほしい。町長の議会での記録は『ありき』じゃないですか。『ありき』を正してほしい」
 ここで渡辺町長が興奮気味に話しだした。
220811リニア御嵩町渡邊町長←渡邊町長

「少なくとも、『受入れ前提』との言葉をつけたのは、広く議論をしてほしいから。情緒的に受け入れ拒否すべきではない。私が受入れ前提と言ったから、こういう場がもてるようになったのですよ」(会場から「え~!」)
「私が、受け入れ拒否をしていたとき、町民は誰一人として応援してくれなかった。『受入れ前提』と言って初めてノーという人が出てきた。先ほどから聞いていると、JRや学識者の先生が答えたことに、また同じ質問をしている。人の話をもっと聞くべきです。説教はいいから、不安があるなら、科学的に具体的に説明や質問をしてほしい。私もそれで納得しないとnoと言えない」
 そして、「もう終わりましょう! (2時間の予定を)1時間半もオーバーなんてだめですよ!」と、司会者を差し置き、閉会宣言をしたのだ。
 私ならずとも、住民に対して情緒的ではいけないと言っているその本人が、イライラする様子を隠さないのはいかがなものかと思う。
 もちろん、それで住民は「町長がそんなこと言っちゃだめだ!」と納得するはずがなく、その後もしばらく議論は続いた。

(3)学識者の説明
 フォーラムの目的は、毎回テーマを決めて、学識者による第三者的な説明をしてもらうことだ。
 今回は、岐阜県立森林文化アカデミーの玉木一郎准教授が「里山の希少樹木の保全」をテーマに30分ほどの説明を行った。
220811リニア御嵩町フォーラム 玉木准教授

 その説明を凝縮すると以下のようになる。
★御嵩町には、シデコブシとハナノキという岐阜県の絶滅危惧Ⅱ類に分類されている植物が群生している。盛土予定地はまさにその土地。
★その個体数が少ない上に、更新がうまくされていない(若木が育たない)ので絶滅が危惧されている。
★もし残土置き場になるとすれば、成木の移植は現実的ではない。コストがかかりすぎ、定着しない可能性が高い。稚樹や実生の移植が現実的。
★でも移植はベストではない。移植したら、そこに違う遺伝子を持っていくことになる。

 JR東海は、この説明に「玉木先生とさらに相談させていただきたい」と語ったが、問題は、このフォーラムは次回第3回のテーマが「トンネル発生土の地質」と決まっている。果たして次回、住民の前で、玉木准教授とJRのやりとりが展開されるのだろうか?中途半端で終わりはしないか?
 JR東海は、静岡県の「生物多様性」の協議でも、初めから「代償措置(移植)ありき」で話を進められているが、県の専門家からは「それは最終手段だ。まずは回避、そして低減に努めるべきだ」と念を押されている。静岡では、JR東海は否が応でも回避・低減策を打ち出さざるを得ない。果たして御嵩町ではどうなるだろうか。その道筋が全く見えない。

(4)第6回で打ち切り
 今回のフォーラムで不可思議だったのが代役のファシリテーターとなったコンサル社員の仕切りだ。何度もこう発言した。
いろいろな質問があると思いますが、町への質問は第6回フォーラムでまとめてしていただきます
 第6回フォーラムとは最終回だ。当然、憤る住民が手を上げる。
「そこで初めて質問をして、シャンシャンで終わらせるの?そんなのフォーラムのやり方じゃないよ」
 だからこそ、住民はその都度その都度質問をしている。おそらく、次回も住民は遠慮なく町に質問をする。そのたびに町は「また同じことを質問している!」との姿勢を見せるのか。
 これを払拭するのは、「受入れありきではない」とでも書いた念書を各自治会とむすぶことも必要なのかもしれない。
 私は町の「受入れ前提ではない」を疑う立場ではない。むしろそうであることが健全だと思う。だが、そういう話し合いにもっていくに必要な信頼関係の熟成が足りなく思う。

(5)自治会の怖れ
 盛土によって影響を受ける自治会がいくつかある。
 その一つ「次月(しづき)自治会」からの訴えは切実だった。
 「住民の理解がないと要対策土は町外に持ち出す」とのJR東海の発言は、その次月でのものだった。次月の男性が発言した。
「次月の説明会参加者はみな質疑応答を聞いている。『そんなことを言っていない』では逃げる会社と思ってしまう。3人も説明会に来ていて、知らなかった、覚えていないと言われると、何のための説明会だとなってしまいます。言ったんですよ。みんな聞いているよ。で、JRは信頼に値する企業なのかな」(会場、拍手)
「だから紳士的に対応してほしい」
 これに対して、JR東海は「あの、あの、誠にもうしわけございませんとしか申し上げられない。皆さんのいうことを違うと言うのではなく、そのとき、その説明をしなかったかもしれない。ただ、我らの真意は、盛土の安全性をこのテーブルについてしっかり説明させていただくことです」と説明したが、信頼関係は相当に難しいと思う。

 次月自治会は、2022年1月13日に渡邊町長に、盛土計画への「反対」を決議したことを伝える要望書を出している。
220113リニア御嵩町次月 要望書

 その理由は、★地震時の土砂崩れで、次月が水没するかもしれないこと、★下流のMさん宅がその直撃を受けること、★ハナノキとシデコブシなどが絶滅する、★川の水は農業用水や飲料水として利用されるが、それが汚染されること、★遮水シートでは汚染を防げないこと等々。
 次月に行かなければ。またしても取材経費が掛かるが、そう思った。
 熱海の土石流を引き起こした杜撰な盛土は5・5万立米だが、次月の近くには、民有地と町有地の2か所で90万立米もの残土が置かれる。住民に不安になるなというのは無理だ。
 町が、JR東海が次月の、そして町の住民と今度もどう対峙するのか注視したい。

(6)取り扱い注意文書
 じつは、フォーラム閉会後、ある住民から、本人曰く「取扱注意文書」をいただいた。
 2017年から、町長とJRとがどういう打ち合わせをしてきたかを克明に記した文書だが、おそらく、これを読んで整理してまとめるには丸二日はかかる。今、その時間がないので、その整理は後日の宿題としたい。だがチラと読んだだけでも、町が従来から抱えていたもう一つの問題の解決とのセットで要対策土の受入れを考えていたのか? とも読める。ただ、今軽々しく書くべきではないので、後日。

●最後に盛土予定地の今
 私は一度だけ、盛土の予定地を歩いている。その時の写真を何枚か掲載します。

籠橋まゆみさん(生物分類技能検定2級)によるハナノキの胴回り測定←籠橋まゆみさん(生物分類技能検定2級)によるハナノキの胴回り測定。2m越えもある。

御嵩町の盛土造成地は国の重要湿地←御嵩町の盛土造成検討地は国の重要湿地でもある。

盛土予定地にはハナノキが群生している←盛土検討地にはハナノキが群生している。

御嵩町の盛土造成予定地にはさまざまな植物がある
籠橋さんは盛土予定地にあるすべての木の胴回りの記録をつけている←棚橋さんは湿地のすべての木に番号をつけて記録をつけている。「こんなに重要な湿地は他にはありません」。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


月刊「世界」2022年9月号(リニアの静岡県の動向を整理した拙稿を掲載)


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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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