「沖縄の米軍基地を引き取る」運動が少しずつだが浸透している。知事会が、地方議会が、マスコミが、少しずつ動いている。

　ちょっと遅れての報告。沖縄での問題をジブンゴトとして考えてもらうために投稿します。

　先日、ネットニュースに「動き始めた「本土」への沖縄米軍基地引き取り運動。「ヒトゴト」から「ジブンゴト」へ」と題した記事を執筆。

　内容をごく簡単に書けば

●いわゆる「本土」には、「沖縄の米軍基地を引き取ろう」との市民運動がある。主な目的は
　★米軍基地を引き取る（特に普天間）ことで沖縄の負担を減らす。
　★沖縄で起きていることを「ヒトゴト」と思っているいわゆる本土の市民にジブンゴトとして議論してもらいたい。

　ですが、３年ほど前には全国に３つしかなかったこの運動も今では９つに増えた。

　で、４月６日、その一つ「沖縄の基地を引き取る会･首都圏ネットワーク」(以下、「引き取る・首都圏」)が集会を開催し、そこでは「引き取る」運動が各分野で少しずつ全国に浸透している様子が伝えられた。


●全国知事会が動く
7月27日、47都道府県の知事が集まった全国知事会が日米地位協定の抜本改定を求める『提言』を全会一致で採択した。

　提言とは
★「事件・事故時の自治体職員による迅速で円滑な基地立ち入りの保障」
★「騒音規制措置の実効性のある運用」などを盛り込んでいる。等々
従来は、米軍基地を抱える15都道府県が地位協定の改定を日米両政府に要請したものだが、基地のない自治体も含んだ全会一致の採択が画期的。


●地方議会が動く
★岩手県
　3月25日、岩手県の達増拓也知事が「県議会は、『沖縄県民投票の結果を踏まえて辺野古埋め立て工事を中止し、沖縄県と誠意を持って協議を行うことを求める意見書』を可決。岩手県議会から日本政府に提出されます」とツイートすると、県議会としては全国初の決断に約7500の「いいね」があった。

岩手県議会では、「沖縄県民投票の結果を踏まえ、辺野古埋立て工事を中止し、沖縄県と誠意を持って協議を行うことを求める意見書」を可決。岩手県議会から日本政府に提出されます。

— 達増拓也 TASSO 幸福保障・希望郷いわて (@tassotakuya) 2019年3月25日

★東京都小金井市
　小金井市議会は昨年１２月、１市民（沖縄出身）からの「普天間飛行場の辺野古への移設計画の即時中止を」との陳情を賛成多数で採択し、加えて、（本土への）移設問題を全国で議論することなどを求める意見書を、賛成多数で可決。

★東京都小平市
小平市議会は、今年２月２５日、やはり沖縄出身の１市民からの同様の陳情を賛成多数で可決。

★東京都武蔵野市
　ちょっと古いが、2015年12月、武蔵野市議会が「辺野古での基地建設反対」を趣旨とする「地方自治の尊重を政府に求める意見書」を採択。

★長野県中川村
　2015年12月、中川村議会でも同様の採択。


●市民運動
　2016年では引き取り運動は全国に３つほどしかなかったが、現在は9つにまで増えた。


●マスコミ
　2016年頃、マスコミは引き取り運動をあまり報道しなかった。どちらかというと、異端視していた。
　ところが今年3月17日、『毎日新聞』が「基地引き取り」について電話による世論調査を行った。その結果は「辺野古埋立てには反対多数。だが、米軍基地が自分の街に移設されることにも反対多数」というもの（やっぱりね。詳しい数字は記事を見て下さい）。

集会のパネラーの一人で、朝日新聞社会部デスクの谷津憲郎さんが驚いたのは、その数字よりも「かつてはありえなかった、全国紙の世論調査の項目に『引き取り』が上がったこと」だ。


●引き取りの理論
　少なくとも「引き取り」運動の理論は正しい。
　数年前の共同通信の世論調査では、9割近い住民が「日米安保」を是認していることが判った。つまり「米軍基地の駐留を認めている」。ところが、上記アンケートのように、是認する人たちは「自分の街には米軍基地は来てほしくない」と思っている。つまり「沖縄に置いておけ」ということだ。これは矛盾であり、沖縄への差別の意識の表れだ。
　「引き取り」運動をやると決めた人たちは「米軍基地が自宅の近くにできてもいいのか」と自問自答した末に結論を出している。ジブンゴトとして考えている。この点では十分に評価されていい。

　一方で、辺野古や高江での座り込みやカヌー抗議などの「基地絶対反対運動」もまた私は否定しない。だが「基地絶対反対」派には「引き取り」運動を「欺瞞だ」と思う人が少なくない。沖縄の基地を本土に移すのは、「本土に新基地を建設する」と同義だからだ。「基地絶対反対運動」の目的は「どこにも基地はいらない」＋「基地をなくす」ことにある。
　だが、「引き取り」運動もやがては米軍基地をなくす点ではじつは目的は一致している。そのプロセスが違うだけ。だから私はどちらも否定しない。両者が徹底して話し合う公開討論会などがあれば面白いなと思う。

　←←←←　「引き取り」運動に関わる人たちが2019年４月10日に発行したばかりの「沖縄の米軍基地を『本土』で引き取る！」

沖縄の米軍基地　「県外移設」を考える
　←←←←　高橋哲也・東京大学大学院教授が書いた引き取り論。わかりやすい。

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