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樫田秀樹

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●静岡県が推薦した二人の有識者が国交省の「専門家会議」に入れなかったわけ
  前回のブログで伝えたのは、水循環に熱心な稲葉紀久雄・大阪経済大学名誉教授と蔵治光一郎・東大生態水文学研究所長とが、静岡県の推薦を受けながらも、国が「専門家会議」に入れなかったことだ。

 私は国交省鉄道局に電話をした。
――なぜ、県推薦を受けた稲葉氏と蔵治氏が除外されたのか? 専門家会議の委員に同様に知見を有する人がいるということか?
「そうです。稲葉さんなら、専門家会議の沖大幹さんが、蔵治さんなら、徳永朋祥さんが同じような知見を有していますので」
 と、じつにあっさりと答えてくれた。


●上程されなかった地下水保全法案
 日本には地下水を守る法律がない。だから自治体が頑張っている。2015年7月末時点で、38都道府県と656市町村が地下水を守るための条例を有している。
 前回のブログでも伝えたが、超党派の「水制度改革議員連盟」(以下、水議連)は,

★2014年4月2日 「水循環基本法」を議員立法で成立、公布した
 簡単に言うならば、水循環を維持するための施策を包括的に推進すると定めた努力目標的な法律(理念法)だ。
★8月1日 水議連のなかに「水循環基本法フォローアップ委員会」(以下、FU)が設置される。目的は「基本法のフォローアップを適切に行うこと」。
 委員は41名。全員が無償ボランティア。加えて、FU事務費も自己負担。座長は高橋裕・東京大学名誉教授。稲葉さんが幹事に指名される。
★11月20日。第2回会合で、水議連の中川俊直事務局長(当時。自民党)から「最も緊急性の高い地下水保全法案を次期通常国会で上程したい。法案作成を急いでほしい」との要望が入る。
 委員会終了後にこの日設置したばかりの「水循環政策分科会」の第1回会合を開き「地下水保全法案」の策定に着手する。
 ★起草委員会は6名。このうちの2名が、稲葉さんと蔵治さんだ
 藏治さんは、大井川に関する水問題に精通している人。市民向けの著書も多数出している。
 ★2015年1月。起草委員会では3つの案が出され、それぞれを話し合い、三好規正起草委員長が最終的にまとめた修正案が全員の同意を得て、法案が完成する。わずか2カ月での集中した作業だった。
 ★2月17日。FUとして法案を水議連に上申することが了承された。
 ★以後、法案について、各省庁や衆議院法制局から意見聴取を行うと、多数の意見が提示される。その代表的な意見が「地下水規制が関係省庁所管の公共事業(道路整備、鉄道整備、都市施設整備、治山・治水など)や既存の産業に支障をきたす怖れがある…というものだ。
 確証はないが、私は、多くの関係者から「これはリニアを意識しているに違いない」との言葉は聞いている。

 ここから、水議連の動きは急停止する。
 これ以降の説明はとても長くなるので、一切省略するが、FUは7月29日の第4回会合において(場所すらも水議連は用意しなかったので、自主開催)、水議連との関係を見直す必要があるので活動にピリオドを打つ、と宣言して解散となるのだ。

 そして、

●2016年3月22日、水議連に新FUが発足する。
 その座長を今も務めているのが、冒頭の「有識者会議」での委員でもある沖大幹・東大教授)である。

 ここから判ってくるのは、

★稲葉さんと蔵治さんとはFUのなかの「地下水保全法案・起草委員会」でともに法案つくりに邁進していた。
★その法案は関係省庁が「リニア工事への影響が出る」と捉えているのではと思われている。
★だが、新FUでは、未だに地下水保全法案の上程の様子はない。
★その座長の沖氏が今回の有識者会議の委員に就任している。
★ただし、新FUの地下水分科会の部会長は蔵治さんであることから、同じFUから二人の委員は要らない…として国が除外した…との解釈は成り立たないわけではない。ただし、国交省は「沖さんと知見の重なるのは稲葉さん」と言っているので、その解釈も断定できるものではない。
★また、新FUでの沖氏の方向性、具体的には地下水保全法を上程する方向性があるのかについても確認したいところ。もし、それがないのであれば、稲葉氏と蔵治氏が外された理由につながる見方もできなくはないが、こじつけはすべきではない。あくまでも一つの見方として。
 
 近いうちに、新FUの方向性を確認したいと思う。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


←藏治さんの著書。「緑のダム」効果について科学的見地から述べられている。

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