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樫田秀樹

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●住民有志が国交省に「反論書」を提出する。 
 9月8日。大田区の住民(田園調布も)が国土交通省に充てて「反論書」を提出した。

200908「反論書」提出

 リニア計画が実現すると、田園調布などでは住宅地の真下をリニアが走行する。そのときにどんな「騒音」や「振動」があるのかはだれも予測できない。だが、事業者であるJR東海は「影響はない」として、住民の説明会開催要求には応じず、工事を断行しようとしている。
 住民たちはJR東海の「大深度」使用について異議を唱えてきた。今回の行動もその一環。

 以下、概要だけ箇条書きで。

★リニア中央新幹線は田園調布の真下を大深度で通過する。

★だが多くの住民はその事実を2018年まで知らなかった。

★JR東海は住民説明会は開催していたが、その周知はJR東海のHP(誰も見ない)や区の広報誌に名刺サイズで掲載されただけで、多くの人が気づかなかった。

★住民はJR東海に対して説明会の開催を要求。だがJR東海は「既に開催した」と取り合わなかった。

★大深度とは、おおざっぱに言えば、
①地下40メートル以深の地下空間、もしくは、
②建築物の基礎杭の支持地盤上面から10メートル以深  のどちらか深い空間。

★大深度法では、これだけ深い空間ならば「補償すべき損失が発生しない」から
 ▲土地所有者との事前交渉は不要
 ▲土地所有者への補償も不要(例外あり)としている。

★だが、40メートル以深とはいえ、『振動』や『騒音』などの被害がない保証はない。
 事実、大深度で工事をしている地下高速道路「東京外郭環状道路」の真上に住む住民からは「住宅が揺れる」との連絡をもらっている。その投稿はこちら。

★2018年10月。国交省はJR東海の大深度使用を許可

★2019年1月10日。「個人所有地の地下での無断のトンネル掘削は、憲法が定めた『財産権の侵害』に当たる」などとして、大田区など沿線住民約560人が、国交省に「大深度地下使用認可の取り消し」を求める「審査請求書」を提出。

190110田園調布住民、国交省へ

★国交省から、これら「審査請求書」への回答である「弁明書」が各審査請求書提出人に届いたのは、1年半近くも経った2020年6月1日。

★弁明書は、「JR東海は大深度地下工事を進めるにあたり、大深度法に定める保全措置を守ると約束している。地表への工事の影響も大深度工事ゆえにほとんど考えられない。審査人は具体的な論拠もなく、感覚的に被害が起きることを述べている。大深度地下トンネルによる地価下落についても、価値の下落はその時の経済的事情によるものである」と、JR東海の主張と同じものだった。

★弁明書に対する「反論書」の提出期限は9月15日。

★9月8日午前10時。住民有志は「反論書」を国交省に提出。午後には記者会見が開催された。

200908大深度「反論書」記者会見


★「反論書」のなかでも、田園調布に住み、まさしくリニアルートの直上に住む朝倉正幸弁護士の「反論書」は、単に大深度使用に対する反論だけではなく、リニア計画そのものへの詳細な反論が描かれていた。

200908朝倉正幸弁護士←朝倉弁護士。「まさか私の自宅の直下をリニアが走るとは。それから大深度法を勉強し、これは看過できない法律であると認識しました」

 反論書は長大なので、ここでは割愛。後日、その概略のみアップする。

●裁判へ
 記者会見のなかで注目したのが、住民が「止める手立てとして訴訟も検討中」と、裁判について言及したことだ。
 記者会見のあと、住民の一人、三木一彦さんに話を聞くと

★今回、「反論書」を出したが、おそらく、国交省は「再弁明書」を出し、住民が「再反論書」を出すのでは、時間の浪費になる。
★住民は「行政訴訟」で、国交省を相手取り、大深度使用許可の取り消しを求めていくことになる。
 「裁判をする確率は50%以上。いや、ほぼやると思ってもらっていいです」
★ただし、原告を集めるのもこれからの話。ただし弁護団は着々と準備しつつあるという。

 これで裁判は4つになる。
① 2016年5月に、738人の原告が提訴した「行政訴訟」。国交省にリニア計画の「事業認可取消し」を求めた。
② 2019年5月に、山梨県南アルプス市の8人の住民が提訴した「リニア工事差し止め訴訟」。JR東海が被告。
③ まもなく提訴するであろう静岡県民有志による「リニア工事差し止め訴訟」。JR東海が被告。
④ そして大田区などの沿線住民による「行政訴訟」。国交省に「大深度使用許可取り消し」を求めるもの。

 このほかに、リニアの各現場での取材。全部は追いきれないかもしれない。だがそれは、リニア計画に対峙する住民が徐々に増えていることを意味している。
 そして、自分のことで言えば、今年いっぱいは、一人での取材で頑張るが、来年あたりから、強い熱意のある人とならば「チーム取材」を考える時期に来ているかと考えている。

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