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樫田秀樹

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 5月31日の13時半。東京地方裁判所・立川支部101号法廷。 
「主文。被告人は原告に対して144万8376円を支払え」
 
 満席の傍聴席のあちこちでウンと頷く声。原告席に座る原告の清水文美さん(31)の隣に座る笹山尚人弁護士も右手で小さくガッツポーズ。
 提訴から3年。清水さんは勝訴しました。
清水さん勝訴
清水さんの事件の詳細については、拙稿
 http://homepage2.nifty.com/kasida/social-matter/frame-shimizu.htm
 に書いてありますが、ここで簡単に説明します。

 清水さんは、1998年の就職氷河期に高校を卒業して以来、アルバイト生活をしていましたが、「このままではいけない。正社員としての人生を歩まねば」と、2006年9月にコンビニ「ショップ99」を全国展開する九九プラス社に入社。残業も多いけど、一人前の社会人になるんだととにかく頑張りました。
 
 ところが9ヶ月後、清水さんは突然「店長」昇進の辞令を受けます。
 「なぜ僕が?」と思いつつ、とにかく一所懸命やろうと、それまで以上に清水さんは働きます。
 ところが、その後の最初の給与明細を見て驚くのです。

 と言うのは、それまでは残業代も含めて約30万円あった手取りが22万円に激減していたからです。会社はこう説明しましたーー「店長は管理監督者。残業代は発生しない」

 だから残業を月168時間こなしても残業代はゼロ。
 ある4日間では85時間も働いたことがあります。さらに、人手が足りない夜には「店長、出勤して!」と電話がなり、電車のない真夜中でも自転車を一時間こいで通勤し、そのまま朝からの勤務もこなしたことがあります。

 そんな労働が切れ目なく続き、清水さんはそのうち電話が怖くなり、体もボロ雑巾のようにクタクタになり、とうとうウツ病を発症し、入職からわずか1年2ヶ月後の07年10月に休職となるのでした。

 しかし、清水さんはウツになりながらも、「こんな会社は許せない」と、誰でも入れる労働組合「首都圏青年ユニオン」に加入し、08年5月に会社を提訴します。今日はその判決だったのです。

 裁判での争点は、清水さんの役職「店長」が、会社の主張する「管理監督者」に当たるかどうかでした。清水さんは当初から「管理監督者は、経営に参画できて給与も高い。僕はどちらでもなかった」と主張していましたが、これを裁判所がどう判断するかが注目されていたのです。なぜなら、名ばかり店長は清水さんに限らず、経費を削りたい企業ではどこにでもいると言っても過言ではないからです。

 それを、裁判所は、「労働実態から、管理監督者に当たらない」と判断してくれました。
 さらに、未払い残業代と慰謝料に加え、うつ病になったのは会社の安全配慮義務違反だとして、懲罰的な意味合いがある賦課金20万円の支払いも判決に盛り込んだのです。

 原告側としては450万円を要求していただけに、完璧とはいきませんでしたが、完全勝利といっても間違いのない結果でした。

 判決後、裁判所の外で支援者に拍手で迎えられた清水さんは、お礼の言葉を述べました。
 だが、地裁で勝訴したことは喜ばしくはあっても、清水さんはまだ苦しんでいます。それは、自身のウツ病がまだ完治しておらず、働くことができないからです。
 以下、本人の言葉です。

「最初に覚えているのは、ネクタイを締めたことです。入職のとき。私はフリーターをしていたので、ネクタイを締めるということがなかなかなかったので、そのときを非常に覚えているんですね。で、そこからどうなったか…。あっという間でした。体が壊れていくのがあっという間だった。次の記憶は精神科の待合室で待っていること。『清水さん、診察室にお入りください』というアナウンスが流れるのを待っている。入社してからわずか1年2ヶ月。こういうことが、働いたことで起きたんです。私は働きたいと思った。で、正社員として胸を張っている、そういう自分でいたいと思って働き始めた。けれども、それができなかった。組合に相談して、一つ一つ問題を乗り越えていきたいと思った。毎日、毎日、薬を飲んだ。飲み続けた。よくなるようにと(涙で声が詰まる)薬を飲んだ。でも、未だに、体が、元に、戻らない。…。薬を飲む。その姿を見る両親にも『気が滅入るようだ』とも言われ、薬を陰でこそこそ飲むようにもなった。まだまだ治らない。働くということが、こんなにも難しいことなのか。働きたいです、私は! いろんな職場や立場、待遇、雇用形態はあると思います。でも、働きたいんです。受け入れてくれない会社。冷たい社会。おかしいと思います。私はやっぱり働きたい。そのことをこの場で訴えて、今後とも皆様と一緒に、闘っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします」

 清水さんをずっと支えてきた、首都圏青年ユニオンの河添誠書記長もこう話しました。
「清水君の年収は300万円だった。300万円で死ぬほど働かされて、1年2ヶ月で働けなくなる、体が壊される。こういう働き方が日本中に広がっている。こういうなかで清水君が声を上げた。これは私たちの誇りです。清水君が最初ユニオンに来たとき、本当に青白い顔をしていて、『ああ』とか『ウン』とか、そういう言葉しか返してくれませんでした。病気が相当重かったんだと思います。そういうなかで闘って、今日のような成果を出した。これはとても重要だと思います。こういった声を広めていきたいと思います」
首都圏青年ユニオンの面々

 おそらく、九九プラス社は提訴することでしょう。
 だが、これだけ明快な判決をひっくり返すのはほぼ無理ではないかと思います。

 最後に補足すれば、清水さんは自分だけのために闘ったのではありません。ウツのなかでも、「同じような目に遭っている人たちがいる」との、まともな社会を作りたいとの一念で始めた裁判でした。

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