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取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

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 1月14日。「東京外環道訴訟5周年記念集会」が東京都三鷹市で開催された。
 外環道で陥没事故が起きたのが、2年3か月前の2020年10月18日だから、住民たちは、事故の前にその危険性を訴えていたということだ。
 事故になってからではなく、事故が予見できるときに動く。市民運動の見本だ。
230114 提訴5周年記念集会 原告

 その記念集会に、なぜか私がトップバッターとして講演を依頼された。とはいえ持ち時間は20分だけ。何か一つのテーマに絞るしかない。
 考えた末に決めたのが「市民運動の連携」。
 リニアの問題でも、計画区間が1都6県と広大なので、同じような問題を抱えている住民同士が連携できているわけではない。また、「大深度」というくくりで考えても、リニアの市民運動と外環の市民運動、そして「北陸新幹線」の市民運動とが強い連携をしているわけでもない。「シールドマシン」というくくりで考えても、リニア、外環、北陸新幹線、北海道新幹線の連携もないし、「要対策土(汚染土)」というくくりで考えても、全国的な連携は薄い。

 しかし、各市民運動の力が「1」だとすれば、連携すれば「1+1=3」になる。
 とは講演したものの、20分では伝えきれなかったかと反省。
 だが、その後、外環道訴訟を担当する武内更一弁護士が「全国で連携して、大深度法をなくす運動体を作る必要性がある」と力説。おお、私の主張は間違っていなかった。

230114 提訴5周年記念集会 籠谷


 だが問題は、誰がその連携のキーになるかだ。各現場の市民運動は各現場のことで精一杯。連携という大きなパワーを要する仕事はボランティアではできるものではない。

 ただ、自分なりのプチ成功体験を書くが、昨年6月、国際環境NGOのFoE JAPAN が、リニア、北海道新幹線、北陸新幹線の市民団体が登壇するオンラインシンポジウムを開催。
 北海道新幹線では、私が推薦して登壇してもらったプロカメラマンであり市民運動家でもある稗田さんの話がとにかく圧巻だった。あの美しいと言われている北海道の大地が今、新幹線工事に伴い排出される残土(要対策土)でこれでもか言わんばかりに汚染された実態を明かしてくれたからだ。
 事業主体は「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」。まさに北陸新幹線の事業主体でもあることから、そして北陸新幹線の延伸区間でも膨大なヒ素の排出が予想されているだけに、京都にお住いの住民はおそらく初めて肌感覚で「大変なことになる」と覚えた。
 そして、京都では「こんなすごい情報がある」と、その後も稗田さんの映像を各地で共有して情報の周知に努めているようだ。
 
 ともあれ、もぐらたたき的な市民運動ではなく、根っこを叩くべく各地での連携が必要なのは間違いない。
 ただ問題は
★市民運動の平均年齢は概して高い。SNSでの発信もしていないか、弱い。
 つまり、デジタル活用が進んでいない。

 それは、各市民団体での今年のテーマにすべき課題だが、上記FoEのオンラインシンポジウムは今年数回開催予定です。連携の糸口になるだろか。

 ちなみに、私が講演に使ったパワーポイントは、PDFに変換したが(つまり動きのないパワーポイント)、時間があればここにアクセスしてのご高覧を

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住宅の真下にトンネルはいらない
←著者の丸山さんはこの本を書きあげた直後に、まさか自宅のすぐ近くが陥没するなんて予想もしていなかったに違いない。外環問題を知る基本の書。

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2023/01/30 15:45 外環道 TB(0) コメント(0)

●突然の仮処分決定。地裁へ急げ。
 2月28日の午後。ニュースで、工事中止を訴えていた「東京外かく環状道路」(外環)の仮処分裁判の決定が出て、一部区間の工事中止が決まった、と知る。そして16時から東京地裁で記者会見があるというので、びっくりして、すぐに身支度して地裁に向かった。開催の10分前に到着。

220228外環仮処分決定
 
 決定文についてはこちらにアップしたので、見られたし。主文の一部は以下の通り。

220228外環仮処分決定主文

 決定(仮処分では判決ではなく決定という)の主文を簡単に書けば、
●外環の一部区間で気泡シールド工法によるシールド工事をしてはならない。
 というもの。
 その区間とは、図を参考にしてください。図をクリックしてから拡大すれば鮮明に見えます。
外環工事中止命令区間

 この仮処分申請の原告は13人。そのなかの数人が記者会見に臨んだが、國井さわ美さん(写真左)は「嬉しさ半分、悲しさ半分の決定です」と発言した。

 嬉しいのは、結果として、外環ルートの南半分であれ、工事中止との決定が出たからだ。
 そして、悲しいのは、
★13人の原告のうち、その訴えが認められたのは、陥没現場のすぐ近くに住むMさん、ただ一人だけだったということ。
★ルートの北半分にしても、工事の危険性はあるのに、「再発防止策が妥当である」としt絵、裁判所はその工事を認めてしまったこと。

 この仮処分申請は、そもそもが、世田谷区の野川という川で気泡が発生したことが始まりだ。

 外環のトンネル掘削をするシールドマシンは、場所により「気泡薬剤」というシェービングクリーム状の薬剤をマシンのカッターから大量に噴出し、掘削をしやすくする。だが気泡は気体であるため、そのまま回収されることなく、土中を通って地面から出てくる。その気体は酸素濃度6%以下という吸えば即死状態の酸欠空気であったため、危険だ、工事の中止をと訴えたものだった。
 そして、20年10月18日に調布市東つつじヶ丘2丁目の生活道路が陥没することで、仮処分申請の理由に工事の危険性も追加した。
201018外環陥没直後 写真提供:外環ネット陥没直後の現場。写真提供:外環ネット

 さて、陥没の原因について、事故を起こしたNEXCO東日本はこう報告した――「極めて特殊な地盤での施工ミスであった」
 これはシールド工法には何の問題もないと言ったということだ。これは幾人もの地質の専門家に言わせれば「特殊な地盤なんてない」「地盤はその地域で変わる。要は事前調査の有無があったかだ」。実際、NEXCOは、陥没現場の前後1キロにわたりボーリング調査を実施していなかった。
 
 ところが、今回の決定文を読んで驚いたのが、裁判所がその『特殊な地盤』を判断基準にしていたことだ。NEXCOがいう「特殊な地盤」には3条件があり(詳細は上記決定文を読まれたたし)、その3条件を満たすのは、Ⅿさんが住む場所だけだと認定したのだ
 Ⅿさんの自宅は陥没現場から徒歩1分。
 決定文では、M宅の地盤は「特殊な地盤」と「同様な状況」であるので、工事が再開されれば、Ⅿ宅に地盤の緩みを生じさせ、地表面に陥没を生じさせたり、地中に空洞を生じさせたりする具体的なおそれがある、と判断した、と書いてある。
 つまり、残る12人は、特殊な地盤の3条件を満たさず、「本件陥没箇所からの距離に照らしても」、「同様の陥没が生じる具体的な恐れが存在することはうたがわれない」として、申し立てが却下されたのだ。

 そして、2本のトンネルの北半分の区間(大泉ジャンクションから井の頭通り)の工事中止は認められなかった。
 いわば、事故があった区間では工事中止を決めて、事故がない区間では危険性があるのに、それを事前に食い止めようとの判断がなされなかった。

 ただし、裁判所は、以下の点を重視している(要約)。

 債務者ら(国交省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)は、当裁判所からの釈明に対し、本件陥没を生じさせた工事については、再発防止対策策定までの具体的なスケジュールを明らかにすることはできない旨述べ、一定期間は工事再開を見込めない見通しを示すこともなかった。

 事故を起こしておきながら、その再発防止の具体策を示さない姿勢を裁判所は批判したのだ。

●マスコミが報道していないことで、気になるのは2点。
1.気泡シールド工法だけが問題なのか?
 記者会見でも質問したが、決定の主文には「気泡シールド工法によるシールドトンネル掘削工事を行わない」とあるが、これは深読みをすれば、気泡工法以外の工法、たとえば「ベントナイト工法」という、いわば粘土状の土をカッターと掘削面に入れて掘り進める工法ならば工事ができるとの余地をNEXCOに与えることにならないか?
 原告側弁護士からの回答は、気泡は安上がりの工法だからNEXCOは採用してきた。気泡はそのまま大気に逃れていくが、いろいろな添加剤の多いベントナイトを使うと、回収後は産廃として扱うために費用がかかる。NEXCOは気泡工法を続けるはずだと。
 とはいえ、国交省も事業者である限りはいくらでも税金を投入すればそれもクリアできるのではと、個人的には懸念を抱く。

2.Ⅿさんたちはどうなる。
 Ⅿさん宅が陥没現場に近く、特殊な地盤の3条件に適合するので、工事再開は危ないと判断されたが、Ⅿさんは安心できない。
 なぜなら、NEXCOは、家屋のヒビ、門扉のゆがみなどには「補修」で広範囲に対応しているが、地盤の緩みに関しては、直径16mのトンネル直上の長さ220mの範囲、つまり16x220mという長方形きっかりだけでしか起きていないと断言しているからだ。

ピンク色だけの長方形だけが地盤が緩んでいる?←トンネル直上のピンクの長方形の区域だけが、地盤が緩んだ、とNEXCOは説明している。あり得ない話だ。
 そしてトンネルまでの深さは47m。
 NEXCOはその16m x 220m x 47m という世界でやったことのない地盤補修工事をするという。そのために、長方形に住む約30軒に「仮移転」(地盤補修工事の2年間が終わったら戻ってもいい)を要請し、もしくは「引っ越し」の希望があれば補償金を支払い応じている。だが、その工法の説明は一切ない。
 NEXCOによると、Mさん宅はその長方形から31センチ離れているだけ。だから、地盤が大丈夫とNEXCOに判断され、約30軒の家族は、NEXCOから補償金(賠償ではない)をもらい引っ越せるのに、Ⅿさん、そして、家屋が痛んだのに、長方形から外れた人たちには、賠償も補償もなく、地盤補強もなく、ただ、長年の付き合いのあるご近所が、櫛の歯が抜けるようにいなくなるのを見ているしかない(すでに4,5軒が引っ越した)。

Ⅿさんの自宅(右)はトンネル直上から31センチⅯさんの自宅(右)はトンネル直上から31.2センチ外れているだけだという。だが地盤に問題はないのだとされている。

 地域の人々がいなくなり、不安定な地盤なのに、なにもされることなく、これから始まる地盤補強工事の騒音のなかで、2年、あるいはそれ以上の年月を耐える。
 Ⅿさんは、決定に一定の評価はするものの、記者会見で声をあげた。
「僕はどうすればいいんですか!」
 これは、長方形から外れる何百軒の声でもある。
 NEXCOはこの声に真剣に対峙していない。Mさんやほかの住民たちがこのまま放置されていいはずがない。
 今回の裁判でⅯさん宅の地盤も危ないと認めたことは、ある意味大きかったが、NEXCOの対応が待たれる。

 覚えてほしいのは、陥没から1年4カ月が過ぎた今でも、現地では長方形の中でも外でも、被害が広がっていることだ。新たに発生する壁面のヒビ、NEXCOが修理したはずなのに再び発生するヒビや傾き、沈下する路面。こういう土地で、引っ越そうにも引っ越せない住民がいる。問題は終わっていないどころが深刻化している。

22年2月でも陥没現場周辺は沈下している←2022年1月末にある家屋の前の路面が沈下した。最大で2.5センチ。

 22年2月でも陥没現場周辺はヒビが走っている←直上以外でも今もひび割れが広がっている。

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住宅の真下にトンネルはいらない
←陥没前に書かれていた陥没を予言するかのような本。

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←拙著です。今年中には新刊を出す予定。

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2022/03/01 17:40 外環道 TB(0) コメント(0)
210620 外環『仮移転』01

210620 外環『仮移転』02

2022/01/29 17:02 外環道 TB(0) コメント(0)




●10月16日に「外環陥没事故1年 住民集会』
 上記集会が、調布市で開催された。主催は住民団体「外環被害住民連絡会・調布」。

211016 外環集会 100人参加

 2020年10月18日に調布市東つつじヶ丘2丁目の生活道路が陥没。地下47mでの高速道路「東京外かく環状道路」(外環)の工事を、直径16mのシールドマシンで掘削していたことが原因だった。
 それ以前の8月から調布市では、シールドマシンの稼働に合わせるように、広い範囲で振動や騒音、壁の亀裂、家と路面との間にズレの発生などの被害が発生し、陥没後、住民団体「外環被害住民連絡会・調布」の調査では、被害は東つつじヶ丘2丁目を超えて隣の町にも及んでいることが判った。
 
 また、1年経った今でも、被害が続いていることが画像の投映で報告された。

211016 外環集会 今も続く被害1
 211016 外環集会 今も続く被害2

 ところが、NEXCOは、それら亀裂やズレなどへの「補修」工事は行うが、肝心の地盤の緩みについては、トンネル直上の幅16mx長さ190mだけが、つまり16mx190mのきっかり長方形だけが緩んでいるので、その長方形に収まっている家屋、約40軒に「仮移転」をお願いすると公表した。

19x160mの長方形だけが緩んでいる?黄色い丸が陥没地点。それを真ん中にしたオレンジ色の長方形が、NEXCOが「地盤がゆるでいる」と認定した区域。ありえるのか? 画像は「外環被害住民連絡会・調布」のHPから。

 「仮移転」については書けば長くなるので、また以前も書いたので省略するが、ここでの問題は、そもそも、地盤の緩みがぴったり長方形に収まるはずはないのだが、NEXCOは、ある住民からの質問に「(その長方形)に、わずか1センチでも家がかかっていれば『仮移転』や住居新築の対象になるが、1センチでも外れていれば対象外」と説明している。

 ではと、地盤の緩みが本当に長方形だけなのか、そのほかにもあるのではないのかと、調査に乗り出たのが、今回の集会で講師を務めた芝浦工業大学の稲積真哉教授だ。

211016 外環集会 稲積教授


 稲積教授は、小型動的貫入試験(ミニラムサウンディング。以下、MS)という簡易なボーリング調査を実施。
 調査地点は、長方形から外れる4地点。
 その結果、「換算N値」(通常のボーリング調査での「N値」《地盤の強さを表す数値。50あれば頑丈とされる》と比較可能で、ほぼ「N値」として扱える)を割り出した。
 4地点とも地盤は柔らかかった。

 そして、もっとも関心を集めたのが、「地点4」だ。

 「地点4」の数m近くでは、たまたま、20年前と5年前に、別の工事でMSが実施されていた。ところが、20年前と5年前とで「換算N値」はほぼ同じ。
 ところが、今回のMSでの「換算N値」では、その二つよりもずっと低い値が出たのだ。
 グラフは、緑の線が20年前の数値、赤が5年前の数値を、そして青色が今回の数値だ。N値は左に行くほどに低い。つまり地盤が弱いことを示す。
 青色は明らかに低い。

211016 外環集会 地点4

 考えられることは一つだけ。この5年間で、地盤を変えるほどの工事や地震があったかだ。東京では10月6日に震度5の大きな地震があったが、このMS実施はそれ以前の9月24日だった。
 となると、やはり原因はシールドマシンからの振動が主因となる。

 講演のなかで稲積教授はこう述べた。
私は絶対に、(陥没現場周辺では)武蔵野礫層(地表面から4~5mの固い部分)から上の部分の柔らかいローム層が振動によって緩んだ、もしくは、もともと緩いのがもっと緩んだと考えていた。固い地盤は振動による振幅が狭いが、柔らかい地盤は振動を増幅させる。揺さぶられる。ここではローム層に被害が出たのではと常々思っていた。で、先月下旬、我々ができることとして、簡易な地盤調査として4カ所でMSによる地盤調査をした」

 その結果、長方形の外にも地盤の緩みが確認されて、NEXCOは慌てたように追加のボーリング調査をすると言い出したのだ。

 だが、その追加ボーリングも、1本とか2本ではお話にならない。そこで、私は稲積教授に「追加ボーリングは、何m間隔だとか、少なくともこれくらいの本数でとのお考えはありますか?」と尋ねたら、「それは、NEXCO東日本が『ここで』と勝手にやるのではなく、とにかく、被害住民と話し合ってボーリング地点を決めるべきだ」との回答を得た。その通りだ。だが、NEXCOはそうするだろうか。
 この1年間、NEXCOは何をやってきたのか。

住宅の真下にトンネルはいらない
←陥没の2年前に書かれていた、陥没事故への警鐘を鳴らしていたルポ。著者の丸山さんは、陥没現場のすぐ近くに住み、トンネル直上からわずか31センチ離れているとのことで、「仮移転」からも「補償」からも対象外とされている。

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2021/10/17 17:21 外環道 TB(0) コメント(0)



●横浜市。シールドマシンで振動や低周波音が起きた。誰も報道しなかった。
 2020年10月18日。東京都調布市東つつじヶ丘2丁目の生活道路が陥没した。
 NEXCO東日本が「東京外かく環状道路」(外環)を建設するため、地下47mを直径16Ⅿという巨大シールドマシンで掘削していたことが原因だった。
 この陥没の2カ月も前から、シールドマシンが通過する地区(世田谷区、狛江市、調布市)では、振動、騒音、低周波音、はたまた外壁のヒビ、家屋と路面とのズレなどの被害が発生。
 調布市の陥没現場周辺だけでも、住民団体の調査では、「構造物被害は58軒。内容は、ドアや床の傾きが19件、コンクリートひび割れが17件等々。体感的被害は102軒。内容は振動95件、騒音72件、低周波音51件」となっている。

 さて、私もまだ基本を理解していないので、サラッと書くしかないが、同じNEXCO東日本が手掛ける事業で、圏央道―横浜環状南線という自動車専用道路がある。

210908 横浜環状南線1 210908 横浜環状南線2

 9月8日。私は初めて計画地を尋ねた。案内してくれたのは、この計画に30年も反対し続けている「横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会」の比留間さん。
 このルートは、地上に出たり、地下に入ったりを繰り返すが、そのうち「桂台トンネル」(1.4Km)を掘削するため、今年1月、直径15Mのシールドマシンが発進。
 それが横浜市栄区犬山町を掘進したのは6月下旬。

210908 横浜環状南線 直径15m実寸←左下に見える二つの円形は、工区に展示している、実際の直径15mのシールドマシンの実寸大のイラスト。周囲の家を数軒のみこむ大きさだ。これが地下を通る。

 原則、この道路は住宅地の下は通らない。すべて市道の下を通る。だが、シールドマシンが土被り18mの地区を掘削した時、その近くに住むKさんの自宅で強い振動が起きた。外のフェンスや支柱や家屋にもさわるとビリビリ振動する。苦情を入れると、担当者が「ここは岩盤なので振動が激しいが、マシンが通り過ぎれば収まる」と謝罪した。 

210908 横浜環状南線 YさんとFさんと話す←話をしてくれたYさん(左)とFさん(右)。

 7月2日にはYさんの自宅も揺れた。このときマシンの深度は29.8m。
「トイレに座っているとグラグラ揺れました」
 Yさんの自宅下も岩盤だという。ダ・ダ・ダ・ダ・との騒音が持続的に聞こえ、近所の人は「神経質になっているだけじゃ…」と言うだけだったが、一度聞こえ出すと、ずっと耳鳴りみたいに聞こえた。
 ご近所のFさんも、やはりトイレに座っていると、家がぐらぐら揺れるのがわかったという。
 これを報道したのは、私も含め、誰もいない。

 だがシールドマシンは7月16日に突然止まる。NEXCOの説明ではモーターの故障ということだが、もう2カ月が経とうとしている。
 比留間さんは「本当にモーターの故障かは判らない。固い岩盤に当たって掘削が難しいのかもしれない」と推測する。

210908 シールドマシンが止まった地点の看板2←この看板の真下でシールドマシンが止まっている。指さすのが比留間さん。

210908 シールドマシンが止まった地点の看板1←看板のアップ

●データベースで闘う
 私は常々、住民運動は科学運動であるべきと考えている。
 反対を叫んだり、省庁交渉も必要だが、1+1=2のように、誰が見ても頷くしかない数値やデータを集めることだ。 
 この9月8日。ある科学系の市民団体の代表も同行していたのだが、代表は今、調布市の陥没現場周辺の住民から、いつ、どこで、どんな被害があったか、感じたか、を克明に記録し、それをデータベース化している。
 そうやってできるだけ多くの証言を集めることで、やはりシールドマシンの稼働こそが振動や騒音と因果関係があるかを確認するのだ。
 で、代表は、横浜市でも同じことを始めようとしている。
 というのは、聞き取りは、調布市ならば被害後であるが、横浜市ならばシールドマシンの再開と同時に実施することができる。つまり実測することができる。
 面白い試みだ。
 でも、リニアのことで手いっぱいの今の状況で、環状南線のことまで取材できるだろうか? と思ったら、十分な原稿料ではないにせよ、ある媒体が前向きに考えてくれそうだ。やはり、シールドマシンは、その地盤によっては、住民には危険な存在なのでは…ということを確認してみたい。

●交流は可能だ
 YさんとFさんにお話をうかがった時、私は、この栄区の住民が調布市の被害住民と話し合えば有機的なつながりができるのではと思った。じつは、調布の女性はこの日都合悪く来れなかったのだが、近いうちに実現してほしい。
 また、これから被害に遭うかもしれない、リニアのルート上に住む住民も絡めることはできないだろうか。
 リニアの市民運動に課題があるとすれば、横のつながりにまだまだ伸びしろがあるということだ。私は運動家ではないので、これを呼びかけないが、関心ある人がいればご連絡をお願いしたい。

#NEXCO東日本 #ネクスコ #横浜環状南線 #シールドマシン #陥没

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リニア新幹線が不可能な7つの理由


リニア中央新幹線をめぐって


超電導リニアの不都合な真実


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2021/09/10 00:20 外環道 TB(0) コメント(0)
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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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私が原発を止めた理由
3.11以後の原発裁判において、初めて運転差し止めを命じた判決を出した裁判長が、退官後の今、なぜあの判決を出したのか、なぜほかの裁判では住民は敗訴するのかを説明している。
超電導リニアの不都合な真実
リニア中央新幹線の問題点を『技術的』な側面から、極めて客観的に情報を分析しその発信に努め、リニアの実現性には課題ありと論じている。難しい専門用語を極力排し、読み易さにもこだわった良書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。