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取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

Author:樫田秀樹
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●2週間後にまた夫婦は引き裂かれる?

 10月25日、入管の収容施設「東日本入国管理センター」から「ハンスト→3年2カ月ぶりに仮放免→2週間で再収容→再ハンスト」していたクルド人デニズさんが再仮放免された。
 総務課の話では、正午までには仮放免されるとのことだったが、もう一人の仮放免者もいたためか、手続きに時間がかかり、とうとう正午になった。入管は12時から13時は仕事をしないので、午後に持ち越しか・・と半ばあきらめていたら、雨の中、職員に付き添われてきて正面玄関に歩いてくるデニズさんを見た。
 迎えに来ていた妻(日本人)が「あ!」と小声を上げて小走りに駆け寄る。デニズさんも走る。その抱擁には心を撃たれるものがあった。



今回も仮放免は2週間

 2人は、もしかしたらまた2週間後に離れ離れにならねばならないかもしれない。そう、今回もデニズさんに出た仮放免期間はわずか2週間だけだった。

●どこまで続く「2週間」ルール
 この「2週間」を事前に職員から伝えられていたからこそ、デニズさんは9月22日に自殺を図った。
 その後、私もそうだが、取材者や支援者の面会が続くことで、それ以降の自傷行為は収まったが、だからこそ、また心配になる。もし11月7日の更新が不許可になったら、また「無期収容」が続く。
 デニズさんは、そのときは再々々ハンストをするというが、おそらく、入管はまた2週間の仮放免で臨む。
 
 牛久入管のある職員はこう言った。
「ハンストで痩せて不健康になるから、健康になってもらうために外に出す。健康になったら戻ってもらう。それが上(入管庁)の方針です」。
 こんなことはどこかで終わらせなければならない。

デニズさんと妻の抱擁1 DSC09603_size.jpg←この日、もう一人の被収容者も仮放免された。かつて、デニズさんと同じブロックにいたこともある。これまで3年以上も収容されていた。だが彼もやはり2週間の仮放免。

●仲のいい夫婦
 デニズさんと妻Aさん(日本人)は本当に仲がいい。
 デニズさんは、仮放免を迎える支援者の前でも、何度もAさんに「愛しているよ」と言っては、頭にキスを繰り返していた。
 仮放免された後、ご夫婦と、私、そしてNHKのディレクターの4人は新宿で食事をするのだが、このときもまったく同じ。
 聞けば、出会ったときにAさんの一目ぼれだったようだが、猛烈アタックをかけてきたのはデニズさんだった。
 ただ、Aさんはデニズさんよりもずっと年上だったので、つきあうことはOKでも、結婚は考えていなかった。
 だから、デニズさんから結婚を申し込まれたも、返事をできないでいると、デニズさんは「まじめじゃない!」と叱った。つまり、自分は真剣に結婚を考えている。真面目に考え、そう決めた。でも、あなたは、それをまじめに考えていない。
 このとき、Aさんは、その通りだと悟り、結婚を決めた。
 
 この日、ご夫婦の間では、2週間後のことは話題にはならなかった。
 おそらく思うことはあるだろうけど、この日はとにかく再会を楽しんでいた。

●国は結婚を認めない。
 
 だが、国は、2011年に入籍までしているこの夫婦でも、未だにデニズさんに対して、「在留特別許可」も出していない。
 デニズさんご夫婦に限らず、国は、仮放免者の結婚を「偽装結婚」だと疑っているのだ。

 もし、デニズさんが、11月7日に仮放免が更新されたとしても、まだ問題は続く。
★働けないこと
★移動の自由がないこと
★仮放免のままで在留資格を与えられないこと。

 そして、前回の仮放免で、デニズさんは一般病院で「拘禁反応の疑いあり」と診断され、再入所後の牛久入管では「抑うつ状態」と診断された。
 今回の仮放免中に、デニズさんは心療内科を訪れるが、そこでも同様の診断が出るはずだ。それでも入管はデニズさんを再び収容するのだろうか。病巣に還すのだろうか?
 今回の再収容中にも、その苦しさからデニズさんは自殺を図った。下の写真がその傷跡。
 しかも、これが初めてではない。人間が人間にここまでの扱いをする。私は心が震える。

9月22日の自殺を図ったときの傷跡

←長年、日本国内の難民問題に携わる織田朝日さんの著書。11月1日発売。


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2019/10/26 23:11 人権 TB(0) コメント(0)

●血染めのTシャツ

 先日、入管収容所の「東日本入国管理センター」(茨城県牛久市)の被収容者、トルコ出身のクルド人のデニズさんから血染めのTシャツが送られてきた。9月22日に自殺を図ったときのTシャツだ。

デニズさんTシャツ2

デニズさんTシャツ1


 彼は、3年2カ月もの収容に耐えられず、今年の6月から、仮放免(一時的に収容を解く措置)を求めハンストして、果たして8月上旬に仮放免を得たが、たった2週間で再収用された(通常は更新される)。で、また再ハンスト。そして、9月20日、入管はまた仮放免を約束したので、ハンスト中止したが、その直後に職員から「2週間で戻すけど」と言われ絶望して、その2日後に手首を切ったのだ。

●うつ状態
 8月の仮放免のとき、デニズさんが真っ先に訪れたのは精神科の病院。そして下された診断は「拘禁反応の疑い」だった。
 本来ならば、何年間も通院しなければならない症状だ。だがその治療を受けることなく、また、3年2カ月ぶりにやっと再会できた妻とも、たったの2週間だけ再会できただけで、今度はいつ仮放免されるかわからない再収用をされてしまった。
 だのに、再び得られた仮放免で、入管職員は「また2週間だ」と宣言したのだ。
 
●「自殺しようとしました」
 その言葉に絶望したデニズさんは両手首を切った。
 さらに、首も切ろうとしたところで、それに気づいたイラン人男性が「ダメ!」と止めに入って、事なきを得た。
 とはいえ、出血多量により、すぐに外部の病院に搬送され処置を受ける。
 
 だが、病院からセンターに戻ってきたとき、デニズさん曰く「そのたった一分後に、一分後に、職員が『デニズ、あなたを懲罰房に送る』と告げたんです。私は治療を受けてきたばかり。どうして、なんの体調チェックもせずにいきなり懲罰房と言えるんでしょうか!」。
 デニズさんが弁護士経由で私にTシャツを送ってきたのは、被収容者が精神的に苦しい立場に追い込まれていることをわかってほしいからだ。

 私は勿論、ハンストや自殺を勧めない。だって、本当に死んでしまうかもしれないから。だが、その奥にある彼らの辛さは伝えたい。

 なお、本件については、近いうちにネット記事でより詳細に配信予定です。


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2019/10/11 00:41 人権 TB(0) コメント(0)


●先月初めて知った作田明賞。

 故作田氏は犯罪防止と少年の更生等に尽力した精神科医。テレビのコメンテーターとしても活躍した。
 生前、同様の個人・団体を称え表彰するために私財を投じ作田明記念財団を設立し、「作田明賞」を創設した。

 第10回目となる本日の授賞式で最優秀賞を受賞したのが、私が取材中の北洋建設の小澤輝真社長だ。つまり、小澤社長からの情報でこの賞を知った。

小澤社長ご夫婦←小澤社長と妻のあきみさん。

 小澤社長のことは、刑務所からの出所者を積極採用している人物として今まで何度も取り上げたので、ここではそれは繰り返さない。ただ、小澤社長は長年の出所者採用をしていることで、この「作田明賞」のことは当然知っていて、自分の活動が認められて受賞
できたことを素直に「嬉しいです」と語っていた。

受賞する小澤社長←受賞する小澤社長

 優秀賞を得た二人の活動も素晴らしい。

●副島勲さん
 一人が福岡市のリサイクル業「(株)ヒューマンハーバー」の副島勲社長。
 刑務所出所者に対し必要なのは「住居と仕事」だとはよく言われることだが、副島社長はそれだけでは足りない、「教育」こそが必要だと、出所後の半年~1年を寮生活させながら、礼儀、約束履行、責任を取ることなど「心のスポンジ作り」に腐心し、社会復帰へのリハビリ期間として人を育てている。
 出所者にとって同社は修行の場所。ここから多くの出所者が巣立っていったが、再犯率はゼロ
 副島社長が強調したのは「宇宙最大の資源は人間です!」
 今後は、出所後から社会復帰までのリハビリ施設である「中間支援施設」の創設を目的としている。

作田明賞の受賞者←受賞者。小澤社長の写真向かって右にいるのが副島さん、左が三浦さん。

●三浦一広さん
 もう一人が、鹿児島県奄美市のNPO奄美青少年支援センター「ゆずり葉の郷」の三浦一広所長。
 少年非行の多くの元凶は家庭環境や地域社会崩壊。ここから多くの子どもが、非行、不登校、シンナー依存など居場所なく生きている。
 彼らの相談に応じ、「自立・共生」を目指す「ゆずり葉の郷」を2001年に設立。

 そして、三浦所長の功績はなんといっても、非行少年たちを排除するのではなく、逆に地域の犯罪防止のためのパトロールや清掃活動を担わせる「奄美市青少年警護隊」を任せること。
 この計画に警察は大反対。「ワルがつるむと暴走族になる」と。
 だが、特に札付きのワルにこそ隊長職を任せると、みるみる心を開き、警察がマークしていた非行地域が安全地域へと変貌
した。

「彼らの共通点は、小さいときから、誰にも認められなかった、励まされなかったこと。ほめれば絶対に更生します」
 
 ある中学校の番長も三浦さんに存在を肯定されてから、2代目警護隊長を務めたが、ある日、アパート5階から飛び降り自殺を図った中学生女子を走って下でキャッチして助けた。しかしその衝撃で彼は大腿骨骨折をした。軽々しく書くべきではないが、これはほめてあげたい。
 2010年には、家庭崩壊で居場所をなくした若者を受け入れる青少年自立援助ホーム「さざ波の家・奄美」も開設した。

 この授賞式には、小澤社長の取材が主目的だったが、副島さんと三浦さんにも取材をしたくなった。
 今、その余裕はないが、いつの日か実現したい。





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2019/09/01 00:38 人権 TB(0) コメント(0)


●サファリさん再収用される。

 前回書いたこと。
 東日本入国管理センター(茨城県牛久市)から「死を賭したハンスト」でやっと勝ち得た「仮放免」(収容を一時的に解くこと)は、当人たちにすれば初めから喜べなかった。
 また戻されることが判っていたからだ。
 
東京入管前での支援1 東京入管前での支援2 東京入管前で支援者にお礼を述べるサファリさん←東京入管前で支援者にお礼を述べるサファリさん。礼儀正しい人。この数時間後再収用された。

 イラン人のサファリさんは、6月7日からハンストをして体重を15キロ落とし、ときに吐血し、ときに昏睡状態に陥った。
 死なれたらたまらない・・とでも判断したのか、1か月後の7月9日、入管側は、「条件付き」で仮放免を出すと約束した。
 ★ハンストを中止すること
 ★血液検査を受けること

 これを受け入れると、サファリさんは果たして仮放免されたが、その期間はたったの2週間だ。
 
 昨日、東京入管(東京都港区)にその更新手続きで赴いたサファリさんを、施設の外では多くの支援者が見守っていた。
 更新をするためのインタビュー室の待合室で私はサファリさんの隣に座り話を聞いた。
 サファリさんはこう話した。

「条件付きでの仮放免ですが、今、思えば、みごとにだまされました。初めから私たちを収容所に戻すつもりだったのですから」

 7月31日からの仮放免の2週間は苦しみの2週間だった。
 サファリさんはハンスト開始前は体重が86Kgあったが、ハンストで70.25Kgまで落ち、ハンスト中止後に75Kgにまで回復したが、「またあそこに戻るのか」の絶望感から食事を摂ることができず、今、体重は減っている。73Kgだ。

「昨日食べたのはコンビニのサラダだけです。睡眠も朝5時からの1時間だけで、睡眠剤を飲んでもまったく眠れないんです」

 見ると、サファリさんの足元には小さなリュックサックが置いてある。
 中身を尋ねると

「着替えです。そして私に関連する入管の資料です」

 サファリさんは、間もなく牛久に戻されることを意識していた。そしてこう言い切った。

「戻ったら戻ったで、私はすぐにハンストします。入管は人をいつまでだますのか。私は何も悪いことはしていないのです」

 午前10時25分、入管のインタビュー室に入ったサファリさんはそのまま待合室に出てくることはなく、牛久入管に再収用されてしまった。


●明日はデニズさんの番

 サファリさんの2日後の8月2日に仮放免で出たのがクルド人(トルコ出身)のデニズさんだ。
 彼もやはりハンストをして、2つの条件を受け入れてハンストを中止して、もらった仮放免は2週間だけ。
 明日、16日に東京入管に赴き、仮放免の更新手続きに臨む。

 デニズさんは3年2カ月も収容されていた。

 じつは、牛久入管で私が最も多く面会取材したのがデニズさんだ。5回くらいだろうか。

 サファリさんはとても穏やかな物腰だが、デニズさんは直情的になることがある。面会取材しても、私に長期収容で受けている屈辱や差別的扱いへの憤りをぶつけてくる。

★懲罰房
 屈辱的な扱い。
 たとえば、担当職員を呼ぶために、手のひらで「担当さん!」とガラス窓を叩く。これだけで懲罰房に入れられる。
 また、あるときは、ボディチェックが長い職員に対して「もうやめてください」と軽く体に触れたら、それだけで懲罰房。
 デニズさんはかれこれ30回ほど懲罰房に入っている。

★自殺未遂
 また同時に、絶望的な収容生活に、いつ出られるかわからない見通しのなさに絶望して、自殺未遂を4回起こしている。

自殺未遂←入管に残っているデニズさんの自殺未遂直後の記録写真

★職員からの暴力

 また、たびたび職員からの暴力も受けているという。
 もちろん、入管側はこの事実を認めない。ところが、今年、初めてそれを認める事件が起きた。

 1月18日夜。
 デニズさんは収容生活のストレスから、精神安定剤をくれるよう担当職員に頼んだ。
 だが職員は「あなたが1か月半前に服用を中断した睡眠薬がある」としてそれを拒否。
 デニズさんが「私が欲しいのは精神安定剤です。それをください」としばらく口論が続くと、15人くらいの職員がいっせいに入室してきて、デニズさんを制圧した。
 デニズさんは背中側で手をねじられ、口と鼻をふさがれ、職員の親指の先であごの下を刺した(これにより数日間は食事ができなくなった)。そして懲罰房に送られた。

 この事実に対してデニズさんは、弁護士を介して、入管に「不服申出書」を提出
 すると、入管はその判定として「理由あり」と回答したのだ。

理由あり

 「理由あり」

 とは、不服申出には理由があった、つまり、この場合は暴力があったと認めたこと。
とはいえ、具体的にどういう暴力を認めたかについては、情報公開しても出てこない。ということで、この件は今後裁判で争われる予定。

★そして、デニズさんにしても、たった2週間の仮放免で再びあの場所に替えるのかとの恐怖感をぬぐえない。
 3年2カ月もの長期収容はデニズさんの精神バランスを崩し、仮放免後に受診した精神科では「拘禁反応の疑い」との診断が下された。
 その病気を作り出した場所にデニズさんは明日帰るのか?
診断書 拘禁反応

 これはどう考えても異常な措置だ。
 お時間と心ある人たちは明日、8月16日午前9時頃に(それ以降でもOK)東京入管(東京都港区)に集まってください。

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2019/08/15 10:05 人権 TB(0) コメント(0)



●たった2週間の仮放免…

 8月13日。
 東日本入国管理センター(茨城県牛久市。以下、牛久入管)から仮放免(一時的に収容を解く措置)された二人の外国人が記者会見を開いた。
 デニズさん(トルコ出身のクルド人)
 サファリ・ディマン・ヘイダーさん(イラン人)

短期仮放免者の記者会見

 牛久入管では「かつてない」事態が起きている。
「生きてここから出るか、死ぬか」といった死を賭したハンストが5月から続いている。
●多くのハンスト者が体重の激減、吐血、昏睡などを経験し、体調不良に陥っている。
●その結果、6月あたりから仮放免を勝ち取るハンスト者が現れているが、その仮放免期間はわずかに1~2週間。
 そして! それを更新するために東京入管(東京都品川区)に出頭すると、不許可が告げられ、即日で牛久入管に戻される再収用が続いている。

1.デニズさん
 私が牛久入管でもっとも多く面会取材してきたデニズさん(トルコ出身のクルド人)は、じつに3年2カ月もの長期間にわたって収容されてきたが、彼も6月からハンストに参加した。毎日水だけを飲み、体重は減り続け、医務室脇の静養室で横たわることもたびたびだ。
 だがデニズさんにもついに仮放免許可が出ることになる。
 ここで牛久入管がデニズさんに、仮放免を出す条件としてあげたのは

★ハンストを中止すること。
★血液検査を受けること。

 デニズさんはこの指示に従った。
 そして普通の食事をして仮放免を待っていると、5月に最初にハンストを始めたイラン人で、7月に2週間だけの仮放免で外に出たシャーラムさんが、その更新が不許可となり即日で牛久入管に戻ってきた。

 記者会見のなかでデニズさんはこう証言した。

「私はそれに驚かなかった。というのは、職員から『仮放免の人たちは戻ってくる可能性があるよ』と聞かされていたからです」

 デニズさんは8月2日に仮放免されるが、やはり自身の仮放免延長が認められないのではと怖れている。難民認定申請中の人物に対して3年2カ月も収容し、わずか2週間の仮放免ののちに、再収用する?

 その不安から、デニズさんは記者会見中に涙した。


泣くデニズさん

 記者会見にデニズさんの弁護士として出席した大橋毅さんも「入管関連の問題に携わって25、6年になるが、今回の『短期仮放免+再収用』はかつてないことです」と明言した。

 仮放免中にやってはいけないことは二つある。
「就労」と「許可なき移動」だ。
 だが最初にハンストをしたイラン人のシャーラムさんはこれを遵守したのに仮放免更新が不許可となったのだ。
 それに続く短期仮放免者も一様に更新が不許可となり、牛久入管に続々と戻されている。
 デニズさんの仮放免更新手続きは8月16日朝9時。私以上に本人がもっとも不安を抱えている。


2.サファリさん
 サファリさんもデニズさんとほぼ同じ3年1カ月も収容されていた。そして今回のハンストで、何度も吐血や昏睡を経験し、体重が15Kgも落ち、仮放免後の今も、摂食障害に陥っていて食べても食べても体重は増えるどころか減っている。
 サファリさんは7月31日に仮放免されるが、そのとき、職員から以下のことを言われた。
「今回の仮放免は2週間だけど、逃げないで帰ってきてね」
 つまり今回の仮放免は初めから再収用することが決まっている措置としか言いようがない。
 サファリさんの仮放免更新手続きは、これを書いている数時間後の8月14日の午前9時頃だ。
 また収容されるのか、またあの外の景色も見えない施設に入るのか、また6畳間に4~5人で暮らす生活を始めるのか。
 7月31日の仮放免は喜べなかった。むしろ、常に不安に襲われ、サファリさんは仮放免後、精神科を訪れると「抑うつ状態」との診断を受けた。
 加えて、仮放免翌日の8月1日、サファリさんは数年前から申請していた難民認定申請の結果を受けたーー不許可。
 このタイミングは何なのか。堂々と彼を再収用するための準備なのか?
 
 仮放免後の今もサファリさんは不安に襲われていて、会見中に涙した。

泣くサファリさん

 私は記者会見のあと、サファリさんと話した。
――入管は、被収容者を極限の状態に置くことを続けることで、被収容者から『母国に還ります』と言うのを待っているのでしょうか?
「その通りだと思います。でも私は1991年、23歳で来日して以来、人生の半分以上を日本で過ごし、生活の土台も日本にあり、今イランに帰っても家も知人もほとんどなく、迫害の恐れもあります。帰れないんです」
――失礼ですが、もし明日の更新手続きが不許可となった場合、牛久に戻ることになりますが、ハンストにはもう関わらないのですか?
「いえ、私はすぐにハンストをやります! それしか私のとるべき道はないんです。生きてあそこを出るか、死ぬかのどちらかです」

 悲しきながら、メディアも議員も一般国民も、多くがこう言うのだろう。
「そうはいっても、彼らはオーバーステイなんだろ。仕方ないよ」と。
 実際、私はその言葉の前に、幾度、編集者たちから企画ボツにされたことだろう。
 印象でモノを語るな。せめて、想像しろ。なぜ、彼らがオーバーステイになったのか。なぜ母国を出てきたのか。
 もちろんなかには、初めから金稼ぎ目的の偽難民はいる。そういう人たちにはお国に還ってもらうのは否定しない。だがすべての外国人がそういう人間ではない。

 明日8月14日、そして16日の朝9時、サファリさんとデニズさんは仮放免更新に臨む。
 二人の望みは、できるだけ多くの人に東京入管(品川駅港南口から『品99』系統バスで『東京入国管理局前』下車。頻発)に集まってほしいことだ。
 世間が騒げば状況は変わるからだ。

●ちなみに、デニズさんは3年2カ月の間、30回ほど懲罰房に入っているが、それはガラス窓を軽くたたいて担当職員を呼んだ、デニズさんの体をしつこくボディチェックする職員に「やめてください」とその体に軽く触れた・・といったことでの懲罰だ。本当だとすればあり得ない話だ。
 ただ、今回はそこに話は割けないので、またいつか。

 最後に、デニズさんの日本人妻からの手紙だけ添付します。

deniz妻の手紙01 deniz妻の手紙02 deniz妻の手紙03 deniz妻の手紙04







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2019/08/13 23:45 人権 TB(0) コメント(1)
リニア取材のカンパをお願いいたします
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、2018年後半に取材資金が底をつき、2020年に新たな単行本を出すことを目的に、2019年4月からクラウドファンディングでの取材資金を呼びかけさせていただきました。そして、多くの方からのご支援をいただくことができました。本当にありがとうございました。とはいえ、リニアの取材は来年も5年後も行うわけで、来春以降は、再び取材資金の確保に頭を悩ますことになりそうです。何度もクラウドファンディングは使えません。そこで、少額でもご支援をいただければと、ここにそのお願いをする次第です。額面に関わらず、ご支援に対しては、リニアについての単行本の送付や記事の案内などをさせていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。今後とも応援をしていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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必要か、リニア新幹線
リニア中央新幹線の問題点を『環境性』『技術性』『採算性』の3点から理論的、実証的に解説した一冊。リニア計画の入門書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。