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樫田秀樹

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スイス人の「ブルーノ・マンサー Bruno Manser」(1954年生まれ)は「ボルネオのターザン」として知られている。
 マレーシア・ボルネオ島サラワク州の熱帯林のなかで、先住民族のなかでももっとも森に依存して生きている「移動プナン人」(定住せずに森を生きる移動狩猟民)とともに何年間も暮らした男だ。サラワク州では知らぬ者はいない。
 自然豊かな生活を経験したいと、ブルーノは1984年、移動プナン人に会うためにサラワクの森を数週間もさまよいついに彼らに遭遇する。以来、1990年まで彼らと生活を共にするのだが、この6年間で移動プナン人の生活は激変した。
 主に、日本向けの丸太を生産するために過剰な商業伐採が始まったからだ。これにより、イノシシやシカは激減し、川は汚れ、野生の果物や薬草になる植物が失われた。
 ブルーノは、プナン人との生活に心からの幸せを感じていたが、この商業伐採で被ったプナン人の苦境を外の世界に訴えられる唯一の外国人として、彼らの訴えを記録し、外の世界に向かってメッセージを発信し、ときには現地警察に逮捕されながらも脱走して闘いを辞めず、ついには1990年にマレーシアを密出国してスイスに戻る。そして、熱帯林保護の活動を開始する。これが今の「ブルーノ・マンサー財団」の始まりだ。

 ちなみに、サラワクの木材は、主に工事現場でのコンクリートを流し込む型枠の使用が多く、2、3回使われたら産廃となる。家庭での家具やカラーボックスにも使われる。
 そして、新国立競技場の建設にも大量に使われている。 https://hbol.jp/204678/2

 だがブルーノはスイスに戻ってからも、幾度とサラワクに密入州してはプナン人と接触していた。
 だが、2000年、ブルーノはサラワクに密入州したが、スイスに戻ってこなかった。森のなかで死んだのか、殺されたのかも判らない。遺体も見つかっていない。未だに行方不明であるが、亡くなったことだけは間違いないようだ。

 そのブルーノの生涯を描く映画「熱帯雨林の声 la voix de la foret tropicale」が2019年11月にスイスで公開されると、3週間で10万人の観客動員数を記録。


Bruno Manser - La voix de la forêt tropicale from AscotElite on Vimeo.



 これが日本でも公開されるのかは判らないが、日本の木材消費が招いたサラワクの苦境。個人的には公開してほしい。
 
 というのは、私自身も1989年にサラワクを訪れ、森の中の先住民族(主にカヤン人)の村に住み込むことで彼らの苦境を見ているからだ。訪問はこれまでに30回を数え、滞在期間は延べ2年ほどになる。

 先住民族は、伐採やプランテーション開発(伐採より始末が悪い)と対峙しているが、それに加え、私が森の先住民族と関わるのは、どういう状況であれ、彼らが家族や村を大切にし、その日その日を満足して生きているからだ。森のなかでは、変化に乏しい平凡な毎日しかない。だが、日本にいれば、本がもっと売れないかな、もっと自分のことが知られないかなといった欲を覚えながら生きているのに、サラワクに住んでいるとそんな欲は一切なくなり、平凡だけど「オレ、もう今死んでも悔いはない」と思うほどの充足感に包まれることがしばしばある。

 ブルーノは1993年12月に来日して、丸太を大量に輸入する総合商社の丸紅前でハンストを実行し、丸太輸入の停止を訴えた。
 そのとき、私はブルーノに会ったが、彼が語ったのはやはり、プナン人と過ごしていた平凡だけど、豊かな自然と優しい人々にに包まれて生きる充足感溢れる日々のことだった。彼はずっとプナン人と生活をしたかった。だが、それが許されなかったのは、自分が動かねば国際社会に訴えられないからとの使命感だった。そして迎えた謎の死。

 少なくとも私には必見の映画である。日本に来ればだけど。

←ブルーノ・マンサーの著書の和訳本。彼がどうやってジャングルのなかで先住民族と共に生きてきたのかが記されている。

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2020/02/19 16:48 熱帯林 TB(0) コメント(0)
 
●「パーム油発電をしないで!」
 3月26日、環境NPOが旅行会社HISの前で「パーム油発電をしないで」と街宣を行った。

HIS前抗議行動3

 パーム油は油脂類では生産量第一位の油脂で、その約9割をマレーシアとインドネシアの2か国だけで生産する。
 日本にも約60万トン輸入されているが、8割が食用(ほとんどの食品に使用)、2割が工業用(洗剤や石鹸、医薬品、化粧品など)で、家庭用ならば「環境にやさしい」とのキャッチフレーズで石鹸やシャンプーなどに利用されている。

 だが! 環境にやさしいのか? パーム油は原料となる油ヤシを栽培するには、一つのプランテーションで最低で3000ha(山手線の内側の半分)もの大面積を必要とするので、ひとたび開発されると、森林が丸裸にされ、動植物が消滅し、そして熱帯林に住む人たちの村もなくなる。

サラワク。数カ月前まで森だった。プランテーション。  プランテーション概観 ← 写真上がプランテーションのために皆伐された熱帯林。写真下が一本残らず油ヤシだけが植えられたプランテーションの概観。

たとえばマレーシア・ボルネオ島サラワク州は面積が1244万haだが(日本の約3分の1)、そのうち油ヤシ・プランテーションはその1割以上の約157万haを占めている。サラワクの隣のサバ州は740万haのうち油ヤシ・プランテーションは約155万ha。
 両州でプランテーション開発が激しくなったのは1990年代に入ってからだから、たった30年弱で物凄いペースで熱帯林がなくなっていることを示している。

 これまで何百、何千の村が姿を消したことだろうか。姿を消さないまでも、油ヤシだけに頼る生活に切り替えざるを得なかっただろうか。

 サラワクでは「土地の権利を侵害された」として、サラワク州やプランテーション会社を訴える裁判が約150件も住民から起こされている。ヨーロッパでは、パーム油は環境破壊の油と認識され、スイスの大手食品メーカーのネスレなどは日本でもおなじみのキットカットにもパーム油が使用されていることから、国際NGOグリーンピースに名指しされてのアンチ・パーム油動画で全世界から批判を受け、ついには、「熱帯林を破壊しない持続可能なパーム油調達をする」との方針転換を公表した。



●再生可能エネルギーだからOK?
 
 だが日本では、「再生可能なエネルギー」として、HISの子会社「H.I.S. SUPER電力」がパーム油を使っての発電を行う。
 しかも、NPOとの面談でHISの沢田社長が「パーム油にそういう背景があるとは詳しくなかった。検討させてください」と約束しながら、その回答も来ないうちでの着工では、子会社への不誠実な印象は否めない。
 この件、近いうちに、その子会社かHIS本社のどちらからかコメントを取りたい。そして記事にしてみたい。

●NPO側の言い分
 HISは格安航空券や格安旅行の手配などで知られているが、じつは、エコツアーなどにも熱心な一面がある。
 事実、私も、その担当者から「ボルネオに何十回も行っているんですって? もしエコツアーになりそうな場所があれば、是非紹介してください」と声をかけられたことがある。とてもまじめな社員だったと記憶している。
 そのHISが森林破壊の象徴の一つでもある油ヤシを使っての発電を開始する。
 
 数字的な事実だけを書けば、パーム油発電では、その二酸化炭素排出量は、石炭発電の3倍弱にもなることだ。
 今回抗議活動を展開したNPOの一人は「HISは『持続可能な観光を謳っている』だけに、とても残念」と語った。

 この抗議活動中、HISから一人の社員が「やめてください! この行動のことは事前に何も聞いていない」と飛び出てきて、NPOメンバーを社内に招き入れた。そして、NPOが本当に本社で社長と話しあったのかを確認したいと20分ほどその場を離れたが、その後「今回、伺った内容は会社に伝えます」と戻ってきた。そして、後日、NPO側への連絡を約束した。まじめそうな社員だったので、約束を守ることを祈る。
 NPOと会社とが話しあって、どこを妥協点にするかは気になるところだが、何といっても問題は、欧米では油ヤシプランテーションの環境破壊と社会破壊が問題視されているのに、日本ではいまだにその周知が遅れていることだ。

 以下、連絡先NPOの「FoE JAPAN」が出した声明です。 
http://www.foejapan.org/forest/palm/190205.html

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2019/03/29 13:26 熱帯林 TB(0) コメント(0)
リニア取材のカンパをお願いいたします
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、2018年後半に取材資金が底をつき、2020年に新たな単行本を出すことを目的に、2019年4月からクラウドファンディングでの取材資金を呼びかけさせていただきました。そして、多くの方からのご支援をいただくことができました。本当にありがとうございました。とはいえ、リニアの取材は来年も5年後も行うわけで、来春以降は、再び取材資金の確保に頭を悩ますことになりそうです。何度もクラウドファンディングは使えません。そこで、少額でもご支援をいただければと、ここにそのお願いをする次第です。額面に関わらず、ご支援に対しては、リニアについての単行本の送付や記事の案内などをさせていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。今後とも応援をしていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。