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取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

Author:樫田秀樹
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 昨日、スマホに留守番電話を確認。メッセージの主は入管収容所「東日本入国管理センター」(茨城県牛久市)の被収容者から。
「私は牛久入管のシャーラムです。お願いします。取材に来てください」
 私が牛久入管に行けるのはせいぜい月に1度か2度。そして、私の場合は取材申請をして面接に入るので、その許可に時間がとられるため、1日にせいぜい4人にしか会えない。それでも1年で15回としても延べ60人には会っていることになる。
 イラン人のシャーラムさんは牛久入管で5月から始まった「生きてここを出るか、死ぬか」の死を賭した本気のハンストを最初に始めた人。
 7月に仮放免されたが、その期間はわずかに2週間。それでもそれが更新されるのならまだいいが、2週間後、更新は不許可となり、その日のうちに牛久入管に戻された。
 この事実は、牛久入管の被収容者をビビらせるどころか逆に怒らせ、新たなハンスト者も生み出した。
 で、シャーラムさんは再びハンストに入った。
 すると、入管はシャーラムさんに再び仮放免を約束した。
 だが、8月下旬、私がシャーラムさんに面会した時、シャーラムさんはこう言った。
「2度目の仮放免は2週間前に約束はされました。でも、未だに、それがいつで、今度はどれくらいの期間の仮放免か全然教えてくれないんです。仮放免を約束された時、入管は『ハンスト中止』を条件にして、私もそれに従いましたが、もう少し待って、仮放免の時期と期間が伝えられなければウソの可能性もあるので、3度目のハンストをやります」

 果たして、その数日後、シャーラムさんは3度目のハンストに入った。
 あれから1カ月弱立つ。そして昨日の電話。気になる。行かなければ。
 でも、今、他の用事で行くことができない。最短で来週の火曜日か木曜日か。
 
 それにしても、入管問題を取材して、まだ1年ちょっとの私がなんでこんなに頼られるんだ。今、月に数回は、収容所内で私の電話番号が共有され、私のスマホに被収容者から電話が入る。誰かほかに取材しないのか。と周りを見たら、確かにこの問題を継続取材しているジャーナリストは本当に少ない。
 また23日には入管関連の問題について、短い時間ながら講演もしなければならない。初めは固辞しようと思ったが、ジャーナリストの少なさを考えると私のような者でも引き受けざるを得ない。
 リニアのことだけでも、未処理の資料が高さ数十センチに積まれていて追いつかないのに、入管問題も中途半端にできなくなってしまった。ただここで逃げちゃいけない。悩む前にやるしかない。

 ただ、望むらくはこの問題をやりたいライターはいないかということだ。
 本気でやるならアシストする。

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●いったい何が起こっているんだ。わずか2週間の仮放免

 茨城県牛久市の「東日本入国管理センター」(法務省・出入国在留管理庁の収容施設の一つ)には今、難民認定申請が不許可となった人たちを中心に約300人が収容されているが、5月から一個人が自発的にハンストを開始して、それがあれよあれよと増えて、気づけば今、約100人が、ポーズではなく、死を賭したハンストに入っている。

 じつは私も6月にここを訪れ、ハンストをしている一人と面会取材はした。
 ただ、今回のハンストへの私の捉え方は甘かった。
 ハンストは今回が初めてではない。毎年誰かがやっている。そして数週間後には体力の限界と同時にハンストは終わるが、その結果、管理センターが彼らの望む「仮放免」(一時的に収容を解く措置)をすることもなかった。
 つまり、管理センターには「どうせハンストが終われば、また普段の生活に戻る」との読みがある(実際、職員からその言葉を私は聞いている)。

 もっとはっきり言えば、被収容者も、「死を賭けた」ハンストに臨む人は多数派ではなかった。。
 だから、私も今回はまた数週間後には終わるだろう・・と思っていた。

 ところが今回のハンストは異常だ

 以下、被収容者への面会活動を続ける市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」(牛久の会)の情報を基に、今回のハンストの経緯を紹介する。

●経緯
★5月10日 イラン人シャーラムさんがハンスト開始。
 だが1 週間後に倒れ、医務室脇・静養室で静養することになる。
 それを見た同じイラン人たちが次々とハンストを開始。全員が 2 年以上の長期収容者。

(現在の収容所の最大問題が長期収容。刑務所ならば刑に応じていつ出所できるかがわかるが、難民認定申請をしただけの人たちに対しては、実質、無期限拘束をしているからだ)

 5月、イラン人ハンスト者は4人に。

★6 月中旬 ハンスト者が次々体調不良になり静養室へ。
 その静養室のベッドも一杯になり、新たに ブロック6Bとブロック6Aという通常は使われていない居住区間の居室をハ
ンスト者用にあてがう。
 そのうち、スリランカ人も 1 人、そして自殺未遂のクルド人が懲罰房に入れられたが、その人もハンストに入る。

(私が面会取材したのはこのクルド人)

 そしてこの頃から、ハンスト者にぽつりぽつりと仮放免が許可されるようになる。

★7月3日  ハンスト者は23人に。

 同時にハンスト者への仮放免も続く。

 一つの背景として、以下の事実がある。

 ◆6 月 24 日 
  長崎県の大村収容所でナイジェリア人のサニーさんがハンストの末、死亡したと伝えられた
  サニーさんは、じつに3 年7 ヶ月も長期収容され、今年 3 月から 水もほとんど摂らないハンストを2か月間も続け

ていた。その行動が問われたのか、単独房に隔離収容されていた。

 ◆7 月 2 日
  山下法相の閣議後会見
 「健康上の問題などで速やかな送還のめどが立たない場合には、人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用する」
 と説明した。

★7 月 4 日  クルド人ユージェルさんが仮放免された。
 ただし、長いハンストの影響で「拒食症」になってしまい、「水も食べ物も食べたいけれど食べられない。摂ろうとすると吐いてしまう」。
 彼を6月26日に診断した収容所外の病院医師は「このままでは死んでしまう! 内臓の問題ではなく心の問題」と断言
した。
 ユージェルさんは難民認定申請者。牛久に2年半収容され、仮放免時には体重が 30 キロも減った。この30キロのうち20キロがハンストの 70 日間での減少だった。


★7 月 9 日
 ブロック6 Bに収容されていたイラン人 4 名が仮放免。うち一人が、最初のハンスト者のシャーラムさん。
 仮放面の条件として、「ハンスト中止」、「血液検査を受ける」こと。

 ところが!

 4人に与えられた仮放免の期間はわずか2週間。
 果たして2週間後、どうなるのかと関係者を不安にさせた。

★7 月 12 日
  イラン人 2 名が仮放免。
 うち一人は、羽田空港での入国時に「上陸拒否」となり、そのまま牛久に移送された。
 そのまま2年間収容されていた。
 つまり、今回の仮放免で彼は初めて日本の土を踏んだのだ。

★7月23日 
  6 名の仮放免。
  イラン人、クルド人、スリランカ人など。
 この動きに合わせ、以後、毎日のようにハンスト者が増え続けている。
 それが今、100人もの規模に膨れ上がっている。


●●しかし! 2週間後に「再収用」だって!?

 7月22日。
 驚くべきニュースが入ってきた。
 7月9日に仮放免されたシャーラムさんとマジットさんが、「2種間」の仮放免を更新しようと、東京出入国在留管理庁(東京入管)に赴いたところ、「不許可」の裁定を出され、そのままバスに乗せられ、牛久に直行したという。

 伝え聞く話では入管職員は「ハンストをして仮放免されても、すぐに戻される」と言っていたようだ。つまりもともとそのつもりの仮放免だったのか?

 本日15時から、牛久の会がつくば市で緊急記者会見を開催。
 じつは、本日を逃せば、他の原稿執筆に大きな遅れが出るので、迷ったが、やはり行こう。
 とんでもないことが進行しているかもしれない。

 また近いうちに牛久にも行かねば。

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●「医師に聴診器を当ててもらったことはただの一度もない」
 先日投稿した、チョラク・メメットさんについての補足情報。
 チョラクさん初め被収容者が収容施設のなかでどんな医療を受けてきたのかについて書いてみる。

 救急車拒否事件から約1カ月たった4月10日、私はチョラクさんに面会取材した。

 チョラクさんに会うのは初めてだったが、アクリル板の向こうに現れたチョラクさんに「体も心も疲れ切っている」と感じた。それほどに、表情はやつれ、体の動きも緩慢だった。
 救急車拒否事件の翌日に国会でもこれが取り上げられたこともあるのか、3月13日にチョラクさんはやっと外部の病院に搬送された。そこでどんな医療を受けたのかを尋ねた。 

チョラクさん記者会見← 6月24日の記者会見でのチョラクさん

「その日の午後1時過ぎに、NTT東日本関東病院(品川区)に連れていってもらいました。脳梗塞と動脈硬化があるかの検査をしただけです。脱水症状は指摘されたけど、結局診断はつかず午後四時過ぎに帰されました」

――それだけですか?

「それだけです」

 ここでチョラクさんは憤りの声を上げた。それは入管の医療システムをあぶりだすものだった。

私はここにいる1年3カ月の間、40回以上も施設の病院に行っています。でも、医者や看護師に聴診器を当ててもらったことがただの一度もありません。体を触ってもらったこともありません。ちょうど今、あなたと離れて話しているこの距離に医者がいて、私の病状だって同行する職員が医者に説明するだけです。なぜ難民申請しただけでこんな目に遭うのですか! 私はもういつ死んでもおかしくないです。今、精神の興奮を抑える薬を飲んでいますが、一昨日は寝れたけど、昨日は寝たり起きたりの繰り返しでした」

 極めて不安定な精神状態だ。チョラクさんを一刻も早く仮放免すべきだと思った。不十分な医療だけではない。一人の人間として扱われないことにチョラクさんは深く傷ついている。

 医師からの触診がない。ケースバイケースであろうが、同じような話は複数の被収容者からも聞いている。


●診察を受けるには平均14日待つ。最長は54日。

 現在、仮放免で暮らす韓国人のKさんは茨城県牛久市の「東日本入国管理センター」(牛久入管)で長期収容された経験をもつが、医療の不備を以下のように話してくれた。

「私たちは、医療を受けるには申請書を書かねばなりません。問題は、書くのは本人ではなく職員の代筆であり、また、すぐに医療を受けられないことです。牛久センターには外から通いで来る医師や看護師はいます。でも、頭痛ひとつとっても、人により原因は様々なのに汎用薬を与えられることが多い。そして、場合によっては外の病院に行かねばなりませんが、すぐに行かせてくれません。これは絶対におかしいです」

 この言葉を裏付けるデータを認定NPO法人「難民支援協会」(以下、支援協会)がもっている。支援協会は2018年2月26日、国会議員4名、市民団体、個人で牛久入管との意見交換を行った。そこで牛久入管が明らかにしたのが、「2017年、被収容者が申請書を提出後に診察が受けるに要した時間が平均14日」という数字だ。申請書提出後、診察まで3日以上を要する件数も2341件と一般社会ではありえない数字も明らかになった。

牛久入管の庁内病院が設置する診療科は、内科、歯科、精神科のみ。内科は、常勤医1名と日替わりの非常勤医、そして常勤看護師三名で診療にあたっているが、その運用は平日のみ。歯科は週一日、精神科は月二日だけとなっている。

皮膚科医や整形外科医はときどき来るが、この点を、意見交換会で牛久入管はこう回答している(要約)。

「整形外科などは診療が混み合い、診療まで最長で54日待った人もいる


●放置された「骨折」

 Kさんの収容中にこんなことがあった。被収容者には一日40分の運動が許可されているが、あるインド人が転んで足を骨折した。すぐに手術が必要だ。だが、その日は金曜日の午後。申請書を書いても、牛久入管の事務は土日が休みだから、許可が下りるのは月曜日以降になる。Kさんは「お願いします! せめて鎮痛剤を!」と訴えたが、かなわなかった。

 韓国で徴兵による軍隊経験のあるKさんは自分のTシャツを破いて、応急的にインド人の足を固定した。結局、インド人が外部の病院に行けたのはその翌週となったのだ。

「これは刑務所でもあり得ないのではないでしょうか」
 
 Kさんは今でもそれを思い出すたびに憤りを覚える。

 収容施設の医療をめぐっての被収容者からの不満については、ここでは、その10倍書いても書ききれないほどの話を面会取材を通して聞いているが、ここでのポイントは、入管自身が「医療を受けるには時間がかかる」と認めていることだ。
 
 それにしても、私は8月から再びリニア中央新幹線の取材に時間を割くが、加えて、この問題もやる。果たして自分の頭がパンクしないかが心配だ。(;_:) 

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●チョラク・メメットさん、突然の仮放免
 6月17日。
 東京出入国在留管理局(東京入管)に1年半も収容されていたトルコ出身のクルド人のチョラク・メメットさん(39)に「仮放免」が認められ解放された。
 入管は被収容者には「重病者を除き収容を継続せよ」(2018年2月の通知)との施策を敷いているが、それにより、たとえば、茨城県牛久市の「東日本入国管理センター」では被収容者の9割以上もが半年以上の長期収容に置かれている。
 チョラクさんの名前が周知されたのは3月12日。その前日から立てないほどに体調を崩し、家族や支援者が救急車を2回手配したが、3月12日、東京入管は2度とも救急車を無人のままで返した。支援者たちは徹夜で東京入管前で過ごし事の成り行きを見守り、さすがにマスコミも報道し、国会でも取り上げられた。
 「世間の目が集まった」ことで、突然の仮放免となった・・と関係者は推測する。

●ギリギリだった精神状態
 私はこの救急搬送拒否事件のあとでチョラクさんに面会取材した。
 アクリル板の向こうに現れたチョラクさんは明らかに憔悴しきっていた。心が悲鳴を上げることすらできないほどに弱っていた。会話の中で
「もう狂っていますよ、私…」
 とチョラクさんはつぶやいた。
 チョラクさんに限らないが、収容が長期に及ぶと、多くの被収容者が精神のバランスを崩す。
 これが刑務所ならば、その罪に応じて、「何年で出れる」が判る。
 だが、チョラクさんはトルコでの迫害を逃れ、2003年に来日して難民申請をしただけの人だ。その難民申請も不認定となり、「仮放免」で生きてきたが、その更新も不許可となって2018年1月から収容されていた。
 この面会取材の内容についての詳細は割愛するが、私は「この人は一日も早く仮放免しなければ、体も心も危ない」と感じた。
 だからこそ、今回の「仮放免」をとりあえずは良かったと思う。


●記者会見

チョラクさん記者会見←チョラク・メメットさん

 6月24日。
 チョラクさんの記者会見が開催された。
 記者会見のための資料が20部用意されたが、追加のコピーが必要なほどに多くの記者が集まった。
 チョラクさんは一度しか会っていない私を覚えてくれていた。顔には笑顔が戻っていて、握手も力強かった。
 この日の記者会見には、チョラクさんの妻、そして、同じように夫フセインさんが収容されているクルド人女性が2歳の娘さんを抱っこして参加した。
 妻たちの声は悲惨な現実をあぶりだす。

 ★チョラクさんの妻
「3人の息子がいます。長男は赤ちゃんのときに来日し、他の2人は日本で生まれ、全員が日本の学校に通っています。私は夫ほど日本語ができないので、この1年半、子どもたちの勉強を見てあげられなかった。つらいのは、悪いことをしていないのに収容されている父親のことを子どもが周りに話すことができないことでした。子どもは私に「ママ、恥ずかしいよ!」と訴えました。
 私は毎日面会しましたが、子どもたちには『パパは元気だよ』とウソをいうのがつらかった。入管のこと、学校のこと、家のことをすべて一人でやるのは本当に大変でした。
 子どもを連れての面会は普通の部屋で許されることもあります。ただし、それは職員立ち合いの下で、面会では子どもは夫にハグできますが、妻は夫の体に触れることが許されません。面会の間は椅子に座っているだけです

チョラクさん記者会見 チョラクさんの妻

 ★フセインさんの妻は泣きながらこう訴えた。
「夫は、この子が生まれて半年で収容されました。それから1年半以上が経ちました。面会に行っても、2歳の娘は、夫を知らない人だと思っています。夫は2カ月前から一人部屋に移され、もう何十日もほとんど食事をしていないので痩せこけています」
 フセインさんは、トルコで反政府運動の疑いをかけられ、警察に拷問を受け、刑務所に12年も収監されていたことがある。そういう背景があるから日本に逃避したが、難民として認定されなかった。拷問と12年間の服役で精神疾患を抱えるに至ったが、そういう人に対して、さらに長期収容が繰り返されている。

チョラクさん記者会見 フセインさんの妻2 チョラクさん記者会見 フセインさんの妻1←フセインさんの妻。子連れで会見に臨んだ。


●マスコミが試されている
 フセインさんがいつ仮放免されるのかは誰にもわからない。
 ただ一つ言えるのは、チョラクさんの場合は、救急搬送拒否という「事件」があり、支援者が徹夜での抗議に臨み、その結果マスコミが騒ぎ、国会でも取り上げられたことで解放に向かったが、フセインさんやその他大勢の被収容者には「事件」や「事故」は起こらない。そうである限り、「事件」が起きてから初めて動くマスコミはフセインさんらその他大勢の被収容者を記事化することはない…。
 そして、やっと解放されたチョラクさんの今後を報道することもやがてはなくなる。
 だが、この問題は、『事件』や『事故』の有無に関わらずに報道すべきことなのではないのか。いまのマスコミにそれが期待できるのか? このままではフセインさんは自我が崩壊するかもしれない。

●「人間として扱われなかった」
 記者会見では多くの質問の手が上がった。私が尋ねた一つは、「解放されてから1週間が経つが、現時点での精神状態や体調はどうですか?」というものだった。
 被収容者のほとんどがその閉ざされた環境から睡眠障害を発症し睡眠剤や精神安定剤に頼っている。チョラクさんは「今でも眠れません。毎日4錠の精神安定剤を飲んでいます」と答えた。そして、自分を、そして自分たちをそういう状態に陥れた入管の扱いに対して「人間としての扱いじゃないです。本当につらい」と訴えた。
 救急車事件のあったとき、チョラクさんは頭と心臓の痛みで立ち上がることができず、寒さに震え、一人部屋で横になっていた。あまりにも苦しいので「担当さん!」と職員を呼んだが誰も来てくれなかった
 理由は部屋には監視カメラが設置されているので、それで被収容者が「生きているか死んでいるかを確認できる」と入管職員は説明したそうだ。
 これは本当の話なのか?
 と書いたが、私はほかの被収容者数人から同じような話は聞いている。そして、仮に担当職員を呼ぶために大声であげたりドアを叩くなどの行為をした場合は、逆に職員が10人くらいでやってきて「規律違反だ」として制圧(動けないように全身を抑えられる)されて、懲罰房に送られる話も聞いている。

 今回、記者会見に臨んだクルド人の方々は我々メディアに報道の継続を訴えた。肝に銘じなければならない。

チョラクさん記者会見 ご夫婦←チョラクさんご夫妻

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●突然の収容
 4月2日。知人からの連絡に驚いた。
 昨年夏にお会いして、今年1月、そして2月とご自宅で取材をさせていただいたトルコ出身のクルド人のZさんが、東京都品川にある東京入国管理局に収容されたというのだ。
 Zさんは仮放免で長年にわたり日本で暮らしてきた。詳しく書けば長大な文章になるので、ここではそれを省略するが、最低限のことだけを書く。
 Zさんはもう9年ほど前、茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容されていた。そして、いずれはトルコに還す・・との前提は変わらないが、帰国への条件が整うまではと、一時的に日本に住める「仮放免」で外に出た。今は、埼玉県川口市で妻と二人の子どもで暮らしている。

●仮放免の条件
 仮放免は「いずれは母国に還す」のが前提である以上、仮放免者に課せられる条件は
 ★就労禁止
 ★移動の制限(居住する都道府県から外に出るには制限がある)

 の2つだ。
  そして、有効期限が1~2カ月しかないので、仮放免者は期限の切れる前に東京入管で更新手続きをしなければならない。

●車の運転で収容された?
 2、3カ月前、Zさんは車を運転中、警察の検問にひっかかり、そこで重量オーバーと判断され、罰金を払う手続きをした。そこまではいい。問題は、4月2日、仮放免の更新手続きをするために東京入国管理センターに赴いたところ、担当者から「あなたは車の運転をしましたね」と、仮放免の条件に違反したということで、即、収容されてしまった。

●「本当に車の運転が理由なのか?」
 私は4月5日、品川でZさんと面会してきた。アクリル板の向こうから、Zさんは元気だったが、「本当に運転が理由で私をここに閉じ込めたのか?」との疑問をぶつけてきた。
 
●子どもに会えない
 4月2日に収容されたら、すぐに家族や知人が面会に訪れた。妻と二人の子ども(2歳と9歳の男の子)も2回ほど来たと言うが、2歳の男の子は、まだ事情が分からずに、アクリル板を普通のガラス窓だと思い込み、お父さんに抱っこしてほしくて、何度も「窓を」開けるための取っ手を探したという。
 2歳と言えば可愛い盛りだ。この男の子は、私もZさんの自宅で会っているが超人懐っこい子で、Zさんも「その子にかまっちゃだめ。一度でもかまってくれると知ったら最後で、ずっとまとわりつきますから」と笑っていた。
 その子どもを、今後1年や2年は抱っこもできない日々が来る。
「だから、家族には会いたいけど、ここには来てほしくない。辛くなるから」

●法務省に尋ねてみた。
 Zさんの面会が終わり、帰宅後、私は法務省に電話をして尋ねた。
 「就労禁止」と「移動制限」は仮放免の条件だとは知っていたが、「運転禁止」もそうだったのかと。
 すると担当者はこう回答した。
「いえ、全国一律の条件は、おっしゃる通りの『就労禁止』と『移動制限』だけです。仮放免を認めるのは、法務省の出入国在留管理庁の『地方局』です。そこの局長の判断で、他の制限事項も決まります。たとえば、仮放免者が過去に車で交通違反や事故を犯していたなら、局長は『運転禁止』を言い渡すこともあります」

 だとすれば、法務省はあらかじめ運転免許証を管轄する警察庁にそのことを伝え、仮放免者の免許証取得を禁止したり、免許証の更新を許可しないなどの連携を取るべきだ。それもないままに、突然の収容では、外国人にとっては理不尽ではないのか。

 ともあれ、次回の面会では、Zさんに「過去に交通事故や違反をしたことがあるか」を確認してみたい。もし、なかったのなら、違う理由で収容されたことになる…。
 いや、Zさんもうすうすそれは勘付いている。だから最後にこう訴えた。
「入管は私にトルコに還ってほしいんだろうけど、今のトルコは年々、クルド人への締め付けが強くなっているから、今帰ったら、オレ危ないよ。だから帰れない。でもだからといって、ここに何年もいるの? 悪いことをして刑務所に入るのは仕方がない。でも刑務所なら何年で出られるか予め判っている。でもここは、難民(申請者)の保護施設なんかじゃなくて、実質は期限のない刑務所だよ。いっそのこと、家族まとめて強制送還してくれたほうがましと思うこともあるよ」
 
●仮放免が認められず、収容が長くなっている
 下の表は、「牛久入管収容所問題を考える会」が整理した東日本入国管理センターに収容される外国人の収容期間の変遷を表す。

被収容者の収容期間の変遷.


 1年以上の収容は2013年2月末で97人、対して18年10月末は181人とほぼ倍増しているのが判る。
 ちゃんとした理由がある。 
 入国管理局長が2016年に「東京五輪までに日本に不安を与える外国人の縮減を」、18年には「重病人以外は仮放免を継続せよ」との通知を出しているのだ。

 法務省への電話で私は尋ねた。
ーー最近は、被収容者の収容期間が長期化しています。重病者以外の収容が長期化しているのは、2,3年前の通知でそうなったのでしょうか?
「はい、確かに長期化が進んでいるのは事実です」

 だが、Zさんは、社会に不安など与えていない。
 もちろんZさんだけではない。被収容者への長期収用はほとんどの場合で、人権侵害に相当するのではと思わざるを得ない。

 今回、品川には「個人」として面会したので、ここで詳しいことを書くのは差し控えた。次回は「取材」として入るので、続報ではより詳しく伝えたいです。

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 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、2018年後半に取材資金が底をつき、2020年に新たな単行本を出すことを目的に、2019年4月からクラウドファンディングでの取材資金を呼びかけさせていただきました。そして、多くの方からのご支援をいただくことができました。本当にありがとうございました。とはいえ、リニアの取材は来年も5年後も行うわけで、来春以降は、再び取材資金の確保に頭を悩ますことになりそうです。何度もクラウドファンディングは使えません。そこで、少額でもご支援をいただければと、ここにそのお願いをする次第です。額面に関わらず、ご支援に対しては、リニアについての単行本の送付や記事の案内などをさせていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。今後とも応援をしていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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