ＴＰＰでの農業崩壊も怖いが、医療崩壊はもっと怖い。

　TPPを巡る報道では、農業に焦点が当てられていたが、それよりも恐ろしい「医療崩壊」については、メディアは右も左もほとんど報じてきませんでした。
　わかりやすい大阪のテレビ番組があったので、それをシェアします。

　医療崩壊については、私もかつてはこまめに取材したことがありますが、一つだけ言えるのは、厚労省は巷で言われるような、日本の医療をダメな方向にもっていくような組織ではなく、むしろ、たとえば今の個人負担３割を必死で守ろうとしているということです。
　しかし、財布のひもを握っている財務省が予算の割り当てをしなければ、十分な医療政策には結びつかず、ズルズルとわずかにわずかに日本の医療体制が後退をしている。そのあたりは厚労省の職員もジレンマを感じているところです。（もちろん、厚労省自体の問題もあるのは事実）

　だが今、ＴＰＰという超外圧のルールが成立しそうです。これで一気に変わります。

　まあ実際は、本当の合意にはあと２年くらいはかかるそうですが（だって、アメリカ内部でも議会で賛成、反対で割れている）、もしＴＰＰルールが認められると、それは日本の法律よりも上になります。ということが決まっています。つまり、ＴＰＰのルールに従って、日本は法を変えなければなりません。

　今は国民皆保険で、日本のどこの病院に行っても、保険証一枚さえあれば、同じ薬や同じ治療に対しては、すべて同じ価格が適用され、国民は３割の負担でそれらサービスを受けることができます。世界に誇るべき日本の医療制度です。

　しかし、ＴＰＰで「医薬業界の自由競争を妨げることはまかりならん」というアメリカ企業のためのルールが決められてしまうと、この国民皆保険制度がなくなる恐れがあります。
　となると、たとえば、現在は１０００円払えば入手できる保険適用の治療と薬は、自由診療となると天井知らずになり、そのために民間の医療保険に入らざるを得なくなるという事態が起きます。

　だが、マイケル・ムーア監督の「シッコ」というドキュメンタリー映画を見た人なら覚えているかと思いますが、指一本の怪我にも数十万円がかかり、しかも、民間保険では認められないなどの事例が日常化してしまいます。

　ともあれ、映像をご覧ください。
　番組の進行を務めるのは、長年、この問題について警鐘を鳴らしているジャーナリストの提未果さん。






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