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●第4回口頭弁論の開催。今回は山梨県からの報告

4月28日14時半。
 東京地裁で「ストップ・リニア!訴訟」の第4回口頭弁論が開かれました。

公判前行動2


 今回、原告側から意見陳述に立ったのは、山梨県の笛吹市会議員の野澤今朝幸氏と甲府市上曽根町の住民、平川一星氏です。

 ご存知の通り、山梨県は1997年からリニアの走行実験が始まっていて、その沿線周辺では、水枯れ、騒音、日陰などの問題が起こっています。つまり、同じことが今後の営業本線でも起こることを示唆してくれる存在です。


●野澤さんの意見陳述

 詳しくはここに張り付けた「意見陳述書」を読んでいただくとして、その概要を書けば、野澤さんが地元に住んでいるからこそ、自分の目で見てきた、トンネル掘削による異常出水(場所によっては毎分30トン)、水枯れ、日陰問題等々を画像投影することで視覚的に訴えました。

野澤1 野澤2 野澤3 野澤4

 そして、野澤さんが強調したのは、JR東海が山梨実験線においては環境アセスを実施していない事実です。


●実験線でアセスが行われていない

 ちょっと時系列で整理しましょう。

1989年 山梨県にリニア実験線の誘致が決まる。
1990年7月 JR東海が「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」という独自の環境アセスの報告書を公表。この時点で、まだ「環境影響評価法」はなかった。
 この「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」については、本ブログのこちらこちらで簡単な報告をしております。
  
1997年4月 実験線で走行実験が開始。実験距離は18・4キロ。
1997年6月 環境影響評価法の成立
1999年 同法の全面施行
2007年 JR東海が「リニア中央新幹線を自己資金で建設する」と公表。
2008年 JR東海、実験線の延伸工事を開始。
2013年 24・4キロの延伸工事終了。実験線の距離は42・8キロになる。

 こうして見ると

 1999年に環境影響評価法(いわゆるアセス法)が全面施行されたので、1990年から建設が始まった山梨実験線の第一期区間の18・4キロは環境アセスを受けていないのは当然だが、この区間が将来の営業本線を兼ねることでのリニア計画に国交省が「建設指示」を出したのは2011年5月。だが、そこで改めての「環境アセス法」によるアセスは行わなかった。
 また、実験線の第二期区間となる24・4キロの区間の建設は、環境アセス法が施行された1999年よりあとの、2008年から始まったのに、これもアセスを受けていない。
 これは、「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」が42・8キロを調査範囲としていたため。(予算の関係で、42・8キロの全面建設はできなかったために、実験は当初18・4キロのみで繰り返していた)

 そして、こう主張する人がいます。
「JR東海の環境影響評価書には、実験線の区間の評価が載っているよ。アセスやったんじゃないの」と。

 なるほど。
 でも、それは、「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」のコピペなのです。
 評価書の山梨版・資料編にはこう記載されています。

「8-4-3 トンネル工事実施時の水資源に対する対応の基本的な考え方
 山梨リニア実験線区間での影響検討と、本評価書における予測は、ともに水文・地質学的検討を基本に定性的に行っており、水収支解析を実施し定量的に予測している南アルプス区間を除き予測の考え方に基本的に違いはない」

 つまり、環境アセスの手法は1990年代の実験線の自主アセスの手法と同じであるから、同じことを繰り返す必要はない、との説明になります。

公判前行動1


●平川一星さんの意見陳述

 これも貼り付けておきます。

平川1 平川2 平川3 平川4

 これまで何人かの方がこの裁判で意見陳述をされましたが、今回の平川さんの陳述は力強いものでした。
 その内容は陳述書に書かれてありますが、特に強調されていたのが、

★本来は、環境アセスをした上で、事後調査をやるのが本筋なのに、JR東海は、アセスそのものが杜撰なうえに、評価書や住民説明会では事後調査をするからと約束しておきながら、その事後調査も行わない。これは不適切な対応だ。

 ということです。

 また、閉廷後の記者会見において、平川さんのこの問題への取り組みの姿勢については、多くの人に知ってほしいと思いました。

野澤さんと平川さん←左が野澤さん、右が平川さん。

 平川さんは以前は東京都練馬区で公務員(会社員?)をしていましたが、それをやめて住みやすさを求め、2013年12月に甲府市上曽根町にUターン移住しました。513戸、1375人の町です。
 2013年12月と言えば、ちょうどJR東海が環境影響評価書を出した9月から3カ月たったときです。
 そして、すぐに、自宅のすぐ裏手に高さ40メートルのリニア高架が走ることを知り、いてもたってもいられなくなります。

 しかも、上曽根町の高架の走行部分については、なぜか、他地区のようにフードがかぶせられず「防音壁」が設置される、つまり天井部分が開放されるので、騒音の発生は明白です。

 ところが、問題の一つは、当の住民たちがリニア走行で被る被害を実感していないことでした。
 そこで、平川さんは地域の人たちに問題を知ってもらう活動を開始します。

 ▲地域にある5つの自治会に理解してもらうに要した時間は1年! 平川さんは日中は忙しい農作業をこなし、夜の時間を利用して、JR東海の環境影響評価書を読みこなし、住民への説明に腐心しました。
 たとえば、評価書に書かれてあった、実際に上曽根町が被る77デシベルという騒音を、「騒音学習会」の場で、住民の前で、鉄の板をグラインダーで切って再現することで「えー、これでは我慢できない」との実感を住民に抱いてもらうといった、地道な努力を重ねたのです。

 その結果が5つの自治会がまとまっての今年4月4日の県とJR東海への共同行動です。

 以下、NHK甲府局の報道内容です。 

「リニア中央新幹線が地区を通過する計画の甲府市の住民が高架橋に防音フードを設置するなどの騒音対策をJR東海に働きかけるよう、県に要請しました。
要請を行ったのは、リニア中央新幹線の高架橋が地区を通過する計画の甲府市上曽根町文珠地区の住民6人です。
一行は、県庁を訪れ文珠自治会会長がリニア推進課の依田誠二課長に要請書を手渡しました。
このなかで会長は『地区の全世帯にあたる95世帯にアンケートしたところ騒音に対する不安が多く寄せられた』と話しました」

 この内容が示す通り、これは、リニア反対ではなく、「フートを設置せよ」との要請です。

 じつは平川さんは、行政代執行を受けようとも、自分は最後まで地域に留まると決めていますが、他の方々には農業の跡継ぎもいないことから、自分の代で農業はおしまい、ならば補償金をもらうのも選択肢の一つだと考えもあるようです。

「私の本意とは違いますが、まず一致できるところは一致してやります」

 ただ、平川さんたちの今後の活動次第では、補償金云々を抜きにしても闘い抜く住民が少数ながら現れてくるかもしれません。


●今回の裁判長の指摘

 裁判のなかで、原告側の関島保雄弁護士が、

関島弁護士


「JR東海から準備書面が出たが、従来から主張していますが、リニア計画での施設、内容があいまいなまま、不十分な環境アセスになっている。JR東海としては、今、評価書に出ているもの以上の具体的な施設などを提起する気がないような主張です。でも、元々、どういう施設ができるのか? たとえば、神奈川県相模原市鳥屋に建設予定の車両基地にしてもきちんとした図面が出ていない。施設の位置関係が出てこない。そういう基本的なものを、JR東海は『こういうものを作る予定だ』ときちんと出すべきです」

 と主張しました。すると、これに続いて、古田孝夫裁判長が

「どういう施設がどういう場所にできるかは、原告適格の問題にも絡むし、どういう被害が起こるかの前提でもある。そもそも、どういう場所にどういう施設を造るものとして事業認可されたのか? それが国から明らかにするのはどうでしょう?」

 と問うた
のです。すると被告の国は、

「それができるかどうかも含めて、持ち帰り検討したい」
 
 これには、傍聴席から嘲笑が起こり、裁判長も苦笑しながらこう返しました。

「できるかどうかと言われても、認可されているのですから…」

被告「施設を地図に落として…」

裁判長「ああ、それでいいです。それにしても認可の判断をされたのですから、資料はあるはず」

被告「次回期日までにできるかはお約束はできませんので、ご了承ください」

 これは、記者会見でも、裁判報告集会でも、関島弁護士が「車両基地はすべて点線で境界線が描かれ、非常口も○で書かれているだけで、正確な位置も大きさも示されていない。そういうものが事業認可された。我々はそこを指摘していたが、今回、裁判長はそこを被告の国に質した」とそれなりの評価をしていました。

 それにしても、設計図などの資料はあるはずなのだから、すぐにでも出せるはずなのに、なぜ出し渋るのか。
 この裁判、予断を許しません。

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●突然の非常口掘削

 昨日、長野県大鹿村のリニア・トンネル工事の最前線に位置する「釜沢」集落(9世帯)の自治会長の谷口昇さんと、住民のTMさんから相次いで、Facebookに投稿がありました。

 突然、非常口の掘削が始まったとの内容です。

 谷口さんによると、釜沢にある仮残土置き場がいっぱになるまでということだから、長くは続かないかもしれませんが、それにしても、いきなりだな。

 以下、お二人からの投稿をほぼそのまま転載します。


●谷口昇さんの投稿

とうとう
突然
JR東海がトンネル掘削を開始した!!
大鹿村役場リニア対策室に確認をとったら、JRからは昨日(26日)の夕方5時過ぎに連絡が来たそうです。

住民には、昨日の8時に拡幅工事などの通行止め連絡などの鹿島JVが発信しているメールに(一部掘削)とだけ書かれていました。
これはいままでの流れで行くと、住民を故意に欺いた。
とうとう本性を出してきた


●TMさんの投稿

 NO リニア!!!
 とんでもないことが起こっていた。今日から、非常口トンネル掘削開始しているという、新聞社の取材でわかった。
 えっ、えっ?!!!どういうこと?
 既にヤードの造成で、毎日、工事音が響いてる。それだけでも、どこかでフラストレーションがたまっていく。先週、ある団体のリニア現地視察に同行させてもらって、現場まで行ったのだが、入り口は立ち入り禁止のガードがされていて、現場の職員が応対してくれたが、頑として、規則であり、JRからの達しで、中に入ることはできないと、意向はJRに伝えますと見せてはもらえなかった。どのように工事が進んでいるのか、誰だって知りたい、コソコソしないで、堂々とやればいいじゃないか~
 
 そして、今日連絡を受けた直後、鹿島JVの訪問があった。今日、非常口トンネルの工事に向けての祈願祭をやったという、挨拶だった。
「掘削してるんですか?~工事が遅れてるので、仮にです。~残土問題もはっきりしてないのに~いや、そこに置ける範囲だけです。本格的工事は3年後です~仮にだろうが、告知なかったですよね~いや、昨日のメールにて告知してます」

 毎日、鹿島JVからメールが入ってくる、現在、県道赤石公園線の拡幅工事に関しての通行止め等の状況を知らせてくる→こんな感じで毎日コピペしたような同じ文章で、祈願祭をやるなどとも書かれてない→
『日ごろは大変ご不便をおかけしております。本日の作業は予定通り終了いたしました。報告遅くなりすみません。明日4月27日は
県道では8時~17時の間で時間帯通行止めにて工事を行います。引き続き、通行止めという形はとらせていただきますが、多少お待ちいただければ、通行いただけるようにいたします。また、事前にこの時間帯に通行したいと予告いただければ、よりスムーズに通行いただけます。明日は、除山ヤードでは 切盛土工・場所打ち杭工・坑口付(一部掘削)開始を 県道工事(赤石荘下) では 場所打ち杭打設を行います。
・除山ヤード・県道工事で行う場所打ち杭工ですが、削孔に伴う大きな音が発生します。
・除山ヤードでの作業に伴い、大型車が10台(往復)走行する予定です。
 擦れ違いの際、ご不便をおかけいたします。
 なお、中部電力さんの明日の作業は迂回路区間2で行いますが、通行止めとなる作業はございません。
 ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします』

 よく見ると、坑口付(一部掘削)開始という言葉が挿入されていた。こんなの告知というか!
 本坑掘削となれば、仮だろうが、ちゃんとした文書、説明会を持って告知というのではないですか!
 そういえば、最近、やたら大型車がヤードに向けて往来している。こういう大型車を通すための拡幅工事であるはずなのに、何度も遭遇して、ひやっとすることしばしば。工事を進めたいがための、ごり押し状態だ。 この件もJVに人に伝えると、自分たちはJRの指示によってやってるだけで、ご意見はJRに伝えます、と。(多分伝わらない)

 自治会長が役場の担当に問い合わせた。掘削の件は、昨日の夕方になっての連絡だったそうだ。村も呑まれてますね。住民側に立った凛とした態度で対応してほしい、無理か~

ーーここまでーー

 簡単に書くと、今回の突然の掘削は、釜沢住民にも、村にも直前まで伝えていなかったということです。

 このなかで、鹿島JVが「本格着工は3年後です」と述べていますが、正確に3年後なのかどうかはおいておいて、少なくとも現時点での本格掘削はありえない。 なぜなら、長野県内には残土を置く場所が決まっていないからです。
 
 釜沢の仮残土置き場がいっぱいになるまでの間、本置場を決めるにしても、そんな時間はないでしょう。

 釜沢自治会長の谷口さんに確認してみると、仮残土置き場は10数万立米しか置けない。

 なぜ、これほどまでに急ぐのか。何が何でも2027年にこだわっているから? 考えられるのは「パフォーマンス」であることです。もう始まったよ、もう後戻りできないよ・・と。

 ところで、一口に「非常口」とはいえ、都市部のように山のない場所では、地面から垂直に掘り進む「立坑」、斜め下へと掘り進む「斜坑」、そして山間部では山肌を利用する「横坑」がありますが、横坑は実質トンネルです。
 たとえば、山梨県のリニア実験線での横坑が下の写真です。2013年の撮影です。

山梨実験線非常口

 そこの担当者は「この500メートル奥にリニア本線があります」と説明しましたが、気になったのが、このトンネルの右端に設置された黒いホース。ここからは、トンネル内で湧き出る地下水が放水されていたのですが、ビデオで撮ればよかったと思うほど、轟音を立てるレベルの勢いの水流でした。

山梨実験線非常口の異常出水

山梨県実験線での異常出水



 普通の山でも水がどんどん抜けていく。

 南アルプスでもどうなるのか。
 本当にJR東海が釜沢の住民に説明するように「水脈を断ち切っても、水の流れはトンネルの脇を通っていくから、水枯れは起こらない」なのかな。

 本日は、「ストップ!リニア訴訟」の第4回口頭弁論があります。
 おそらく、釜沢からもどなたかが来ているはずなので、より詳しく話を聞きたいと思います。

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●リニアで登山者の聖地・南アルプスを壊さないで! 記者会見

 4月10日、「リニアを考える登山者の会」の主催で上記会合が開かれました。
 これについては、リニア関連のサイトのあちこちですでに報道されているので、今回はそれに甘えます。
 この集会のとき、隣に座っていた「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」共同代表の天野捷一さんが、すぐにレポートを作成したので、それを以下に共有いたします。

170410南アルプスを壊さないで

この日の報告の目玉となったのは、短期間で「南アルプスを壊さないで」を求める署名が3912筆も集まったことです。組織的動員もなく、これだけの数が集まるのはそうないことらしい。

登山者の会プラカード


●本格着工はまだまだ先。だが大鹿村では既に実害が出ている。

 記者会見のあと、私は、大鹿村からやってきた宗像充・前島久美夫妻から短時間話を聞きました。いくつか確かめたかったことがあるからです。
 前島久美さんは大鹿村で生まれ育ち、一時期東京やニューヨークで暮らした後、自分の村でいろいろなチャレンジができると、現在、実家の旅館業を手伝い、かつ、持続可能な地域社会を村で実現するためのグループ『大鹿の100年先を育む会』のメンバーとしても活動し、そのなかに「リニア検証部」を設置し、リニアの問題の勉強と情報発信を続けている。また、『大鹿の100年先を育む会』として、村の各界が集ってリニア問題を話し合う「リニア対策委員会」にも加わり、その審議に関わってきた。
 

 本ブログでも何度か書いているように、リニアの本格的着工(トンネル掘削)はまだ先の話です。

 ただ、測量やら資材や機器類の搬入やら宿舎の建設やらで、工事車両が走り始めているのは事実。それが一日何台かはわからないにしても、すでに実害が起きているのだろうか?

前島久美さん


 この質問に久美さんは

「あります」と答えました。

「場所によってはダンプが通るすぐ両脇に民家があります。そういうところでは、すでに粉塵で洗濯物が外に干せず、家が振動することも起きています」

 
●迂回路予定地となる前島家の土地はどうなるのか?

 そして、私がもう一つ知りたかったのは、以下のことです。

 JR東海の予測によれば、大鹿村では一日最大で1736台もの工事用車両(主に残土運搬車両)が村を走るのですが、住民からは絶対に保育園や小学校の前だけは通るなとの強い要望が出されています。

 そこで、JR東海は小渋川左岸に迂回路を建設してそれを乗り切ろうと計画しています。

 ところが、その迂回路予定地には前島家の土地があり、この件に関しての交渉担当は前島家では久美さんということになっています。

小渋川左岸←小渋川左岸の歩道

 前島家が驚いたのは昨年10月。

 JR東海が村と交わした工事に関する確認書のなかに、迂回路建設については「地権者と締結する」と書かれていたことです。
 前島家には事前に何の相談もありません。前島家が、馬鹿にしているのかと思うのは当然のことでした。

 もちろん、久美さんに、迂回路のために土地を提供する意思はありません。ただ、私が心配するのは、JR東海から、村から、そして住民から「あなたが土地を提供しないから迂回路ができない。だから、ダンプは小学校や保育園の前を通るしかなくなったじゃないか!」との不満をぶつけられないかです。

 だがこの件に関して、久美さんは土地を提供するつもりはありません。

「なぜなら、本格着工されていない今ですら、既に実害が出ているんですよ。そんな状態で土地を提供する意味がありません」

 元々、迂回路は、河川敷のなかに道路を造るのではとの案が有力視されていました。
 だが、もし前島家がこのままNOを言い続けるのであれば、そちらにまたシフトするかもしれません。

 久美さんが言った言葉で気になるのは「着工されてから、もう『反対』と言えない空気が村にある」ということ。
 田舎の場合は確かにそれはある。

 前島家と村のやりとり2←前島久美さんと大鹿村の村長とがこの件で交わしている文書の一部。村長の手紙からは何が何でも前島家の土地が欲しい気持ちが伺える。


●土地は売らない!

 本ブログで書きたいことがたまっております。中には3月上旬に訪ねた阿智村の後編もあるのに、まだ整理できていない。
 まずいとは思いつつ、本日は、リニアの車両基地が建設予定の神奈川県相模原市緑区鳥屋の近況を。

パーティーのお知らせ


 4月8日、鳥屋の某地区で、市民団体「リニア新幹線を考える相模原連絡会」の主催で「花見パーティ―」がありました。
 とはいえ、当日はあいにくの小雨。 テントを設営して、リニアに関心を寄せる有志のギター演奏やバンドのライブ、はたまたリニアの替え歌などが披露され、なかなか楽しめるものでした。

ロス・アルパカス←非常口ができる相模原市藤野区でバンド活動を続ける「ロス・アルパカス」。

 このパーティ会場となったのが、そこに住むKさんの敷地です。
 敷地と言っても、そのとちはまさしく見渡す限り。
 そして、この敷地に車両基地建設予定地がかぶると予想されています。

見渡す限りKさんの土地 鳥屋のKさん←見渡す限りKさんの土地。といっても、実際はこの10倍以上もある。写真の奥に車両基地が建設される。

 このパーティーには、鳥屋ですでに土地トラストを始めた栗原晟さんも来ていましたが、Kさんが鳥屋での二人目のトラスト運動を始めるかどうかはまだ定かではありません。

 ただし、Kさんは私にこう語ってくれました。

「ここは私の大切な土地です。茶畑だってあります。小学校の子どもが体験学習に来るほどに大切な場所。私は誰が来ようと、土地を売るためのハンコは押しませんから」

 どんな開発行動にも、必ず少数であれ、それに異議を唱える人が出てくるものです。
 ただし、少数がゆえに、ここの場合は、土地収用を担う神奈川県、鳥屋でJR東海と協議をしてきた鳥屋地域振興協議会、そしてたった一軒がハンコを押さないがために、なかなか進まない開発にいら立ちを覚える地域の人たちと、Kさんは対峙することでしょう。 その精神的支援のためにも、相模原連絡会のように外部からの支援者は必要な存在です。


●栗原晃さんの話

 鳥屋で土地トラスト運動を展開する栗原晟さんについて、このブログに登場した初期は、匿名Aさんで記事を書きました。
 そのなかで、以下のことを書いています。(Aを栗原に書き換えます)

ーーここからーー

 (山林を所有する)栗原さんは数年前に、神奈川県に「この山を『水源協定林』として契約できないだろうか」と相談にいきます。
 神奈川県では、手入れの行き届かない森林に対して、水源かん養機能を図るために、県(または市町村、森林組合等)が森林所有者と森林の整備を目的として契約をする事業があります。
 その一つが、「水源林整備協定」であり、これは、所有者から土地を借りて県が森林整備を行うというもの。しかも、面積に応じた賃借料が毎年支払われるので、地主にとっては悪い話ではありません。
 鳥屋は神奈川県の水がめでもある宮ケ瀬ダムのすぐ近くに位置することから、大切な水源地であることは間違いなく、栗原さんはこの話がすぐにでもまとまると予想していました。
 ところが、栗原さんの土地の地下をリニアが通過するかもしれないと知った県は、契約を締結しないことをAさんに告げます。
 つまりは、リニアが地下を通過することで、水源の涵養機能は失われる可能性が高い以上、協定は結べないし、逆に言えば、協定を結べば、水源を枯渇させる恐れのあるリニア計画の推進にブレーキがかかる。おそらく、県は後者の理由を意識したのでしょう。

ーーここまでーー

 さて、4月8日のパーティで栗原さんはその件で以下のように、もう少し詳しく話してくれました。

「水源林整備協定の申請で、県の合同事務所に行って、私は『リニアはこの森林造りとそぐわないけど、どうするのですか?』と尋ねました。すると担当者はあっさりと、『公共事業が優先されます』と答えました。その後、自宅に『リニア計画に該当する地域での水源林整備協定は中止します』との通知が来ました」

 その通知、見たい。ということで、見つかれば拝見させてもらえることに。


●外からの支援は大切だ。

 それにしても、私が知りたいのは、同じ車両基地ができる岐阜県中津川市では、何かしらの異議を唱える住民が現れているかどうかです。2月の時点では、懸念は示しているが、それを行動に移す住民はいないとの情報は得ています。

 リニア計画を巡って「懸念」を示す住民はそれこそたくさんいます。
 でも、懸念を示す住民のほとんどは懸念の表明だけで終わり、自ら行動することや、もしくは外部の組織がその意向を汲んで共に活動することはほとんどありません。
 このあたりはリニアを巡る市民運動の課題です。
 
いずれ、Kさんにはゆっくりと話を聞きに伺う予定です。

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●二つの事実誤認のお知らせ

 事実誤認をしておりました。
 ここに訂正をしなければなりません。

  私はたまにリニア中央新幹線計画についての講演を行い、そのたびに最新情報を盛り込んだレジメを作ります。
  そこで絶対に外さない情報の一つが、山梨実験線における「水枯れ」の事実です。その最初に登場するのが、

山梨県大月市の朝日小沢地区の簡易水道の水源が枯れた事例です。

 こう書いてきました。

★1999年9月に枯れた。JR東海は代替水源として井戸を掘り、水をくみ上げる電気代30年分を補償した。

 ところが、最近、1990年代後半に山梨放送がリニア問題についてシリーズで放映していた「浮上10センチの未来」を見直してみると、2つの点でそれが間違いと気づきました。正しくは以下の情報です。

▲枯れたのは1994年9月。
▲JR東海が行った補償は「20年分」の電気代。


 なぜ、こんな間違いをしたかというと、私がこのビデオを見たのが1999年であり、その年号がいつの間にか頭に刷り込まれていたことと、JR東海が補償の拠り所としている国土交通省の通知「公共事業に係る工事の施工に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理要領の制定について」に、

★①生活用水の場合
 (補償期間は)おおむね30(年)を限度とするが、将来の水道等の整備計画が見込まれる地域にあっては、当該整備計画等を考慮した年数とする。


 と書かれているように、その「30」という数字だけにとらわれていたからです。
 この補償期間は30年間ではない。「最長で30年間」ということです。

 こんな基本情報を今まで見逃していたことを反省するとともに、ここに訂正としてお知らせいたします。

●朝日小沢地区は今どうしているのか?

 と、ここで当然抱く疑問は、朝日小沢地区は今どうしてるのかということです。
 1994年に水枯れして、補償期間が20年であれば、もう3年も前の2014年から住民は自分たちで水の確保をしなければならなくなっています。
 どうしているのか?

 1999年に山梨県を取材したときに関係者から集めていた連絡先などを整理した資料を漁ると、この朝日小沢地区の住民の一人だけ電話番号が分かりました。

 名前は出さないとのお約束なので、仮にAさんとしておきます。私との電話のやり取りを中心に、現状を説明します。

 朝日小沢地区では、近くの九鬼山でリニアのトンネル工事がある前に、JR東海から地区に事前説明として「沢に影響があるかもしれない」との情報は得ていました。ただし「枯れる」とまでは説明していなかったようです。
 ところが、1994年6月に九鬼山のトンネルが貫通すると、8月から水源の沢の流量が徐々に減り始め、9月にはまったく枯れてしまいました。これに当然、朝日小沢地区(16世帯)は驚くわけです。
 
Aさん「JR東海の職員は理屈っぽくって、現状を知ろうとしない。全然現場に来もしないで、最初は『そんな水枯れなんてありませんよ!』と言っていた。俺らの沢が枯れると、当然、俺らはJR東海の事務所に行って『とにかく現場に来い!』と言ったら『水は枯れないはずですが』と返してくるので、『そんなこと言ったって、飲み水がないんだから、とにかく行ってみろ!』とけしかけたんだ。そして、実際に現場で水枯れを見たら、JR東海は泡を食っていたね」

――それでJR東海はどう行動したのですか?

「人間、水がないと生きられない。JR東海は、応急措置として、タンクローリーで水を運んだ。それから、本格的な補償として沢に5本くらいの井戸を掘って、地下水を電気でくみ上げるために5馬力の水中ポンプを設置した。そして、20年分の電気代として、1000万円を地区に払った」

――補償は20年分ということですね。

「そう。俺らはその金を大切に使おうと、貯金して、その利子でやりくりしようとしたが、金利が低くて無理。そして、井戸から貯水タンクまでは600メートルも離れていて、高度差も110メートルあって、なかなか水が上がってこなかった。電気代だけで月に5,6万円かかった。そのうち、ポンプがいかれ、5年もたたずに使い物にならなくなった」

――そこでJR東海に何かの要請は?

「1000万円もらった時点で補償は完了。あとは自分たちでやらなければならない。JR東海に何かを頼むことはもうできません」

――では、5年目くらいから、自分たちで策を考えたのですね。

「だから俺らは必死に考えた。水なきゃ生きれないから。で、まだ貯金があるうちに、元々水が出ていた山の高いところに自分たちで井戸を掘って、新しい1馬力のポンプを買って、それで水を確保した。幸いにも技術の進歩で、今は設備がいいからね。貯水タンクがいっぱいになれば電源が自動的にオフになり、水が1メートル低くなれば、自動的にオンになって汲み上げを開始するので、今では、電気代は1カ月で4000円から5000円で済んでいる。ここの地区は16世帯なので、1世帯あたり月に300円ちょっとの出費で済んでいるのが何よりだ」

 上記、国交省の通知を読み返すと、「(補償期間は)おおむね30(年)を限度とするが、将来の水道等の整備計画が見込まれる地域にあっては、当該整備計画等を考慮した年数とする」とあります。さて、朝日小沢地区が、この「将来の水道等の整備計画が見込まれる地域」であったのか? 私は簡単な質問をしてみました。

――水が枯れた当時、大月市は朝日小沢地区に上水道を敷く案とかはもっていなかったのですか?

「ここは山奥なので、市の上水道は敷いてくれません。本来なら簡易水道にも市がいくらか補助してくれるのに、それもしてくれない。申請しても、水道組合が16世帯しかないので、小さすぎるからとの理由でだめなんだ」

 そもそも、なぜ朝日小沢地区で補償期間が『30年』ではなく「20年」という数字が割り出されたのか。そこは今後知りたいところです。

――今、枯れた沢はどうなっているのですか?

「枯れた沢は何本もある。なかには、時間が経って流量が復活した沢もあれば、未だに復活しない沢もある。復活といっても流量ははるかに少ないですけどね」

 ついでながら、話が、先日に本ブログで書いた実験線での残土に及ぶと、大月市内の山間の土地を残土で埋め立てて田んぼにした農地では、そこそこのコメの収穫があることから、それだけはメリットだとAさんは評価しています。
 そういった「有効利用」のデータの一つ一つは入手したいところです。それで初めて、残土全体の何%が有効利用されたかが分かりますので。


●そういえば補償期間は「30年」との説明だったろうか?

 JR東海の環境影響評価書には、水枯れの場合の補償期間は「30年」と書いていません。ただ、「万が一補償が必要な場合は、(上記、国交省の通知の)『公共事業に係る工事の施工に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理要領について』に基づいて補償を行う」と書いているだけです。
 30年はあくまでも「最長」の場合です。
 そういえば、住民説明会では、JR東海はこの件で「30年」と言っていたかな? それとも、やはり、「補償は、『公共事業に係る工事の施工に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理要領について』に基づいて行います」との説明だったかな? 取材ノートを見ればいいのだけれど、後者だとすれば、水枯れへの補償は『30年』ではなく『20年』にもそれ以下にもなる可能性があるということです。

 今後、リニア工事が本格化すれば、多くの地域で否が応でも直面するのが水枯れです。
 今一度、そうなった場合の補償期間をJR東海から具体的に確認するのが必要かと思います。

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