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樫田秀樹

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 8月下旬から2週間ばかり海外にいたため、まったくブログを書くことなく過ごしていましたが、そろそろ日本のペースに戻らねば。

 久しぶりにリニア関連の投稿です。
 リニア取材に関しては、一言でいえば、取材資金が尽きたので、ここ数カ月は遠出をすること自体を自粛せざるを得ない状況でした。ただ最近の動きで、取材経費だけは出してくれる組織が現れ(ありがたい)、かつ、来年の単行本出版に向けて、その取材資金獲得のためにクラウド・ファンディングなども準備しつつあり、そろそろリニア取材に復帰する予定です。

 さて、本日書くのは、先日の9月14日に開催されたリニア裁判です。

口頭弁論11前の街宣

田園調布も参加←あの田園調布の地下をリニアが走る。住民がそれを知ったのはやっとこの夏のこと。すぐに住民組織を立ち上げた。詳細は後日。

今回ほど、傍聴席から何度も笑いが起きた口頭弁論はありませんでした。

 裁判長は、おそらく被告(国)と参加人(JR東海)に悪い印象をもっているのでしょう。肝心なことが被告からは一向に明かされない。 しびれを切らしたのか? で、原告側に「モワとしたご主張を」と…。

●原告適格者は誰なのか?
 傍聴席からは何度もこらえ切れない笑いが起きた。
 と書いている私も笑ってしまった。

 9月14日14時半、東京地裁で開かれた第11回「ストップ・リニア!訴訟」口頭弁論。
 傍聴席はいつも通りに満席。相変わらず高い関心を示している。

 今回の口頭弁論は、原告側弁護士が、いかにリニアの許認可が違法に行われたかを説明したものだが、要点だけ書くと以下のとおり。

 本ブログでも何回か書いているが、裁判所は原告側に「原告適格者」をはっきりさせてほしいと要望している。
 本裁判の原告は700人以上いるが、裁判所はそのうち、この裁判を本当に訴えられる人は誰なのかを特定してほしいと原告に要請している。
 たとえば、ある原告が北海道に住んでいるのなら、リニアの工事や運行で何ら被害は受けない。また、リニアが運行されてもそれに乗ることがなければ、リニアとは何の関係性も持たないので、原告適格はない。
 一方、リニア工事で、家や田畑の収用が予定されていれば、間違いなく原告適格はある。
 
 これに対して、原告側は「そのためには、まず、被告側(国とJR東海)とが、確定したルート路線図と確定した施設の形状、そして、残土運搬ルートを明らかにすべき。それが明らかになった時点で、正確に、『立ち退き予定者』『排ガスや騒音の被害者』『日照障害を受ける家屋』などがはっきりする」と訴えてきました。
 
 例えば、ある人がリニア工事の非常口近くに住んでいた場合、目の前の道路を残土運搬車が通るかもしれない。その場合は、騒音、排気ガス、振動、交通渋滞などの被害を受ける。この場合は原告適格がある。通らなければ、原告適格性は薄れる。

 だが問題は、JR東海がそういった運搬ルートは未だに明らかにしていないことだ。
 原告側は、それらルートや施設の形状が、そもそもわかっているからこそ計画を立てられたはずなのに、未だに公表しないのはいかなる理由なのかと訝る。

 原告側弁護士はこの点について被告に対して準備書面で「明らかにせよ」との質問を行った。

 だが、返ってきた準備書面には「補正評価書に掲載されている」との回答。

 だが、補正評価書のどこを見てもそんな「具体的なルートや形状」はどこにも書かれていない。

 つまり、被告にはこの点について回答する意思がない。

 そして、今回、裁判長はこの点について原告側弁護士と以下のやりとりを交わした。
(メモに基づいて書いているので、すべてを書ききれてはおりません)


●傍聴席からの失笑

古田孝夫裁判長「原告適格者について、今のところ明らかにするつもりはないですか?」

関島弁護士(原告側)「私どもは以前から、参加人(JR東海)のつくる施設の形状や範囲を『特定してくれ』と書面で求めてきた。これに対し

て、JR東海と国は『仮定した施設を基に評価書を作成した』と回答してきた。じゃあ、どういう仮定の施設かを明らかにすべきと準備書面16で主張してきたのに、今回の被告側の準備書面の回答でもそれがない。JR東海は『仮定した施設は補正評価書に書いた』と主張するが、どこにも書いていない。これでは議論が進まない」

古田裁判長「これまでの被告の主張・立証活動を拝見すると、今回の事業認可は相当に抽象的な工事計画の認可だとの印象はある。まあ、それはそういうものとして、それを争うのならどういう利益があるかを整理していくしかないと思う」

関島「でも環境影響評価法は抽象的でいいとはどこにも書いていない。JR東海だって『仮定の施設』を基にアセスをしたと言っているんだから、仮定のものでもいいから明らかにすべきではないですか」

古田裁判長「仮定をしたと言っても、本当に具体的な仮定ではなく『モワとしたものを前提としてつくられた評価書』との印象をもっている。それを前提とした認可であれば、どの程度の範囲の方々に争う資格があるかをお考えをまとめていただくしかないのでは」

関島「だから、参加人が、『モワとしたもの』だと認めればいいですよ」

古田裁判長「あの、認めるというか、被告側の、今までの主張内容からいくと、そうとしか思えない。(傍聴席爆笑) 具体的なものが出ていないので、しょうがないと思うけどどうでしょう」

横山弁護士(原告側)「じゃあ、原告適格者もモワでいいのでは?」

古田裁判長「そういうことであれば、国側から反論していただければ」

横山弁護士「そのモワで、こんな大工事の認可をしてしまっていいのか?

古田裁判長「そこは法解釈だと思う」

関島弁護士「認可と法解釈とが混合している。国は全幹法でいいんだ、全幹法は計画のアウトラインでも認められるんだとの前提ですが、環境影響評価法はそうではない。どういうものを作るかはっきりしないと、どういう影響を与えるのかもはっきりしなくなる。その点は、裁判所が参加人にどういうものを仮定した上でどういう評価をしたのかの釈明をさせるのが裁判所の役目」

古田裁判長「全幹法は、環境影響評価法(1999年完全施行)の前の法律。それまではモワとした認可でよかった全幹法のあとにできた法律でも、なおもそういう理解でいいのかとの問題意識はもっている。今までの国の主張・立証がそれでいいかは検討する。それは、原告、被告双方の主張が出たところで、主張整理をやろうとは考えている。その先の証拠調べの前提として原告適格はある程度の見通しは持ちたい」

関島弁護士「参加人(JR東海)はルートも明らかにしていない。たとえば、車両基地建設予定地(神奈川県相模原市)で原告の栗原さんがしている土地トラスト運動でも、その地下がルートに該当するかについての回答もない。ルートが通らないのなら通らないと言うべき。通るのなら、どこを通るのかを言うべき。それを言えるのはJR東海以外にいない。それを回答しないのがおかしい。裁判所が釈明を求めるべき」

(ここで裁判官3人が小声で何事かを10秒間ほど話し合う)

古田裁判長「わかりました。現段階で、土地所有者や立木の所有者が何人かいるが、それに限っても結構なので、それを前提として、国がその方々の原告適格をどう考えるかを、そのイメージを大枠でもご主張いただけますかね?」

被告「(無言)」

古田裁判長「要するに、土地所有者と立木の所有者に限ってということでよろしいですかね?」

関島弁護士「その数は多いけど、それ以外にも土地を取られなくても、日照被害が出るかもしれない。ルートを特定していただくことで、その路線から何メートルのところに原告が住んでいるかも特定できるということを言っている」

古田裁判長「ちょっとでも関係ありそうな方は広めに拾い上げていただくことでもいいかもしれませんけどね。ルートがよくわからないところがあるんで、そこはしょうがないので、広めに…」

関島「何回も繰り返しますが、JR東海はどこにルートを通すか決まっている。でないと計画が進まない。ルートを出さない方が不思議。参加人が答えられるべきこと。それが決まれば、私たちは土地や住まいがどう関係するかも特定できる。そして、残土の運搬ルートもほとんど特定されていない。そういう意味ではもっと広い範囲で影響が拡散する可能性があるから、裁判所が原告適格者を『絞れ』と言われても、特定は不可能

古田裁判長「可能性のある方は、もうすべて広めに特定していただいてよろしいでしょうか? そのうえで3類型ーー地権者、立木所有者、生活被害者ーーの特定を原告にしてもらって…、これどれくらいかかりますか?」

関島弁護士「ルートをできるだけ特定してもらって、原告の土地や住まいとの関係を詰めていただいた方が、無駄な作業が省ける。抽象的な段階で特定すれば、アバウトな話になってしまう。できるだけ特定して原告適格の議論をした方がいい」

古田裁判長「でも、こういう状態で、抽象的にしか司法としては明らかになっていない。これはやむをえないと思う。それを前提に、この人はこの利益を主張をするという内訳を出していただくということで…」

関島弁護士「少なくとも、リニアの施設が(土地や家屋に)当たるのか否かの認否だけはしていただかないと」

古田裁判長「そこは自ずとそういう形になると思う」

 以下、略。

 裁判後、弁護士の一人はこう説明してくれました。

「裁判長は被告に相当に悪い印象をもっている。当然です。具体的な回答を一切しないのですから」

 それが果たして被告に厳しい判決に結びつくのか、それとも、これだけノラリクラリとした対応をしても、被告は裁判には絶対に負けないと思っているのか。

 以前も書きましたが、古田孝夫裁判長は、このリニア事業同様の大型事業の案件ーー東京外郭環状道路の関連道路の建設が違法だと訴えたものーーを扱ったことがあり、このときに「整備の必要性があるとした都の判断が合理性を欠くとは言えない」との判断を下しています。

 リニアの判決も同じ趣旨、つまり、「国の判断が合理性を欠くとは言えない」と言ってしまうのか? それでも付け足し程度でも、「国とJR東海との情報公開は杜撰であった」との意見をつけるのか。 いい判決も出している裁判官なだけに、なんとも予測ができません。

口頭弁論11後の報告集会2  口頭弁論11後の報告集会1 ← 裁判後の報告集会。1都6県の市民団体の代表がパネラーとして登壇。問題点を整理した。

 傍聴者の幾人もが口にしたのは、なぜ裁判長は被告に対して「原告が求めている、施設の形状、確定したルートをなぜ出さないのか」との質問をしないのかということです。
 しかし、これも、おそらくは来年くらいから始まる証人尋問などで、原告と被告との直接のやりとりで明らかにされると期待したい。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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