プロフィール
Author:樫田秀樹 ブンブンエコライト
ブンブン回すだけで充電できる懐中電灯。たった97グラム!
電気不要・8年間カートリッジ交換不要の浄水器
カウンター
メールフォーム
最新記事
カレンダー
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
全記事表示リンク
この記事にリンクを貼る
40種類の柄、15種類のカラーから自分好みに選べる、オリジナル フルジップパーカ
バケツ洗濯機KJ-950
これは便利!雑巾や軍手、スニーカーなどがきれいに!
携帯用洗面器
旅行に便利。空気で膨らむ洗面器。
電球型ポケットライト
財布や名刺入れにも入る薄型ライト。厚さ3ミリ
LEDダイナモランタン
手回し充電もソーラー充電もOK。部屋のインテリアにも。
LEDキャンドル
LEDだけど炎がゆらぐ。癒される。息の吹きかけでオン・オフができる。
タタメットズキン
サイズ調整できる折り畳み防災ヘルメット+ずきん。落下物にも炎にも強い!
パッカブルブーツ
折り畳める長靴。色も選べます
アンチボトル
折り畳めるウォーターバッグ。500mlなので、何度でも使えるペットボトルとして重宝する。色は7色。
浄水機能ペットボトル
カーボン製フィルターが水道水をおいしい水に変える。385ml。色は3色。
あつあつ加熱パック
火を使わずに食材を98℃まで加熱。災害時には暖かいものを食べたいですね。
|
リニア中央新幹線
9月19日。
山梨県南アルプス市の住民6人が「リニア工事差止」を求めている裁判で、裁判所による現地検証が実施された。この裁判では二人目の裁判長は、担当当初から「私がこのなかではリニアについては一番の素人です」と認めたうえで、おそらくそれまでに積み重ねられた膨大な準備書面を読む時間がないことから原告と被告の双方に、これまでの準備書面を要約した「要約準備書面」の提出を求めた。裁判長にはやる気がある。 そして、やはり当初から、原告の求める現地検証にはやる気を見せていて、実際、先日の9月15日にはリニア山梨実験線の4カ所を現地検証(私は行けなかった)して、騒音、振動、日陰など実際の被害に遭っている住民に遭っている。 そして今回の19日は原告6人と補助参加人数人の居住地や田畑を確認。 ただし、裁判所からは、メディアに対しては、「遠く離れていること。話しかけないこと」などの条件が原告側弁護士を通じて要請されていたので、私たちはそれに従った。 では裁判所が検証した居住地ではどういう問題が起きるのか。 ![]() ![]() ![]() どの原告もその家屋、敷地、田畑などがリニアのルートにかかる。つまりルートの間近に住む人たちだ。 だが家屋にわずかでもかかれば移転補償の対象になるが、秋山美紀さんのようにほんの数m離れると対象外。田畑もルートにかかる分は補償されるが、日陰補償についてJRは詳しい説明をしていない。これについては、私はすでに4年ほど前、それら居住地や田畑を巡り、ブログなどに投稿しているので、詳しくはこちらを参照してほしい。(ただし、この記事に出てくる二人目と三人目の原告はもろもろの事情で原告を降りている) 今回、どの現場でも私たち記者(といっても取材したのは意外にもフリー3人だけ)は50mは離れたので、何を話しているのかまったく分からなかったが、唯一、最後から2人目の秋山美紀さんはとてもよく通る声なので、その主張がところどころ聞こえてきた。 「リニアのルートはこの家の敷地の角をかすめます。JR東海はそのかすめた部分しか補償しないというんです。私はリニアルートからほんの数m先で暮らすことになるので、JR職員に『あなたがたも同じ立場だったらどう思いますか?』と尋ねても何も答えません」等々。 ![]() 現地検証のあと、原告団長である志村一郎さんから聞いたところ、検証中、裁判長は自ら意見や質問を発しなかった。おそらく、これまでの法廷での原告の主張が本当かの確認をしたはずだ。 ![]() そして10月24日、甲府地裁では、いよいよ原告6人と補助参加人3人による証人尋問が行われる。それが終わると、年内か来年の早い時期に原告と被告の双方が最終準備書面を提出し、最終弁論が行われ結審する。つまり、判決はおそらく来年に出るということだ。 今の裁判長であれば、ひょっとすればひょっとするのではとの思いも走るが、それなりに中身のある判決になるのではと思う原告はいる。ただし裁判に期待は禁物だ。 時間のある方は、10月24日、朝9時半までには甲府地裁に来てほしい。おそらく傍聴希望者多数のため抽選になるかと思われる。証人尋問は朝10時から17時までの長丁場になる。裁判終了後は近くで報告集会も開催予定。 ![]() 銀行に行く時間がない。もしくは紙幣のカンパは難しいという方は、PCやスマホでできる100円カンパ(それ以上も)をご利用ください。こちらから利用できます。 ↓ ブログランキングへの応援クリックをお願いいたします。 ![]() ↓ 拍手もお願いいたします スポンサーサイト
リニアは2027年に開通しない。これは各都県で工事が遅れているからで、JR東海が主張するような「静岡県が着工を許可しないので」ではない。
そのことは具体事例をあげて、雑誌、SNSの投稿などで記事を書いてきた。 さて、では、その遅れている工事の進捗率はどれほどか? この正確な算出は難しい。JR東海が、各工区ごとの進捗(何mのトンネル計画で何m掘ったかなど)をほとんど公表しないからだ。 ただし、品川から名古屋まで約80工区あるうちのどれくらいの工区に着手したのかは公開されているのでわかる。 ここではリニア本線の86%を占めるトンネルに絞って、その数字に迫りたい。 まず、本線は286Km。うちトンネルは246Km。そして既に運用されている山梨実験線(将来の本線を兼ねる)は全長約43Kmで、そのうちトンネルは約35Kmだから、実験線を除いた本線トンネル区間は211Kmだ。 リニアの約80の工区は、そのほとんどで、JR東海は工事契約済みだが(逆に言えば、現時点でも工事未契約工区が存在する)、その多くは「非常口」(斜坑や立坑)や先進坑(本線トンネルを掘る前に調査用に掘る小さなトンネル)や取り付け道路といった「準備工事」がほとんどだ。 ★そして、本線トンネルに「着工」した工区は私が数えた限り、「16」ある。 その合計距離数は62.55Km。 ![]() 仮にこのすべてを掘削し終えたと仮定しても、その進捗は62.55÷211=約30%だ。つまり、本線トンネルの70%以上は未着工ということだ。 だが実際には、そのほぼすべてで掘削は未完だ。わずかに出されている掘削距離数を見ると、着工工区の進捗は上記30%の半分もないと推測できる。仮に15%ならば、未着工率は85%だ。 これを知っても、JR東海も、まったく現場を取材しないマスコミも「静岡のせいで」と繰り返すだろうか。 さて、以前も書きましたが、昨年末をもってリニア取材資金が尽きました。今は貯金を切り崩す形で取材をしていますが、もうもちません。幸いにというべか、予定しているリニア関連の単行本の下書きがあと少しで終わるので、その印税に賭けてみますが、仮に下書きが来月に終わっても、実際の出版はその数か月後になり、印税はさらにその1~2か月後となります。 ずうずうしいお願いですが、 もし私を支援して下さる方がいれば、以下の銀行口座に振り込んでいただくか、パソコンやスマホでもできる100円(それ以上でも)カンパをいただければたいへん助かります。こちらからお願いいたします。 ![]() ↓ ブログランキングへの応援クリックをお願いいたします。 ![]() ↓ 拍手もお願いいたします 8月20日。神奈川県相模原市で「大西大通り線」について、市民と本村賢太郎市長との質疑応答が行われた。 ![]() 相模原市では、JR橋本駅のすぐ隣にリニア神奈川県駅が建設中。2027年の完成(絶対に無理)に合わせて、市は駅周辺開発を手掛けるが、その一つが駅周辺につの道路を新設することだ。 そのなかでもっとも長い「大西大通り線」は長さ920m。約100軒が立ち退かされることになる。そして、この新設道路は、なぜかその直下の地下20m前後を走るリニアルートでもある。 JR東海がここを工事するためには、 ★「区分地上権」という地下を利用するための権利を地権者から得る必要がある。 だが、仮にリニア計画に反対する住民、もしくはここを離れたくない住民がいれば、「区分地上権」を設定できない。 そして、住民が疑うのは ★立ち退くにしてもJR東海が補償金を支払う。だが、この直上に道路計画が来れば、あとは東京都が事業認可すれば、住民の立ち退きなどが容易になる。これは、リニア計画を実現するための道路計画なのでは、ということだ。 この計画に反対する市民団体が、市長と交渉し、この日、市民と市長との対談が実現した。 まず、そういう場に市のトップである市長が現れたことは評価したい。 で、肝心の質疑応答だが、ほぼ全員が反対意見。そのいくつかを紹介する。 ●住民1 リニア計画の上に道路を作った。リニアを作るための道路。どうせ作るなら、この道路だったら仕方ないよねというものを作ってほしい。この計画には、住民の意見が反映されていない。 ![]() ●住民2 これだけ反対が多いのに、道路計画の開業まで予定されているのはどうして。測量を始めるというが、まず鉱床でしょ。順番が逆。市は「町づくり」のためというが、町はもうできている。道路は作らなきゃダメ? ●住民3 市長に聞きたい。私は選挙の時はあなたに協力しているが、あなたもこの会議にご協力を。このルートはどう見てもおかしい。私は昭和37年(1962年)から住んでいるが、このルートのため工場も自宅もとられてしまう。新しい道路よりも、既存の道路を広げてほしい。(拍手)まだ未整備の道路もある。お金をそちらに回すべき。 ●住民4 あなたは常日頃「すべての人が幸せに暮らせる暖かな相模原を」と言うが、この計画は我々を不幸の淵に追いやる。 本当の政治家なら勇気ある撤退が必要。既存の道路を活用したらどうですか?もっと頭を使いなさいよ。税金でご飯食べているんだから。 ★市長からの回答 「72万人の市民を誰一人取りこぼさない」は私のポリシー。 4年前に市長に就任したとき、虫食い状態での道路開発だったので、令和4年3月に新道路計画を立て、21本に絞って決定。相模原市は周辺道路の計画が進んでいなかった。 橋本駅南口に5本の道路ができる。特に大西大通りについては、その必要性も説明しなければと思う。 ![]() ●住民5 この計画、地権者がハンコを押さない限り、100年経ってもできないですよ。本村君は道路をつくる気? それとも既存の道路の活用? どっち? ★市長の回答 市の職員を中心に用地交渉をさせていただく。人生をかけての自宅購入だから、丁寧に寄り添えと言っている。 私もまだ皆さんへの寄り添いは足りないと思う。 ただし、大西大通りについての説明会は55回行っている。(会場から「嘘ですよ!」「そんなにやっていない」) ![]() ●住民6(竹内安夫さん) 国交省のガイドラインは法令ではないが、法令のように重い。そこでは、道路の構想段階から住民とコミュニケーションをとることと定めている。ところが、この計画での現実は、地権者は一切知ることなく、昨年3月31日に突然の発表となった。そして、そのときの資料には、大西大通りには個別説明を行ったと書いている。私はそんな説明を受けていない! それを質問したら、6年前に話したと。そういうことは一切なかった。すると、今年5月の説明会で担当者は「個別説明会は行っていなかった」と言葉を変えた。私は驚いた。嘘を堂々と広報したということですよ。 ![]() ●住民7 西橋本の住民は誰一人、この道路は不要と思う。なぜ強引に作ろうとする。私たちを立ち退かせ、中途半端な道路をつくる必要はない。 渋滞緩和のためというが、数年後もこの新しい道路も渋滞するのは目に見えている。 市長は見えないか? 事業認可もこれからなのに、説明資料では土地売買の制限など恐喝するような脅し文句だ。 ●住民8 対話が必要。でも、我々は市長のポリシーから排除されている。55回の説明会なんて嘘。対話もしていない。 丁寧な説明というが、市の考えを丁寧に説明されても困る。我々が求めるのは対話。対話からお互いがすることが見えてくる。この道路は、住民の意見も聞かず始まっている。一度白紙に戻すべき。(拍手) ![]() ★市長の回答 国交省のガイドラインはどんな道路にも一律的な適用ではなく、国道などの大規模道路が対象。じつは私自身も市長就任した時、市の道路計画をこれが本当に道路計画課と疑った。今回の道路については昨年6月に路線図を示した。だが確かに説明会は足りなかった。 私は今後、説明会はすべて出て対話もする。大西大通りに関しては撤回はしないが、ご理解いただけるよう説明する。橋本駅周辺がどう変わるか分からなければ賛成もしていただけない。 この道路計画には賛成の方もいるので。(会場から「いませんよ!」) ●竹内 国交省ガイドラインは国道だけ対象とはとんでもない。じゃ国道じゃなきゃどうでもいいんですか、冗談じゃない。 市長に質問したい。なぜ道路計画は唐突な発表になったのですか? なぜ市民を排除するのですか? 市には新設道路を作るための条例もガイドラインもないし、コミュニケーションも意見も無視する? 答えてください。 ●住民9 私はリニアルートの直上に住む。役人が考えた街づくりは「こうだよね」とのきれいな言葉だが、要は、当事者、地権者や近隣住民の意見が反映されていない。なぜ道路策定の会議に当事者を入れなかった? ★市長の回答 これだけ多くの方が理解をしていない。対話は足りなかったと思う。今後、膝を突き合わせてやりたい。 と予定の1時間を30分延長して臨んだ市長は、終了後すぐにエレベーターへと向かった。 私は廊下に市長を追いかけ「対話をするとおっしゃいましたが、その対話の間は、この計画はいったん中断するのですか?」と尋ねた。 すると市長は「それは今会場にいる担当職員に聞いてください」とつれない返事。 ともあれすぐ会場に戻り、担当職員に話を聞いた。で、結論は。 ▲対話をしても、スケジュールは変えない。大西大通り線は、第1工区と第2工区があるが、第1工区の来年10月からの測量開始は変えない。 ――でも、この道路計画、完成までに10年かかります。リニア開業予定の2027年(絶対無理)には間に合いませんよ。 ▲測量と合わせ、用地交渉も来年から始ます。(つまり2027年以前に) ――しかし、第1工区が竣工してから第2工区の着工では、さらに10年かかる。じゃ、第2工区の測量や用地交渉はいつ始めるのか? ▲再来年です。(実に、たった1年遅れでの用地交渉。やはり2027年前までには第2工区の買収も終えたいのか?) ――確認したい。資料には用地交渉には「土地収用法の適用」も示唆されているが、「強制収用」(不動産の名義を個人から国に替える)や「行政代執行」を適用するのか? ▲それはやりません!(これは本気の回答だった) あくまでも丁寧に地権者と交渉します。 私は市長はそれなりに真剣に市民の声に耳を傾けたと思う。もしかしたら、市長はこれまでの住民の意見の詳細を知らされていなかったのかもしれない。となると、民意とスケジュールが決まった計画との間で、何をどう決断するのか。その推移を今後も見ていきたい。 ![]() 銀行に行く時間がない。もしくは紙幣のカンパは難しいという方は、PCやスマホでできる100円カンパ(それ以上も)をご利用ください。こちらから利用できます。 ↓ ブログランキングへの応援クリックをお願いいたします。 ![]() ↓ 拍手もお願いいたします ●巨大盛土の「位置選定」について話し合う。JR東海からすれば「なぜ今」。 8月3日。静岡県とJR東海とがリニア問題を協議する「環境保全連絡会議」の「第15回地質構造・水資源部会専門部会」を取材するために静岡へ。 往復で1万2000円は今の私にはきついが、行った。大井川上流の燕(つばくろ)沢という場所で、JR東海が360万立米(東京ドーム約3倍分)もの残土を「高さ70m、幅300m、長さ500m」で盛土するが、今回の議題がその「位置選定」についてであるからだ。つまり、燕沢に残土を置くべきかの是非を話し合うということだ。 ![]() JR東海が燕沢に残土を盛土する計画を出したのは2014年4月に公表した「環境影響評価書」。ただしその時点では360万立米という数字はまだ出ていない。 ●『前提』なのか『是非』なのか? 燕沢の盛土についての議論は今回が初ではない。数年前から、県の連絡会議の別の部会の「生物多様性部会専門部会」でも話し合ってはいる。 だが、そのやりとりを聞いていて判らなかったのは、「燕沢に盛土することを『前提』としているのか、その『是非』を話し合っているのか?」だった。で、2~3年ほど前か、私は連絡会議の「生物多様性部会専門部会」の囲み取材で、「『前提』か『是非』か、どちらを話し合っているのか?」と尋ねたら、当時の難波喬司副知事が「前提ではない。燕沢での盛土計画はJR東海が出してきたもの。だからその計画が妥当かを対話するのは当然であり、対話の結果、計画が妥当なら、ではどういう設計にするかに議題は移るし、妥当でないなら、その立地を含めての新たな議論も選択肢にはなる」と回答した。 簡単に言えば、燕沢の盛土計画を出してきたのはJR東海だから、我々はその出された案を話し合っているだけ、そこに「前提」も「是非」もないということだ。 しかし今回、「地質構造・水資源部会専門部会」でこの「位置選定」が議題になったことで、JR東海からは「これまで何年も盛土計画をどうしようかと話し合っているのに、ここに来て、最初から場所をどうするかと言われても納得できない」との恨み節も漏れてきた。 ●「盛土が崩れても、ダム湖はできません』(JR東海) さて、「地質構造・水資源部会専門部会」では過去にも、「そんな巨大な盛土が崩れたら大井川が河道閉塞を起こしてダム湖ができないか」との懸念がJR東海に寄せられた。 JR東海は、「100年に一度の豪雨と土砂崩れが同時に起きた場合でも、盛土があってもなくても、下流の椹島(登山客などの宿泊施設がある場所)周辺の大井川の水位上昇はほぼ同じ」とのデータを出している。 360万立米のうち崩れるのは85万立米(東京ドームの約7割)で、大井川に流入はするが、ダム湖はできないという。 この予測結果を疑うわけではないが、その予測がどの程度正しいかの検証は必要のように思う。個人的には、県、もしくは第三者が予測データを出しての突合せが必要なのではと思う。 ●そもそも大臣意見は順守されないのか? さて当日、私は「そもそも」について質問した。 囲み取材に応じた国土交通省鉄道局の職員にこう尋ねた。 「燕沢に残土を置く計画だが、そもそも2013年9月にJR東海が公表した『環境影響評価準備書』を受け、2014年に国土交通大臣は以下の大臣意見を出している。『残土置き場の選定には、希少動植物の生息地、まとまった緑地、自然度の高い区域、そして土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁の恐れがある区域等を回避すること』『登山道等から見えない場所を選定する配慮をすること』。これに従えば、燕沢はその真逆の場所になる。なぜ、そういう場所への残土置き場の計画に、国交省は『大臣意見に従っていない』との指導などをJR東海に行わなかったのか?」 ![]() 職員はこう答えた。 「燕沢については、国の有識者会議でもその設置の在り方を議論しているところです」 「いや、有識者会議で燕沢を話し合ったのって、ほんの1~2年前の話だす。2014年から今に至るまでに、国交省としてJR東海への何かしらの指導や問いかけをしなかったのですか?」 「しておりません」 ![]() これは大臣意見がいかにお飾りかを象徴した回答だが、じつは私は、「JR東海は大臣意見に従う必要はない」との言質を鉄道局の職員から2017年に取っている。 本FBでもそれを書いたかもしれないが、今一度。 大臣意見では、JR東海が行った地下水調査についても、「(二次元ではなく)3次元水収支解析を用いてより精度の高い予測を行うこと」との注文をつけている。 ところが、結局、JR東海はそれをやらなかった。もっともそれをJRに質問すると「技術が徐々にバージョンアップしているので、実質的には3次元です」と回答している。 ともあれ、私は国交省鉄道局に「大臣意見のあとにJR東海が出した環境影響評価書で描かれている手法は3次元解析ではない。なのに、なぜ、JR東海のリニア計画を国交省が事業認可したのか」と尋ねた。これについて職員Y氏はこう回答した。 「事業認可にあたり、大臣意見を守らなければならないとの定めはないのです。事業認可に必要なのは、(リニア建設が)全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に適合しているかどうかです」 ――え、では、何のための大臣意見なのですか? 「我々としても、大臣意見は守ってほしいとは思います。もし守られないとなると、少なくとも『問題である』との見解は示してはいきますが」 と、大臣意見がお飾りであることを正直に伝えてくれたのだ。 さて、話はまた先日の囲み取材に戻るが、私は同じ質問をJR東海の澤田尚夫部長に投げた。 ![]() 「なぜ国交大臣が回避せよと意見した場所に盛土計画を? 燕沢がベストと思った理由は?」 「あの場所は河川に近いか遠いかというと、河川から離して作ります。(土砂が)簡単に流さないよう安全な護岸を作ります。環境面で言いますと、盛土の自然環境への影響を少しでも軽減するため、盛ったあとに緑化を進めます。緑化は、県の専門部会、生態系の部会でもずっと議論していただいています。(委員の)増沢先生からは『ドロノキからは少し離した方がいいですよ』、『場所としてずらした方がいいですよ』というご指導を受けながらやってきております」 「あの場所で近傍ではないと?」 「それはものの見方だと思います」 盛土置場はJR東海の資料で見ても大井川まで50mもない。それが近傍ではない? ![]() ●人家がないから被害はない? また、JR東海が主張したのは、「仮に盛土が崩れても、現場に人家はない。人が住む場所で近いのは下流にある椹島ロッジ(登山客などの宿泊施設)だが、そこへの影響もない。何が問題なのか」ということだ。 だが、待て。 燕沢はその北にある登山の拠点である二軒小屋までは車の往来が結構あるし、登山道でもあるから歩く人もいるし、たまに自転車で走る人もいる。まったく無人というわけではない。 また、仮にまったくの無人だとしても、85万立米もの残土が大井川に流入したら、その生態系には打撃を与えるし、川の流路も変わる。もしこれが「生物多様性部会専門部会」だったら途端に「生態系への大打撃だ!」との声が出るはずだ。 ま、今回の「地質構造・水資源部会専門部会」でもそれを強く言ってもらってもよかったんですが。 ![]() 銀行に行く時間がない。もしくは紙幣のカンパは難しいという方は、PCやスマホでできる100円カンパ(それ以上も)をご利用ください。こちらから利用できます。 ↓ ブログランキングへの応援クリックをお願いいたします。 ![]() ↓ 拍手もお願いいたします ●じつはリニア推進のための道路計画? 相模原市のリニア駅予定地の周辺道路計画。 先日のブログの続き。 どうにも巧妙に見えてしまう計画だ。 市の言い分は「高速道路へのアクセスをよくするため」だが、そのわずか数分の短縮のために、数十軒の家や事業所を立ち退かせる? それも、なぜか知らねど「たまたま」リニアの地下ルートの直上って…。 地下10数メートルというごく浅い地下でリニア工事が行われ、そして営業運転が始まることに対し、たとえば、住民Aさんには3の選択肢がある。 ①そんな工事を認めては、騒音や振動で生きていけない。だからJR東海に「区分地上権」(自宅の地下を使う権利)は設定させない=工事をさせない。 ②騒音や振動に悩むくらいなら、補償金をもらい引っ越す(ただし十分な額かが不安なところ) ③区分地上権を設定してもいいが、その場合は、納得のいく補償金に加え、毎年の地代の支払いも求める。 だが、市が「たまたま」そのリニアルートの直上に設置する新設道路計画は、今後、都市計画事業として県が事業認可してしまえば、Aさんは立ち退き対象になる。立ち退きを拒否すれば、収用委員会に諮られ、「強制収用」(名義が個人から国に替わる)される。 ●完成まで20年? 市が計画する5本の道路で最長は約920mの「大西大通り線」。 これ、どうやら完成までに20年くらいかかりそうだ。 市は地権者には「リニア工事は静岡県で着工できないこともあり、リニア2027年開業は難しいが」(筆者注:工事の遅れは静岡よりも他県で大幅に遅れている)との見解を説明する。つまり、道路建設は2027年竣工ではないと言っているが、確かに、市が説明するスケジュールは ★大西大通り線の東半分の「第一工区」で工期は9年。となると完成は2032年。 ★その後に「後続工区」の着工では、完成は2040年代に入ってからになる。 ![]() しかし、道路計画をよく見れば「第1工区」の用地取得は来年4月から順次行うので、要は2027年以前までに用地買収が終了すれば、JR東海は結果として助かる。 ただし「後続工区」での具体的スケジュールは出ていない。 だが、7月28日の住民説明会で、ある住民が「私が住む後続工区では、第1工区の工事の9年間は何もしないのか?」と質問したところ、市は明言を避けながらも、「後続工区のライフステージもあるから、ご一報いただければ対応を話し合いたい」と含みのある回答をしている。 と考えると、 ★2027年までに「第1工区」も「後続工区」も用地買収をしておけば、その地下でトンネル工事をするJR東海は「区分地上権」の設定は極めて容易になる。 ただし、こういう計画では極めて少数だが、最後まで立ち退きを拒否する人もいる。 ★その人に「強制収用」したとしても、家屋がある以上「居住権」は残っているから、家に住むことはできる。となると、収用委員会はさらに「行政代執行」(強制立ち退き)を命じるだろうか? 私の記憶では、人家から住民を無理やりに追い出して家屋を破壊したのは、1971年、成田空港ができる前の三里塚闘争で「大木よね」さんという農家のおばあさんが最後だ。 似たような事例としては、数年前に、九州の高速道路建設のために、みかん畑をつぶすために、作業小屋から農家の男性を引きずり出して、みかんの木の伐採と小屋の解体が行われたことはある。 ひとつだけ言えるのは「強制収用」されたとしても住み続けることはできる。それをやる人が出てきそうな気がする。 それにしても、市は「道路新設」と「リニア計画」は無関係とは言うが、これを素直に信じる人はどれくらいいるのだろうか。 ![]() 銀行に行く時間がない。もしくは紙幣のカンパは難しいという方は、PCやスマホでできる100円カンパ(それ以上も)をご利用ください。こちらから利用できます。 ↓ ブログランキングへの応援クリックをお願いいたします。 ![]() ↓ 拍手もお願いいたします |
取材のカンパをお願いいたします
1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 樫田拝
リンク
検索フォーム
カテゴリ
ブロとも申請フォーム
QRコード
![]() 私が原発を止めた理由
3.11以後の原発裁判において、初めて運転差し止めを命じた判決を出した裁判長が、退官後の今、なぜあの判決を出したのか、なぜほかの裁判では住民は敗訴するのかを説明している。
超電導リニアの不都合な真実
リニア中央新幹線の問題点を『技術的』な側面から、極めて客観的に情報を分析しその発信に努め、リニアの実現性には課題ありと論じている。難しい専門用語を極力排し、読み易さにもこだわった良書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
取れる! ダニ取りマット
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。
|