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樫田秀樹

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 携帯電話の電磁波は危ないのか? 携帯電話基地局からの電磁波も。

 5月31日、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)は、「聴神経腫瘍や、(脳腫瘍の一種である)神経膠腫の危険性が限定的ながら認められる」との調査結果を発表しました。

 携帯の電磁波を巡っては、「危ない」「問題ない」の主張が平行線を辿ります。だが、「問題ない」と科学的に証明した組織は一つもないのです。今回の調査結果は、WHOが初めて「発ガンの可能性あり」と認めたものでした。

 IARCによる発がんリスクは5分類。リスクの強いものから「1」「2A」「2B」「3」「4」。今回、携帯電話は「2B」の「発ガンの可能性がある」に分類されました。
 ただ、IARCは「発ガンする」と断定しているわけではありません。しかし評価すべきは「危ないかもしれない」「だから今のうちに対策を採ろう」という「予防原則」が働いていることです。

 予防原則。

 これが日本ではまったくありません。携帯電話の電磁波は安全か? この疑問に

●「危ないかもしれない」から強い規制をかけておこうと対処するのが欧米の国々なら
●「危ないと決まったわけじゃない」と、住民の健康被害など頭になく、ゆるい規制を作り出すのが総務省であり、それを歓迎するのが携帯電話会社です。

 WHOの結論が出る前なら「危ないかもしれないから対策を採ろう」が先進国の共通認識なのに、携帯電話会社は科学者集団でもないくせに「安全です」とまで主張します。

 と、私がここまで書くのには理由があります。
 それは、2009年12月まで住んでいた横浜市南区の賃貸マンションの上に突如、携帯電話基地局が作られることになったからです。
 
 携帯電話機の出力 0.6~0.8Wに対して、携帯電話基地局の出力は約0.5W~30W。つまり、IARCに「発ガンの可能性あり」と指摘された携帯電話の最大50倍もの出力があるのです。これを知れば、マンション住民ならず周辺住民も反対するのは無理もありません。

 今、街を歩けば、基地局があちこちのビルの上にニョキニョキと建っているのを目にすることができます。
 この基地局建設は、特に賃貸マンションのオーナーにとっては、すばらしい副業です。屋上に基地局を建てれば、年間200万円とも300万円とも言われる副収入が携帯電話会社から入ってくるからです。

 これまでマスコミで原発批判はタブーでした。今もはっきりと批判しないことではタブーなのですが、なぜタブーなのかというと、マスコミの大スポンサーは東京電力を初めとする電力会社だからです。

 そしてもう一つのタブー。携帯電話基地局をめぐる住民紛争も決して報道されません。今現在、全国で200箇所くらいで住民が「基地局反対」の運動を展開しているといわれ、なかには裁判沙汰になった事例もあるのに、マスコミはほとんど報道しません。

 これも同じです。携帯電話会社が大スポンサーだからです。
 ですので、私にしても、携帯電話基地局の問題を記事にできたことはありませんでした。
 だからこそ、携帯電話会社は、無茶苦茶なやり方で建設できるのです。

 さて、では以下に私が経験してきた基地局問題を列記します。保存していた資料にちょっと手を加えただけなので、いつもの「ですます」調ではありませんが、ご了承ください。
 そして、これは私のマンションだけで起こった特殊事件ではなく、他の市民団体からの話を聞いても、おそらく全国でほぼ共通してやられている手口だと思います。



●2008年2月  auと提携する工事会社「きんでん」の社員が、私の賃貸マンション「A」(5階建て)の隣にある賃貸マンション「B」のオーナーに、屋上に携帯電話基地局を建設させて欲しいと依頼。しかし、マンションオーナーは「人の住む建物の上にそういうものは作るべきではない」と断る。

●7月28日  「きんでん」社員のI氏の戸別訪問を受ける。
「お盆過ぎに屋上に携帯電話基地局を建設することになりました。国の基準をクリアするよう建設するので心配要りません」と2、3分だけ説明し、「もしわからなければこれを読んでください」

 と、総務省発行のパンフレット「電波と安心な暮らし」を置いていく。

●それまで、マンション「A」(当時14世帯)では誰も、マンションオーナーからこの件の説明を受けておらず、基地局への予備知識もないので「きんでん」の説明に賛成も反対も言えなかった。しかし「電波と安心な暮らし」には、電磁波への不安を訴える質問なども掲載されており、マンション「A」で乳幼児をもつ数世帯が計画に不安の声をあげた。
 マンション「A」は5階建て。私はその最上階の5階に住んでいた。つまり、基地局が建てば、その1メートル真下に住むことになる。当時3歳の子どももいた。不安だった。

 各地の情報を集めると、基地局ができてから、「頭痛」「不眠」「頭のピリピリ感」「だるさ」などを訴える住民が続出している。電磁波は、大人よりも、子ども、そして胎児へ影響が強いことも分かった。もうヒトゴトではない。オーナーに説明会を求める。

●8月14日  説明会。お盆の真っ只中だったので、参加は、私を含め3世帯。もう1世帯、心臓ペースメーカーを埋めている人も説明会に訪れていたが、玄関先でI氏から「今は電磁波は安全です。基地局を20年間抱きしめ続けてやっとレントゲン1回分の被曝量しかありませんよ」と説明され、そのまま安心して帰っていった。(!)

 きんでんのI氏からは「屋上の基地局は携帯電話1台が立っている程度の電磁波しか出しません」「建設する理由は、地震などの大災害が起こったときにいつでも携帯が使えるように、基地局を増やす必要があるからです」などの説明があったが、住民からは「それでも、その真下に住む我々は不安だ」との声が出る。

●8月18日   14日の説明会でもわからないことだらけなので、改めて、きんでんのI氏とK氏の2名が20時に私の自宅を訪問してもらう。他3世帯も訪れる。
 
 I氏は相変わらず、「屋上には携帯電話1台が立っていると思ってください」との説明をするが、「電波と安全な暮らし」にはアンテナ入力電力の一例として32W(ワット)と記載されている。携帯電話の60倍前後の強さだ。説明の矛盾を突くと、そこは認めた(今思い出してもひどい説明です)。

 また、きんでんの2名は、「電磁波は安全」を繰り返すが、では実際にどれくらいの強さの電磁波がマンション「A」や地域が浴びるのかを質問しても具体的数字を出さなかった。これで不信感が強まる。
 この日参加の3世帯でマンション「A」住民から「計画見直しを求める署名」集めをすることが決まる。

●8月21日  朝には全14世帯からの署名が集まる。
 同時にこの日、地区の町会役員N氏と私が、地区の全世帯を訪問し、留守宅を除いた24世帯(26人)から反対署名を得る。署名と同時に、地区長のH氏(当時)は、オーナーに「地区での説明会開催を」と電話を入れる。
 
 しかし、この日の20時過ぎ、オーナーから「工事を始めることに決めました。私には、地区の住民のことなんてなーんにも関係ありませんから」との電話が入る。工事開始予定日は8月25日。

●8月22日  私は、マンション「A」住民による署名を、「きんでん」とオーナーの両者に送付。
 
●8月23日  H氏も、地区で集めた署名を「きんでん」とオーナーに送付。

 同時に、H氏が8月21日にオーナーに「説明会を」と要請したことを受け、きんでんのI氏とK氏が地区を回る。ただし説明会ではなく、7月下旬にマンション「A」に対して行なったのと同じ、各戸数分の戸別訪問だ。
 8月25日の工事開始にゴーサインを出すために、各戸から了承を得るためと推測される。誰が、誰も「工事に賛成です」と言った人はいなかった。
 
●8月29日  ところが工事が始まった。
 8月25日までには、マンション「A」からも地区からも署名が届いているはずなのに、「なぜ工事が始まったのか」とK氏に電話を入れると、その回答はとんでもないものだった。
「地区を回り、確かに建設に賛成の声はありませんでしたが、説明を聞いていただいたので計画が了承されたと捉えました。KDDIには『住民の理解を得ました』と報告しました」(これはおそらく全国共通の手口だ)
 
 一方で、マンション「A」住民の署名も地区住民の署名もKDDIには渡したとも説明。

●9月1日  私が、KDDIエンジニアリングセンターのU氏に、マンション住民と地区住民に共通する以下の疑問を電話で尋ねる。しかし、電話での回答は記録に残らないので、同じ質問を同日ファクスにて送り、文書で回答するよう要請した。

1.住民の署名が、社内でどう判断され、工事着工との決定に至ったのか。
2. 1997年、旧郵政省は「携帯電話基地局の建設に当たっては、その地区の地区長や町会長から建設の了承を得ること」との指導を出している。今回の反対署名にはその地区長が署名をしているのに、なぜ工事着工に至ったのか?
3. きんでんのK氏とI氏は、他の地区を回っていない。町会長もこの計画を数日前まで知らなかった。町会長からの意思確認は必要ないのか?

●9月16日  ところがまったく返信がない。そこでU氏に電話。「回答がなぜ来ないのか?」
 これも答がとんでもなかった。

「答えにくい質問内容ですので」

 U氏はKDDIが私の自宅訪問をして説明したいと切り出してきたが、断る。住民が求めるのは、戸別訪問ではなく説明会だからだ。戸別訪問は「切り崩し」策に過ぎないことが私にも分かってきていた。

●10月22日  横浜市港北区の「子どもを電磁波から守る会」主催のKDDI説明会を傍聴。
 ここでは、その数日前に、「住民と連絡を取り合ってから基地局の稼働をする」との約束が反故にされ、いつの間にか基地局が稼働されたことへの住民の憤りが噴出していた。

●10月27日  U氏から電話が入る。用件は2つ。
1.地区長への回答を出すので、それを町会住民には回覧版などで見てもらいたい。
2.マンション「A」や地区の数ヶ所で稼働前と稼働後の電磁波測定を実施したい。マンション「A」住民には、測定を希望する世帯がどこかを確認するため、アンケート用紙を投函するなどを考えたい。

 私が念を押したのは、回覧版を見た結果、複数住民が「説明会を開催してほしい」と要望した場合は実現して欲しいということ。それに対し、U氏は「その場合はやります」と回答。

●11月6日  しかし、その後も地区長への回答もなく、アンケート用紙も回ってこなかった。
 新地区長のS氏がU氏に電話。「住民説明会を開催してもらいたい。期日はこちらから指定する。それまでは、基地局を稼働させないでほしい」と要請。それにU氏は「わかりました」と同意する。
 
●11月29日
 電磁波問題市民研究会の大久保貞利氏を招き、S氏の自宅にて勉強会を開催。17世帯が参加。

●12月21日
 KDDIによる第1回説明会。KDDIの職員2~3名と、きんでんのK氏も来る。
 しかし、説明会は不成立となる。話し合いの冒頭で「電磁波は安全です」をアピールするビデオを20分も見せられ、ようやく話し合いに入ると思ったら、なんと「10月中旬に既に基地局は稼動しました」とKDDIから説明があったからだ。
 これには住民は大激怒。
 なぜ地区長との約束ーー「説明会開催までは稼動しないこと」ーーを破ってまで稼働したのかに住民の不満が紛糾したが、KDDIは「申し訳ありません」と繰り返すだけだ。
 どの部署の誰が稼動にゴーサインを出したのか。この質問にも「わかりません」。そんなはずはないのに。
 結局、1時間近くも「情報を出せ」と要求する住民に対して、「出せません。分かりません」しかKDDIは答えない。
 住民は、KDDIエンジニアリングセンターのS氏に対し「KDDI上部の人間と早急に連絡を取り、基地局の稼働を一時停止し、その上で改めて説明会を開催すること」との要望を出す。S氏は「上と連絡を取り、24日までには地区長に回答する」と約束。

 私はU氏が帰るときに「若いうちからこんな人を騙す仕事やっていて絶対に後悔しますよ。あなたの言葉を信じていた私たちの気持ちが分かりますか」と訴えると、U氏はただ神妙にしていた。
 そして、結局、KDDIは稼動を一時停止することはなく、マンション「A」の屋上からは今も電磁波を出し続けている。1メートル下には、私たちが引っ越したあとも、誰かが住んでいる。

 この件、また近いうちに書きます。

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