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●「財政投融資」を巡る報道の整理

日本政府が大阪までのリニア早期建設のために「財政投融資」を活用することはすでに報じられています。

 財政投融資は「財投機関」(政府系の特殊法人)にしか融資をすることができません。

 その原資は、国が発行する「財投債」という国債です。2015年度で約14兆円を発行しています。

 「財投機関」の一つに、これまで整備新幹線などを建設してきた「独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構」がありますが、支援機構は金融機関ではないので、財政投融資で資金を得たとしても、それをどこかに融資することはできません。

 だから、これまで私は、支援機構が財政投融資で資金を得ても、融資ができない以上は、JR東海が支援機構にリニア工事の発注をかけて、支援機構がリニアを完成させた後、その施設を譲渡されるか貸与されるかで、その代金を数十年に渡って支援機構に返済するしか方法はない・・と考えていました。

 ところが! 政府の考えているのは、この支援機構を「融資」のできる組織にすべく法改正しようというものです。早ければ参議院選後の臨時国会でそれを審議するかもしれない。

 と、ここまでは、既に報道されていることです。

●財投債を誰が買うのか?

では、そもそも、支援機構が受け取る財政投融資の原資はどこから来るのでしょう?

 以前、本ブログでも書きましたが、財政投融資を理解するには、「2000年度までの制度」と「それ以降の制度」を理解しなければなりません。
 これについては、本ブログの記事を読んでください。

 ごくごく簡単に書くと、2000年度までは、私たちの郵便貯金、簡保、年金はすべてが大蔵省(当時)の資金運用部に全額預託され(数百兆円!)、資金運用部は、その原資を「財投機関」に融資していたのです。

 ところが、これにメスを入れたのは橋本龍太郎内閣で、2001年度から、郵便貯金、簡保、年金を資金運用部に自動的に預託することは禁止されました。
 そこで始まったのが、大蔵省が発行する「財投債」です。一種の国債です。これで得た資金を、財政投融資の新たな原資にするというものです。

 とはいえ、突然の制度変更では、財政投融資の原資が集まらないため、2007年度までの7年間は「経過措置」として、とりあえず、ゆうちょ銀行などがこの「財投債」を購入していました。

 では、2008年度からは? 原則的には「ゆうちょ銀行」が自動的に、義務的に財投債を購入することはなくなりました。

 ここでミソなのが「自動的には・・」ということです。つまり、その後は、郵便貯金をどう運用するかはゆうちょ銀行の「自主性」に任されているわけです。

 では、今、ゆうちょ銀行は「自主的に」郵便貯金を何に運用しているのか?

●郵便貯金残高の45%は国債運用に使われている。

 こんな数字があります。

 ゆうちょ銀行の運用資産残高(2015年9月末)205兆円のうち、国債は92兆7736億円。
 つまり、国債運用だけで45.2%あります。

 ところが判らないのは、この国債のうち「財投債」をどれだけ買っているかです。
 財投債は2015年度で約14兆円を発行。

 私は「独立行政法人 ゆうちょ銀行・簡易生命保険管理機構」に電話をして、問い合わせましたが、

「国債を特に色分けしているわけではないので、『財投債』購入にいくら使ったかのデータはありません」

 とのことでした。

 次いで、財務省理財局財政投融資総括課にも電話。

「誰が財投債を買うのか。これは誰が投資家であるかということなので、私たちもそこまでは立ち入っていません。財投債の商品性は『国債』です。財投債もひっくるめて国債として発行し、その原資が入ってきてからの振り分けなので、把握できません」

 確かに言われてみれば、国債は銀行窓口でもゆうちょ窓口でも「xx年国債」として売られてはいますが、「財投債」としては売られていません。
(ちなみに、ここで書いているゆうちょ銀行の財投債購入とは、あくまでも、ゆうちょ銀行がその膨大な貯金残高を自主運用していることで書いています。個人が窓口で買い求めることでは書いていません)

 つまり、財務省とすれば、国債はあくまでも「xx年国債」とだけの色分けをしているのであり、それが売れてから、原資の一部を財投債の予定額に振り分けるということです。だから、わからない、と。

  少なくともわかっているのは、財投債もひっくるめた国債のうち、ゆうちょ銀行はその約2割を保有しているということ。かんぽが約1割なので、両者を合わせると、約3割となります。

国債保有者2012←ちょっと古いデータですが、「三菱東京UFJ銀行」にこんなデータがありました。

 これが単純に、財投債も同じ比率で購入していると仮定すれば、ゆうちょ銀行とかんぽでは、2015年度には約4兆円の財投債を購入したことになる。
 もちろん、国債は銀行窓口でも売られていて、また、銀行も貯金残高を国債購入で運用していることも書き添えておきます。

●責任ある貯金者に
 過去、財政投融資からの融資で実現した事業には、少なからぬ市民が反発するものがあります。

 例えば、もんじゅ、大型ダム、長良川河口堰、その他大型公共工事、ODAのなかでも環境破壊的な事業(インドの火力発電所など)へと利用されたのです。そして、それらを運用する財投機関がそれら事業で得た収益の一部が、私たちが受け取る郵便貯金の利子でもあったわけです。

 つまり、環境破壊反対!を叫ぶ市民にしても、じつは、貯金という行為を通じて、環境破壊に携わっていたわけです。

 これは銀行貯金も同じことで、銀行貯金は流れに流れて、その一部はアメリカ国債を買え支え(おそらくその残高は100兆円を超えている)、その膨大な金が、あの巨大赤字国家アメリカに、数十兆円もの戦費を使わせたアフガン戦争やイラク戦争の原資となっている。

 つまり、私たちは、貯金という行為で、その後の環境破壊事業や戦争を起こすことを「白紙委任」しているのです。

 財政投融資でリニアを建設する。

 それは、換言すれば、郵便貯金やかんぽなどの残高から、銀行貯金から資金を提供するということです。
 そして、もし、リニアが将来営業して、JR東海が利益を生み出せば、その利益の一部が、郵便貯金や銀行貯金の利子となって戻ってくるということです。

 もし「ペイしなかった」ら? そのときは、国税投入かもしれません。

 そのことと、この「責任ある貯金」については次回書きます。郵便局や銀行に頼らずに、自分たちの金融機関を作った市民団体が今全国に20弱ほどあるはずですが、貯金したあとのお金の運用を意識することは、今後の市民運動にはとても大切だと思っています。

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