取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

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●ストップ・リニア!訴訟 第6回口頭弁論
 9月8日に第6回「ストップ・リニア!訴訟」口頭弁論が東京地裁103号法廷で行われました。

リニア裁判6街宣1←裁判前の街宣行動

 この日を境に、家族の体調悪化に付き合うことに忙殺され、数日間はまったく仕事ができず、ブログを書くことからも遠ざかっていました。わずかながら空いた時間を利用して、簡単に以下を書き留めます。

 この日、意見陳述に立ったのは、静岡県からの二人の住民(林克さんと服部務さん)と、静岡県の西ヶ谷知成弁護士。

リニア裁判6記者会見←口頭弁論の後の記者会見。左が林さん、右が服部さん。

 意見陳述は、市民団体「リニア・市民ネット」のブログ

 で公開されているので、そちらを参照してください。

●林克(かつし)さん
 静岡県労働組合評議会の議長。
 2014年5月。私は林さんたちが主催した、静岡県でのリニア残土が積まれる予定地や非常口建設予定地などを巡る南アルプスツアーに参加しました。
 自宅の横浜から静岡市への往復交通費に加え、このツアー料金が2万円+α(宿泊費込み)かかったので、初めは参加を躊躇しましたが、滅多にない機会なので思い切って参加しました。やはり行ってよかった。

 JR東海が今、静岡県で排出される360万立米という膨大な残土を積む予定の「燕(つばくろ)沢」などを視察し、豪華な山小屋「二軒小屋」(ホテルみたいだ)に泊まり、翌日は、そこから片道数時間をかけて西俣の非常口建設予定地まで歩きました。
 実感として分かったことは、南アルプスでの土砂崩れや落石は数年に一度の出来事ではなく、ほぼ毎週のようにどこかで土砂崩れが起こっていることでした。林道に設置されているガードレールはどこも落石でグシャグシャ。

南アルプスのガードレール←静岡県の南アルプスでは、こんなガードレールだらけ。いかに日常的に落石しているかだ。

 まさしく燕沢はその代表地。

燕 360万立米の残土が置かれる?←燕沢。広い。JR東海はここにリニアトンネル工事で排出される静岡県での残土すべてを積むことも選択肢の一つとして考えている。

燕沢 砂防ダムを超える落石←まったく同じ場所の反対側。砂防ダムがあっても、落石は毎週のようにある。

 でもあの広い河原があるからこそ、落石の逃げ場があるわけです。ところが、そこに、360万立米もの残土を高さ70メートル(20階建てビルに相当)長さ数百メートルにもわたり積み上げて、もし土砂崩れが襲えば大井川はどうなるのか?
 これは以前のブログでも書きましたが、現在、静岡市が主催している「中央新幹線建設事業影響評価協議会」(JR東海と有識者の委員たちが協議する場)の第4回(2016年6月8日)で、地盤工学が専門の安田進委員(東京電機大学副学長)はJR東海の職員にこう質問しました。
「土石流の場合、最初は大きな岩がドーンと落ちてくる。人工的な土の構造物ならば、壊れてはいけないとの発想でなければならない。これが崩れないという確証はあるのか?」
 JR東海はこう回答したのですーー「どんな災害にでも崩れないというのは非科学的です」。
 委員たちがこれに納得しなかったのは言うまでもありません。

 林さんの意見陳述は、まさにこの残土問題に焦点を当てたものでした。

●服部隆さん
 服部さんは、「リニアを考える登山者の会」主催の会合で何度も登壇しているので、予想はしていましたが、力強い意見陳述でした。
 何の対策も取らなければ、大井川の流量が毎秒最大2トン減少することはJR東海も認めています。
 その対策として打ち出しているのが、トンネルの工事現場での湧水を導水トンネルに流して、約11キロ下流に放流するというもの。しかし、これでも、毎秒0・7トンの減流が予測されていることから、大井川の水を利用する下流の10市町村の首長も、川勝知事も納得していません。
 だが、ここで考えるべき問題は、仮に導水トンネルで流量減少がゼロになったとしても、放水地点から上流部での水の枯渇は解決されないことです。
 つまり、その一帯に住む動植物への影響がないはずがない。

リニア裁判6報告集会服部さん裁判後の報告集会。南アルプスの多くの沢を知り尽くしている服部さんは自身が作成した地図を見せながら、リニアによる環境破壊を訴えた。

 登山家である服部さんはここを訴えました。
「私は物言えぬすべての命に代わって、リニア・トンネル工事がいかに南アルプス南部の自然を破壊するかということを訴えたいと思います。(中略)JR東海は、動植物保全措置として『重要種の移植』を打ち出します。私はJR東海に問いたい。いったい『重要種』と『重要でない命』とは何なのか? 南アルプスには、きれいなものも、わけのわからないものもいる。すべて含めて山は素晴らしい。無駄な命は一つもありません! 厳しい自然条件のなかで南アルプスに生きる命への経緯などみじんもなく、あまりに軽く、あまりに形式的に命を選別するJR東海に、私は心の震えが止まりません。生き物の生息場所には、みな理由があり、安易に移植などすべきではありません。(中略)JR東海は経済合理性の下で線を引いただけ。その生き基を考慮しないのが悲しい。私は、これからもそれを継続して訴えていきます。裁判官、是非一度、南アルプスに足を運んでください!」
 この陳述に傍聴席の数人が拍手。すぐさま、裁判長に注意されましたが。


●「大臣意見と事業認可とは直接の関係はありません」

 この意見陳述に前後しますが、私は、ある雑誌に掲載する記事のために、国交省鉄道局施設課環境対策室に電話を入れていました。
 
2014年4月、JR東海が公開した「環境影響評価書」について、6月、環境大臣が国交大臣に宛てて意見書を提出。翌7月には、国交大臣がJR東海に意見書を提出したのは周知のとおりですが、国交大臣意見には以下のことが描かれています。

「2.2 水環境(水質、地下水、水資源)
トンネル部の地下水位データは少なく、山梨リニア実験線区間での河川流量観測結果のみでは、地下水位や水環境に関する予測の不確実性は高い。また、特に山岳トンネル区間には、多数の断層が確認されており、断層や破砕帯等の透水性が高い部分から大量の湧水が生ずる可能性がある。地下水位の低下並びに河川流量の減少及びこれに伴い生ずる河川の生態系や水生生物への影響は、重大なものとなるおそれがあり、また、事後的な対応措置は困難である。
このことを踏まえ、以下の対策を講じること。
(1)精度の高い予測の実施及び水系への影響の回避
山岳トンネル部の湧水対策は、事前に精度の高い予測を行った上で対策を検討しておく必要があることから、特に巨摩山地から伊那山地までの区間においては、本線及び非常口のトンネル工事実施前に、三次元水収支解析を用いてより精度の高い予測を行い、その結果に基づき、地下水位及び河川流量への影響を最小化できるよう水系を回避又は適切な工法及び環境保全措置を講じること。(後略)」


 簡単に書けば、地下水への影響には「三次元水収支解析」が欠かせない。それを今までしてこなかったが、今後はそれを実施せよと指示した、ということです。

 では、
●この三次元水収支解析は実施されたのか?
  というのは、2014年8月に公開された「補正・評価書」を見ても、それが実施されたとのデータは見当たらない。
  もっとも、大臣意見のわずか1カ月後に、三次元水収支解析を行って、それを補正評価書に反映させるのは極めて難しいと思われるが。

●実施されなかったのか?

●もし実施されなかったとしたら、なぜ、国交省はリニア計画を事業認可したのか?

 以下、私と鉄道局とのやりとりです。

樫田「まず、国交大臣意見を受けて、JR東海は『三次元水収支解析』を行ったのでしょうか?」
鉄道局「たとえば評価書の山梨県版で見てみましょう。本編8-2-4-15には『水収支解析』を実施したとの旨が書かれています」

樫「でも、どこにも『三次元』とは書かれていません」
鉄「その3ページ後の8-2-4-18の『カ)水収支解析による予測条件の設定』に、『モデルは地表水及び地下水の流動の場である地形起伏と地下地質構造を三次元ブロックの集合体として表現し』と、そこで三次元という言葉を使っています。私たちは、これでJR東海が『三次元水収支解析』を行ったと思っています」

樫「思う?」
鉄「はい」

樫「しかし、その三次元水収支解析を実施したことを裏付けるデータが、私は見つけることができません。どこにあるのですか?」
鉄「資料編の8-1-1-1を見てください。ここにその3D図があります」

JR東海の水収支解析モデル


 って、これは、実際に調査した場所の3Dではなく、ただのモデル図だ。
 しかも、そのページの冒頭に、きちんと

「プログラムはTOWNBYを用いた(「トンネル掘削に伴う湧水とそれに伴う水収支変化に関する水文地質学的研究」鉄道技術研究報告。P4~21、1983年3月)」

 と書いている。1983年のモデルって三次元水収支解析ではないです…。

樫「となると、なぜ大臣意見に従わないJR東海のリニア計画を同じ国交省が事業認可したのかが分からなくなります」

 これに対して、職員はこう回答したのです。

事業認可にあたり、大臣意見を守らなければならないとの定めはないのです。事業認可に必要なのは全幹法に適合しているかどうかです」

「え、では、何のための大臣意見なのでしょうか?」

「もちろん、我々としても、大臣意見は守ってほしいとは思います。もし守られないとなると、少なくとも『問題である』との見解は示してはいきますが」

 国交大臣意見を軽視する国土交通省。
 一連の環境アセス手続きのなかで、大臣意見は、あくまでも、手続きの一つとして淡々と作成しただけで、初めからそれを遵守するつもりはなかったということでしょう。

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●騒音問題を解決した女子高生。

 昨今、子どもの声を巡っての近隣からの苦情で、保育施設の開園が中止や延期になる事例が相次いでいます。極端な事例では、騒音を巡っての殺人事件も年に数件発生。昨年、殺人まで行かずとも、保育園に包丁をもって「うるせえんだよ!」と乗り込む男性もいた。
 ほかにも、犬、ピアノ、ラジオ体操、花火、除夜の鐘を巡って、「うるさい!」と住民トラブルが絶えません。

 総務省・公害等調整委員会のデータによると、典型7公害(大気汚染、悪臭、水質汚染、振動、土壌汚染、地盤沈下、騒音)への苦情は2015年度で5万677件。このうち第一位が騒音の1万5674件となっています。

 原因は大雑把には二つ。まず、地域の人間関係が希薄になったことで、昔は当たり前だった生活音が、心理的な騒音となり、怒り→敵意→攻撃性へと発展すること。もう一つは、トラブルが起きた時点での問題解決にあたる仲介システムがないこと、となります。
 自治体は「ご近所同士仲良く付き合いましょう」といったリーフレットをわたすくらいで、警察は警告するだけ。苦情の9割は解決されないのです。

 ところが、これを解決するための制度を17歳の女子高生が作ってしまった。

●うるさいと思っている住民との意見交換会

 長野県松本深志(ふかし)高校では、10年ほど前から、近隣住民から、吹奏楽部、応援団、球技の球の音が「うるさい!」との苦情が入り、夏でも体育館の窓を締め、太鼓にタオルを巻き、吹奏楽部は屋外練習を自粛していました。
だが、昨年、2年生だった柳原真由さん(現在3年生)が、「私たちの音がどう思われているのか」との疑問から、まずは生徒とご近所との「意見交換会」を発案。音を出すクラブの代表らと学校に近い140軒の一軒一軒を訪ねて、学校での意見交換会を実現します。
 ここで得た収穫は、生徒側は「住民全員がクレーマーではない。少数の人だけだった」と認識できたこと。住民側は「生徒さんがここまで我慢をしていたなんて」との驚きと理解でありました。
 次いで住民から、意見交換会は決議機関ではないので、何かしらの議決ができる、学校・地域・生徒による常設の3者協議会の結成が提案されたのです。
 柳原さんはその実現にも奔走します。生徒側の組織は学校の常設機関となるため、生徒総会に協議会に入るよう打診したが、生徒会は「別組織を作るべき」と提案。結局、柳原さんは新組織を立ち上げ、生徒会で規約などを練り、生徒総会に諮って、その設立の承諾にこぎつけた。
 こう書いてしまえば簡単だけど、実際は心身ともに大変だったようです。
 
●苦情が減った
 こうして今年5月、3者協議会である「鼎談(ていだん)深志」が結成され、さっそく決まったのは、今まで締め切っていた体育館の住宅地側の窓を試験的に3カ月間開放することでした。
 今、生徒たちは深志高校新聞を地域に配布したり、学校で球技大会があるときは事前に地域を回ってその周知に努めている。すると苦情はほとんどなくなったのだ。
 騒音問題解決のヒントがここにある。すなわち、人間同士が付き合うこと、トラブルに備える組織を設置しておくこと。
じつは、この問題に関わってから、放送部員でもあった柳原さんは、コトの顛末を記録に残そうと、自分自身を軸にしたドキュメンタリー映像の撮影も同時進行で進めていました。
 するとこの映像「鼎談深志」は今年のNHK全国高校生放送コンテストのテレビドキュメンタリー部門で優勝したのです! 是非、ご高覧を。
 そして宣伝ですが、日本の騒音を巡る異常な現状、その分析、そして、深志高校の未来を見据えた取り組みについて書いた記事を、来週発売の週刊SPAに載せる予定。こちらもご購読をお願いします。



←現在、騒音問題総合研究所の代表を務める橋本典久氏の著書。騒音殺人の発生メカニズムや、時代背景の変化、騒音トラブルでの仲介を担う組織の立ち上げなどを提唱している。

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2017/09/06 21:22 未分類 TB(0) コメント(0)


●急にクローズアップされた長野県南木曽町の水源

 今年になってから、長野県南木曽町の「妻籠水道水源保全地区」の保全が急にクローズアップされています。
 同地区は、1999年、妻籠地区で隣接する2つの湧水水源を保全するため、周囲の山林約85ヘクタールが「保全地区」として指定された大切な水源です。その湧水は、妻籠地区、そして三留野(みどの)地区の一部の359世帯878人に供給されています。

 なぜ、ここが今年になってから急にクローズアップされたのか。その経緯は町のHPで以下のように説明されています。コピペします。

4月 6日・・・・・JR東海から長野県知事に対して、「水道水源保全地区内行為事前協議書」を提出
4月25日・・・・・環境審議会諮問(長野県庁にて開催)
5月31日・・・・・第1回専門委員会(長野県庁にて開催)
7月 5日・・・・・第2回専門委員会(南木曽町役場にて開催)
8月29日・・・・・第3回専門委員会(長野県庁にて開催)

 この4月6日の「水道水源保全地区内行為事前協議書」の「行為」とは、もちろん、妻籠の地下を通過するリニア・トンネル工事のことです。
 この背景には「長野県水環境保全条例」の存在があります。

●条例の存在 

 長野県には、水道水源を保全するための「長野県水環境保全条例」が1992年に制定されています。この条例に基づけば、「業者は県との事前協議が必要」と定められています。
 JR東海の4月6日の動きはこれによるものです(なぜ、これを環境アセスメントの時点でしなかったのか)。
 そして、「事前協議書」の提出を受けた知事は、市町村の首長と環境審議会に意見を求め、計画に「同意するか、しないか」の判断を求めることにしています。
 制定以来、条例が適用されるのは、今回の妻籠でのリニア工事が初めてとのこと。
 今後の予定としては、

9月・・・・・・・環境審議会中間報告
10月・・・・・・・第4回専門委員会
11月・・・・・・・環境審議会答申     となっています。

●「代替水源でよろしいのでは?」
 
 妻籠ではもちろん住民は水枯れを望んでいないわけです。7月27日、読売新聞は以下のように伝えています(概要)。この記事が概況を知るにはいいかと思いますが、読み飛ばしてもけっこうです。

――引用ここからーー

★リニア掘削工事「水がめに穴」…住民に危機感
「水がめに穴を開けるようなもの」と危機感を募らせる住民に対し、「影響は小さい」と強調するJR。非常時には、町の人口の3分の1の生活を支える貴重な水源をどう守るのか。揺れる町の現状を探った。
「地域の貴重な資源に対し、破壊的な行為になり得る。今からでも計画を中止するか、ルートを変更する必要がある」
 町役場で7月5日に開かれた県の環境審議会の専門委員会で、住民が意見を述べた。

 非常時には高低差を利用し、562世帯1325人にまで給水範囲を拡大できる。2014年に三留野地区の梨子沢なしざわの取水施設が土石流災害で被災した後は度々、非常時給水が行われるなど「大きな役割を果たした」(町建設環境課)。町は通常時で1日当たり最大477トン、非常時で718トンの水量が必要と試算する。
 リニア本線は、保全地区の中央付近の地下深くを東西900メートルにわたって横断する。保全地区にかかる二つの工区のうち、中央アルプストンネル山口工区(約4・7キロ)は、早ければ今秋にも岐阜県側から掘削が始まり、保全地区は20年1月の掘削開始を見込む。
 水源までは直線距離で390~440メートルだが、JRは「トンネル内に湧出する地下水があっても周辺の限られた範囲にとどまり、浅層の地下水への影響は小さい」とする。
 一方、周辺は断層が集中することがわかっており、「(トンネル工事では)状況により集中的な湧水が発生し、一部の地下水の水位に影響する可能性がある」ともしている。
県環境審議会専門委の富樫均委員(県環境保全研究所専門研究員)は「影響がないとするならもっと詳細な根拠が必要。固い岩盤の亀裂などを通じて湧き出る水があるかもしれないことを考慮すべきだ」と指摘する。
山梨県のリニア実験線周辺では実際に水枯れが発生した。町はそうした事態に備え、代替水源を確保する具体的な方法をJR側に提示するよう求める方針だ。向井裕明町長は「妻籠の水を現状のまま保全してもらうのが第一だが、町を代表する立場として、万が一の時の対応も譲れない」と強調する。

――引用ここまでーー

 環境審議会の専門委員は5名。
 『法律』『土木工事』『地質』『地下水』『水道』の専門知識を有した方々です。
 審議会の立場は、あくまでも今回のトンネル工事に技術的見地から「同意するかしないか」を出す立場です。
 これまでは、町にもJR東海にも「データが足りないので、トンネル工事で水源が枯れるかの判断ができない」として追加資料の提出を求めていて、今回、8月29日に長野県庁で「第3回専門委員会」が開催されました。l私はこれを傍聴しました。

長野県第3回環境審議会環境審議会。テーブルを囲んでいるのが審議委員。一番向こうにいるのHが真柄委員長。
 
 大雑把な話の流れとして、委員からは、町には「二つの水道は水源を同じくするのか?」、JR東海には「資料の地図上で破砕帯と割れ目集中帯とに分ける基準は?」など、もう少し情報の精度を上げることを要求していました。
 しかし、審議の最後で、真柄泰基(まがらやすもと)委員長(水道専門)からこんな言葉が。
「もし二つの水源が両方枯れても、他の水源で補完できるのかも検討されてはいかがでしょうか」と、町に対しての代替手段を呼びかけたのです。
 西垣誠委員(地下水専門)も「私も委員長と同意見。ここがダメならここがあるよの目安を作ってみてはいかがでしょう」
 知事への答申が出るのは年末ですが、この意見で早くもその結果が見えたような気がします。
 素人が考えても、地下水脈のなかを直線走行すれば地下水脈が断ち切られることは往々にあることなので、委員たちは、それに備えた準備をと提言したと言えます。

●「まずは水源を守りたいです」

 閉会後、関係者がバタバタと帰り支度をするなか、私は向井裕明町長に挨拶し、以下のことを聞きました。

向井裕明町長←向井町長

「JR東海は地下水源への『影響は少ない』と言っていますが、そうは言ったって不確実性はあるわけです。審議会の答申を知事が受けるわけですが、それでも、JR東海は町の了承を得てから着工することになっているので、トンネル工事をさせるかどうかの最終判断は町長である私の判断になります。国が事業認可した以上、町はリニア計画に反対する立場にはありません。それでも町民の貴重な水源を守る義務がある。初めから代替水源ありきで考えるのではなく、町にもリニア対策協議会があるので、そこでも徹底してこの問題を話し合います」

 やはりいつかは南木曽町に行って取材をしなければ。
 今回の一件は、長野県水環境保全条例の初適用であるだけに、県の本気度も試されるところです。でも、県の対応はもう結果が見えているかな…。

★じつは、この工事ではもう一つ重大な問題があります。それは、南木曽町の隣、岐阜県中津川市の「山口」工区から南木曽に向かってトンネルが掘られるのですが、これがなぜか県境を越えて南木曽まで掘ることになっている。
 これは今回の審議会では話し合われませんでしたが、町にすれば、一つの工事区域で、2つの工区と2つの工事事務所をもつというヘンテコな話になっている。これも、後日、書きます。

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●テリー・フォックスを知っていますか?

 日本テレビの「24時間愛は地球を救う」が昨日から今日にかけて行われた。人によりこの番組への好き嫌いはありますが、私はダメです。障がい者や苦難を背負う人たちのチャレンジを放映すること自体はとてもいい。でも、それをこの日だけに寄せ集める感動の押し付けに強烈な違和感を覚え、ほとんど見ません。特に芸能人が走る100キロマラソンとか24時間マラソンとかはダメ。自己陶酔だもんなあ。
 と、こんな話は、そのへんの居酒屋でおじさんたちがしているし、あくまでも私の好き嫌いの問題なので、これ以上は書きません。さて、

 もしカナダ人に知り合いがいたら尋ねてみてください。「テリー・フォックスを知っていますか?」と。おそらく、ほぼ全員が知っているはずです。

 テリー・フォックスのことは本ブログでも4年ほど前に書きましたが、今一度。



1958年7月28日生まれのカナダ人。大学のバスケットボール部で活躍していた1977年、右膝に骨肉腫を発症し、右足を切断。
以後、がん研究資金を募るために、1980年4月12日、義足をつけて、ニューファウンドランド州のセント・ジョンズから「希望のマラソン」(Marathon of Hope)を開始します。
毎日、フルマラソンと同じ42kmを走り続け、バンクーバー島をゴールとするカナダ横断(約8000キロ)を目指した。目標は完走と100万カナダドルの募金。しかし143日目の9月1日、5,373kmを走ったところで、癌が肺に転移しマラソンを中断。1981年6月28日、この世を去った。享年22。

テリー・フォックス硬貨←2005年、カナダ横断に挑戦した25周年の年、カナダ政府は記念1ドル硬貨を発行し、その走る姿が刻まれた。

 私が評価するのは、テリーの行為ももちろんですが、テリーの意志をカナダ人が受け継いだことです。
 今、毎年、カナダ各地で『テリー・フォックス・ラン Terry Fox Run』というイベントが開催され、今年は9月17日に750カ所以上で行われるようです。

このランは、競争ではない。自分のペースで、自分の走りたい距離だけ走ればいい。歩いてもいい。ローラーブレードでもいい。参加するには費用が必要だが、その費用はもちろん、ガンの研究費やガン患者を救うために使われる。
 それを運用するテリー・フォックス財団のHP( http://www.terryfox.org/ )を見たら、このランは今世界各地でも行われていて、開催地は、アメリカ、マレーシア、ベトナム、香港、韓国、ヨーロッパ各国、カタール等々40カ国以上。
次の動画はドバイでのTerry Fox Run のものです。



 すでに、募金額はテリーが目指していた数百倍にも達し、がん研究と治療に役立たれているのですが、今回、このブログを書くにあたり知ったのは、、

 10月8日に札幌でも開催されるということです(昨年も実行している)。

 申し込みたい人は http://terryfoxrunsapporo2017.peatix.com/ まで。


●24時間テレビとの違い


 Terry Fox Run が24時間テレビと決定的に違うのは、
★参加する人全員が主人公であること。
★大会の運営を担うのはボランティアであること。
 すべて市民の自発的な意思で成立し、継続されている。テリー・フォックス・ランに人を泣かせる仕掛けはありません。淡々と一つの方向に向かって市民が歩き続けている。ここに価値があると思います。

 ちなみに、テリー・フォックスについては、書籍では「ぼくは希望に向かって走る」(集英社文庫)、映画なら「テリー・フォックス物語 The Terry Fox Story 」。私が映画を見たのはもう30年以上も前だが、しみじみと感動させてくれるいい映画だったのを今も覚えている。是非ご高覧を。
youtubeではThe Terry Fox Story が公開されていますが、英語のみです。



日本語字幕版はVHSがamazonなどで入手できます。

  

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2017/08/27 21:31 未分類 TB(0) コメント(0)
 大成建設が請け負った工事で、労働者の死亡が相次いでいます。

●23歳の新人現場監督、残業時間、月に212時間。そして自殺

 東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設現場で、大成建設の一次下請け社員で、現場監督を任されていた新入社員の23歳の男性が、3月2日に失踪。4月に長野県で遺体で発見されました。
 遺書には「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」としたためられていたようです。
 失踪する前月の残業時間はじつに212時間。
 深夜勤務に加え休日勤務がなければカウントできない数字です。

 国立競技場は、ご存知のように、総工費が当初予定の1300億円からほぼ倍増したことで旧計画が白紙撤回され、新たな設計で、当初予定より1年余り遅れた2016年12月からの着工となりました。
 2020年8月というオリンピック開催が決まっている以上、一日の猶予も許されない。急ピッチでの工事に、本来なら経験豊かな職員が担うべき現場監督という重責を、新入社員であれまじめに果たそうとした結果、身も心もボロボロになってしまったのでしょう。

●3人転落死
 やはり施工主が大成建設である東京千代田区の宴会場「東京会館」の建て替え工事では、8月11日、40-50代の作業員3人が転落死しました。
 ビル5階部分でエレベーターを通す縦穴の上に足場として置いた畳2枚分ほどの鉄板が、3人と作業車両の重さに耐えきれずに落下したのではと推測されています。
 ここで問題は、その8月11日が祝日の「山の日」であり、現場では、本来作業しない日であったことです。こちらも完成予定が来年の10月と迫っていた。

 大成建設は、新国立競技場の他にも、辺野古基地、そしてリニア中央新幹線の最難関「南アルプストンネル(山梨工区)」を手掛けますが、特にリニアは、JR東海の意向により「2027年」名古屋開通が絶対目標です。
 ところが、本ブログでも書いているように、リニア計画においては、未だに東京・名古屋間で発生する5680万立米(東京ドーム約50杯分)もの建設発生土(残土)のうち、処分が決まっているのはその2割前後にすぎません。
 つまり、現状ではトンネルを掘りたくても掘れない。つまり、リニア工事は現時点では滞りを見せています。

 もっとも、今年11月には、南アルプストンネル(山梨工区)から排出される329万立米の残土のうち、110万立米は新設道路の盛り土に使われる予定なので、その分だけは工事が進み、将来的にはどこかで残土を処分します。しなければ工事は進まないので。

 だが、リニア計画の関係者の少なからぬ人が「20207年開通は無理」と予測しているほどに、現状では工事は進んでいません。
 もし、無理やりにでも2027年に間に合わせようとすると、新国立競技場の現場監督の青年のように過酷な労働環境を強いられる作業員が現れてもおかしくはないと私は考える。

 以前も書きましたが、ある準ゼネコンの幹部は「リニアのトンネル工事には絶対に参画しない」と私に言いました。
 理由は簡単で、難関工事なので、会社がペイするか分からないこと。そして、鉄砲水などでトンネル内が人が流される川になると予想されることでの殉職を回避したかったこと。しかも、2027年までにとの納期を絶対厳守するには、残業が当たり前になることでの事故の増加を怖れたのです。

 8月22日、大成建設本社前で、若者たちが現場監督だった青年の死を悼み、その憤りを会社に向けていました。
 


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