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樫田秀樹

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●悩ましい汚染残土問題
 今回の北海道取材の後半のテーマ「北海道新幹線の残土問題」はじつに悩ましい。
 残土のなかでも、自然由来の重金属を含む「要対策土」は掘り出されて空気(酸素)や水に触れると参加し猛毒化する。
 問題はそれが杜撰に処理されていることだ。
 北海道新幹線の残土問題についての報道は極めて少ない。地元の函館新聞が何かあれば報道しているのが目立つくらいだろうか。 かくいう私は昨年、この問題を月刊望星にまとめた。基本情報を整理した記事だと自負している。購読したい方は https://amzn.to/3MBHb4m にアクセスを。
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 2年ぶりに、北海道新幹線の残土の現場を訪れたが、相変わらず汚染はひどい。ここでは箇条書きに説明する。

●「富咲残土受入場」(八雲町)
 ここでは要対策土を仮置場している。
 要対策土を盛土する場合は、残土からの浸出水が有毒であるので、その水をためる調整池が設置されるが、ここでは、調整池はあっても、浸出水を調整池まで流すための流路があったり、なかったりだ。
 「ない」というのは、地べたにそのまま垂れ流し、あとは重力任せで数十m離れた調整池まで流れるに任せるということだ。

231107北海道新幹線 富咲の汚染水2←富咲の調整池。雨が降れば確実に溢れそうだ…。


231107北海道新幹線 富咲の汚染水3←富咲の盛土置場では、汚染水を直接調整池に送るだけではなく、地面に垂れ流しもしていた。写真上の黒い管から流している


DSC04814_size.jpg←垂れ流しのアップ

●「鉛川残土受入地」(八雲町)
 ここも要対策土を受け入れている。
 だが、職員の話によると、調整池はあるが、「濁水処理施設」がない。
 すなわち、調整池に汚染水がたまっても、時間が経てば、重い物質は沈殿するので、その上澄みのきれいな水だけを川に放流するのだという。
 職員は「ぎりぎり要対策土になる程度の濃度だから」問題ないというのだが…。

●黒岩C要対策土処分場(八雲町)
 北海道新幹線で掘削が進んでいるのは、函館に近い北斗市と八雲町だが、八雲町では、町内から出る要対策土を「黒岩」地区という標高の高い場所で盛土する。
 だが現場では、その浸出水と思われる灰色の水が地面を下り、そのまま細い溝に流れ込み、それが、そのまま「シラリ川」に流入する。シラリ川は、北海道南部の絶滅危惧種の魚類の全種が生息している「最後の川」だ。
 溝には、汚い水が流れ、それによりヘドロのような状態になった泥が溜まっていた。
 取材の案内をしてくれた稗田さんが「これはひどい!」と驚き、すぐに泥を採取した。近日中にしかるべき検査機関に汚染度を検査してもらうという。

231107北海道新幹線 黒岩の汚染水1←汚れた水が溝に入り、そのままシラリ川に流れ込む。

231107北海道新幹線 黒岩の汚染水2←杜撰な残土管理に、取材の案内をしてくれた稗田さんが泥をその場で採取。近日中に、検査機関での結果が公開される。

231107北海道新幹線 黒岩の汚染水3←幾本もの棒の上部での十字架のような交差点まで盛土をするという。その地面と溝は隣接している。

231107北海道新幹線 黒岩の汚染水4←溝から盛土現場に向けて撮影。

●村山地区(北斗市)
 ここの詳しい経緯は上記「望星」を読んでいただくとするが、簡単に書けば、元々八雲町に置かれるはずだった要対策土が八雲町の住民の反対で置けなくなり、それをなぜか北斗市長が「引き取る」と公言し、果たしてそうなった。
 ところが、その要対策土からの浸出水が流れる溝から汚染水をサンプリングした地元の住民団体がそれを県さしてもらったところ、環境基準値を超える値が出た。
231108北海道新幹線 村山からの浸出水←市民団体が汚染水を採取した場所。この市民の行動により、村山の公害問題は一気に世間に知れ渡ることとなった。

 こうして、この村山地区は一気に注目を浴びるのだが、さらに途中の経緯を割愛すれば、この盛土の山の地下30mほどの地下水でも重金属「セレン」の基準値超えが度検出され、そのたびにトンネル掘削は中断した。
 だが、事業者である鉄道機構は、「盛土周辺の地面に流れた汚染水が蒸発することで濃度が高くなり、それが地下水にまで達したことが原因」と説明。そして今、この盛土のすぐ近くでは、そのセレンで汚染された地下水をくみ上げ、浄化して地下に戻すという浄化装置を設置した。
 そして、その効果があるかどうかは、1年後に公表するのだという。
 おそらく、鉄道機構は、要対策土の残土山が日常的な汚染源だとは認めない。

231108北海道新幹線 村山処分場の要対策土鉄道機構はここに八雲町で発生した要対策土を盛土するが、現在は、地下水調査のために搬入は中断されている。要対策土は、斜面はブルーシートで天井部は覆土をしてその流出を止めてはいるのだが。

231108北海道新幹線 村山処分場のセレン浄化装置鉄道機構が建てたセレン浄化装置を格納した建屋。

●野田追(北)工区(八雲町)
 ここも2年前に視察。
 相変わらず、要対策土の処分は杜撰で、ブルーシートで雨風の浸食を防ぐという目的のはずが、そのブルーシートはあちこち破け、しかも、そこから草や木が生えるにまかせている。
 また残土山の上に小さなブレハブ事務所まである。
 ここ、本当に「仮」置場なのか?

231108北海道新幹線 野田追(北)工区のトンネル←野田追(北)工区のトンネル現場。フジタJVによる工事だが、このトンネルで過去2例の従業員の死亡事故が起きている。

231108北海道新幹線 野田追(北)工区の要対策土 草が生え放題1

231108北海道新幹線 野田追(北)工区の要対策土 草が生え放題2←フジタ、そして鉄道機構に要対策土の飛散を防ぐという考えはあるのだろうか。あちこちでブルーシートを突き抜けた草や木が生い茂り、なかには、要対策土の盛土の上に小さなプレハブ事務所まである。
 
●柳沢処分場(北斗市)
 2年前から、要対策土の仮置き場として開設した。
 たまたま北海道新幹線のルートのすぐ横に設置されている。
 
231108北海道新幹線 柳沢処分場1←柳沢処分場。取材中に北海道新幹線が走りすぎていった。


 231108北海道新幹線 八雲駅予定地1←北海道新幹線の「八雲駅」予定地に立つ標識。現在、北海道新幹線の乗車率は約26%だが、札幌まで延伸してそれがどこまで伸びるかはまったく分からない。

231108北海道新幹線 八雲駅予定地2←写真手前から奥まで続く杭がおそらく新幹線建設のための中心杭。八雲駅予定地で。ここに降りて乗客はどこに行くのだろう?

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2023/11/15 01:51 北海道新幹線 TB(0) コメント(0)




北海道新幹線は有害残土だらけ。加えて度重なる情報隠と工事中断

 11月8日と9日。北海道新幹線の取材に出かけた。これで2回目。
①2年前、札幌市の手稲地区で、急斜面での要対策土(有害残土)の盛土計画に反対する住民への取材。
②今回は、トンネル(斜坑と本坑)の掘削で実際に排出された要対策土の環境汚染問題の取材。取材地は、函館市の近くの北斗市と八雲町。
 2日間で約10工区を回った。北海道新幹線の残土問題は以下のように整理できる。

 1.度重なる要対策土(環境基準値超えの残土)の排出。
 2.要対策土のなかでも飛び抜けて有害度の高い「条件不適土」の排出。
 3.それら情報が住民に隠されているという不透明性。


 北海道新幹線の工事実施計画(新函館北斗駅~札幌駅間)が認可されたのは2012年。以後、函館に近い北斗市や八雲町でトンネル(斜坑と本坑)掘削が始まった。
 2013年11月22日。新幹線を建設する独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(以下、機構)は北斗市と「北斗市村山地区土捨に関する協定書」を締結。
 これは北斗市の村山地区の民有地(採石場)にトンネル掘削で排出される残土を置くことについてのルールをまとめた協定書だ。埋め立て予定量は約45万立米。(その後、16年8月に93万立米に変更)
 問題はここからだ。
北海道新幹線 北斗市と八雲町の工区地図

●市民への秘匿
★16年6月16日。渡島トンネルからヒ素(環境基準値0.01mg/ℓを超える0.015mg)が検出され、これを機構は市に伝えたが、市は市民にも市議会にも説明しなかった
★17年6月1日。機構と市は「北斗市村山地区要対策土土捨に関する協定書」を締結した。これは村山に、環境基準値超えの「要対策土」を入れるとの協定だ。ところが、これも市民にも議会にも説明しなかった
★18年10月には、北斗市の台場山工区、天狗工区、南鶉工区で条件不適土」が検出された。環境基準値の270倍の2.7mgのヒ素が検出されたのだ。ところが、この事実を住民が知ることになったのは、それから2年後の20年11月12日だった。それまでの2年間、以下のことがあった。
211109北海道新幹線 上ノ湯工区 濁水←八雲町の上ノ湯工区。坑内では少し離れたトンネル現場から白濁した水が流れていた。水はこの下にある沈砂池に溜まり濁水処理されて河川に放流される。ブルーシートの下には要対策土。もしかしたら「条件不適土」かもしれない。

●突然の「要対策土」の受け入れ表明
★19年6月25日。北斗市長が「八雲町で19万立米の要対策土が出ている。八雲でその処分先を確保するまでの間、村山での受け入れを検討したい」と説明。これで議会は初めて、村山処分場に要対策土が運び込まれることを知る。
 しかし、市長は、「条件不適土」の出土については説明しなかった

★9月25日。これを機に、市民団体「新幹線トンネル有害残土を考える北斗市民の会」が発足する。

★10月25日。市と機構は、一般市民を含め約60人への説明会を開催し、要対策土については説明したが、依然、条件不適土の存在を隠した。住民の「要対策土対策が安全と言うなら、八雲の残土は八雲で処理すべき」、「全市民を対象にした住民説明会を開催すべき」と主張したが、機構は「おおむね理解が得られた」として、八雲町からの要対策土受け入れを表明した。

●市民独自の水質検査で基準値超! 機構の調査でもギリギリ値が出たが…。
★20年5月26日。市民の会が村山処分場周辺の5カ所の水と泥を採取し、分析機関に依頼したところ、環境基準値の1.5倍(0.015mg)のヒ素を検出した。この一帯の水系で農業用水でもある大野川へとつながる。これを受け、市民の会は北海道渡島総合振興局に調査を要請。振興局は市に対して調査に要請すると、それを受けた市は機構に調査を要請。機構が9カ所で調査を実施したところ「基準値以下」だった。ところが、そのうちの2か所は基準値ぎりぎりの0.01mgだった。これは問題視されなかった…。
 ちなみに、機構の調査地点は、市民の調査地点とは別の場所で、しかも、市民団体に周知することなく、つまり立ち合いもなく実施された。この姿勢はいかがなものか。

211108北海道新幹線 村山処分場←村山処分場。採石場であるが、おそらく掘り下げた土地の「埋め戻し」ということで要対策土を搬入している。だが水の力に負けたのか、白い残土山の一部は陥没している。その強度はいかほどのものか。

211109北海道新幹線 祭礼工区 条件不適土?←八雲町の祭礼工区。「対策土」との看板がある。

●「条件不適土が出ました」→「それって何ですか?」→「公表できない」→「え?」
★20年8月下旬。南鶉工区で「条件不適土」の出土を機構は確認した。それは「要対策土」のなかでもとりわけ有害性の強い残土を意味する。
★20年9月17日。ここに来て、市はようやく「条件不適土」の存在を公表した。だがーー。
機構が「条件不適土が出土し、天狗工区の仮置き場が4万立米の満杯になるので、新たな仮置き場を設置するまで、トンネル工事を一時ストップさせる必要がある」と説明。だが! 前田治市議(共産党)ら複数の議員が「条件不適土とは何か」と説明を求めたが「第3者委員会で対策を協議しているので、公表できない」と回答拒否
★この後、日本共産党北海道委員会が機構北海道新幹線建設局を訪れ「条件不適土」とは何かの説明を求めたことで、11月12日、機構は市議会でようやく「条件不適土」とは「現在の受入地の基準値の100倍超えのヒ素を含み、溶出量は環境基準の270倍超えという残土(溶出の仕方も異なる貫入岩)」であることを明かし、2年も前から掘り出していたことを認めた。
211109北海道新幹線 上ノ湯工区 条件不適土か?←八雲町の上ノ湯工区で野積みされている残土。

★今、天狗降雨区には、約0.87トンのヒ素(溶出量基準値の270倍)が仮置きされている。約4万立米(満杯)。ヒ素は空気に触れて、雨水にさらされると、「亜ヒ酸」となり、わずか0.1mgで人を死に至らす。つまり、0.87トンとは870万人の死に至らしめる量だ。
211108北海道新幹線 天狗工区 条件不適土←木々に邪魔されて判りにくいが、ブルーシートに覆われているのが、870万人を致死させるだけのヒ素が混じる「条件不適土」

★21年3月 北斗市は市有地である「柳沢」に「条件不適土」の仮置き場を設置し、最終処分地が決まるまでの2~5年ほどとの限定で、受け入れを開始した。
北海道新幹線 柳沢に条件不適土の新聞記事

211108北海道新幹線 柳沢処分場 条件不適土


211108北海道新幹線 柳沢処分場 条件不適土2←北海道新幹線の線路脇にある柳沢地区。これは本当に「仮」置き場なのだろうか。

●工事中断は3回。

 北海道新幹線の北斗市での工区は、これまで3回の工事中断を強いられている。すべて、環境基準値超の重金属が検出されたことが原因だ。
★①20年9月17日に、機構が「条件不適土」の存在を公表すると、それを受け、10月15日から21年3月まで掘削工事は中断。
★②21年5月。機構が村山処分場近くの7地点での地下水調査で、環境基準値0.01mgのセレンが、その1.1倍の0.011mg検出。6月1日から村山処分場への、6月9日からは柳沢仮置き場への残土搬入を中断した。台場山工区と南鶉工区の掘削も中断。
 村山には、溶出基準値の2.7倍超のヒ素や6.1倍超のセレンを含む要対策土を積み上げているが、8万立米をもちこんだところでの検出だった。
★③21年9月22日。再び、村山で1.1倍のセレンを検出。残土搬入も掘削工事も、雪解けの22年春まで中断と予測されている。
 市はこれまで、「専門知識を有する第三者委員会が安全かつ適正との評価をしている。水質検査の値が環境基準を超えることはない」と安全を断言してきたが、それが崩れた結果と言える。

●危険な村山処分場。
 北斗市の村山処分場は、地元のY社が運営する採石場だ。
 採石場は、採石の結果、土地を掘り下げてしまった場合は、場内にある土砂で埋め戻さねばならないのだが、そういう土砂がなければ、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の適用を受け、外部から土砂をもちこむことが一般的だ。だが問題は、閉山後の土砂管理だ。採石法では、採取場の閉山後は、2年間は、調整池などの貯水・排水施設を維持管理しなければならないと定めているが、これは逆に言えば、2年間だけ管理すれば、あとは放置してもいいということだ。

 これと共通する動きがあるのが、リニア中央新幹線の神奈川県の工区で排出される残土のうち約127万立米を閉山間際の鉱山の斜面に積み上げる現場だ。目的は採石場に上のほうに残っているわずか1.3万立米の岩石を採取するために、リニア残土を高さ60mに積み上げて作業路を作るというのだ。それについて書いたブログはこちらです。

 59万立米もの要対策土は、2年間の管理だけで、周辺環境を汚染しないのだろうか?

●八雲町での環境汚染
 これについては後日書く。
 ただし、今回の取材のガイドを務めてくれた市民団体「流域の自然を考えるネットワーク」のメンバーの稗田一俊さんの経験を書き留めておきたい。
 稗田さんは魚や動物の撮影を専門とするプロのカメラマンだ(どうりで、流域ネットワークの写真が素晴らしいわけだ)。初めは八雲町の自然にほれ込んで本州から移住したが、今は、その自然の驚異となっている北海道新幹線の残土問題と対峙している。
 今年6月22日朝6時。稗田宅に釣り人が「山崎川が濁っている」と来訪してきた。稗田さんがすぐに現場に直行すると、確かに川に白濁した水が流れ込んでいる。
 稗田さんは、これはトンネル残土に雨水などがしみ込み、出てくる白濁した汚染水を処理しないままで川に流しているのではないかと疑い、すぐに現場を管轄する新幹線の建設現場に直行。「未処理の可能性がある。中の施設を見せてください」と直談判した。対応に当たった職員が電話で責任者を呼んで、果たして、濁水処理施設を稼働していないという信じられないミスを犯していたことが発覚。稗田さんの訴えに北海道渡島総合振興局も機構を指導したことで、その後濁水処理は為されている。
210612北海道新幹線 山崎川 稗田さん撮影←清流にトンネル現場からの濁水が未処理のまま流れている。稗田一俊さん撮影。

 70代の稗田さんの行動力には学ぶべき点が多い。
 正面からの撮影が無理なら、ヒグマが出そうな山道をかき分けてでも現場にたどり着き、シャッターを押す。ドローンも駆使して上空からの撮影をする。そして、工事現場でも、入ってはいけないぎりぎりまで足を踏み入れるが、職員とは決して敵対しない。
 今回の取材で、露骨に嫌な態度をとる職員は一人だけだったが、他の現場では、警備員も、わざわざ説明に出てきてくれた現場担当者も言葉使いや対応は丁寧だった。
 首都圏では、ゲート正面からの写真撮影も許してくれない警備員もいるので、地域性もあるかもしれないが、私は改めて「敵を作らない」運動の大切さを学んだ。
 稗田さん、そして「新幹線トンネル有害残土を考える北斗市民の会」などが心がけているのは、とにかく運動を「科学的」に行うことだ。
 感情論の反対を訴えるのではなく、水質検査など、実地に基づいたウソのない数字を出すこと、現場を定点観測的に撮影し、記録を整理しておくこと。
 今回は問題の初歩を学んだ取材だったが、雪解けのあとにでもまた行きたいと思う。

211109北海道新幹線 野田追北工区 要対策土の山に事務所八雲町の野田追北工区。要対策土。この残土山ができて5.6年になるというが、残土山の中に事務所なのかプレハブハウスが建っていた。

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2021/11/22 01:47 北海道新幹線 TB(0) コメント(0)


 2030年、「北海道新幹線」と「札幌オリンピック」が同時実現する。もっと正確に書けば、札幌オリンピックのために北海道新幹線の札幌までの開通を間に合わそうとしている。
 だが、その2大イベントのために北海道の大地が汚染されている…。

●空気がおいしい手稲に汚染残土? 
 昨年12月上旬、私は北海道札幌市の手稲地区の森を歩いていた。
 案内してくれた市民団体「有害掘削土から手稲の水と安全・健康を守る会」(以下、守る会)のメンバーが小さな沈砂池のほとりに立つ。目の前には急斜面。肉眼ではその奥はもう見えないが、急斜面の奥にはさらに急勾配の採石場跡地があり、そこに東京ドーム1杯分にも相当する110万立米もの汚染土壌が置かれるという。
 その汚染土壌は、北海道新幹線の工事で排出される残土のなかでも「要対策土」と呼ばれる、鉛、カドミウム、ヒ素などの重金属を含む自然由来の汚染土壌だ。

手稲 沈砂池←現地を案内してくれた「守る会」のメンバー。この斜面の奥に汚染残土が置かれるかもしれない。

手稲 残土置き場の断面図 ← 上の写真の沈砂池は、この図の「浄水場」のちょっと上の辺りにある。

 すぐ近くには川も流れていて、浄水場もある。小学校も中学校もある。
 いいのか、この場所で。住民が不安を覚えるのは当然だ。

●リニアだけではない 
 私はここ8年ほど、JR東海が計画する「リニア中央新幹線」が引き起こすかもしれない、もしくは、引き起こすであろう問題について取材を進めているが、そのうち、トンネル工事で水枯れや残土処分問題を起こすのはリニアだけではないことが気になった。
 もちろん、リニア計画は水枯れにしても残土処分にしても、東京から名古屋までの286Kmのほとんどの地域で断続的に問題を起こすので、無視はできな案件だ。
 だが、地域の住民にすれば、まずは自分の地域で起こる水枯れや環境汚染が一番気になる。
 そこで調べると、JR北海道が計画する2030年開通予定の北海道新幹線でも、同様の問題、特に残土問題が表面化して住民から反発を受けていることを知った。
 これは、そのうちにあるメディアに載せる予定なので、概要のみの報告となることだけご了承ください。

●北海道新幹線とは?
 北海道新幹線は現在、函館市近くの『木古内』駅と『新函館北斗』駅まで開通している(2016年3月26日開業)。自業者は「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」。
 今後は、そこから小樽経由で札幌市まで延伸し、2030年に全線開通予定。

北海道新幹線 ルート図

 延伸区間は212Km。そのうちトンネルは80%の169Kmとなる。発生する残土は約2100万立米。

●反対運動始まる
 北海道新幹線はいくつかの工区に分けられているが、このうち、小樽市と札幌市の区間には「札樽(さっそん)トンネル」と呼ばれる全長26.2Kmの工区がある。内訳は

★石倉工区 4.5Km ★銭函工区 4.0Km ★星置工区 4.4Km ★富丘工区 4.5Km ★札幌工区 8.4Km ★開削区間 0.4Km

 北海道新幹線の工事では約2100万立米の建設残土が排出されるが、機構はこのうちの約3割を「鉛、ヒ素などの重金属」を含む自然由来の汚染土壌と予測している。
 機構はこれを「要対策土」と呼んでいる(有害物質を含まない残土は「無対策土」)。
 このうち札樽トンネルからは約340万立米が排出される。
問題は、2019年7月31日、機構が札幌市手稲地区で初めて住民説明会を開催したときに、住民は初めて、『星置』と『富丘』工区から排出されるうちの「要対策土」約110万立米を置く場所が、浄水場のすぐ近くの採石場跡地が候補地として挙がっていることを知る。
その質疑応答のすべてを紹介できないが、以下のやりとりがあった。

質問「候補地近くには、浄水場や小中学校が近接していて、住宅密集地の山側に位置している。なぜこのような場所が候補地として選ばれたのか」
回答「一定量の発生土を受け入れできる土地の大きさや地形条件、また、対策土受け入れへの土地所有者の了承などの条件を満たした場所を選定している。浄水場や小中学校に近接していることは把握しており、影響を及ぼさない対策工の検討を進める」

質問「重金属等に対する説明が不足。もっと具体的な情報や数値データ、対策工を説明してほしい」
回答「本説明会は事前調査実施の理解を得る説明会と位置付けている。事前調査実施前に再度、重金属等に関する説明会を開催する」

質問「重金属が基準値を超えた場合どう対応するのか」
回答「仮に超過した場合の対策については、次回説明する」

 簡単に言えば具体的な話がほとんど何もない。閉会後、「たいへんなことだ。何かしなければ!」との思いに駆られた住民がその場に残り、そのまま、市民団体「有害掘削土からの手稲の水と安全・健康を守る会」(以下、守る会)が設立された。
 住民が判ったのは以下の点だ。
★残土(要対策土)を積むのは旧・採石場の急斜面。傾斜35~40度もの急勾配だ。
★もし崩れた場合、周辺の河川や浄水場が重金属汚染されるのではないのか。
★候補地の近くには、浄水場(距離190m)、老人施設(210m),病院(280m)、小学校(430m)、中学校(460m)。そこを残土を積んだダンプが一日に200台以上通る。

手稲 残土予定地を望む←右の小学校(中学校だったか?)の奥に見える山の段々は、かつての採石場跡地。ここに汚染残土が積まれる予定。
  手稲 浄水場←残土置き場候補地のすぐ近くにある浄水場。

手稲 金山周辺の見取り図←3つの沈砂池があるが、真ん中の沈砂地が、冒頭の写真を撮った場所。

 そして、次の懸念を共有した。
事前調査をした上で候補地にするか否かという話だが、事前調査を認めると、そこを突破口にして結局は候補地にされてしまう。事前調査はさせない

●市民団体動く!
 以後の「守る会」の動きは早かった。
★8月から、毎週土曜日に会合を開く。
★10月には候補地からの鉱山跡地の除外を求める署名活動を開始。
★12月10日には、1万539筆もの署名を集め市長に提出。この短期間で、ネット署名ではなく、戸別訪問しての直接署名でこれだけ集まったのは、それだけ住民の関心を集めているからだ。

●「長年飲み続けなければ、健康に被害はありません」
 だが、署名提出から10日後、守る会は、ある意味、予想をしていた行政側の対応と対峙する。
 12月20日の記者会見で市長がこう述べたのだ。
「(重金属が染み出した水を)大量に長年飲み続けるようなことをしなければ、健康に被害がないということを理解していただいていない」
 これは、機構が住民説明会で用いた資料に書かれている「70年間、1日2リットルの地下水を引用することを想定し、一生涯に渡りその地下水を引用しても健康に対する有害な影響がない濃度」として設定されている、土壌汚染対策法や環境基本法で定められているさまざまな基準を意識したものだ。
 だが、その水を飲まねばならない住民にすればこの発言はたまったものではない。
 本来、行政は、民間事業者に対しては中立の立場にいるべきだ。だが、札幌市には「札幌市新幹線推進室」なる推進部署がある。
 「守る会」のメンバーの多くは北海道新幹線の実現には反対をしていない。ただ、それをやる以上は、住民の安全と安心をきちんと担保してほしいと要求しているのだ。だが、北海道新幹線の推進派ともとれる札幌市は、現時点で、住民の訴えに応える気はない。

●札幌オリンピックに間に合わせるため?
 概要だけ述べれば、機構も札幌市も急いでいる。
 というのは、JR北海道が予定する北海道新幹線の開通は2030年。この2030年は、まだ決定ではないが、札幌冬季オリンピックの開催年でもある。
 果たして、札幌市とJR北海道は2019年11月11日、北海道新幹線の札幌開業や2030年のオリンピック招致を見据えた札幌駅周辺の再開発計画の検討開始を発表した。つまり、北海道新幹線の開通と札幌オリンピックの開催は「セット」なのだ。

 ここでの問題は、それを実現するあまりに、住民が蔑ろにされていることだ。
 じつは、手稲地区で住民が心配している環境汚染などが、他の工区では既に起こっている。函館市に近い八雲町では、杜撰な有害残土の処分で土壌や河川の汚染が発覚した。ここの市民団体も自ら汚染土から染み出る汚染水の処理水を採取し検査したところ、環境基準値超の数値を確認している。事業者はやはり鉄道機構だ。
 その詳しい報告をここで書く時間はないが、市民団体「流域の自然を考えるネットワーク」のブログを参照すれば、以下に杜撰な工事が行われているかがわかる。
 
 新幹線とオリンピックの同時実現というビッグイベントがあるにせよ、札幌市はまずは「住民ファースト」という行政の原則に立ち返り、採石場跡地に汚染残土を置くことの是非を、公開討論で話し合うべきだと私は思う。
 賛成派、反対派、有識者、行政、JR北海道、機構、市民団体が徹底して話し合う場をまずは設けることだ。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


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2020/04/10 21:50 北海道新幹線 TB(0) コメント(1)
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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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