取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

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●長いピクニック
「沖縄の米軍基地を引き取る」。
 なぜこれを主張する運動体が各地で発足しているかについて、とても分かりやすく描いた寓話「長いピクニック」がある。
 体の小さな沖人(オキト)君が46人の荷物の多くをなぜか一人で背負って、ピクニックに出かける話。
 この寓話は、「作者名は記載しないでください。また、一部削除・加筆・修正等は行わないでください」との条件を守れば、
「複写、転載、印刷、配布はご自由にされてください」とのこと。「沖縄の現状はひどい!」と言いながら、その状況を作り出しているのがそう言っている自分たちであることを伝えてくれる寓話です。

 これを初めて読んだのは今年5月ですが、結局はヒトゴトで沖縄問題を論じていた自分が恥ずかしくなりました。


『長いピクニック』
 47人のクラスメイトと先生は、ピクニックに出かけました。その中の一人、体の小さな沖人(オキト)くんは、どういうわけか一人でたくさんの荷物を背負っています。
 先生が言うには、みんなが安全にピクニックをするために必要な荷物なのだそうです。そういうわけで、この荷物のことを「みんなを守る荷物」とみんなは呼んでいました。
 しかし、沖人くん、このあまりにも重い荷物のために苦しくて、みんなよりもずいぶん遅れて歩いています。
沖人くんは言いました。「先生、もう荷物持てません」
沖人くんは言いました。「先生、この荷物、本当にこれだけ必要なんでしょうか?」
 みんなが楽しみにしている食事の時間になりました。
 47人がそれぞれ一品ずつ持ち寄ったサンドイッチやハンバーグ、サラダ、フルーツ…様々な食べ物が敷物の上に集められました。沖人くんは、南国の珍しいフルーツを持ってきました。クラスのみんなはそれを見て、「わぁ」と目を輝かせました。
「さあ、みんなでいただきましょう。」と先生。
 みんなは思い思いに料理に手を伸ばし始めました。楽しそうです。
 先生が優しく言いました。
「沖人くん、お荷物大変ね。先生が料理とってあげるね。」
 先生は、沖人くんのために特別にもってきた弁当箱に、集められた料理の中から沖人くんの好きそうなものを詰めて、少し離れたところに腰を下ろしている沖人くんの前においてくれました。
 それを見て、クラスの何人かがざわつきました。
「沖人くんだけ、先生からお弁当もらってる。いいなぁ。」
「みんなを守る荷物を持ってるから、特別なのよ。」
「弁当もらってるんだから、ぶつぶつ文句言うなよな。」
 でも、沖人くんは思いました。
「このお弁当、みんなが食べている分と量はそんなに変わらないんだけどなぁ、体の大きさの違いを考えても。僕よりたくさん食べている人も何人かいるし…」
 食事が終わって、また47人と先生は歩き始めました。
 相変わらず、沖人くんはみんなを守る荷物の重さにあえいでいます。この荷物、うるさい音がしたり、変なにおいがしたり、妙な汁が漏れ出てきたり。それらがいっしょくたになって沖人くんの肩にぶら下がったり、背中の上に積みあがっているので、たまったものではありません。
 そうしているうちに、右の肩にさげていた荷物の重みで、沖人くんの右腕がうっ血してきました。
「先生、僕の右腕が…」
 先生はたいそうな心配顔で、しばらく考えてこう言いました。
「沖人くん、右肩にさげているその荷物、左の肩に持ち替えなさい。」
「え? そんな…。だって、左の肩にも荷物さげているんですよ。」
「沖人くん。そんなこと言ったって仕方ないじゃない。背中だって荷物でいっぱいでしょ。だから、右腕が腐れてしまわないためには、左の肩で持つしかないの。ね、これが右腕を守るただ一つの方法なのよ。先生は決めました。そうしなさい。」
 クラスメイトの何人かが、「そうだよ、そのほうがいいよ、仕方ないよ」と先生に合わせて言いました。
 一方、別のクラスメイトの何人かは、沖人くんと先生の会話をずっと聞いていて、心の中で疑問を感じています。
(みんなを守る荷物なのに、どうしてほとんど沖人くんが持っているんだろう?)
(荷物って何が入ってるんだろう?本当に全部必要なのかな?)
(ダメじゃん、不公平だよ)
(その荷物、本当は必要ないと思う。捨てたほうがいい。)
 でも、先生が決めたことに疑問や異論をはさむと怒られそうで、怖くて口に出せません。
 そのうち一人が、
「先生、沖人くんの右肩の荷物、僕が持ちましょうか?」
と言いかけましたが、ピクニックを楽しむみんなの声にかき消されてしまいました。
 とうとう、背中に積み上げて背負っていた荷物の重みで、中に入っていたナイフが袋を突き破り、沖人くんの体に深々と刺さりました。
 沖人くんは、その場で息絶えました。
 うっ血した右手にお箸を、左手に弁当箱を握りしめたままで。
 動かなくなった沖人くんの周りにみんなが集まってきました。
 先生は、目に涙をいっぱいためて怒りを込めて言いました。
 「許せませんね、この荷物は。」
 みんなも言いました。
 「ひどいことするよ、この荷物は。」


沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える
←沖縄の米軍基地を「本土」に引き取る必然性を論理的に整理した本。必読です。

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2017/08/13 00:41 戦争 TB(0) コメント(0)

●引き取り5団体の共同記者会見
 6月16日。

 沖縄の米軍基地を「本土」で「引き取ろう」と主張する5団体が、このたび連絡会を結成し、東京で記者会見を開催しました。
 
 5団体とは、大阪、福岡、長崎、福岡、東京。(ただし、長崎は欠席なので、東京がメッセージを代読)

170616引き取り5団体←団体の代表者たち。参加者の頭で名前が隠れているのが、新潟の福本代表。

 「米軍基地を引き取る運動」については、本ブログで何度か書いているので、ここでは同じことを繰り返しません。

 とはいえ、じつは、月刊「望星」という月刊誌の5月号と6月号に、引き取る運動を2回連載したのですが、原稿用紙30枚ほどあるその原稿を調整し、それに東京集会のことを書き加えた原稿が、いみじくも、今回の記者会見のあった6月16日に、週刊プレイボーイのネットニュースで配信されました。おそらく、これを読むのが全体像を知るにはいいのかと自負しております。読むにはここをクリックしてください。

 さて、今回の連絡会の報告の目玉となったのが、全国46都道府県知事に送ったアンケートの結果です。
 今回、司会を務めた「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」の里村和歌子代表によると、まず驚いたのが、「どこの馬の骨ともわからない市民団体からのアンケートに、42知事が回答してくれたこと」だとか。

170616里村さん←里村さん

 アンケートの内容は

1 沖縄県の米軍基地についてどう思いますか?
2 国土の0.6%の沖縄県に70.6%の米軍基地があることをどう思いますか?
3 英軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への移設計画についてどう思いますか?

 3-1 移設先について土思いますか?
 ①県内移設(辺野古への移設)
 ②県外移設(沖縄県以外の国内への移設)
 ③国外移設(日本国外への移設)
 ④移設なし撤去

 3-2 皆さんの都道府県への移設についてどう思いますか?
 ①政府から要請があれば引き受けを検討したい。
 ②市民から要請があれば引き受けを検討したい
 ③日本全体では必要だが、自分たちの都道府県では引き受けられない
 ④沖縄県のままでいい
 ⑤その他

 等々、8項目。

 (すみません、今、他の仕事で忙しいので、すべてを手書き入力できません。アンケート用紙をスキャンしたものを以下に貼っておきます)

引き取るアンケート1 引き取るアンケート2

 そして、アンケート結果の概要は以下の通りです(これも、今回は手書きコメントをサボります・・。)

引き取るアンケート3

 このアンケート調査で、面白いのは、たとえば、選択式の回答では「沖縄の米軍基地を縮小すべきだ」と回答したのは4知事に留まりますが、記述式回答では、3分の1の知事が基地負担削減の必要性に言及していることです。
(確かに、選択式だと、その「単語」を選ぶことで、「単語」だけが独り歩きする可能性もあります)

170616福本さん←アンケート結果をまとめた新潟の福本さん

 5団体の今後ですが、全国各地でシンポジウムを開くなどして、市民の理解を得て、その先に政治課題として扱い、一日も早く、沖縄の米軍基地、とくに普天間飛行場を引き取ることを目的にしています。

 辺野古ではじわじわと工事が進んでおりますが、沖縄県からは「辺野古で基地が完成したとしても引き取ってもらいますから!」との声も寄せられており、長い闘いにはしたくないようですが、長い闘いになりそうです。

●「基地絶対反対派」はどう考える?

 じつは、「基地絶対反対」運動を展開する団体のなかには、「引き取る」運動を異端視する人も見受けられます。
 
 ただ、「基地絶対反対」運動も「引き取る」運動も、いつの日か日本から「米軍基地をなくす」ことと「日米安保もなくす」ことを目的にしているので、共闘はできる。
 事実、大阪の松本代表によれば、大阪では、基地絶対反対運動と引き取る運動を掛け持ちする人もいるそうです。

170616松本さん←大阪の松本代表。

 ただ、基地絶対反対運動が引き取る運動を異端視するのは、「それでは基地がいつまでたっても無くならない」「日米安保を固定化してしまう」と考えるからです。
 なるほど。
 だからこそ、両者が公の場で徹底討論する場があれば面白いと思うのですが、なかなか実現しないようで・・。

 ただ、私は基地絶対反対運動の方に尋ねたいのですが、

「引き取る運動とは、沖縄の『基地の県外移設を』『基地を引き取って』との声に応える運動でもあります。では、その声を発している沖縄の人たちの前で、その声に対してどんな言葉を返すのか?』

 もちろん「基地を撤去するために全力で頑張っています」との言葉は正解です。加えて、「引き取って」との声にはどう答えるのか?

 私もまた、基地絶対反対運動も引き取る運動も否定しません。どちらも必要だと思います。
 ただ、 日本人の約9割が日米安保条約を支持している以上、だったら、米軍基地の撤去よりも移設のほうが可能性は高い。そこで必ず起こる賛否両論の議論をすることには意味があるはず。だって、今まではその議論すらなく、結果として、沖縄に基地を押し付けてきたのが事実なのですから。

沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える
←引き取り運動を知る際の入門書。

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2017/06/17 23:52 戦争 TB(0) コメント(0)

●月刊「望星」に、「米軍基地を引き取る」運動のことを書きました。

 前編、後編の連載で、今回は前編。

 米軍基地を引き取る運動に関しては、多くの人に考えてほしい。今、東京、大阪、新潟、福岡の4か所で、政府ではなく、市民団体が主導しての「引き取る運動」が展開されています。

 私は、この運動が目指す方向性については、賛成があってもいいし、反対があってもいい。ただ両者での議論が起きればいいなと考えています。 この運動については、以前も書いたので、こちらこちらを参照にしていただきたいが、論点をまとめれば以下のようになります。


●「最低でも県外」は今も沖縄県民の多くの民意。

 これはいうまでもないでしょう。あの民主党政権での鳩山由紀夫首相の「普天間飛行場の移設先は最低でも県外」との表明は多くの沖縄県民に支持されました。
 普天間飛行場の県外移設だけではなく、沖縄から日本から米軍基地がなくってほしいと思う県民もまた少なくない。


●「日米安保条約」は日本国民の約9割に支持されている。
 
 2015年7月、共同通信社の戦後70年世論調査では、日米安全を支持する国民が約9割いることを示しました。日米安保を支持するとはそのまま米軍の駐留をも支持しているということです。


●沖縄だけに約7割(専有施設面積)の米軍基地が集中している。

 じつは、1950年代前半、在日米軍基地の割合は沖縄では約1割にすぎませんでした。当時、米軍基地は全国に散らばっていたのです。ところが、1972年の沖縄の日本復帰前後には、その割合は約5割になり、現在が7割です。
 

●沖縄に本土からの米軍基地は移設されても、その逆は少ない。

 1953年、アメリカ海兵隊は、岐阜県、静岡県、神奈川県、滋賀県、奈良県、大阪府などに駐留していたが、57年に沖縄に移駐。
 本土の反基地運動の激化で、それが反米運動に転嫁することを両政府が懸念したことが理由とされている。
 76年には、山口県の岩国・第一海兵航空団が沖縄に移駐するが、このとき、沖縄県議会や県内政党は「犠牲を県民に押し付けるのか」といっせいに反発
 他にも、福岡県の米軍板付空軍基地やキャンプハカタなどが72年までに沖縄に移設。79年には、同じ岩国から海兵隊部隊が沖縄に移設。

 この逆の事例はどうかと調べてみると

 2012年、アメリカ政府が「在沖海兵隊約1500人を岩国基地に移転させる」と日本政府に打診したことがありますが、山口県や岩国市は「これ以上の負担は受け入れられない」と反発しています。これはこれで当然の反応ですが、問題は、アメリカが、岩国以外への移転も打診したところ、日本政府が「(沖縄からの)移転をお願いすることはない」と拒否したことです。

 これらの事実から、政治は、沖縄に米軍基地を押し付けてきた、と言えます。


●本土の人間にとって、沖縄の米軍基地問題はヒトゴトだ

 現在、辺野古や高江などに、本土から駆け付け、座り込みなどの抗議行動を展開している人たちには敬意を払います。現場にいるからこそ、政府の横暴も身に染みてわかっている。その情報発信にも努めている。
 だが、それらのニュースをテレビや新聞、インターネットで見る人にとっては、沖縄で起きていることは「たいへんなことだ」と頭で認識しても、他国のできごととして見ているのではと、私は推測しております。
 
 過去に普天間飛行場の移設先として、何カ所かの候補地が噂のように現れては消えたものですが、そのたびにそこの住民からは反対運動が起こりました。

 そこで行きあたる素朴な疑問は、「9割の国民が日米安保を支持している。あなたがその9割の一人であれば、なぜ反対するのか」ということです。もちろん、反対運動を展開したのは、残り1割の人たちであるかもしれません。では、そのとき、9割の人たちは賛成とまではいかなくても、抵抗なく米軍基地を迎え入れる気持ちだったのかな?


●「このままでは何も解決しない」
 
 今回の「望星」の前編では、大阪と福岡の運動を取り上げました。
 大阪で「引き取る運動」を展開する市民団体「沖縄差別を解消するために沖縄の米軍基地を大阪に引き取る行動」(以下、「引き取る・大阪」)の代表、松本亜季さんは2015年から運動を展開していますが、松本さんは、かつて辺野古で2カ月間の座り込みに参加していた過去があります。
 その経験で、大阪に戻ってから、10年間もJR大阪駅前で「「辺野古での基地建設の白紙撤回」と「普天間飛行場の即時閉鎖」を訴える運動を展開してきました。
 つまり、「基地絶対反対」運動です。
 その結果、確かに、大阪での辺野古問題に対する認知度は上がりました。だが、その運動をやればやるほど、松本さんが思いを深めたのは「この方向性では何も解決しない」ということでした。なぜなら、松本さん初め、日本のあちこちで「基地絶対反対」の市民運動が展開されていますが、それで辺野古の状況がよくなったかというと、逆に悪くなっているからです。
 もちろん、辺野古は現在はまだ本格着工されたわけではないので、今後の闘いで中止に追い込める可能性はあります。それでも、民意の蹂躙ということでは間違いなく悪化しています。

 詳しいことは本誌を読んでもらうとして、松本さんがもう一つ気づいたことは、松本さん自身に差別の意識はないものの、沖縄に負担を押し付けている「本土」に住んでいる以上は「差別者である」という自分自身のポジショナリティ(社会的な立場性)です。
 
 いってみれば、たとえば、差別する意識はなくても、イスラエルに生まれた以上、パレスチナの人たちからすれば「自分たちを差別する立場の人間だ」と見られているようなものです。
 
 実際、松本さんも辺野古で座り込んでいた2カ月間、「ヤマトンチューでしょ」ということで、現地の人から幾度も拒絶的な反応にあってきました(手伝いの申し出を拒否される、イベントの司会進行役に難色を示されるなど)。

 松本さんが「引き取る運動」を開始したのは、一つには、この差別を解消するという目的もあるのです。

 以下、今回の原稿からの引用した松本さんの言葉です。

「私は差別する側にいる自分の立場を認識できました。だから、今なら私を拒んだ沖縄の女性たちの気持ちがわかります。今、辺野古や高江で闘っている人たちは尊敬すべきです。でも、本土から来る人のなかには『私は沖縄のために闘っている』と、本土の立場性から免れていると思っている人がいる。闘うことがその免罪符じゃない。まずは自分たちの立場性をはっきりさせたいと思いました」

大阪引き取り候補地←大阪の運動では、府内8カ所を具体的な候補地として挙げている。


●議論が起こるか

 この引き取る運動は、少なくとも、沖縄県民の「最低でも県外」の意志を汲み取っている運動です。
 だが、かつての松本さんがそうであったように「基地は日本のどこにもいらない」運動であれば、「最低でも県外」移設は、その土地に米軍基地を建設するわけなので、認められないことになる。
 実際、福岡県の引き取る運動では、「基地絶対反対」運動をしていた人が「引き取る」運動に参加したところ、かつての仲間から「引き取るとはなにごと。基地をなくすのが目的なのに」と批判され、「引き取る会福岡」を去りました。その批判の嵐に、心療内科に通うほどに疲れてしまった人もいるようです。

 でも、「基地絶対反対」運動も「引き取る」運動も、最終ゴールは同じです。
 やはり、米軍基地がなく、同時に日米安保もない社会です。
 ただし、引き取る運動では、現在の沖縄のにっちもさっちもいかない状況のため、負担軽減のため、自分たちも負担をしようとのステップを設けているのです。

 もちろん、米軍基地を引き取ることは、米兵犯罪の発生もありえるわけで、簡単なことではありません。
 しかし、それは既に沖縄で起きていることであり、今、私たちはそれら問題に何か対処しているのでしょうか? 沖縄で今起きていることを置き去りにして、自分のところにだけは米軍基地は来ないでくれとの主張は、どこまで通るのか。
 だから、批判ではなく、賛成派も反対派も議論してほしい。

 少なくとも、沖縄の基地問題の当事者は「私たち」であることを認識する必要はあると思います。


●もし米軍基地がなくなったら?
 議論と書きましたが、では何を目指すのか?
 双方の運動が目指すのは、米軍基地も日米安保もない社会です。
 では、その先は?
 数年前、国会で「安全保障関連」法案が審議されていた時、多くの市民が国会前に集まり「反対」の声をあげていました。
 惜しまれるのは、あのとき議論はほとんど起こらなかった。

 あの反対運動は、日米安保は現状のままでいいという運動だったのか? 戦争なき社会をつくるには、米軍基地も安保も要らないとすれば、米軍がいなくなったあとの日本の安全保障体制をどうすべきと考えていたのか? 自衛隊を増強する? 防衛費を増額する? コスタリカのように軍なき社会を目指す?

 引き取る運動では、その議論ができるのでは。だとすると、日本の安全保障をやっと一般市民も真剣に考えるいい機会になるとも捉えることはできます。


●移転はしたけれど

 1995年の沖縄での少女暴行事件を受けて、普天間飛行場の移設が日米で合意されたわけですが、じつは、基地そのものではないですが、訓練が移設されたところがあります。たとえば、北海道の矢臼別。元々、陸上自衛隊の演習地ですが、ここで年に数回、海兵隊が訓練をしています。
 その騒音、その弾丸の誤着などで、特に牧場で馬を育てる人たちにとっては大問題です。
 また、訓練の移転の結果、沖縄の負担が軽減したかというと、軽減の実感はないのが現実です。

 ただし、ここには二つの論点があるように思います。

 ★矢臼別に訓練を移設したのは、住民合意ではなく、政府が決めたこと。
 ★基地ではなく、訓練だけが移設したこと。

 これらも含め、米軍基地の移設がアリかダメかの議論が起こってほしい。

 5月20日に、引き取る運動のイベントがありますが、詳細は後日。
←今回の掲載誌「望星」5月号です。是非お買い求めください。
 ←「引き取る運動」を論理的にまとめた高橋哲哉・東京大学大学院教授の著書。

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2017/04/22 13:50 戦争 TB(0) コメント(0)
●NPO職員、明日、南スーダンの現状を語る

 南スーダンでの出来事は今や時事ネタです。南スーダンで活動する数少ない日本のNPO法人「日本国際ボランティアセンター」(JVC)の今井高樹さんは、かれこれ、10年ほどスーダンと南スーダンとに関わっていますが、その今井さんが、明日21日(火)の
衆議院予算委員会の中央公聴会に参考人として出席
し、南スーダンの状況を話すようです。午前9時から11時35分の間の予定。
 じつは私も数十年前に、JVCのソマリア担当として現地に2年滞在しておりました。その縁で、今はJVCの機関誌の編集の一部を手伝っているのですが、昨年、今井さんの現地報告記事でショックだったのが「地方では、武装勢力により、子どもたちがニワトリのように首を切られて死んでいる」との一文でした。
 必要なのは軍事介入ではなく、交渉であるはずなのに、自衛隊はいったい何をしに行くのか。
 明日はテレビ放映はあるのかな? 録画をしたいところです。


●子どもたちがニワトリのように殺されている

 その機関誌で今井さんが書き、私が編集した記事の一部だけを以下に公開します。続きを読みたい方は、是非、JVCにコンタクトしてください。

ーーここからーー

 昨年9月、緊急支援のため入ったジュバ(南スーダン首都)の状況は、予想を超えていた。
 壁一面の弾痕や略奪された商店。そんな戦闘の痕跡が残る市内で、出会った人の誰もが私に何かを訴えてきた。毎晩のように響き渡る銃声、いつ支払われるか分からない給与、年率800%のインフレで「手が届かない」食料品の価格…。
「もう、ここでは生活できない」
 誰もがそう感じるなか、とりわけ厳しい状況にあるのが避難民キャンプの人々だった。
「配布された食料なんて、とっくになくなったわ。今日の食事はこれだけ」
 母親が、野草の葉をむしって煮込んでいる。子どもは草についた種をちぎって食べていた。

南スーダン、野生の豆を食べる子ども←野生の豆を食べる子ども。写真撮影:今井高樹さん。

 ジュバ市内からナイル川を渡った対岸のグンボ地区。避難民キャンプでは、7月の戦闘で郊外の自宅を追われた281世帯が生活していた。食料が配布されたのは最初の1ヶ月だけ。配布の中心を担うはずの国連ですら、戦闘の最中に食料庫を略奪され、物資の欠乏に直面していたのだ。
 当初は生活用品を支援する予定だったが、急きょ半月分の食料支援に切り替えた。
 配布の当日、安堵の表情を浮かべる避難民のなかから、こんな声が聞こえてきた。
「キャンプでの暮らしは大変だけど、ジュバにいる私たちはまだマシだわ」
 どういうことか、一瞬、意味が飲み込めなかった。
「私の故郷では、子どもたちがニワトリのように首を切られ、殺されているの」
 彼女の故郷は、ウガンダ国境に近い中央エアトリア州の村。7月以降、州内に戦争が拡散し、軍や民兵集団による村々の焼き討ち、住民の殺りく、レイプが繰り返されていたのだ。
 そうした村々からの避難民が、ここジュバにも来ているという情報を耳にした。郊外へ数キロ、ナイル河畔の教会を訪れると、ロボノク郡(ジュバの南80キロ)から逃れてきた4人の母親と子どもたちが敷地の片隅に身を寄せていた。
「ある日、知らない男たち村にやってきて、突然、銃を撃ち始めたんです。目の前で子どもたちが倒れて…
 赤ん坊を抱えた母親が、惨劇の一部を話してくれた。死体は家に投げ込まれ、次々に火が放たれたという。畑仕事に出ていた夫たちの行方は分からない。
 歩き続けてここにたどり着いてから1ヶ月、教会からの差し入れ以外には食料がない。蚊帳が足りず子どもはマラリアに罹患していた。身体を洗う石鹸もない。
 すぐに支援を届けた。1ヶ月分の食料のほか、蚊帳や石鹸、そして衣料品。服を手にすると、子どもたちは大急ぎで着替え始めた。母親たちは赤ん坊に着せてから、自分の服を選んでいる。着替え終わって、はじめて皆が笑顔を見せた。

南スーダン、服の配布に喜ぶ←服の配布に喜ぶ人たち。この服を着て教会のお祈りに出かけたという。写真撮影:今井高樹さん。

ーーここまでーー

 マスコミは、昨年、稲田防衛大臣がジュバを視察したときに同行取材しているのですが、せっかくジュバに行ったのなら、避難民への取材をすべきでした。
 戦争の犠牲者がまさしくそこにいたのです。
 でも、マスコミに頼れない以上は、現場を見た数少ないNPO職員などの情報を、私たち市民がインターネットという道具で拡散するしかありませんね。

←「積極的平和主義は紛争地になにをもたらすか?!」(合同出版) JVCのメンバーたちが、紛争地での経験を深く語る本。「丸腰だからこそ、安全が保たれた」との自信には学ぶべきものがある。今井さんも、スーダンでの紛争に巻き込まれた時も、なぜ無事に生還できたのかを詳細に書いている。必見。

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2017/02/20 16:38 戦争 TB(0) コメント(0)
●そもそもの始まりはVFP(平和のための退役軍人の会)

前回のブログの続きです。

 なぜ私が「沖縄の米軍基地を本土で引き取る」運動に関心を持つようになったのか。

 そもそものきっかけは、これも本ブログで書いたことですが、沖縄の高江でのVFP(平和のための退役軍人会)との出会いでした。 彼らは、世界各地で米軍基地の存在で苦しむ住民の元に駆け付けては一緒に抗議行動を展開していますが、アメリカ国内でもしていることがあります。

 VFPは、今年8月の年次総会で「全米各地の議会で沖縄の新基地建設に反対する決議が取り扱われるよう働き掛ける」ことを決議したのですが、実際、各メンバーは自分の出身地でそういった運動も開始しているようです。

 そして、このVFPが関係したのかはわかりませんが、昨年(2015年)9月、すでにバークレイ市議会で、12月にはマサチューセッツ州ケンブリッジ市議会で「反対決議」がなされたのです。両市は米政府に「沖縄での環境や人権を尊重する措置をとるよう」要求したのです。おお、アメリカの自治体が沖縄のことを考えてくれた。これは特筆すべきことではと個人的には思います。

●「辺野古新基地建設反対」を否決する日本の自治体

 で、肩透かしを食ったのが、日本の自治体の対応です。

 ちょうど1年前の2015年12月、東京都の武蔵野市議会が「辺野古での基地建設反対」を趣旨とする「地方自治の尊重を政府に求める意見書」を採択しました。これにネット上では、「武蔵野市、よくやった」などの称賛の声が飛びました。
 ところが調べてみると、これは本当に例外的な決議でした。

 上記バークレイ市の姉妹都市の一つは大阪府堺市です。
 堺市でも、2015年9月29日、市議会議員から「沖縄辺野古への米軍基地建設の断念を求める意見書」が出されたのですが、これは「否決」されます。
 次いで、今年3月25日にも、「地方自治を尊重し、沖縄県の民意を尊重することを国に求める意見書」(議員提案)が出されますが、これも「否決」。
 さらに、6月24日には「沖縄県における基地問題の解決を求める意見書」(共産党議員提案)が出されますが、やはり「否決」。

 堺市は3つの意見書をすべて否決したのです。

 ところが、これは堺市だけではなく、調べてみると、何十もの事例があります。
 倉吉市、三朝町、益田市、金沢市、春日部市、新発田市、神戸市、立川市、日向市、津久見市等々、私が調べただけで20以上の自治体が、同様の意見書や陳情を「否決」や「不採択」としているのです。


●「辺野古新基地早期建設」を可決する日本の自治体

 さらに、私が驚いたのが、それとはまったく逆の事例です。

 すなわち、「辺野古に基地を作ってしまおう」との趣旨の意見書」については、「いけ~」とばかりに「採択」の嵐です。

 沖縄県名護市の保守系議員数人が全国の約800市区議会に「沖縄の米軍普天間飛行場代替施設の早期実現、沖縄米軍基地の整理縮小及び負担軽減を求める意見書」を採択してほしい旨の陳情書を送っているのですが、これについて調べてみただけで、

 多久市、糸魚川市、鳥取市、佐世保市、夕張市、熱海市、倉吉市、益田市、座間市など、やはり数十の自治体が「採択」や「可決」している。

 なぜ、これら自治体は、「建設反対」の声に対して「否決」をして、「早期建設」の要望に対しては「可決」できるのか。そもそも、地元の名護市や沖縄県が「辺野古への基地移設は反対」と言っているのに、なぜ外部の自治体がわざわざ「早期建設」を主張しなければならないのか

 結局、これら自治体にとって、沖縄で起こっていることはしょせんヒトゴトではないのか
 というのが、私が抱いた感想です。

 上記の「採択」や「否決」などをした自治体の一覧は今、EXCELにまとめてありますが、まだ不完全ということで後日の公開としますが、辺野古新基地建設に反対する沖縄県民が上記本土の自治体の動きを知ればどう思うのか。とても同じ日本人の取る行動としては承服しがたいのではないかと思います。

 じゃあ、そんなに建設促進したいのであれば、「あなたのところで引き取れば?」。

 こう思い始めたときに知ったのが、前回のブログで紹介した、福岡、大阪、そして新潟の3か所で同時発生的に立ち上がった「引き取る」運動でした。
 
 そして、そのことを先週号の週刊SPAに書いたのですが、多忙にかまけているうちに、前回のブログからもう1週間も経ってしまいました。ということで、そのSPAの記事も近日中にPDFで公開します。本日はもう眠いです・・・。

←高橋哲哉教授の「沖縄の米軍基地 『県外移設を考える』」(集英社新書) 県外移設に賛成する人にも反対する人にも読んでもらいたい。

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2016/12/08 00:49 戦争 TB(0) コメント(0)
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