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取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

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★今、取材を考えているのが、広島県の広島高速道路公社が事業主体で建設している「広島高速5号線」の「二葉山トンネル」だ。
★2020年10月18日。東京都調布市東つつじヶ丘2丁目の生活道路が陥没した。原因はその地下47mで直径16mのシールドマシンの掘削だった。これは「東京外郭環状道路」(外環)を建設するためだが、事故の後、事業主体のNEXCO東日本が設置した事故の原因を究明する「有識者委員会」はその原因を「特殊な地盤での施工ミス」という、滅多に現れない極めて特殊な地盤での(シールドマシンを稼働させていた)鹿島建設のミスだと結論付けた。
201018陥没直後の写真3

 もちろん、特殊な地盤…というのは、今後も工事を続行するための方便であることは、複数の専門家から指摘されている。
 シールドマシンの事故は近年、断続的に起きている。

①神奈川県横浜市栄区で建設中の地下自動車道「圏央道・横浜環状南線」では、事業者のNEXCO東日本は2021年6月に直径15メートルのシールドマシンを発進させたが、翌月には停止。ネクスコは「モーターの故障」と住民に説明したが、掘削再開は2022年2月と7カ月もかかったことで、地元住民は「本当にモーターが原因か」とほかの原因を訝っている。加えて、この掘削再開に伴い、近隣の家屋では、外環の陥没前と同じような振動や騒音被害が起きていることは付記しておきたい。私自身も現地で地下からのド・ド・ドという音を聞いている。

②2022年2月25日に外環の大泉ジャンクション(東京都練馬区)を発進したマシンも4月12日に、本線トンネルとの合流区間でマシンのカッターが鋼材に接触して自損事故を起こした。工事再開に半年がかかる予定だ。この事故が深刻なのは、陥没事故後にNEXCOが策定した「再発防止策」が講じられた直後に起きたことだ。

③2022年6月。横浜市の新横浜駅近くの環状2号線道路では、地下鉄建設の為にその真下を掘削していたシールドマシンが原因で、2回も陥没事故を起こしている。
2020年6月30日新横浜駅近くの環状2号線が2度目の陥没

④2022年11月2日には、北海道札幌市手稲区での北海道新幹線の延伸工事で、地下約22メートルを掘進していた直径12メートルのシールドマシンが使用していた気泡剤が原因で、地中の土がドロドロの泥土となり、直上の2級河川「中の川」の堤防に約4立米流出した。

⑤そして、広島市では、住宅地の直下で「広島高速5号線」の双葉山トンネルが掘削中だが、2022年11月から2022年2月までの3か月間で3回シールドマシンが稼働停止した。
 それぞれの原因は、シールドマシンのカッターの摩耗検知装置が反応したこと(実際の摩耗はなかったが、カッター交換に時間がかかった)、カッターリングの固定治具の破損、地下水位低下が予測されたことである。この3回に限らず、2017年9月に掘進を開始したシールドマシンが12月にカッターの一部が破損し工事が5か月間中断したこともある。2018年から掘削を開始したこのトンネルは2023年現在もまだ半分前後しか掘削できていない。
 ここで注目したいのは、大深度法で建設されていた外環では、掘削前の事前調査の一つであるボーリング調査が、国の「指針」で目安とされている100~200mで実施されておらず、陥没地点の前後1Kmではボーリング調査がされていなかった。それを認識していたのに、工事にお墨付きを与えたのが外環の施工等検討委員会だ。
 そして、二葉山トンネルでは施工前に「どんな工法でも安全に工事ができる」と結論付けたのが「トンネル施工管理委員会」だが、この二つの委員会、半数が同じ委員だ。
広島高速5号線トンネル施工管理委員会名簿
 外環施工等検討委員会

 二つの委員会の協議資料を読み込む必要はあれど、誰一人として、外環や二葉山トンネルで起きている事故、事象に大きな責任を負っていない。
 他のトンネル工事の「~委員会」を探ってみても、案外、同じメンツが並ぶのかもしれないが、それは時間のある時に。
 なぜ私が広島を取材したいかというと、外環とほぼ同時期に、シールドマシンで住宅地の真下に向けて掘進を始めていたからだ。そして、実際、複数の家の外壁や塀にヒビが入ったり、地表面が隆起したりとの事象が発生している。でも全国報道には至らない。
 今現在、シールドマシンは中断しているが、再稼働すれば自宅の真下を掘削される住民は不安でたまらない。
 これを取材するのに先立つものが必要だが、いざとなれば、着いたとたんに疲れるが、高速バスを使うしかない。あとはその掲載先も探さねば。今の日本のメディアでは、こういった問題は、事故が起こらなければ報道しないので、メディア探しにも苦労しそうだが、頑張るしかない。

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2023/05/26 19:05 外環道 TB(0) コメント(0)




 4月28日。東京都調布市東つつじが丘2丁目から、近田真代さんの家族が立ち退いた。
 2020年10月18日、地下46mでのシールドマシンによる外外環道建設のための掘削が原因で、近田さんの近所が陥没した。そして、近田さんの自宅は外環道の直上であり、陥没の前から幾度も振動や騒音に悩まされていた。
 事業主体であるNEXCO東日本は2013年に住民説明会で「大深度(地下40m以深)でのシールドマシンの稼働は、地表に影響を与えない」と明言した。だが直径16mもの穴が地下にできるのに、地表への影響がないはずがないと、2014年1月に市民団体「野川べりの会」が設立する。
 近田さんもこのメンバーとして活動していた。
 だが皮肉にも自宅のすぐ近くで陥没が起き、自宅の真下にも巨大な穴が開いた。
 陥没前にも経験した振動と騒音。そして、自宅の真下のトンネルだけではなく、巨大な空洞も自宅近くで3か所も発見されている。
 そして今も、現地では、外壁の亀裂の広がりなどが確認されている。
陥没現場周辺では今も外壁などに亀裂が広がっている

 悩んだ末に近田さんは、半世紀近くも過ごした自宅を去る決断をした。

 私は4月28日午前9時に近田さん宅に入れてもらった。もうほとんどの荷物は引っ越し済みで、あとはNEXCOに自宅の鍵を渡すだけ。
最後の荷物は孫たちが遊んだフラフープ←最後の引っ越し荷物は、孫たちが遊んだフラフープ

プレゼント用のリボンを壁に貼ったまま、自宅を去る←プレゼント用のリボンを壁に貼ったまま、自宅を去る


 ぶしつけな質問だったが、尋ねてみた。
ーーこうなってしまって悔しくはないですか?
陥没が起きたとき、私は、実際に事故を起こしてしまった以上、NEXCOはこれを機に私たちの生活を優先して考え、いい方向で解決するのではと思ったんです。でも、結局、2年以上経っても、NEXCOも国交省も誰も責任を取らなかった。陥没の原因は『施工ミス』だとして鹿島建設のせいにされただけ。工事現場の責任者は人当たりがいいですが、その上の幹部の人たちは、ついに誰一人責任を取ることなく、ただ私たちだけがここを去ることになった。それがとても残念です」
ーーこれからも「野川べりの会」や「被害住民連絡会」などの活動は続けますか?
「ここを去る私にその資格があるのかどうか…」
ーーいや、ここを去らざるを得ないことも被害です。関わっていいと思います。

近田さん、窓辺に立つ1
近田さんの隣家は立ち退き、そこが工事のための通路になった←近田さんの隣家は立ち退き、そこが工事のための通路になった

 10時過ぎにNEXCOや工事を施工する鹿島建設の職員3人が来訪。

DSC09147bokasi_size_1.jpg←鍵の明け渡し書にサインする。
書類にサイン←サインをする近田さん夫妻と最後の手続きに臨むNEXCO職員

 ここで、いよいよ自宅の鍵を引き渡す。キーホルダーからなかなか鍵が取れない。近田さんが「(鍵が)嫌がっている」とつぶやく。1分近く経ってから鍵を取り出すと、鍵の受渡し書、不動産売買の請求書などにサインをする。これにて、物件は近田さんの手を離れた。


 最後の荷物をもって近田さんは車に荷物を入れ、NEXCO職員に挨拶をして、夫とともに車に乗り込んだ。最後まで穏やかでにこやかでいたままで自宅を去った。
近田さん、いよいよ自宅を去る




 取材中に近田さんは「まさかこういう結末になるとは思ってもいなかった」と語ったが、現実問題として、今、東つつじヶ丘2丁目では、次々と引っ越しが続いている。一方で、NEXCOが地盤が緩んでいると認めた、16m(トンネルの直径)x220mのぴったし長方形の区画だけが立ち退き対象となり、そこからわずか31㎝しか離れていない自宅には賠償金も出ず、立ち退きの対象にもなっていない。ところがずるいことに、その対象外の家でも、今後の工事ヤードになると見込んだ家々には立ち退き補償がされている。
 陥没直後のあの熱量でメディアが取材をしてくれれば、この基準なき補償のおかしさが世間に周知されるのだが、今からでも取材すべき事案は山ほどある。
 現地では今、噂では20件前後がすでに立ち退き、立ち話をしてくれた住民によると、その人の家を含め並びの3軒も数か月以内に立ち退くようだ。
東つつじヶ丘2丁目では立ち退き、そして解体が進む1
東つつじヶ丘2丁目では立ち退き、そして解体が進む

 近田さん、これまでお疲れ様でございました。まずはしばらくはゆっくりと休んでください。

 なお、改めて外環の問題は終わっていない。いや、今後も問題山積みであることから、取材を継続予定です。
 100円カンパにご協力いただければ幸いです。こちらから手続きできます。 
 寄付額の初期値はなぜか550円に設定されていますが、バーをスライドさせれば100円まで下げられます。 

住宅の真下にトンネルはいらない
←陥没前に書かれた著書。皮肉にも著者の丸山さんの自宅は陥没現場のすぐ近く。しかし、NEXCOが設定した補償エリアから自宅がわずか31㎝離れているだけなので、なんの補償も受けることができないでいる。

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2023/05/01 22:08 外環道 TB(0) コメント(0)


 1月14日。「東京外環道訴訟5周年記念集会」が東京都三鷹市で開催された。
 外環道で陥没事故が起きたのが、2年3か月前の2020年10月18日だから、住民たちは、事故の前にその危険性を訴えていたということだ。
 事故になってからではなく、事故が予見できるときに動く。市民運動の見本だ。
230114 提訴5周年記念集会 原告

 その記念集会に、なぜか私がトップバッターとして講演を依頼された。とはいえ持ち時間は20分だけ。何か一つのテーマに絞るしかない。
 考えた末に決めたのが「市民運動の連携」。
 リニアの問題でも、計画区間が1都6県と広大なので、同じような問題を抱えている住民同士が連携できているわけではない。また、「大深度」というくくりで考えても、リニアの市民運動と外環の市民運動、そして「北陸新幹線」の市民運動とが強い連携をしているわけでもない。「シールドマシン」というくくりで考えても、リニア、外環、北陸新幹線、北海道新幹線の連携もないし、「要対策土(汚染土)」というくくりで考えても、全国的な連携は薄い。

 しかし、各市民運動の力が「1」だとすれば、連携すれば「1+1=3」になる。
 とは講演したものの、20分では伝えきれなかったかと反省。
 だが、その後、外環道訴訟を担当する武内更一弁護士が「全国で連携して、大深度法をなくす運動体を作る必要性がある」と力説。おお、私の主張は間違っていなかった。

230114 提訴5周年記念集会 籠谷


 だが問題は、誰がその連携のキーになるかだ。各現場の市民運動は各現場のことで精一杯。連携という大きなパワーを要する仕事はボランティアではできるものではない。

 ただ、自分なりのプチ成功体験を書くが、昨年6月、国際環境NGOのFoE JAPAN が、リニア、北海道新幹線、北陸新幹線の市民団体が登壇するオンラインシンポジウムを開催。
 北海道新幹線では、私が推薦して登壇してもらったプロカメラマンであり市民運動家でもある稗田さんの話がとにかく圧巻だった。あの美しいと言われている北海道の大地が今、新幹線工事に伴い排出される残土(要対策土)でこれでもか言わんばかりに汚染された実態を明かしてくれたからだ。
 事業主体は「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」。まさに北陸新幹線の事業主体でもあることから、そして北陸新幹線の延伸区間でも膨大なヒ素の排出が予想されているだけに、京都にお住いの住民はおそらく初めて肌感覚で「大変なことになる」と覚えた。
 そして、京都では「こんなすごい情報がある」と、その後も稗田さんの映像を各地で共有して情報の周知に努めているようだ。
 
 ともあれ、もぐらたたき的な市民運動ではなく、根っこを叩くべく各地での連携が必要なのは間違いない。
 ただ問題は
★市民運動の平均年齢は概して高い。SNSでの発信もしていないか、弱い。
 つまり、デジタル活用が進んでいない。

 それは、各市民団体での今年のテーマにすべき課題だが、上記FoEのオンラインシンポジウムは今年数回開催予定です。連携の糸口になるだろか。

 ちなみに、私が講演に使ったパワーポイントは、PDFに変換したが(つまり動きのないパワーポイント)、時間があればここにアクセスしてのご高覧を

取材費カンパのお願い
 以下のサイトからなら簡単にご寄付できます。
 https://ofuse.me/koara89/letter

住宅の真下にトンネルはいらない
←著者の丸山さんはこの本を書きあげた直後に、まさか自宅のすぐ近くが陥没するなんて予想もしていなかったに違いない。外環問題を知る基本の書。

リニア新幹線が不可能な7つの理由
←僭越ながら、リニア問題を知る基本の書

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2023/01/30 15:45 外環道 TB(0) コメント(0)

●突然の仮処分決定。地裁へ急げ。
 2月28日の午後。ニュースで、工事中止を訴えていた「東京外かく環状道路」(外環)の仮処分裁判の決定が出て、一部区間の工事中止が決まった、と知る。そして16時から東京地裁で記者会見があるというので、びっくりして、すぐに身支度して地裁に向かった。開催の10分前に到着。

220228外環仮処分決定
 
 決定文についてはこちらにアップしたので、見られたし。主文の一部は以下の通り。

220228外環仮処分決定主文

 決定(仮処分では判決ではなく決定という)の主文を簡単に書けば、
●外環の一部区間で気泡シールド工法によるシールド工事をしてはならない。
 というもの。
 その区間とは、図を参考にしてください。図をクリックしてから拡大すれば鮮明に見えます。
外環工事中止命令区間

 この仮処分申請の原告は13人。そのなかの数人が記者会見に臨んだが、國井さわ美さん(写真左)は「嬉しさ半分、悲しさ半分の決定です」と発言した。

 嬉しいのは、結果として、外環ルートの南半分であれ、工事中止との決定が出たからだ。
 そして、悲しいのは、
★13人の原告のうち、その訴えが認められたのは、陥没現場のすぐ近くに住むMさん、ただ一人だけだったということ。
★ルートの北半分にしても、工事の危険性はあるのに、「再発防止策が妥当である」としt絵、裁判所はその工事を認めてしまったこと。

 この仮処分申請は、そもそもが、世田谷区の野川という川で気泡が発生したことが始まりだ。

 外環のトンネル掘削をするシールドマシンは、場所により「気泡薬剤」というシェービングクリーム状の薬剤をマシンのカッターから大量に噴出し、掘削をしやすくする。だが気泡は気体であるため、そのまま回収されることなく、土中を通って地面から出てくる。その気体は酸素濃度6%以下という吸えば即死状態の酸欠空気であったため、危険だ、工事の中止をと訴えたものだった。
 そして、20年10月18日に調布市東つつじヶ丘2丁目の生活道路が陥没することで、仮処分申請の理由に工事の危険性も追加した。
201018外環陥没直後 写真提供:外環ネット陥没直後の現場。写真提供:外環ネット

 さて、陥没の原因について、事故を起こしたNEXCO東日本はこう報告した――「極めて特殊な地盤での施工ミスであった」
 これはシールド工法には何の問題もないと言ったということだ。これは幾人もの地質の専門家に言わせれば「特殊な地盤なんてない」「地盤はその地域で変わる。要は事前調査の有無があったかだ」。実際、NEXCOは、陥没現場の前後1キロにわたりボーリング調査を実施していなかった。
 
 ところが、今回の決定文を読んで驚いたのが、裁判所がその『特殊な地盤』を判断基準にしていたことだ。NEXCOがいう「特殊な地盤」には3条件があり(詳細は上記決定文を読まれたたし)、その3条件を満たすのは、Ⅿさんが住む場所だけだと認定したのだ
 Ⅿさんの自宅は陥没現場から徒歩1分。
 決定文では、M宅の地盤は「特殊な地盤」と「同様な状況」であるので、工事が再開されれば、Ⅿ宅に地盤の緩みを生じさせ、地表面に陥没を生じさせたり、地中に空洞を生じさせたりする具体的なおそれがある、と判断した、と書いてある。
 つまり、残る12人は、特殊な地盤の3条件を満たさず、「本件陥没箇所からの距離に照らしても」、「同様の陥没が生じる具体的な恐れが存在することはうたがわれない」として、申し立てが却下されたのだ。

 そして、2本のトンネルの北半分の区間(大泉ジャンクションから井の頭通り)の工事中止は認められなかった。
 いわば、事故があった区間では工事中止を決めて、事故がない区間では危険性があるのに、それを事前に食い止めようとの判断がなされなかった。

 ただし、裁判所は、以下の点を重視している(要約)。

 債務者ら(国交省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)は、当裁判所からの釈明に対し、本件陥没を生じさせた工事については、再発防止対策策定までの具体的なスケジュールを明らかにすることはできない旨述べ、一定期間は工事再開を見込めない見通しを示すこともなかった。

 事故を起こしておきながら、その再発防止の具体策を示さない姿勢を裁判所は批判したのだ。

●マスコミが報道していないことで、気になるのは2点。
1.気泡シールド工法だけが問題なのか?
 記者会見でも質問したが、決定の主文には「気泡シールド工法によるシールドトンネル掘削工事を行わない」とあるが、これは深読みをすれば、気泡工法以外の工法、たとえば「ベントナイト工法」という、いわば粘土状の土をカッターと掘削面に入れて掘り進める工法ならば工事ができるとの余地をNEXCOに与えることにならないか?
 原告側弁護士からの回答は、気泡は安上がりの工法だからNEXCOは採用してきた。気泡はそのまま大気に逃れていくが、いろいろな添加剤の多いベントナイトを使うと、回収後は産廃として扱うために費用がかかる。NEXCOは気泡工法を続けるはずだと。
 とはいえ、国交省も事業者である限りはいくらでも税金を投入すればそれもクリアできるのではと、個人的には懸念を抱く。

2.Ⅿさんたちはどうなる。
 Ⅿさん宅が陥没現場に近く、特殊な地盤の3条件に適合するので、工事再開は危ないと判断されたが、Ⅿさんは安心できない。
 なぜなら、NEXCOは、家屋のヒビ、門扉のゆがみなどには「補修」で広範囲に対応しているが、地盤の緩みに関しては、直径16mのトンネル直上の長さ220mの範囲、つまり16x220mという長方形きっかりだけでしか起きていないと断言しているからだ。

ピンク色だけの長方形だけが地盤が緩んでいる?←トンネル直上のピンクの長方形の区域だけが、地盤が緩んだ、とNEXCOは説明している。あり得ない話だ。
 そしてトンネルまでの深さは47m。
 NEXCOはその16m x 220m x 47m という世界でやったことのない地盤補修工事をするという。そのために、長方形に住む約30軒に「仮移転」(地盤補修工事の2年間が終わったら戻ってもいい)を要請し、もしくは「引っ越し」の希望があれば補償金を支払い応じている。だが、その工法の説明は一切ない。
 NEXCOによると、Mさん宅はその長方形から31センチ離れているだけ。だから、地盤が大丈夫とNEXCOに判断され、約30軒の家族は、NEXCOから補償金(賠償ではない)をもらい引っ越せるのに、Ⅿさん、そして、家屋が痛んだのに、長方形から外れた人たちには、賠償も補償もなく、地盤補強もなく、ただ、長年の付き合いのあるご近所が、櫛の歯が抜けるようにいなくなるのを見ているしかない(すでに4,5軒が引っ越した)。

Ⅿさんの自宅(右)はトンネル直上から31センチⅯさんの自宅(右)はトンネル直上から31.2センチ外れているだけだという。だが地盤に問題はないのだとされている。

 地域の人々がいなくなり、不安定な地盤なのに、なにもされることなく、これから始まる地盤補強工事の騒音のなかで、2年、あるいはそれ以上の年月を耐える。
 Ⅿさんは、決定に一定の評価はするものの、記者会見で声をあげた。
「僕はどうすればいいんですか!」
 これは、長方形から外れる何百軒の声でもある。
 NEXCOはこの声に真剣に対峙していない。Mさんやほかの住民たちがこのまま放置されていいはずがない。
 今回の裁判でⅯさん宅の地盤も危ないと認めたことは、ある意味大きかったが、NEXCOの対応が待たれる。

 覚えてほしいのは、陥没から1年4カ月が過ぎた今でも、現地では長方形の中でも外でも、被害が広がっていることだ。新たに発生する壁面のヒビ、NEXCOが修理したはずなのに再び発生するヒビや傾き、沈下する路面。こういう土地で、引っ越そうにも引っ越せない住民がいる。問題は終わっていないどころが深刻化している。

22年2月でも陥没現場周辺は沈下している←2022年1月末にある家屋の前の路面が沈下した。最大で2.5センチ。

 22年2月でも陥没現場周辺はヒビが走っている←直上以外でも今もひび割れが広がっている。

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←陥没前に書かれていた陥没を予言するかのような本。

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2022/03/01 17:40 外環道 TB(0) コメント(0)
210620 外環『仮移転』01

210620 外環『仮移転』02

2022/01/29 17:02 外環道 TB(0) コメント(0)
取材のカンパをお願いいたします
1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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