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樫田秀樹

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●お揃いのビブスは映える
 10月26日14時から田園調布住民ら24人の原告がJR東海を相手取り提起した「リニア工事差止裁判」の第1回口頭弁論が開催された。
 原告の多くは12時半には東京地裁前に集合し、13時からの裁判前ミニ集会の準備を行っていた。この日のために用意した「田園調布リニア工事差止め裁判」と印刷されたお揃いの緑色のビブスが遠くからでもとにかく映える。ビジュアル的な周知活動としては高く評価できる。

211026 田園調布リニア工事差止め裁判 地裁前ミニ集会1

211026 田園調布リニア工事差止め裁判 地裁前ミニ集会2

211026 田園調布リニア工事差止め裁判 地裁前ミニ集会3

211026 田園調布リニア工事差止め裁判 地裁前ミニ集会4

211026 田園調布リニア工事差止め裁判 地裁前ミニ集会5

211026 田園調布リニア工事差止め裁判 地裁前ミニ集会6

 実際の法廷では、2人の原告が意見陳述を行うが、ミニ集会ではそれに先立ち、その一人の小川優香さんがスピーチを行った。JR東海の姿勢を鋭く突いている。「説明というのは、相手の思いを汲むこと」という言葉には頷く。



●裁判長の立ち位置は?
 さて、法廷である。
 裁判長は小田正二判事。入廷して、原告と被告との準備書面や答弁書などの確認をしたあと、原告側の梶山正三弁護士が「一点だけ被告に聞きたい」と立ち上がった。

――10月14日に、被告は、(北品川非常口から)調査掘進と称して事実上の掘進を開始したが事実か。
「はい」
――その掘進は1日24時間、土日祝日もやると言われているようだが、いかが?
「現状確認していないので、回答するかどうかも含め、持ち帰り検討する」
――いつまで? 会社に聞けばすぐに判ること。回答しないならしないで、いずれにせよ早く回答してほしい。
(被告席にはJR東海の社員もいた。すぐ判ることではないのか…)
――7月19日の訴状提出から随分時間が経っている。被告から(まだ出されていない)準備書面を出す期日を裁判所に決めてほしい。
「12月末までには提出する」
 と、ここで原告代理人の樋渡弁護士が
――こちらの訴状の内容については、1カ月前に被告から「この内容で判りました」との回答を受けている。それなのに、あと2カ月もかかるのですか。
 と、ここで裁判長が発言。被告へのコメントを求めるかと思えばそうではなく
「原告の第1準備書には大深度法、地盤、シールドマシンの影響、損害など相当のボリュームがある。双方には、次回期日だけではなく、裁判所にどういう進め方をするかの意見を聞きたい。
――おっしゃっていることは判りますが、被告代理人は(リニア裁判が初体験ではなく、2016年に提訴されたリニアの事業認可の取り消しを求める)行政訴訟を5年間も担当しているんですよ。
裁判長「裁判所としては別訴については承知していない。まずは、審理の進め方を双方が書面で出してほしい」
 裁判長のこの裁きについて、ある傍聴人は「とりあえず公平にやろうとしている」という人もいれば「原告の疑問について被告に回答を求めなかった」と批判する人もいた。と、帰宅してから入った連絡によると、小田正二裁判長は、東京地裁に3年前の9月に赴任してきたので、もうすぐ異動になるかもしれないとのこと。次回期日(1月)は新しい裁判長を見ることになるかもしれない。

●意見陳述
 第1回口頭弁論で意見陳述をしたのは、田園調布に住む小川優香さんとKさん(男性)。
 小川さんはこう陳述した。
 小川さんは4人の子をもつ母親。以前は渋谷区の雑踏のなかで暮らしていたが、自然のある場所がいいとあちこち探し、多摩川も近く、カブトムシやヘビなどの生き物が住む林もある田園調布に移り住んだ。
 私はいろいろな裁判で東京地裁ではおそらく数百回の傍聴をしているが、小川さんのようなカラー写真入りの意見陳述書は初めて見た。そこには子どもたちが川で遊んでいる様子が写されている。

211026 リニア田園調布裁判 小川優香さん陳述書p2

 小川さんが意見陳述で訴えたことは、大きくは二つ。
1.酸欠空気の発生
シールドマシンは「気泡工法」では酸欠空気を発生し、NEXCOによる東京外かく環状道路(外環)の建設でも、世田谷区の野川では酸欠空気が湧き出した。同じことが多摩川で起これば、もしそれを「なんだろう」と子どもがのぞき込んだら死んでしまう。
2.陥没の危険性
 調布市では外環道でのシールドマシンで陥没事故が起きたが、今、周囲の地盤がトンネルの方向にすり鉢状にずるずる落ちている。トンネルから15m離れていても空洞が発生している。
 私の家は北側が国分寺崖線の崖下で、南側に多摩川左岸がある。地域は湧水が多く井戸もたくさんある。私の家はリニア・トンネルからわずか10m離れているだけで、ルート直上には老人施設もある。
 調布の報道で恐怖を覚えている。

 地盤はシールドマシンの振動に耐えうるのでしょうか? 実地検証は為されているのでしょうか? 私たちはJR東海から何も説明を受けていません。JR東海から聞かせられるのは「リニアルートには、外環道のような特殊な地盤がないから安全です」「すべて安全だとわかっているので追加調査は必要ない」という誠実さを感じられない言葉だけです。
 私たちの4人の子どもは長年の不妊治療の末、やっと授かった子どもたちです。それまで住んでいた渋谷からこちらに土地を探し、おおらかな自然の近いエリアにやっと手にいれた理想の生活です。事故が起きたら賠償すればよいという問題ではありません。命が失われたらお金であがなえるものではありません。
 (陥没事故で)シールドマシンの地上への影響なしという前提が崩れているにも関わらず、工事を強行しようとするJR東海の姿勢には悪意意外のなにも感じません。私たちの日常を、そして子どもたちの未来を脅かすのはもう止めてほしいです。

●自主ボーリングをしたKさん。
 次に意見陳述をしたのは、リニアルートの真上に住むKさん。
 Kさんの意見陳述で関心深かったのが、この裁判に間に合うように、Kさん自身が自宅の敷地(裏庭)のルート直上で深さ90mの、つまりリニアトンネルが通る場所までの、自主ボーリングを実施して、その結果を公開したことだ。

200925自宅裏庭で深さ90mの自主ボーリングを行うKさん

 Kさんの自宅の近くにはJR東海が行ったルート直上のボーリング地点がある。その柱状図は、Kさんのボーリングの柱状図とほぼ同じだった。つまり、JR東海も正しい情報を出したということだが、問題は、JR東海の調査では…(以下、★はKさんの陳述)

★各地層が水を含んでいるかの記述がなぜかありません。砂の層が水を含むと液状化現象を起こしやすく危険度が増すことは常識です。(今回の自主ボーリングでは)地下80m付近で水を含んだ砂の層が見つかっています。そこはシールドマシンが掘削する予定の位置に当たります。工事が進めばこの水を含んだ砂の層が削られ流出し、地表への影響が極めて高くなりとても不安です。
 この調査結果は自宅が地下帯水層の上に建っていることを証明しています。トンネル工事により帯水層が破壊されると、地盤の空洞化を起こし地盤沈下から家屋が傾くなどの影響が発生します。山梨県ではリニア実験線の工事で笛吹市の天川や上野原市の小さな沢で水が枯れました。もし家屋の傾きなどが発生すれば憲法29条の財産権、25条の生存権を脅かすことになるのではないでしょうか。
 (安全との)前提が崩れた法律(大深度法)の下での憲法の財産権を侵しかねないトンネル工事の中止を求めます。

 こう述べたあと、Kさんは、JR東海が住民への説明を放棄してきたことを強く批判した。
 JR東海は2015年、ルート周辺の家屋に「自宅直下をリニアが通過する」という旨の紙1枚のポスティングをした。Kさんはこのとき、人の土地を使う以上は追って丁寧な説明があると思っていたが、何もなく、そのことを忘れかけていた。
 実際、2018年、JR東海は大田区報に小さく説明会の告知をしていたが、ほとんど誰も気づかず、4月に説明会は実施されてしまった。

2018年 大田区報のお知らせ

後日それに気づいた住民は242筆の署名とともに「改めて説明会を開催して」とJR東海に要望したが、JR東海は拒否。そのまま10月に国交省から大深度地下使用の認可を得てしまった。

説明会の開催拒否は住民の権利の否定です。これは憲法31条が求める適正手続きの精神に反しているのではないでしょうか。住民への説明を極力避けて獲得した大深度地下使用の認可。その下で進めるトンネル工事の中止を求めます。


 原告は24人いるので全員が意見陳述をするわけではないが、次回(1月17日11時)も数人が陳述する予定。
 裁判後に報告集会もあったのだが、それを書くと、さらに長くなるので、割愛します。
 
 一点だけ感想を述べれば、大深度工事は、外環が全国で2番目で、リニアが3番目だ。(1番目は神戸市の水道事業で長さは300m弱に過ぎなかった。トンネル直径も数m)。その外環で振動、騒音、陥没などが起き、その同じ工法でリニア工事がされるのに、例えば、外環関連の裁判にリニア関連の住民が大挙参加するかと言えばそうではなく、リニア関連の裁判に外環関連の住民の参加も少ない。大深度でのシールドマシンの問題という共通項がありながら、まだまだ交流、協力に課題がありそうだ。

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住宅の真下にトンネルはいらない
←外環の工事の危険性を陥没前から訴え、陥没前に出版された著書。著者の丸山さんは、皮肉にも陥没現場のすぐ近くに住み、シールドマシンの影響で自宅にヒビが入っている。

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