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樫田秀樹

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●長野県からの意見陳述

 2017年6月23日、第5回「ストップ・リニア!訴訟」口頭弁論が東京地裁で開かれました。

170623裁判前の集会


 今回の意見陳述は「長野県」からです。
 一人が、南アルプスのトンネル掘削の最前線にいる大鹿村釜沢集落で自治会長を務める谷口昇さん。もう一人が「飯田リニアを考える会」の米山義盛さん。

意見陳述した谷口昇さん 意見陳述した米山義盛さん最初が谷口さん、次が米山さん。

 谷口さんには現地で何度もお会いしていますし、米山さんとは3月の阿智村と松川町を取材するときにご同行いただき、松川町での残土処分予定地にまで案内をしていただきました。
 意見陳述はお二人合わせて45分もあるので、ここでそのすべては書けません。幸い、他のサイトでお二人の意見陳述書のコピーを公開されているので、その全文についてはこちらをご覧ください
 
 また、信濃毎日新聞がよくまとまった記事を出したので、それはこちらをご覧ください

 ただ、今回の裁判が「JR東海は環境影響評価法33条に違反している」というのが争点の一つである以上、それと関連したご発言を谷口さんの意見陳述から紹介します(概要)。

「釜沢地区の除山非常口は、環境調査の結果、当初の予定を変更して設定されたものですが、平成25年(2013年)の準備書の段階では、他の場所は改変区域から600mの範囲で食政党が調査されていたのに、ここだけは改変区域から200m程度の範囲しか調査されませんでした。その後、平成26年度(2014年度)に長野県知事の意見等を受けて600mの範囲で調査されましたが、その結果を待つことなく評価書は確定し、(国から)認可がされております

「大鹿村は、県道59号線(中央高速道「松川」ICと大鹿とを結ぶ道)の完全二車線化や国道152号線(大鹿村内のメインルート)を迂回するルートを求め続けてきましたが、具体的な計画が決まらない段階で環境影響評価書が確定し、国の認可が下りてしまいました

 これは、不安とかではなく「事実」です。この事実を裁判所がどう判断するのか。

 そして、意見陳述の最後をこう締めました(要約)。

「3つの事項の確実な実施を求めたいと述べております。
1 地元住民等への丁寧な説明を通じた地域の理解と協力を得ることです。
2 国土交通大臣の意見を踏まえた環境の保全です。
3 南アルプストンネル等の安全かつ確実な施行です。
 JR東海は、これら条件を無視し、自分たちの思うように早く工事を進めたいと考えているとしか思えません。JR東海が不明瞭な説明しかしない理由は、JR東海自身も盲目的にこの事業を進めているのか、それとも公表すると都合の悪い事実があるからではないかと思います。(中略) 説明にならない説明しかしない、まともに調査する気もない、住民の意見も聞かない、国土交通大臣が出した条件についても全く不誠実な態度を示す、このような事業者が実施する事業は百害あって一利なしであり、即刻白紙撤回すべきと主張いたします」

 また、大鹿村からは今回5人の方が上京されて裁判を傍聴したのですが、裁判後の記者会見で、谷口さんは以下のことを伝えました。

「釜沢から村の中心部に行くために朝の8時に出勤する人たちがいるんです。でも、もうその時間で、向こうからガンガン、ダンプやトラックがやってくる。本日も28台のダンプが連なっていましたが、JR東海は『地元の人を優先して通す』と約束していたのに、全然道を譲ってくれません。僕たちは苦しい。でもJR東海は『理解してください』と言うだけですが、それは僕には『我慢してください』にしか聞こえないんです

裁判後の記者会見。手前から谷口さん、米山さん。


 以前、本ブログでも、大鹿村の前島久美さんが「準備工事の今の時点で、すでに道路わきをダンプやトラックがたくさん通るので、騒音や粉塵に悩む家がたくさんあります」と話したことを伝えましたが、これがもし、数年後、本当に一日最大で1736台もの大型車両が通行するようになったらどうなるのか。
 でもそのときになって、リニア賛成派の方々は「これはなんだ!」とは言えません。
 私が数年前に泊まった大鹿村のある宿泊施設の主人は「リニア工事はやるべきだ。村が潤う。反対派はそこんところを何も考えていない」との持論を展開してくれましたが、でもその宿泊施設のすぐ前を大型車両が騒音、振動、排気ガス、泥はねを起こしながら通るかもしれない。私ならもうあそこには泊まらない。あそこの経営は危なくなる。そのときにもう反対は言いにくいだろうなあ。

 それにしても、この準備工事の段階で実害が出ている以上は、二次情報ではなく、やはりこの目で確認したなと思います。


●裁判の争点
● 今回の裁判の争点の一つは、前も書いた通り、「どういう施設をどういう構造で造るのかが、不特定かつ不明瞭。それが特定されないアセスは違法。まず、どういう施設ということで事業認可したのか、それを明らかにすべきだ」ということです。
 それは前回の第4回口頭弁論で、裁判長も被告の国に対して提出を求めましたが、今回、国は「工事認可申請書」を出してきた。だが、中心弁護士の一人である関島保雄弁護士に言わせると「そこに添付されている平面図や立面図を見てもまだ非常に抽象的。保守基地、車両基地もどんな建物なのかが依然わからない。それが認可されたということは、不完全なアセスが認可されたことになる」

 もう一つの争点は「事業認可までの一連の手続きのなかで瑕疵があれば、事業認可は違法になる」との見解です。
 これについては、今回、裁判長が「そういう前提でいいのか」を確認したところ、国は同意しました。
 もちろん、瑕疵があったとまで認めてはいません。
 原告としては、リニア建設は全幹法に基づいていますが、鉄道事業法に定められた建設に必要な4要件(安全性、経済性など)がない。だがリニアは、鉄道事業法に基づいての建設ではないので、全幹法の適用であれ、それと同等のことをやらないと認可の違法に結びつくという理論ですが、国は全幹法でも裁量権のなかで合理的にやってきたので瑕疵はないとの理論です。

 裁判の最後に、裁判長は「かならずしも鉄道事業法にこだわらなくても、全幹法適用だとしても、実勢がどうであったかの議論でいいのでは? よろしくお願いします」と、その中身を議論しようとの提案のような発言をしたのが印象的ではありました。
 裁判後の記者会見でも、関島弁護士も、「我々にすれば、(事業認可までの経緯が)どんな中身だったのかが問題。今後、詰めていく」と、いよいよ前向きな議論ができるとの見解を話していました。


●キーポイントは残土

 さて、もう一人の意見陳述者の米山さんは、その意見陳述のざっと3分の2を「残土」に焦点を当てました。大鹿や松川町を含めた長野県の伊那谷では昭和36年(1961年)に、豪雨によるいわゆる「さぶろく(36)災害」で甚大な被害を出し、死者と行方不明者だけでも136人を数えました。
 こういう場所の沢筋に残土を置いていいのかと訴えたのです。
 
 今回の裁判は行政訴訟。はっきり言って、過去の行政訴訟で勝った事例はほとんどありません
 裁判後の報告集会で、公共事業の裁判などに詳しい五十嵐敬喜氏(弁護士、法政大学名誉教授)は「行政訴訟の問題は、ほとんど勝てないこと。行政訴訟での裁判は、理屈をはるかに超える。裁判所と国の代理人とが一体化しますから」と発言。
 一方、講演をしたジャーナリストの斎藤貴男さんはこう述べました。
「行政訴訟の意義は大きい。確かに行政訴訟は厳しいが、裁判官によってはそうでもない。住基ネットでも50件の裁判が起こされ、ほとんど負けたが、金沢地裁と大阪高裁とで「違憲」判決が出た。これが住基ネットのネットワーク化を遅らせたのも事実です」

ジャーナリスト斎藤貴男さんの講演←斎藤貴男さん

 
 そこでリニア裁判の争点が多々あるなか、河村晃生原告団長が強調するのは「残土問題はJR東海のアキレス腱だ」ということです。
 というのは、各地の自治体はリニア計画に賛成せざるを得ませんが、その土地に生きる住民にとっては、すぐ上流に大量の残土を置かれることは冗談ではなく、本ブログで報告したように、すでにいくつもの自治会が残土計画にNOを突き付けています。
 詳しくは本ブログを読み返してくださいませ。

裁判後の報告集会いつもながら大勢の人が裁判後の報告集会に集まる。

 そして、もしかしたらですが、残土計画に反対を言うだけではなく、そもそも残土をもちこませない自治体の条例つくりにまで市民が力を出せるかが見えてきそうです。その刺激となる視察ツアーを企画中です。
 書きたいことは多々ありますが、時間が足りません。
 本日はこのへんで。

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