リニア、これはありえる話なのか？

●取材拒否

　去年だったか、私自身はＪＲ東海から取材拒否されました。
　と過去形で書いていますが、もしかしたら現在もそうかもしれません。なので、そのうちいくつかの質問をＪＲ東海に投げてみて、それで相手にされるかどうかを確認してみます。

　私の場合は、ＪＲ東海の広報部を通さずに、各都県にある環境保全事務所に直接連絡をしたことがルール違反だとされたようです。つまり「広報部だけが唯一の取材窓口だと知っていたはずです」と。でも、そんなルールなんて知りません。
　だから、住民説明会でＪＲ東海が投影する説明用資料の最後に、質問はこちらにどうぞと明記している環境保全事務所にコンタクトしたにすぎません。
　もっとも、そのとき、私が自分の身分を明かさなかった・・・・こともルール違反だと言われました。
　私は環境保全事務所に連絡したときに、自分の身分、つまりジャーナリストであると明かしたと思うのですが、絶対に確かな記憶はないので、そこらへんは断言しません。

●知人の実例

　ところが、先日、私の知人のフリージャーナリスト、仮にＡ君、も似たようなことを経験しています。
　ある週刊誌に本当に小さくリニアのことを書いたら、ＪＲ東海本社から数人がその週刊誌に「ご説明」にやってきました。
　Ａ君の場合も、私同様に、広報部を通さないで取材をした、環境保全事務所への電話で身分を明かさなかったというのがＪＲ東海の主張です。
　びっくりしたのはその後のことで、なんと、Ａ君は、その週刊誌で、今後リニアのことは書けない・・・というオチではなく、その週刊誌そのものから締め出されてしまったのです。
　しかも、Ａ君は、その週刊誌で短期連載をしている最中でした。その連載も途中で打ち切りです。
　これはいくらなんでもやり過ぎです。

　これは、ＪＲ東海というよりも、本来、一緒に記事を作った編集部こそがライターを守るべきなのに、守らないどころか追放という手段に出たことに、私はなんともいえぬやりきれなさを覚えます。
　何のための報道なのかと。


●消えた編集長

　話がいきなり横にそれます。
　Ａ君を放逐した週刊誌では、以前、なんと前編集長がクビになったことがあります。
　セクハラの疑いがもたれたからです。この真偽は分かりません。
　ただ、私は、その編集長が以前違う雑誌の編集部にいたときに担当になってもらったことがあり、そのときの印象ではとてもではないけれど、セクハラを起こすような人には見えませんでした。

　ただ、ふと思い出したのは、この編集長は、クビになる前に、原子力ムラについてのスクープを連発していました。核開発する側の組織が、住民の反対運動をいかに潰してきたかのマル秘文書を手に入れてのスクープでした。

　国会議員の菅直人氏が首相だったとき、３．１１での原発爆発事故を受けて、浜岡原発を停止させたのはまだご記憶の方も多いでしょう。
　ところが、いわゆる菅降ろしが始まったのは、そのあとからです。野党もマスコミも「いつまで首相の座に居座り続けているのか」との批判を連呼したのは記憶に残ることです。

　なぜ、マスコミがいっせいに菅降ろしに走ったのかの断定はできませんが、全編集長のセクハラ疑惑でのクビといい、何かが匂う。
　
　Ａ君は、著名な人物ではありません。それでもここまで過敏に行動され、さらには、雑誌からの出入り禁止を告げられた。
　本当に小さな記事が、ＪＲ東海の「ご説明」という行動につながり、さらには、ライターを守るべきメディアが逆にライターを切った。
　こんなことがこれから続くのかと思うと、本当にやるせなくなります。

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