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樫田秀樹

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●ノルマ、ノルマの大合唱

 日本郵便は年賀状やかもめーるなどの自爆営業問題について、「ノルマ」は存在しない。あるのは「目標」であると説明します。つまり、郵便商品を売ることを社員に強要していないのだと。
 ところが。
 以下の写真をクリックしてください。ノルマの文字だらけです。

ノルマ張り紙

 これは、郵便問題について私が大切な情報源の一つにしている「伝送便」の今月号の表紙を飾った写真です。
 伝送便とは、会社からも組合からも独立した組織である伝送便編集委員会が出す月刊誌で、日本郵便の内包する問題点、メディアが報じない問題点などを常時発信しています。

 この写真について、伝送便の本文ではこう書かれています(要約)

 近畿某郵便局の局舎内のボード一面に貼られた個人ごとの「ノルマ」表示。
 この写真を伝送便に提供した報告者が、会社に「ノルマの意味は?」と尋ねたところ、労担(労働担当部署?)が組合の窓口に来て「そのボードを作ったことも知らなかったが、『ノルマ』と書いてあることもびっくりして、アカンと言いつけた。申し訳ない」と説明し、その後、計画担当者が「ノルマ」を「指標」に張り替えた。

 やはり「ノルマ」ではないのか。しかもあからさま。


●ノルマよりも人を増やせ

 今月号の伝送便は「自爆営業」の特集号ですが、この写真の件では、同じの局の社員から以下の報告が上がっています(要約)。

 かもめ~るの予約活動が始まった。朝の全体ミーティングで6月のスタートダッシュで目標の40%の販売が通知された
 各人の目標は正社員900枚、非正規社員400枚というものだ。
 当局から、昨年実績の所への訪問と営業先の選定の指示があった。そして、営業日報(班別・個人別)による毎日の訪問先と商品と販売結果の自己コメント、部長・課長のコメントが義務付けられ始めた。未記入者には「やる気」が無いのかと言われる。今じゃ、毎日ほぼ全員が記入している。
 6月からの販売日以降はかもめ~るが優先で、まず一枚二枚でも売ってこいとなっている。

 局の中は天井から壁、床、エレベーターの中から階段の段差の所にまで、かもめ~るのイラストが貼り巡らされている。
 管理者・計画席の前には各班各個人別の営業実績者の大ボードが置かれ、「見える化」が行われている。 しかし驚いたのは、数字に「ノルマ」と記されていることだ(上記写真)。

 しかし、その前に、人手不足の現場に「人を入れてくれよ」というのが現場の切実な声である

 ほかにもすさまじい現実が伝送便では報告されていますが、概要とはいえ、その全てをここで紹介することはできません。ただし、伝送便の一部はネットでも閲覧できるので、覗いてみてください。

 それにしても、私にしたって一夏に5枚も書かない暑中見舞い。もらう数だって毎年5枚未満です。
 本当に一人の社員が700枚も売れるものなのでしょうか?

 最後に、伝送便の別のページの報告をごく簡単に紹介します。

 かもめーる、お中元の時期になり、精神的に追い詰められています。かもめーるなんて出す習慣がないので買う人は少ないです。しかも私は、郵便窓口から総務事務に担務が変わり営業している時間などありません。それなのに今日は、かもめーる何枚売った?と終礼で聞かれます。仕方ないので100枚自爆しました。お中元もあり、もうお金は出せないです。積もり積もって郵便貯金のj表示がマイナス120万円(泣)かもめーる二日間販売できない社員は、みんなの前でロールプレイだそうです。それでも売れなければ局長室にてロールプレイです。精神的に病みそうです。

(ロールプレイとは、たとえば、客の役をする上司を相手に、販売を売り込む芝居を演じるというものです。一種の精神的拷問だと私は思います。)


(033)自爆営業 (ポプラ新書)(033)自爆営業 (ポプラ新書)
(2014/05/31)
樫田 秀樹

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自爆営業を軸にした初の著書。日本郵便社員の年賀状の自爆営業は少しずつ知られているが、本書では、売れ残り商品を社員に強制的に買い取らせていた引き売り業者、配達に必要なガソリン代・車両リース代などを社員の給与から差っ引いている牛乳配達会社の実態も描く。
 日本郵便では毎年数十人が自殺し、精神疾患による休職者数は1000人に届きそうだ。なぜ彼らは自殺するのか。自爆営業と関係しているのか?
 同時に、そういうことに頼らないでも、リストラもせず、下請けいじめもあせず、労災事故も起こさず、黒字経営を続けている「まっとうな企業」も紹介する。


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●改正労働契約法の問題点

 前回のブログの続きです。

 この法律には、企業が「5年未満雇い止め」を打ち出す可能性以外にも、いくつか問題点があります。

 一つが、無期になるには、労働者が自ら『無期になりたい』と意思表示しなければならないのですが、これが言えるかどうかです。
 職場によっては、とてもではないが、言い出しにくい雰囲気の現場もあるはずです。

 だから、労働問題に詳しいある弁護士は、「本人の意思とは関係なく、有期労働が連続5年を経過したら『自動的に』無期雇用にすべき」と主張します。

 そして、もう一つの問題は「クーリング期間」です。
 たとえば、ある有期労働者が連続3年働いたとします。
 そのあとに何らかの事情で(たとえば産休など)6カ月以上休職したとします。この6カ月以上の無契約期間をクーリング期間と呼びます。
 そして、その人が再び働き始めたとしても、その場合、最初の3年間はゼロカウントとされるのです。
 つまり、無期雇用の権利を訴えるには、あと2年働くのではなく、この休職後から5年連続働かなければならないのです。

 これを使えば、いつまでも雇用者は労働者を有期で雇用できます。
 
 たとえば、「4年半働いた有期労働者は半年間無契約にする」などの就業規則を設ければ(そんな企業が現れるかはわかりませんが)可能になります。
 
 産休や育休の女性には脅威となる制度ですね。長期の病休もおちおちできません。
 
「雇用期間は連続ではなく、通算でカウントすべきです」(前出の弁護士)


●そもそも有期労働でいいのか?

 この問題から考えるべきは、「そもそも、有期労働という労働形態があっていいのか」ということです。
 
 前出の首都圏青年ユニオンの職員は「過去、何百件、何千件もの労働相談を受けているが、自ら有期労働を望む労働者は一人もいない」。

 一日4~5時間といったバイトやパートなどの短時間労働を望む労働者はいても、数カ月おきや1年おきに契約される有期雇用を望む労働者はほとんど誰もいません。誰もがずっと長く働きたいのです。

 有期労働者が求められるのは、たとえば、年度末の会計業務のときだけ働いてほしい場合や、病欠や産休の職員の代理や、期間限定のプロジェクトなどに限られるはずです。

 ヨーロッパではこのへんが進んでいて、労働者は原則、無期雇用。有期で雇う場合には、なぜ有期で雇うかの説明をきちんとしなければなりません。
 たとえば、年度末だけの仕事なので、時限プロジェクトなので、病欠の人の代理なので等々です。
 

●この企業はどうなる? ―ー市進の場合ーー

 私が労働契約法を取材するなかで、一つ気になる企業があります。
 
 学習塾などで有名は「市進」です。

 ここは、昨年、有期労働者に対して「51歳定年」との就業規則を打ち出しました。
 これに対して、「今さら違う仕事ができない」と7人の有期労働者がが労働組合を結成しました。
 
 この会社を事例にすれば、たとえば入社したての22歳の有期労働者が5年後の27歳に「無期で働きたい」といえば、会社はその人を「無期」にせざるを得ません。
 となると、この51歳定年も崩れるわけです。

 どうするのでしょう?

 会社に問い合わせると「検討中」ですとのことですが、何らかの形で、法律と就業規則とをすり合わせるしかありません。

 私がパッと思いつくだけでも、
1.上記クーリング期間を利用する
2.5年未満で雇い止めを実施する。
3.講師を派遣労働に切り替える
4.法律に従う

 などですが、2は実行は可能ですが、そうなると、職場からベテラン講師が消えます。それは教育関連の会社としてはマイナス材料です。これを選択するとは思えません。
 では、ベテランを派遣してもらうのか?  これは可能です。ただし、その講師がいつまでも一つの塾にいるという保証はありません。保護者の中には「あの先生だから」ということで塾を選ぶ人もいるので、これもどうなるかです。

 そして4.
 考えるべきは、法律に従って、会社は何が困るのかです。
 有期雇用労働者が無期雇用労働者と何が違うのかというと、数カ月おき、もしくは1年おきに契約を繰り返すのか、もしくは、契約不要でいつまでも働き続けられるのかだけの違いです。

 これが、有期を正社員にするというのであれば、確かに話は大きく違います。
 まず、賃金は圧倒的に違います。
 同じ仕事をしているのに、正社員には当たり前のボーナスはないか、あっても雀の涙。有給も少ない。昇給もない。むしろ賃下げも行なわれる。
 だから、今の社会では、いわゆる非正規労働者(非・正社員)が35%にまで増えているのです。そうすることで会社は経費節減ができますから。

 有期を無期にすることでの企業の悩みどころは、一つはわずかにでも上がった人件費です。

 先のベローチェの事例から言えるのは、10年働いた人は時給が800円から880円に上がっていました。個人には長年かかったわずかな昇給でも、企業からすれば10%の人件費アップです。この人たちを切れば、10%の人件費削減にはつながる。
 ただ、これだけのために、多くの人を路頭に迷わせるのであれば、それは大きな過ちであると私は思います。

 4月1日まであと少し。

 5年未満雇い止めを通告された労働者の方がいたら、是非ともご連絡ください。

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●クビ切り促進法?

4月1日から「改正・労働契約法」が施行されます。
 連続5年を超えて働いた有期雇用労働者(パートやアルバイトなど)が「申請すれば」、会社はその労働者を無期雇用(いつまでも働ける)にしなければならないとする法律です。

 確かに、いい内容です。これまで数カ月おき、もしくは1年おきに契約を更新してきた人たちにとって、今後そういう更新なしに、いつまでも働けるのは生活安定の基盤です。

 しかし、この法案に対して、多くの労組は懸念を表明していました。
「多くの有期雇用労働者を無期雇用することに抵抗感をもつ企業は、おそらく5年未満で雇い止めにするはずだ」
 つまり、無期契約の権利をもつまえに、その人をクビにする就業規則を作ってしまうだろうということです。

 4月1日から施行なので、有期労働者が無期契約の権利をもつのは2018年3月31日を過ぎてからです。そのあたりで、大量の雇い止めが発生するはずというのが多くの労組の見方です。


●早くも現れた?

 ところが、早くも、これを先取りするような企業が現れました。
 私も時々利用しますが、喫茶店ベローチェなどを運営する㈱シャノアールです。ここが、昨年3月、有期雇用社員5000人以上に対し、「2013年3月15日から、満4年働いた有期雇用社員は順次雇い止めにする」と告げたのです。

 もちろん、これが労働契約法を意識したものであると断定はできません。ただタイミングは絶妙です。
 ただ一つ言えるのは、多くの企業における5年後の有期労働者の姿が、もう現れるということです。

 じつは、この件は、来月発売のある月刊誌に載せるので、詳しくは書けませんが、その通告に納得できない一人のアルバイト社員が「それって私たちをクビにすることですか?」と何度もその理由を尋ねたところ、店長から「労働契約法改正に伴うことみたいです。と、部長が言っていました」との答を引き出しています。

 そのアルバイト社員は独身ですが、子どもを育てるために一所懸命に働いているパートのお母さん社員の姿を見ているだけに黙っていられなくなったのです。

「5年未満で雇い止めの酷いのは、この不況では、解雇された私たちの次の就職先の確保が極めて難しいこと。歳を重ねるほどそうなります。再就職できたとしても、その職場の最低賃金から始めなければなりません。今のベローチェで頑張って働いているお母さんたちは、時給800円を10年かかってやっと880円にしたんですよ」

 この社員と家庭を持つお母さん社員数人は、誰でも入れる労働組合「首都圏青年ユニオン」に相談に訪れます。そして、ユニオン内部にシャノアール支部を立ち上げ、会社との団体交渉に臨みます。
 その結果、会社は雇い止めを3ヶ月だけ延長する、つまり、雇い止めを6月15日にすると約束。つまり、これを書いている現時点で雇い止めは行なわれていません。

 もちろん、そこで妥協するわけには行かない社員たちは今度もユニオンと共に団体交渉を続けます。果たしてどうなるかです。

 私は、どの企業がなのかを詳しく調べる時間がなかったのですが、あと数日で4月1日です。
 おそらく、多くの企業が有期労働者に対して、4月1日以降、「5年未満雇い止め」なる就業規則を突きつけるのではないのか?

 現在、法律に従って有期労働者を無期にすると決めている一つは日本マクドナルドです。
 これが例外的でないことを祈るばかりです。

 そして、民間だけではなく、たとえば、大阪大学のような国立大学でも、労働契約法の改正を受けて、非常勤労働者(講師や研究者など)は「雇用年数を原則5年以内」と定める就業規則を打ち出しています。
 私立でも早稲田にもその動きがあると聞き及んでいます。
  
 今年3月1日に発表された総務省の「労働力調査」によると、全国の有期雇用労働者は、全就業者数6228万人の23%となる約1410万人。大学生のアルバイトならともかく、なかには、子どもを守るために必死で働くお母さんたちがいます。
 この人たちを次々と雇い止めにして路頭に放り出す社会って何なのでしょう。それが私たちが求めてきた社会なのでしょうか?

 また、この法律には他にもいくつか問題があります。それはまた明日書きます。

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 ちょっとした宣伝です。 

 ラジオのJ-WAVEから連絡がありました。
 自爆営業について私にインタビューしたいというのです。
 元々、話すのは得意ではないので紙媒体で生きているわけですが、一方で、この申し出を断る理由もないので、引き受けました。

 本日収録で、来週の月曜日から木曜日までの4日間、番組名「JAM The WORLD」(20:00~21:50)のなかのどこか5分間(おそらく21:25~21:30か)で放送されるようです。

 この番組は、J-WAVE初の本格ニュースワイド番組で、現在の社会問題を発信すると同時に、「その問題が自分の身に起こったら・・」「そのことを知らなかったら・・」という仮定も盛り込み、問題をどう受け止め、考えてもらうのかを探る・・ことをコンセプトにしています。

 自爆営業と言えば、テレビ報道の影響もあり、「日本郵便」の年賀状などの自爆営業が知られてきましたが、他の事例についても話すかと思います。

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●辞めさせない!

通常、労働問題と言えば、その代表格は「辞めさせられた」という解雇の問題です。
 ところが、今年新たに出会ったのは「辞めたくても辞められない」というまったく逆の問題でした。
 これは、まさしくブラック企業が引き起こす被害の採集形態ともいうべき労働問題です。

 誰でも入れる労働組合、全国一般東京東部労働組合(東京都。以下、東部労組)には毎日数多くの労働相談が寄せられますが、その数、2009年は5027件、10年が5943件、昨年の11年は東日本大震災による解雇などもあり一気に7624件へと伸びています。
 このうち「辞めさせてもらえない」相談はと見れば、10年の236件(全体の4%)から、11年は556件(同7%)に急増しています。

 記事にも書いたことですが、一例を挙げましょう。

 Aさんは、毎日の長時間サービス残業に疲れ、さらに、夜中まで社長の私用やネコの餌やりで酷き使われていました。Aさんは、思い切って退職届を出したが、社長は「お前が辞めて、いったい誰がネコに餌やるんだ!」と息巻き、辞職届を受け付けず、そのあまりの剣幕にAさんは怖くて辞めることができなくなった…。

 と、こんな事例を知ると、誰もが同じ疑問を持つはずです。そう、「さっさと辞表を出して辞めればいいのに」と。
 この疑問に東部労組の須田光昭書記長はこう答えます。

「そう思うでしょ。でも、相談者はそうはできない心理状態に追い詰められている。相談者は会社ではまったくの『無権利』で、会社にすれば『使い勝手のいい奴隷』と同じ。ブラック企業は、労働者を従順な奴隷にするためにあらゆる手段を講じているんです」

 以下、その手口です。

●パワハラで萎縮させる

 ブラック企業の特色は、とにかく「パワハラ」です。

 東順子さん(仮名。24)は、一昨年、中堅の進学塾の事務職に新卒入社しましたが、ある日、生徒たちがいる前で、上司の部長が突然、「何だ、その声は! しっかり返事をしていない!」と「親からも受けなかった強烈な怒鳴り声で罵倒されました」。

 その瞬間、東さんは号泣。そして、パワハラは連日のように続くのです。
 些細な書類上のミスにも、『何やってんだあ、お前は!』と激しく怒鳴られ、萎縮するとますますミスが増え、また怒鳴られる繰り返し。

 そして、東さんはこう思うに至るのですーー「私も半人前だから仕方ないのかも」
 つまり、上司を怖いと思うと同時に「自己責任」も覚えてしまったのです。

 そのうち、夜12時まで続くサービス残業でクタクタになっても、「50社も面接してやっと掴んだ正社員の座を失いたくない」との思いと、「これが会社なんだ。早く一人前に」との思い込みから、部長の理不尽な命令にも黙々と従うようになりました。

 そのうち、東さんの表情からは笑顔がなくなりました。テレビを見ても親との会話でも、無表情になったのです。そうなったのは5月。つまり入社からたったの一ヶ月で喜怒哀楽の波が弱くなってしまいました。

 これに「危ない」と直感したのがお母さんです。お母さんは辞職を進言。
 東さんは、考えた末に、会社に辞意を伝えます。すると、上司は「生徒の合格も見ないで辞めるのは無責任だ。そもそも引継ぎ者はいるのか! 年度末までいろ!」と退職届を受理しなかったのです。
 「あの言葉は痛かった」と東さんは振り返ります。だが、やはりお母さんの説得と、お母さんから紹介されたNPOに相談することでようやく辞職にこぎつけることができました。

 会社にすれば、このご時勢ですから、いくらでも仕事に就きたい人はいます。だから東さんが辞めても、すぐに新しい人は来るはず。だが、そうはしようとしなかった。その理由は実に簡単です。

 東さんが、何でもいうことをきき、残業代ゼロでも働いてくれる奴隷に育ってくれたからです。こういう人を手放したくはない。

 他では、東京都の子ども用品の会社で社員を金属バットで殴ることが横行していた事例があります。
 社員寮と称して、アパートの一室に3人の社員を実質監禁しては、日中は飛び込み営業をさせ、ノルマに達しない分は自腹を切らせ、社員は何百万円もの借金を背負っていました。
 前出の須田さんが社員から電話相談を受けて、現場を確認したところ、「社員寮」ではホワイトボードが血で染まっていたそうです。
 これまた凄まじい事例ですが、これを知ると誰もが「なぜ逃げなかったのか?」と思います。

 調査の結果分かったのは、「パワハラを受けるうちに、辞めても追いかけてくるのではとの恐怖を植えつけられた」ということです。

 せっかく育てた「従順な奴隷」は企業は手元に置いておきたいのです。
 ちなみに、この3人は相談後、無事辞めることができました。

 以下、パワハラで辞められない事例を列記します。

★幼児教室。毎日朝9時半から20時半~22時まで働く。昼食も満足に取れず、残業代は一切支払われない。オーナーのパワハラも酷い。穏便に退職したいのだが、嫌がらせを受けそうで怖い。
★ 薬局。正社員。薬剤師の資格が無いのに、薬剤師から薬剤の調合・調剤・軟膏の混合もやらされ、「資格が無い」と断ると「どこでもやっている」と取り合ってくれない。辞めたいが暴力的に辞めさせてくれない。
★風俗店。入社する時に「保証金として2万円」納められた。体を壊して辞めたいのに辞めさせてくれない。無断で辞めても後で脅されそうで怖い。
★私立保育園。保育士。宗教を強制され、給料もほとんど出ない。上司の圧力で辞められない。


●誓約書や就業規則で縛る

 辞められない事例で案外と多いのが誓約書の存在です。

 Bさん(男性)は、入社時に引越し準備金と支度金併せて25万円を支給されました。いい会社だと思った。ところが、そのとき何気にサインしたのが「1年以内の退職では返金」との誓約書です。Bさんは半年後、健康を害し退職届けを出す。すると会社は「金を返せ」と求め、蓄えのないBさんは辞められなくなってしまいました。

 他の事例も列記します。

★入社時に「会社が費用を負担して資格を取らせるから、5年間は退職しない」との誓約書にサインした。健康を害して、すぐに退職したいが、誓約書を盾に退職を認めてくれない。
★看護師。勤続10年。病院には、病院が作った書類で提出しないと退職届を受理しないという決まりがある。その書類を渡してくれない。
★ 入社時に「退社後2年間は競合会社への就職はしない」という誓約書にサインしたため、同業他社への転職が決まっても、会社が誓約書を理由に退職させてくれない。
★美容院。社内規則で「退職届けは6ヵ月前に申し出る事」となっている。この規程を盾に辞めさせてくれない。
★アルバイト。給料など雇用契約の中身と実際が大幅に違う。最低賃金すら下回っている。6ヵ月契約をしてしまったので契約期間満了まで辞められないと会社は言う。
★歯科医院で歯科助手。半年前に退職を申し出たら、院長が「無期限契約となっているから、すぐには辞められない」と認めてくれない。この間、言葉の暴力がひどくなってきている。
★ホテルで住み込みの契約社員。労働環境が辛くて辞めたくて堪らない。うつ病になった。「今辞めたら契約違反だから賃金は出さない」と言われている。

 これら相談を受けるたび、須田さんは「民法627条に従えば、2週間前の通知で辞められます。誓約書や就業規則が法律より厳しいのは×です。退職届は、内容証明郵便で送っても効力ありますよ」とアドバイスしてきた。
「何といっても、辞職も労働者の権利の一つですから」(須田さん)

●損害賠償
 もっともらしく脅すのが損害賠償請求。
 Eさん(男性)はソフト開発者。あまりの激務に辞意を表明。だが会社は「退職届は60日前の提出に限る。今辞めるなら、人員に穴が空くので損害賠償で訴える」と脅してきました。

 この手法でよく使われるのは、会社側の「会社に損害を与える以上、最終月の給与を払わない」との通知です。
 ブラック企業ではサービス残業で働かされるために、若者の多くは貯金もなく、再就職活動する時間すらありません。そういうところで、さらに最終月の給料ももらえないとなると、結局は「辞めないほうを選ぶ」。

 これはすべて会社側がとっくに計算している作戦です。

 会社が2週間前に退職届を受け取ってくれそうもなければ、郵便局から内容証明郵便で郵送しても効力はあります。

 他にも、

●急に仕事を増やされる

●責任感に訴えてくる
 特に介護職や看護職など「お世話をする仕事」に多い。
 「家族代わりのあなたが今辞めて、利用者(患者)はどうなると思っているの?」と情に訴えかけてくる。


●離職票を出さない
 そして、多くのブラック企業がやっているのが「辞めるなら離職票は出さん!」と脅すこと。離職票がないと、ハローワークに行っても、失業給付金を受ける手続きを取れない…。つまり再就活もできない。だからズルズルと辞めないままになる…。

 しかし、これも心配無用です。なぜなら、会社が離職票を出さないときは、まずは、ハローワークから会社に『離職票を出せ』との指導がいき、それに会社が従わないと、ハローワークが職権で離職票を出してくれるからです。
 
●誰かに相談しよう

 身も心もボロボロになりながら、なぜ辞めないのか?
 
 相談者に共通するのは「会社が怖い」ことと「仕事のできないボクも悪い」といった自己責任感の二つです。

 しかし、前出の須田さんは、いつも、「大丈夫。あなたに責任はない。とにかく退職届を出して出社しないこと。会社は深追いしませんから」とアドバイスしています。

 そして、辞めさせないことを、一番まずいと思っているのは、じつは当の会社です。しかし、「従順な奴隷」となった人たちはそれをまず外部には訴えないので、そこに胡坐をかいているのです。

 そして、冒頭の東さんのように、とにかく誰かが仲介すれば、あっという間に解決するのもこの問題の特色です。
 ただ、それにしても、会社の言いなりになって身も心もボロボロになるに任せている人は相当数いるはずです。

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