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取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

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●「私は難民です」
 2月21日10時半。東京地裁で「難民の認定をしない処分取消等請求事件」の第1回口頭弁論が開催された。
 仮放免者であるナビンさん(43歳。スリランカ出身)と妻の久保なおみさんの二人が原告となり、ナビンさんの難民認定申請を不許可とした処分を取り消すよう提訴したのは昨年秋。
ナビンさんとなおみさん
 
 これまでも同じような裁判は何件もあったが、日本人妻も原告となったケースは異例と言える。
 ナビンさんは、父がスリランカで政治運動に参加していたが、その父と一緒に体制派グループに襲われ骨折をしたことがある。それを機に命の危険を覚え、日本語学校で学ぶという名目で来日した。ところが来日直後にその日本語学校が倒産。
 ナビンさんは、入管に「在留資格はどうなるのか。どうすれば」と相談したが、入管は「学校の倒産は入管の管轄外」として相談に乗らなかった。結局、ナビンさんは留学生ビザが切れるが、危険な本国に帰るわけにもいかず、そのままオーバーステイになる。その後、なおみさんとの長い付き合いの末に2016年に入籍するも、収容と仮放免を繰り返し、今に至る。

ナビンさんは数カ月に一度、仮放免を更新しているが、ざっと数えて25回を超えていた。

 最大の問題は、どの仮放免者もそうだが「働けないこと」。この人間の尊厳を奪われた状態に明日のことが全く見えないことから、ナビンさんはうつ病に陥る
 なおみさんは、ナビンさんと結婚する前に二人の子どもを育てていたが、今回の裁判には19歳の次男とお母さまも傍聴をしていた。今、この4人で暮らしているが、次男曰く「僕を本当の息子のようにかわいがってくれる、すっごくいい人」。お母さまも「とても優しくて穏やかな人」。
 だが、そのナビンさんは、働けない、移動もできないという仮放免生活に疲れ切り、自殺未遂を繰り返す深刻な精神状態に追い込まれている。ある時には「裸足のまま自転車に乗って車道の真ん中を走っていた」(次男)こともあるという。
 家族の願いはただ一つ。ナビンさんに在留資格が付与されることだ。このことはある週刊誌に書くので、あまり詳しく書けないが、婚姻関係の認定に加え、ナビンさんが「家族」を築いていることも在留資格を付与される条件としては十分すぎると思うのだ。

←昨年6月、月刊望星に、4組の仮放免の夫と日本人配偶者についてのレポートを掲載した。よろしければご購入下さい。

100円カンパはいつでも歓迎でございます。こちらからお手続きください。

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2023/02/22 19:37 未分類 TB(0) コメント(0)
 


 先日、Facebookに書いた東京都世田谷区成城1丁目での擁壁崩落事故の続報。

 「東京外郭環状道路」(以下、外環)の掘削のため、2020年10月18日に調布市で陥没事故を引き起こしたシールドマシン
それが掘削初期(2018年頃)に掘進をしていたのは世田谷区大倉5丁目、そして喜多見6丁目だったが、先日の2月13日に、喜多見6丁目に隣接する成城1丁目で崖の斜面を固定していた擁壁が崩れた。

成城1丁目崩落地点 陥没前google崩落前の現場の画像。google mapより。

230215成城1丁目崩落現場2崩落後。2023年2月15日撮影1

掘削から5年も経っているので、今回の崩落にその影響を語るのは難しいかなと当初思っていたが、じつは、今年1月下旬に外環では地下本線から地上部に出るためのトンネル(ランプと呼ばれる)の工事がシールドマシンで始まったばかりだった。今回の崩落現場から直線距離にして100mちょっとだ。

成城1丁目崩落現場とHランプ立坑←google mapに崩落現場とHランプの立坑(発信場所)を書いてみた。

230215成城1丁目と外環ヤード 看板

東京外環プロジェクト パンフ・地中拡幅部

 ただし、崩落現場を見る限り、おそらくは擁壁の経年劣化、メンテナンスの不備はあったと推測される。そして、現場は「国分寺崖線」と呼ばれる通り、その地形はズバリ「崖」である。崖近くには小さい池もあり、常に水が染み出していることがわかる。この地下水が擁壁と土との間で強い圧力となり、1月下旬にシールドマシンが発進したことでの微振動が最後の仕上げとして擁壁を倒した…との推測もできる。
 もっとも本当のところは、詳細な調査なしではわからないので、ここで断言しません。ただ、その偶然と呼んでいいのかのタイミングから推測してみた次第です。

 それにしても、あのデカイ擁壁がそのまま崩れ、現場に置いてあったユンボがそれに埋まっていたのも怖いが、崩落現場の崖の上にはギリギリでマンションが建っている。このマンション大丈夫なんだろうか。

230215成城1丁目崩落現場1←崩落後。2023年2月15日撮影2

230215成城1丁目崩落現場 重機埋まる←重機が埋まってしまったので、土砂やらコンクリートやらを取り除いていた。

取材費カンパのお願い
また手軽にできる100円(それ以上でも)カンパはこのサイトからお願いいたします。

住宅の真下にトンネルはいらない
←2018年に外環工事での大深度のシールドマシン工事の危険性を訴えた著書。だが皮肉にも、2020年10月18日の調布市での陥没事故は、著者の自宅からわずか30mの現場で、著者の自宅には今ヒビが入っている。

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2023/02/16 17:16 未分類 TB(0) コメント(0)


●住民が招待されない起工式
 12月22日。長野県飯田市でリニア長野県駅の起工式が開催された。

221222リニア長野県駅起工式 スタンディング1←起工式、そしてリニア計画に反対する住民。背後には起工式用に設置された白いテントがいくつも見える。

 この駅計画のために数十軒の家々や商業施設が立ち退いた後の更地に式典用のテントがいくつも並んだ。
 ただし、私のようなフリージャーナリストは中に入って取材できない。
 それどころか、地元住民ですら招待されていない。招待されたのは自治会長などの役職に就く住民くらいで、特に、立ち退きに反対する熊谷清人さんには声もかかっていない。
 式典会場入り口近くでは大鹿村や松川町、豊丘村から来た住民たちが抗議運動を展開していた。
221222リニア長野県駅起工式 スタンディング2 221222リニア長野県駅起工式 スタンディング5 221222リニア長野県駅起工式 スタンディング4 221222リニア長野県駅起工式 スタンディング3

 式典会場の入り口にカメラを向けていたら、中からJR東海の社員が出てきて、なぜか私たちメディアを撮影していた。

221222リニア長野県駅起工式 職員の盗撮(?)←この職員、けっこうしつこかった。

 リニア駅のために多くの人が立ち退いた。
221222リニア長野県駅起工式 更地←リニア駅のために立ち退いた家屋の基礎だけが残る。
 これは今後の私のテーマだが、リニア駅ができることで神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市では駅周辺開発をもくろむことで、さらに多くの人を立ち退かせようとしている。
 今回の式典会場は国道153号線沿いにあるが、この片道1車線の153号線は、周辺開発のため今後2車線に拡幅予定だ。つまり、国道沿いの家屋や商業施設がごっそり移転することになる。
 すでにコンビニは立ち退いた。
 式典会場の真正面に位置するガソリンスタンドでは経営者とおぼしき人がスマホで、式典会場前での市民団体の抗議活動を撮影していた。
 話を聞くと、やはり起工式には招待されていない。

221222リニア長野県駅起工式 会場前のGS←手前のGSに加え、奥にももう1軒GSがある。この二つとも立ち退く。

 そして、県道拡幅は県の事業になるが、県から提示されるのはわずかな補償金だけで、それをもらったとしても、従業員5人の組織を維持できるだけの、地の利のいい場所、そして同程度の大きさをもつ土地と施設を確保できないという。経営者が一番怒っていたのは「県が真摯に私たちの今後を話し合ってくれない」ということだった。
 このガソリンスタンドのはす向かいにはもう1軒のガソリンスタンドもある。
 つまり地域の人たちは2軒のガソリンスタンドを一気に失うことになる。そして2軒のGSも下手すれば廃業する。
 そこで困るのは一般ドライバーだけではなく、冬の暖房に必要な灯油を購入できなくなる高齢者だ。

●同時に始まっていた懇談会
 起工式が始まった13時。式典会場、つまりリニア長野県駅予定地のすぐ近くに住む熊谷清人さん宅では、市民団体「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」や大鹿村から来た住民などが集まり懇談会をもっていた。

221222リニア長野県駅起工式 熊谷宅での懇談会

221222 リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会 チラシ←起工式に合わせて「沿線住民の会」が作成したチラシ

 話し合いは2時間以上に及んだので、ここでそのすべてを書けないが、要点だけを整理すると――。
 ★熊谷さん宅の周辺の家々は用地買収に応じ、次々と引っ越している。ところが、普通に近所付き合いをしていた人たちなのに、誰一人として「お世話になりました」の一言もなく引っ越していく。いわんや、補償金がいくらだったかの話は誰一人もしようとしない。
 用地買収を担うのは飯田市の仕事だが、その方針は「戸別訪問」。言い換えれば「個別撃破」だ。これをやられると、自分はいくらの補償金をもらってお隣はいくらとの井戸端会議はできるものではなく、地域から井戸端会議そのものが消えていく。
 ★だが、なかには、高齢でひとりでは用地買収の交渉ができないことで、「「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」の代表世話人である大坪勇さんに後見人になってもらう人が数人いた。大坪さんによると、補償金は5000万円もあれば1億円もらう人もいるようだ。
 ★熊谷さん自身は、家屋だけで5000万円との提示を受けている。だが、所有する約5反の田畑については補償額の提示はない。熊谷さんが立ち退き拒否していることで、今年は飯田市役所は用地買収の交渉に来ていないとのこと。
 ★大坪さんによると、最大の問題は地域がバラバラになったこと。
 補償金をもらう。加えて、飯田市は移住の候補地をいくつか提示するそうだが、そのなかから自分の住めそうなマンションなどに引っ越しても、特にひとり暮らしの高齢者は「売らなきゃよかった」「話し相手が誰もいない。寂しい」と、ときに大坪さんが話し相手に尋ねに行くこともある。
 ★リニア駅、周辺整備事業などで約190世帯が立ち退き対象になっているが、そのうちの100世帯は移転先が決まった。残る90世帯も交渉中で、熊谷さんのように立ち退き拒否している人は本当に少なくなった。
 ★リニア駅予定地の「座光寺地区」ではリニアが地上走行するが「防音フード」が設置されない予定だ。住民がそれを要請してもJR東海はかたくなに拒んでいる。これは、まさしく私が9月に山梨県のリニア実験線で見てきたことだ。

●取材をしなければ!
 ところで、私は熊谷さんを取材したのはこれで4回目くらいだが、頻度から言えば少ない。
 初取材は2019年5月。その時の投稿記事はこちら
  このころは、熊谷さんと一緒に最後まで立ち退きを拒否するとの意思を持っていた家族が数世帯いたのだが、今はほぼ熊谷さんだけになってしまった。そこに至る経緯を知るにはもっと頻繁に通うべきだった。
 ただし、リニア報道でもっとも奮闘している信濃毎日新聞の報道は私が出る幕がないほどに綿密な取材を重ねているので、じつは私が無理して取材する必要もないと言えばない。とはいえ、違う切り口での取材はいくらでも可能なので、2023年はそれをやりたい。
 ちなみに、私は現在、3冊目のリニア単行本の出版に向けて85%くらい下書きを終えたが、早くも4冊目の構想を考えている。
 それは、飯田市だけではなく、今後、各都県で立ち退きの問題に直面する人たちのこと、そして、リニア開通に合わせるようにして、各自治体では駅周辺開発を行うが、リニアが来るだけで地域が本当に活性化するのかの検証を、過去の新幹線で駅を設置した自治体の盛衰を参考に、調べてみたい。
 そもそも、2027年に絶対にリニア開通はないのに、未だにそれを信じている自治体ってどこまで劣化しているのかと思う。
 各地でのリニアがらみの駅周辺開発は、へたすりゃ捕らぬ狸の皮算用になる。
 とはいえ、じつは遠方地へのリニア取材はちょっとお休みすることに。まず、今書いている単行本用の原稿を仕上げることを優先したいこと。また、今回の取材をもってリニアの取材資金が尽きた…。だからこそ執筆に専念するにはいい機会だ…。
 ということで、いつものお願いですが、ご支援をいただける方はよろしくお願いいたします。
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リニア中央新幹線をめぐって
←著者、山本義隆氏。リニア計画についてこれまで出版された本や論文などを吟味したうえで、そのエッセンスを一冊にまとめた。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


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2022/12/24 01:52 未分類 TB(0) コメント(0)





●8月27日。東京都品川区で世田谷区民、品川区民、大田区民を対象にした、JR東海の「シールド掘進工事説明会」(調査掘進等)が開催。
 
 開催前、7月19日にリニア工事差し止めを求める提訴をした「リニアから住環境を守る田園調布住民の会」のメンバーが、スタンディング行動を展開した。

リニア 210827 きゅりあん前抗議行動1
 
リニア 210827 きゅりあん前抗議行動2

リニア 210827 きゅりあん前抗議行動3

リニア 210827 きゅりあん前抗議行動4

リニア 210827 きゅりあん前抗議行動5

リニア 210827 きゅりあん前抗議行動6

リニア 210827 きゅりあん前抗議行動8

リニア 210827 きゅりあん前抗議行動9

 録音データを入手しテープ起こししたが、主な点だけ書き記す。

1 突然の「調査掘進」の説明
 表題に(調査掘進等)とあるが、同会場では6月8日にも説明会があったが、そのときはこんな言葉はなかった。
 調査掘進とは、とりあえず300mだけ試験的に掘進をして、どんな影響が地盤や地表に出るかを確認する作業
 説明会に参加していた、JR東海の工事差止を求める裁判を起こした原告団の団長である三木さんが質問に立った。

――6月8日の説明会で、調査掘進という言葉は出なかった。そのときは、家屋調査をしてから、掘進するとの説明だった。
 調査掘進はいつ決まった? なぜ6月8日に説明しなかった? その実態はJRの敷地を出て、目黒川の下も住宅の下を通る。本格な掘進ではないですか。誰が決めた? 住民は一切聞かされていない。また、6月8日の説明会を住民は理解していないのに、メディアには「住民は理解した」と言った。ここに参加した我々は調査掘進にも理解を示したことになるんでしょうか?
JR東海「家屋調査をしなければ調査掘進しないとは言っていない」
――調査掘進は今日初めて出た言葉。その説明はおかしい。
「我々が申し上げている安全の対策は、しっかりと安全にできるんだと確認したうえで次の段階に行くべきだと考え、6月8日以降に、しっかりできることを確認しようと決め、その確認する作業を調査掘進とした」
――調査掘進を300mやって、その後どうするんでしょうか? (陥没事故を起こした)ネクスコもJR東海もシールドマシン(SM)は24時間動かさねばと言っている。どうするんですか? ずっと止めておく? おそらく、止めたままでは危ないので「掘らせてください」との既成事実を作るためでは?
「止めるにあたっては、適切な処理が必要。外環でもトラブルあって止まっているが。適切に処理して止まった。ずっと止められる処理をすれば止められる。調査掘進は、しっかりと安全対策が有効かを確かめる。地表に影響がないか、振動がどうだこうだを調べる。その結果を皆様方に報告する。説明会を開催する。これからこう掘りますとのステップで掘る」

(著者注:この300mについてgoogle mapで調べると、民家はなかった。あるのは製薬会社の研究施設。そこで気になるのは、調布市で住民が訴えた振動や騒音は、外では感じないが、家屋の躯体を媒介して音や揺れがひどいというもの。だが今回は、そういう直感的な訴えが、民家がない以上、起こりようもない。となると、JR東海の測定データだけで判断するということ? 問題は家屋で振動があるか騒音があるかの確認だ。調査掘進は家屋がないところでやる。これにどれだけ意味があるのだろう?  測定データで「安全です」となれば、そのまま本掘進に突き進む可能性が高いのでは)

2 「特殊な地盤」とは何だ?
 JR東海は、今月、東京都でも、神奈川県川崎市でも、愛知県春日井市でも全く同じ説明をしている。その一つが
★「東京都調布市でのNEXCOの外環道での陥没事故は、『特殊な地盤』で『施工に課題があった』のが原因。しかしリニア工区では『特殊な地盤』はない」
 これについて、8月27日の説明会で住民の一人がこう質問した。

――資料には「特殊な地盤はないと考えています」と書いている。こういう書き方が人をだましている。そこで質問だが、これが意味するのは、「外環と同じ特殊な地盤」がリニア工区にないということか、それとも(リニア工区にそれとは別条件の)「特殊な地盤」がないということなのか?
JR東海「外環道と同じ特殊な地盤はない、ということです」
 これは極めて当たり前の回答だ。地層は10m離れれば変わることもあるからだ。おそらくリニア工区にはリニア工区独自の「特殊な地盤」がある。そして、それぞれの違う「特殊な地盤」を見出すために必要なのがボーリング調査だ。
 だがJR東海は、100~200mおきの実施が目安のルート直上でのボーリング調査を東京都では(非常口近辺を除き)1Kmに1本程度しかやっていない。だが「すべての地盤を把握した」と明言している。

3 昼夜とは何だ?
 また説明資料には、掘削は「昼夜」行うと書いている。この昼夜とは何だ? これも住民が質問した。

リニア 北品川工区 昼夜24時間←「掘進作業は月曜から土曜の昼夜間に行い」と書いているが、具体的な時間帯は判らない。

――掘進は昼夜間とあるが、時間帯はもう決められている?
「24時間の施行を考えている。日曜日はメンテのためにSMを止める」
 この回答に対し、別の住民が
――「昼夜」の意味を説明しようとせず、質問に答える形でようやく「24時間」と言った。
 と批判すると、JR社員は
「24時間。だから昼夜としっかりと書いています」。(なんだ、この回答は?)
――月曜から土曜まで24時間掘削では、低周波、振動が24時間出るとおっしゃったということだ。そういうことがあっても住民生活に犠牲あっても動かし続けると言っているのかはっきりしてください。
「振動があっても昼夜やるのかだが、外環で振動あったので、今回は調査掘進で確認する。もしあれば、どういうことやるのか調べて皆様に知らせる」
 24時間掘削…。もし本当に振動や騒音が発生したら、JR東海は工事を止めるのだろうか。
 調布市では、あの陥没事故以前の1カ月以上もの間、どれだけ住民が騒音や振動に苦しんだのか、そして今もなお不眠症となり苦しんでいるのか、JR東海は知らないのだろうか。
 
4 リニア工区では地盤は2種類しかない?
 本説明会で、JR東海は「本工区では、地盤は『固結シルト』と『砂』の2種類しかない。調布の陥没現場のような上から下まで砂の地層ではない」と説明した。果たしてそんな単純な地層が何キロも続くのだろうか?
 それが本当かどうかはJR東海がHPで公開しているボーリングの柱状図を見ればわかる。
 例えば、田園調布に近いボーリング番号「JR21」。いろいろな地盤で構成されていることが判る。

リニア ボーリング番号 JR21の柱状図

5 崖の上でも安心?
 参加者の一人は、崖の上にある自宅のすぐ横をリニアが通る。
――トンネル(工事や走行)の影響でがけ崩れが心配です。
「SM工事は施工管理が適切なら地表に影響ないと考えている。安全に工事を進めるための工夫もきちんとする。そのために調査掘進もする。崖とかでも問題ない」
 JR東海はこれまで、工事は安全と言ってきた。だが、長野県大鹿村での車両用トンネル工事では崩落事故を起こし、岐阜県中津川市の斜坑建設ではトンネルの崩落と地上部の陥没事故を起こしている。その事実だけは消えない。

6 逆切れ
 参加者の質問に逆切れするJR社員がいた。
参加者が「工事をすれば事故は起きる」と発言したことに、ヨシオカという写真が「違います! 例えば、治水トンネル(下水道や地下の雨水貯留池など)がどれだけ世の中に役立っているか。これらのシールド工事をやらなかったら、東京は洪水とかになっているんですよ」
(会場から「リニアと治水トンネルは直径が違う!」)
「将来にわたり、皆様の役に立つような工事をしっかりと安全にやります!」
(会場から:怒声)
 そもそも、なぜここでリニアと関係のない治水トンネルを引き合いに出して、だからリニア工事も安全だと言えるのか。説明責任者としての姿勢が子どもじみている。批判があっても、もっとおおらかに受け止める姿勢が必要なのではないのか。
(ただし、川崎市での説明会とは違い、時間を30分延長して、質問の手を挙げている人すべてに質問させたのはマシだった。それが当然なんだけど)

 さて、本当ならば、春日井市での説明会の録音データもほしいところだが、まだ入手できていない。
 ともあれ、JR東海は、掘削前には改めて説明会を開催すると明言しているが、やはりマスコミ公開にしてほしく思う。
 
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2021/08/29 03:38 未分類 TB(0) コメント(0)
昔のポジフィルム(といっても若い人には判らないかも)をデータ化しようと整理していたら、こんな写真が。

1999年 山梨県リニア実験線予定地の看板

 1999年。私がリニア取材を始めたとき、リニア山梨実験線の現地、のちの実験線の延伸区間には、こんな看板があった。なんだか、原発の被災地にあったあの看板に似ているような…。
 でも、その実験線では、走行実験の工事開始以来、水枯れ、騒音、日照阻害、残土で谷を埋めることが起こったのは周知の事実。
 看板の奥にあるのは、いずれ買収されてしまう桃畑だろうか。当時は、土地を売った人たちは「国家プロジェクト」だから売ったと語っていたが、山梨県やJR東海に話を聞くと、「いえ、そうは言っていない。国家『的』プロジェクトと説明して買収に当たりました」と説明。どちらにしても「民間プロジェクト」とは言っていなかったようだ。「騙された」と怒る住民も当時はいたものです。

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2021/05/22 16:34 未分類 TB(0) コメント(0)
取材のカンパをお願いいたします
1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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私が原発を止めた理由
3.11以後の原発裁判において、初めて運転差し止めを命じた判決を出した裁判長が、退官後の今、なぜあの判決を出したのか、なぜほかの裁判では住民は敗訴するのかを説明している。
超電導リニアの不都合な真実
リニア中央新幹線の問題点を『技術的』な側面から、極めて客観的に情報を分析しその発信に努め、リニアの実現性には課題ありと論じている。難しい専門用語を極力排し、読み易さにもこだわった良書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。