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樫田秀樹

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●リニア・パブコメは11月5日まで

 JR東海のリニア中央新幹線の「環境影響評価準備書」についてのパブリックコメントは11月5日まで受け付けています。

 特定秘密保護法案ですら、9万件ものパブコメが集まり、そのほとんどが反対だったのに、結局無視されたように、リニアのパブコメも油断はできません。

 しかし、どれくらいの割合で賛成者や反対者がいるかははっきりさせることができる以上、必要な手続きではあります。

 JR東海のHPから入力フォームがあります。

 https://jr-central.co.jp/public/opinion/input

また郵送もOK
 〒108-8799 高輪郵便局留 JR東海 中央新幹線環境影響評価準備書 ご意見受付係

 様式は自由です。


●こんなことがありました。

 リニアに関するパブコメはこれまで2回行われています。

★一つが、国土交通省・交通政策審議会の「中央新幹線小委員会」へのパブコメ。
 ここは、いわゆる専門家や有識者が中央新幹線計画を、2010年3月から2011年5月まで20回にわたり審議し、最終的には「中央新幹線は、南アルプスルートで、かつ、リニア方式が妥当」との答申を出します。
 いわば、小委員会は、今のリニア計画を公的に了承した組織です。

 ここには、888件のパブコメが集まり、計画の中止や再検討を訴えるものは648件。計画推進を望む声はわずかに16件でした。
 それでも小委員会は「計画は妥当」との答申を出したのです。

★もう一つが「環境影響評価方法書」に関するパブコメ。いってみれば、JR東海へのパブコメです。
 
 これは2011年秋に1042件が集まり、やはり、ほとんどが反対意見でした。

「電力会社が原発を誘致した方法に似ている」「スピードだけでは生活は豊かにはならない」「国民と地域住民への説明不足。『ご理解お願いします』だけですむ問題ではない」「地下水が枯渇する」「立坑建設で環境が破壊される」「トンネル内事故でどう避難するのか」「建設残土はどこで処理するのか」等々。

 これに対する、JR東海の回答は、「環境影響評価準備書の段階にまで詰めて、それから説明いたします」というものでした。
 ところが、その準備書でも具体的なことは書かれておらず、今度は「(計画が訓から認可された後の)工事説明会で説明します」とだまし討ちのような回答を続けているのはこのブログでも書きました。


 さて、最初の小委員会へのパブコメについて書いてみます。


●山崎誠氏の記録

 2011年5月12日、小委員会はリニア計画の最終答申案の決定を出すわけですが、その5日後の17日、当時、衆議院民主党議員だった山崎誠代議士が、国交省からリニアの検討状況についてレクチャーを受けています。
 山崎氏の記録によると、

ーーここからーー

 そこで明らかになったのは、4月22日から5月5日に行われた第3回パブリックコメントの結果が最終答申に全く反映されていないという事実。パブリックコメントでは888件の意見が寄せられており、反対意見も648件と過去最高の数に上っているのに、この結果が小委員会の委員に伝えられたのは、最終委員会開催日の前日5月11日の夕方。翌日12日には委員会が開催され、パブリックコメントの結果報告と最終答申案の決定がなされている。

 パブリックコメントに寄せられた反対意見は648件と数は多いが、多くが組織的な投稿であり、数はあまり重視していないとのこと。報告書では648件の反対意見が、前回、前々回から寄せられているとされるもの7つ、今回新たに加わったものが3つ紹介されているのみ。648件の意見がたった10に圧縮されているのはあまりにも乱暴。

パブリックコメントの原本に当たり確認しなければならない。

ーーここまでーー


 これを読むと、さすがに驚きます。確かに、インターネットでも公開されている小委員会に配布した資料には888件の意見はありません。そこで私は先日、国交省に問い合わせてみました。

1.なぜ、反対意見の「多くが組織票」であると判断なさったのでしょうか? 筆跡が同じとか、まったく同じ文章とかが散見されたということでしょうか?

2.パブコメの反対意見648件のうち、何件が組織票と見なされるのでしょうか?

3.なぜ、パブコメを小委員会の最終委員会の前日の夕方に送られたのでしょうか?

4.なぜ、888件のすべてのパブコメを小委員会の委員に見てもらわなかったのでしょうか。山崎報告が事実であれば、小委員会の委員はパブコメを読んでいないことになります。

5.パブコメの原本を閲覧することはできますか?


 数日後、これに対する回答が国交省から「電話で」来ました。

 以下、そのときのメモです。


●送信記録がない・・だって?

1と2への回答 
「パブコメは、インターネット、郵送、FAXなどで寄せられましたが、FAXのなかには、同じ場所、同じ対ミグで寄せられたものがありました。もちろん、筆跡や個人名も別でしたが、書きぶりが一緒でした。なので、私たちは『相当数の組織票がある』とみました」

ーー何団体くらいがそうだと判断されたのですか?

「888件のうち10%くらいに団体名が記載されていました」

ーーしかし、ある団体に属していれば書きぶりが似たようなものになるのは当然ではないですか?

「そうです。私どもはそれを除外するつもりはありません」

ーーでは、具体的に888件のうち何件が組織票と判断されたのですか?

「具体的な数は抑えていません。散見されたということです」


3への回答

「委員会を開くおりには、そのタイミングにあわせて資料を配布することにしていたからです」


4への回答

「また、パブコメには似たような内容もあれば、一人で何枚も書いているのもありで、代表的意見のみを委員に配布したのです」

ーーでは、委員は誰も888件の意見を読まずに審議したということですか?

「いえ、888件はPDFにして送付しています。いつのタイミングだったかは覚えていませんが」

ーーえ、パソコンに送信記録は残っているでしょう?

「送信記録はないんです。送ったという事実はありますが」


5への回答

「パブコメの原本は個人情報なので、お見せすることはできかねます」


 888件を記録したpdfを委員に送付した。

 これが本当であったとしても、888件を10件にまとめて送付した委員会の前日よりは送付が遅いはずなので、いずれにせよ、答申を出す前に、委員たちは誰も888件を読んでいないことになります。

 
 原発で揺れる地域では、パブコメに、推進側のやらせパブコメが多く集まったということが社会問題になったことがありますが、リニアの場合はそれがないだけましだと私は思っていました。

 ところが、反対意見が「内容が似ている」「同じ書きぶりだ」との理由で、そのほとんどを委員に見せなかったのは、ある意味、情報の操作だし、パブコメを書いてくれた国民への裏切りだと思います。

 ただし、今回、私の質問に答えてくれたのは、国交省の若い職員。ここまで答えてくれたことは、彼なりに何か感じているのでは・・と思いたい。

 JR東海に臨むのは唯一つ。
 パブコメは一件残らず公開してほしいということです。

 準備書の説明会は終わりました。
 しかし、私たちにはまだ「パブコメの提出」、「そのパブコメを基に、JR東海と審議に入る各地の環境影響審議会への真摯な審議の要請」「首長や知事への交渉」など、まだやれることがあるはずです。
 
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