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樫田秀樹

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●急にクローズアップされた長野県南木曽町の水源

 今年になってから、長野県南木曽町の「妻籠水道水源保全地区」の保全が急にクローズアップされています。
 同地区は、1999年、妻籠地区で隣接する2つの湧水水源を保全するため、周囲の山林約85ヘクタールが「保全地区」として指定された大切な水源です。その湧水は、妻籠地区、そして三留野(みどの)地区の一部の359世帯878人に供給されています。

 なぜ、ここが今年になってから急にクローズアップされたのか。その経緯は町のHPで以下のように説明されています。コピペします。

4月 6日・・・・・JR東海から長野県知事に対して、「水道水源保全地区内行為事前協議書」を提出
4月25日・・・・・環境審議会諮問(長野県庁にて開催)
5月31日・・・・・第1回専門委員会(長野県庁にて開催)
7月 5日・・・・・第2回専門委員会(南木曽町役場にて開催)
8月29日・・・・・第3回専門委員会(長野県庁にて開催)

 この4月6日の「水道水源保全地区内行為事前協議書」の「行為」とは、もちろん、妻籠の地下を通過するリニア・トンネル工事のことです。
 この背景には「長野県水環境保全条例」の存在があります。

●条例の存在 

 長野県には、水道水源を保全するための「長野県水環境保全条例」が1992年に制定されています。この条例に基づけば、「業者は県との事前協議が必要」と定められています。
 JR東海の4月6日の動きはこれによるものです(なぜ、これを環境アセスメントの時点でしなかったのか)。
 そして、「事前協議書」の提出を受けた知事は、市町村の首長と環境審議会に意見を求め、計画に「同意するか、しないか」の判断を求めることにしています。
 制定以来、条例が適用されるのは、今回の妻籠でのリニア工事が初めてとのこと。
 今後の予定としては、

9月・・・・・・・環境審議会中間報告
10月・・・・・・・第4回専門委員会
11月・・・・・・・環境審議会答申     となっています。

●「代替水源でよろしいのでは?」
 
 妻籠ではもちろん住民は水枯れを望んでいないわけです。7月27日、読売新聞は以下のように伝えています(概要)。この記事が概況を知るにはいいかと思いますが、読み飛ばしてもけっこうです。

――引用ここからーー

★リニア掘削工事「水がめに穴」…住民に危機感
「水がめに穴を開けるようなもの」と危機感を募らせる住民に対し、「影響は小さい」と強調するJR。非常時には、町の人口の3分の1の生活を支える貴重な水源をどう守るのか。揺れる町の現状を探った。
「地域の貴重な資源に対し、破壊的な行為になり得る。今からでも計画を中止するか、ルートを変更する必要がある」
 町役場で7月5日に開かれた県の環境審議会の専門委員会で、住民が意見を述べた。

 非常時には高低差を利用し、562世帯1325人にまで給水範囲を拡大できる。2014年に三留野地区の梨子沢なしざわの取水施設が土石流災害で被災した後は度々、非常時給水が行われるなど「大きな役割を果たした」(町建設環境課)。町は通常時で1日当たり最大477トン、非常時で718トンの水量が必要と試算する。
 リニア本線は、保全地区の中央付近の地下深くを東西900メートルにわたって横断する。保全地区にかかる二つの工区のうち、中央アルプストンネル山口工区(約4・7キロ)は、早ければ今秋にも岐阜県側から掘削が始まり、保全地区は20年1月の掘削開始を見込む。
 水源までは直線距離で390~440メートルだが、JRは「トンネル内に湧出する地下水があっても周辺の限られた範囲にとどまり、浅層の地下水への影響は小さい」とする。
 一方、周辺は断層が集中することがわかっており、「(トンネル工事では)状況により集中的な湧水が発生し、一部の地下水の水位に影響する可能性がある」ともしている。
県環境審議会専門委の富樫均委員(県環境保全研究所専門研究員)は「影響がないとするならもっと詳細な根拠が必要。固い岩盤の亀裂などを通じて湧き出る水があるかもしれないことを考慮すべきだ」と指摘する。
山梨県のリニア実験線周辺では実際に水枯れが発生した。町はそうした事態に備え、代替水源を確保する具体的な方法をJR側に提示するよう求める方針だ。向井裕明町長は「妻籠の水を現状のまま保全してもらうのが第一だが、町を代表する立場として、万が一の時の対応も譲れない」と強調する。

――引用ここまでーー

 環境審議会の専門委員は5名。
 『法律』『土木工事』『地質』『地下水』『水道』の専門知識を有した方々です。
 審議会の立場は、あくまでも今回のトンネル工事に技術的見地から「同意するかしないか」を出す立場です。
 これまでは、町にもJR東海にも「データが足りないので、トンネル工事で水源が枯れるかの判断ができない」として追加資料の提出を求めていて、今回、8月29日に長野県庁で「第3回専門委員会」が開催されました。l私はこれを傍聴しました。

長野県第3回環境審議会環境審議会。テーブルを囲んでいるのが審議委員。一番向こうにいるのHが真柄委員長。
 
 大雑把な話の流れとして、委員からは、町には「二つの水道は水源を同じくするのか?」、JR東海には「資料の地図上で破砕帯と割れ目集中帯とに分ける基準は?」など、もう少し情報の精度を上げることを要求していました。
 しかし、審議の最後で、真柄泰基(まがらやすもと)委員長(水道専門)からこんな言葉が。
「もし二つの水源が両方枯れても、他の水源で補完できるのかも検討されてはいかがでしょうか」と、町に対しての代替手段を呼びかけたのです。
 西垣誠委員(地下水専門)も「私も委員長と同意見。ここがダメならここがあるよの目安を作ってみてはいかがでしょう」
 知事への答申が出るのは年末ですが、この意見で早くもその結果が見えたような気がします。
 素人が考えても、地下水脈のなかを直線走行すれば地下水脈が断ち切られることは往々にあることなので、委員たちは、それに備えた準備をと提言したと言えます。

●「まずは水源を守りたいです」

 閉会後、関係者がバタバタと帰り支度をするなか、私は向井裕明町長に挨拶し、以下のことを聞きました。

向井裕明町長←向井町長

「JR東海は地下水源への『影響は少ない』と言っていますが、そうは言ったって不確実性はあるわけです。審議会の答申を知事が受けるわけですが、それでも、JR東海は町の了承を得てから着工することになっているので、トンネル工事をさせるかどうかの最終判断は町長である私の判断になります。国が事業認可した以上、町はリニア計画に反対する立場にはありません。それでも町民の貴重な水源を守る義務がある。初めから代替水源ありきで考えるのではなく、町にもリニア対策協議会があるので、そこでも徹底してこの問題を話し合います」

 やはりいつかは南木曽町に行って取材をしなければ。
 今回の一件は、長野県水環境保全条例の初適用であるだけに、県の本気度も試されるところです。でも、県の対応はもう結果が見えているかな…。

★じつは、この工事ではもう一つ重大な問題があります。それは、南木曽町の隣、岐阜県中津川市の「山口」工区から南木曽に向かってトンネルが掘られるのですが、これがなぜか県境を越えて南木曽まで掘ることになっている。
 これは今回の審議会では話し合われませんでしたが、町にすれば、一つの工事区域で、2つの工区と2つの工事事務所をもつというヘンテコな話になっている。これも、後日、書きます。

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