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樫田秀樹

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●やむなく1000坪の土地を手放した…

 JR東海が目標とする2027年のリニア開業はもう不可能だ。
 それはJR東海がいうところの「静岡県が着工を認めないから」だけではなく、むしろ、他の都県で工事が遅れに遅れているからだ。
 もっとも遅れているひとつが、神奈川県相模原市緑区の山間地の鳥屋地区に建設予定の「車両基地」。これは遅れているという以前に、まだ建設契約すらされていない。そして、その工期が10年はかかるので、仮に今日から工事をしても完成は2032年。これだけで5年遅れだ。

鳥屋車両基地鳥瞰図

 車両基地は、長さ2キロ、幅350メートル、面積50ヘクタールという飛行場の滑走路にも匹敵する規模の大きさだ。これにより、鳥屋のなかの谷戸地区(約50世帯)の多くは立ち退きを強いられている。だが、谷戸地区以外でも、土地収用にかかる人たちは数世帯いる。

 その一人、江戸時代からの土地(約1000坪)に住むKさんは数年前までは「土地は売らない」と決めていたが、1、2年ほど前に、いろいろな事情で土地を売ることを決めた。新しい家屋は現在地から数キロの土地で9月に竣工予定だが、Kさんは新居が完成したとしても、実際の工事が始まるその日まではこの土地に住み続けると決めている。

220409 鳥屋花見パーティ1←正面で立っているのがKさん

 市民団体「リニア新幹線を考える相模原連絡会」は毎年、このKさんの敷地で、リニア問題を話し合ったり、皆で歌を歌ったりの懇親会でもある花見集会を実施しているが、Kさんが土地を売ると決めたため、誰もが昨年の花見集会が最後と思っていた。だが、Kさんがその日まで住み続けると決めたことで今年の開催が実現した。
 1000坪の敷地には桜が咲いている。ヤマモモも咲いている。数年前までしていたという茶畑もある。きれいな小川も流れている。素晴らしい場所だ。環境教育の一環として毎年地元の小学生が訪れる。
 この場所がコンクリートの塊になる。もちろん、それが人の幸せに直結する工事であればやむを得ない一面もあるが、リニア計画自体が誰の生活の役に立つのか。それが不鮮明な以上、まずはその計画について地元住民と徹底した話し合いが必要であるのに、その形跡すらない。

220409 鳥屋花見パーティ3

 
●アンケートでわかった。一定数の住民はリニア計画に反対している。
 これは、日本人の国民性かと思うが、その地域で生まれ育った人間ほど、その地域で起こる様々な事案について「嫌だ」と思っていても、その声を出さない。出す人は稀有な存在だ。日本の地域社会は、正しいことを言ったか、間違ったことを言ったかでは評価されず、皆と同じことをするか言ったかで評価される。逆に言えば、皆と違うことをしたり言う人たちはつぶされる。もしくは、そういう実害がないとしても、そうなるのではと恐れている。
 鳥屋も例外ではなく、個人的に話を聞くと多くの人がリニア計画に反対、もしくは慎重になっているのに、表立って異論を口にする人はほとんどいない。だが、数カ月前、鳥屋の一住民が鳥屋の約600世帯に向けてリニア車両基地についてのアンケート調査を実施。回答は65通にとどまったが、なかなか面白い結果が出た。一部紹介する。

★A 車両基地建設(工事中、完成後)に伴う不安なこと(複数選択可。単位:人)
 ①工事車両の増加(50) ②工事車両からの排気ガスや粉じん(37) ③緑地の減少(37) ④歩行者・車などの交通事故(40) ⑤土砂災害(37) ⑥河川の氾濫(28) ⑦学校の環境悪化(30) ⑧ボイラーからのco2や大気汚染(28)
⑨電磁波(30) ⑩治安(13) ⑪情報が入らない(34) ⑫JR東海、市との協議経過が不明(39) ⑬その他(11)

★C 車両基地に期待することはありますか。

 ①ある(25)→ ▲雇用が増える、▲リニアが見学できる、▲観光客が来る、▲その他。

 ②ない(42) → ▲もともとリニア新幹線の必要性を疑問視しています。そんなに急いでどこへ行く? ▲子ども連の安全を第-に心配しています。 ▲事業について住民の間で十分な話し合いがあればいいが、そうでないと巌解や偏見などで住民同士が分断されてしまう。 ▲住民の分断や対立、気まずさ。 ▲水源で、水質が変わらないか。車輌を洗った汚水処理に問題はないのか。 ▲未来に対する市の具体的ビジョンがまったく見えない。工事中、完成後の鳥屋地区の状況がどうなるのか、どうするのか。地域の人口、年齢構成、住環境、交通、教育等がどのようになるのか具体的に想定し、その中で学校問題、交通問題等を討議すべきと思います。 ▲リニア建設の意義をどんなに強調しようと、それは地元が払うリスクや代償を払拭しうるものではない。そのような不安要素があること自体によって、住民に不穏が広がり、したくもない対立を余儀なくされることになる。 ▲等々

  ここで判るのは一定数の住民は、当たり前の感覚として、車両基地工事による環境破壊や地域分断を怖れていることだ。
 今、鳥屋の住民でほぼ唯一と言ってもいい、リニア計画への反対を表立って訴えているのが栗原晟さん(渡戸地区)だ。
 栗原さんの所有する山地も車両基地にかかるが、リニア計画に納得できない栗原さんは、2016年4月、その山地の約4000㎡を「リニア新幹線を考える相模原連絡会」のメンバーでもある11人の市民に借地権を設定する登記を行った。いわゆる土地トラストだ。
 この土地では今、市民団体や個人により「森カフェ」つくりが行われている。森を開墾し、大人も子供もあそべるステージやカフェなどを設置している。こういった「目立つ」活動だが、だからといって栗原さんが村八分に会っているかといえばそんなことはない。とはいえ、リニアについてご近所で話題になることもない。
 だからこそ、栗原さんはこのアンケート結果に「今までは、私以外の鳥屋の住民が、リニアをどう思っているのか皆目見当がつかなかったが、こうやって計画に不安を抱く住民が一定数いることがわかった」と、自分は一人ではなかったとの感覚を抱いたという。

220409 鳥屋花見パーティ2←Kさんの土地の一部はJR東海管理地として立ち入りが禁止されている。

JR東海は、品川から名古屋までに約5000人の地権者がいると想定している。おそらく、この9割以上は、やむなく、もしくは積極的に土地を売る。しかし残る1割未満、もっと控えめに1%が土地収用を拒んだとしても、それだけで50人だ。JR東海は本当に50件にも及ぶ「強制収用」(土地所有者を国に換える)や「行政代執行」を繰り出すのだろうか?
4月30日に長野県飯田市で、リニア長野県駅の建設予定地で土地収用を拒む住民の集会があるので出かけるつもりだ。

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