2月1日は日弁連の奨学金ホットライン

●奨学金ホットラインの開催

　やっと法曹界で実現します。
　2月1日、全国一斉奨学金ホットラインが朝10時から夜10時までの12時間開催されます。

　私は2年前、岩波書店の月刊「世界」という月刊誌に奨学金の問題のルポを書きましたが、そのとき北海道釧路市にまで出かけました。
　というのは、当時、奨学金のことを問題視している弁護士はその釧路市にしかいなかった・・といっても過言ではなかったからです。

　毎月一回、誰でも入れる労働組合「首都圏なかまユニオン」が主催しての「奨学金連絡会」が都内の公民館などで開催されています。

　私がこれに参加したのは、3年位前から。当時は参加者が主催者も含めて10人いるかどうかだったのですが、
それが一変したのが、昨年夏からです。

　日弁連の貧困対策本部に所属する岩重佳治弁護士が参加してからです。

　ただ、参加するまでの岩重弁護士は、本人曰く「今ある奨学金を貸与ではなく給付にすればもっと良くなる」という見解、つまり、今の奨学金もいいけれど、給付制にすればもっとよくなると思っていたとのこと。

　ところが、参加してみてびっくり。今の奨学金がとんでもないことがわかったのです。

　そこで岩重弁護士はこの奨学金問題を勉強して、このブログでも書いた、9月30日に行われた市民団体による奨学金ホットラインに、自身の人脈から50人以上の弁護士や司法書士を相談員として待機させることもしてくれました。

　ただ、「私もそうでしたが、弁護士のなかでも、まだまだこの問題を知らない人が多すぎる。まずは同じ弁護士を啓蒙していかねばならない」とのことで、ずいぶんと内部調整に苦慮されていたようです。

　そして、2月1日、12時間に及ぶホットラインを開設します。

　相談料は無料です。

　奨学金の返済で困っている人は、是非、電話してみてください。

　電話番号は０１２０－４５９７８３（しょうがくきんなやみ）。通話料も無料のフリーダイヤルです。

　岩重弁護士はこう主張します。

「奨学金を返せなくなった人は、『返せない自分が悪い』と思っている。だが違う。返せなくなった人は、奨学金という制度が生んだ被害者なのです。被害者という当事者こそがもっと声を上げてください。そこから問題解決が始まります」


●1月26日の集会

　少し遅れての報告ですが、1月26日、市民団体「奨学金の会」の結成5周年記念集会が都内で開催されました。ここにも岩重弁護士が登場しましたが、これまでのこういった集会と違ったのは、現役の高校生、大学生、大学院生がパネリストとして登場したことです。

　特に、この3月に卒業して、4月から働き始める高校生のＮさんの話には胸が詰まりました。

　Ｎさんは、かつて私立高校のスポーツクラスに入学。

　そのとき、千葉県市川市から、入学に当たっての、入学料、制服代、教科書代など100万円以上を奨学金として借りていました。

　ところが、一年生の10月、授業料の高さにとうとう退学することになります。アルバイトも考えたけど、アルバイトをしてしまったら、こんどは授業に参加できなくなるので、それしか道はなかったといいます。

　その後、神奈川県戸塚市の定時制高校に入学。
　そのときは、まだ高校の無償化は始まっておらず、授業料を払わねばならないのですが、これを家庭の水光熱費から払ったそうです。そして、3月の後半の2週間、Ｎさんの家庭では、水、ガス、電気が止まってしまいました。

　ただ幸いにも、2年生になってから高校の無償化が始まり、やっと授業に集中できるようにナタといいます。
　と思ったのもつかの間、3年生になると、市川市がまだ在学中のＮさんに「貸した100万円以上を返してほしい」と要請してきたのです。交渉の結果、卒業したら返すことになりましたが、月に3万円から5万円を返すことになるとのこと。だが手取りは14万円。

　そして、Ｎさんの家族は、生活保護を受けているお母さんと専門学校に行くことになる18歳の妹さん。つまり、Ｎさんはその14万円を家庭にも入れるし、妹さんの学費も当てる。そして、自身の奨学金の返還にもあてる。

　間単に、頑張ってほしい、とは書けませんが、なぜ若者がここまで苦しむのか。考えさせられる事案です。

　この件、また近いうちに詳しく書きたいと思います。

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