リニアで消える相原高校

●リニアで消える相原高校

　リニア中央新幹線の神奈川県での中間駅は、ＪＲ橋本駅のすぐ近くに決定。おおかたの予想通りです。

　ただ、ここには農業高校である県立相原高校があります。駅から徒歩一分。

　ここが、リニア中間駅建設のために、数年後に移転されてしまいます。もし、リニアが着工されれば。

　前々から、相原高校は素晴らしい環境にある・・とは聞いていましたが、ＪＲ橋本駅に隣接した場所で本当に市民の憩いの場になるのか・・と半信半疑ながら訪ねてみると、本当に憩いの場でした。

　まず、近年は正門に鍵をかけて部外者を入れない学校施設が多いなか、相原高校は、メインの通路に限っては、誰でも自由に散歩ができるのです。それは素晴らしい並木道です。それ以外の場所でも、高齢者や赤ちゃん連れのお母さんなどの立ち入りも自由。

←見事な並木道。これがなくなる？

　相原高校は一九二二年（大正十一年）、地元の篤志家が農業後継者育成のために土地を提供したことから開設されました。
　翌一九二三年、関東大震災が発生。
　このとき、相原高校は、高校で栽培した約400キロもの野菜を被災者に届けるため、校長と生徒の自転車隊54名が横浜に向かいました。

　同様に、2011年３月の東日本大震災でも、帰宅困難者となった約800人を広域避難所として受け入れ、生徒たちが毛布を配りました。

　開校から約90年。10ヘクタールもある学内には菜の花畑が広がり、昭和初期から植林をしてきた林が育っています。

　牛やヤギなど家畜の飼育も盛んで、近隣の小学校や保育園などとの交流にも一役買っている。
　週に何度かは、構内や正門近くで生徒たちが、手作りの牛乳や野菜、畜産品などを売っている。






　この畑が、林が、憩いの場が、消える。

　私が絶対に変だと思うのは、リニア推進派は「リニア駅ができれば町興しができる』と主張するのですが、そもそもリニアに頼る町興しって何なのでしょう？
　リニアが来なければできない町興しって何なのでしょう？

　相原高校はかれこれ１世紀近くも街になくてはならない存在として根付いてきました。街の一部です。
　それを消し去っての町興しって何なのでしょうか。




　リニアが来るから町興しができると本当に信じている人たちの理論はいつか確かめてみたいですが、確かなことは、大切な何かを作るのが町興しであり、大切な何かを捨てることではないはずです。

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