リニア誘致のダシにされる園児

●子どもを巻き込むリニア誘致

　小さな子どもを巻き込むのはやってはいけない手口だ。
　リニア誘致と園児との間にいったい何の関係があるのだろう。
　名古屋以西でリニアが通るであろう奈良市には、リニアを誘致するためのゆるキャラ、リニア招き鹿「りにまね」がいる。
　ところが、この「りにまね」、市の全保育園・幼稚園を回って、電車のクイズを出したり、リニアの歌「りにまねのうた」に合わせて、子どもたちを踊らせたりしている。

　←　facebook[リニア招き鹿：りにまね」から。

　その映像が数十秒間だけだが、インターネットにあった。
　
「リニアを奈良市に招いてんねん」「リニアを楽しみに待ってんねん」といった歌詞を、何も知らないから楽しそうに踊る子どもたち。

　たとえば、３月４日の「りにまね」のフェイスブック（ＦＢ）には以下のことが書かれている。

２月２7日（金）は、都南保育園のおともだちに会いに行ったよ！
みんなおりこうさんにリニアのお話を聞けたね！
みんなとハイタッチしたり、ダンスを踊ったりしたよ。
楽しかったね。
帰り際に、おともだちが手作りのペンダントとお花をくれたよ！
大切にするね。ありがとう！


　「りにまね」の保育園や幼稚園の訪問記録は「りにまね」のＦＢを参照されたし。


●絵の展示
　さらに子どもたちが描いた「りにまね」の絵は、奈良市リニア推進課の「リニア新駅を奈良市に」と題して、市役所正面玄関で展示された。写真は「りにまね」のＦＢから。



　「りにまね」のＦＢにはこう書かれている。

ぼくの顔がいっぱいだ～！
保育園や幼稚園のお友達、イベントなどで出会ったみんなが、ぼくの塗り絵を塗ってくれたよ。とっても素敵に塗ってくれていて、ぼく、とっても嬉しいな！
塗り絵展示は、奈良市役所正面玄関１階で、23日（金）15時までやっているよ！みんな、見に来てね！

　何も知らない子どもたちがダシにされている。
　
　奈良市民から「そのやり方、間違っている」との声は出ていないのだろうか。


●ちなみに原子力開発でも

　これで思い出すのが、２０１１年５月（原発事故の２か月後）に訪れた茨城県東海村にある原子力資料館「東海テラパーク」。ここには、数多くの学校が見学に訪れては、子どもたちがその感想文を書き、それが展示されていました（今はわからない）。
　原子力に限らず、どんな問題でも、一方的な意見だけを押し付ける、もしくは教えるのは、正しくない。
　自分の頭で考えて結論を出す。
　だが、小さな子どもたちにその経験をさせずに「これがいいんだ」と言えば、子どもは信じる。
　大人は責任をもたなければ。
　写真の感想文では、子どもは「原子力は心配ない」と書いてある。



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